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2023年09月25日

連続ドラマW 『落日』 第3話

「死なせてください。
死なせてください。
もう死なせてください。
・・・・死なせてください


 その声には恨みも憎しみもなかった。
ただ純粋に「死なせて欲しい」という祈りのような願いだけ。
人の言葉や行動がそうさせているのではない。
彼が、自分自身に判断を下し、死を望んでいる。

 「私ね、人を殺したの」

 香(北川景子)は二人の死に関わっていた。
1人は父・裕貴(夙川アトム)。
妻・真理(真飛聖)に出世が遅い事を毎日毎日ヒステリックに責められ罵られていた父は、ある日、何も言わずただ香を抱きしめた後、映画を見に行った。

 そこは『父が唯一生きる気力を取り戻せる場所』だったが、その日は帰りに崖に飛びこんで自殺した。場所は真尋がドラマの脚本に描いた、あの灯台のある崖だった。

 その後、母は心を壊し一緒に生活できる状態ではなくなったため、香は横浜の父の実家に引き取られた。

 中学生の時、クラスでいじめられている男の子がいた。そのいじめは命にもかかわるほどの壮絶なものだった。ある時、彼をかばったら、その後彼から映画に誘われ、断ったら押し倒された香は思わず本音をぶつけた。

「気持ち悪い!!
臭いし気持ち悪い!!」


 その夜、彼は自宅の部屋で首を吊って自殺した。
教室に乗り込んで来た母親は香にどす黒い怒りをぶつけた。

あなたのせいであの子は死んだのよ!
あなたのせいで!
この人殺し!人殺し!!


 人は地獄の底にいるような悲しみの中でも責める相手を選んでいる。
責められるべきはいじめていた少年たちなのに、手を差し出した相手の手が翻されると、その相手を憎む。

 それは香が映画で描いた3つのエピソードのうちのひとつだった。
映画の中で少年の遺書が一枚取り除かれる場面があったが、それも同じだった。

 何年か経って彼の家に謝りに行った時、母親は相変わらずだったが、姉は彼の死の真実を教えてくれた。遺書は2ページあり、1枚目は香への謝罪が一行、そして2枚目には『お母さん、ごめんなさい』と何度も何度も便箋いっぱいに書かれていた。

 姉は自殺の原因が母親だと気づいていたが、この遺書を見たら今度は母が死ぬと思い、切り離した。

「あなたへの憎しみが原動力でもいいから、母に生きていてもらいたくて。
ほんとにごめんなさい。今では後悔してます。
弟の最期の思いを母に伝えれば良かった。
ホントにごめんなさい。ごめんなさい・・ごめんなさい・・・」


 真尋に、この場面の意味を問われた香は「生きる原動力」と答えていたが、それは彼の母親にとっての「原動力」という意味なんだろうか。
でも、誰かにとっての原動力が別の誰かの絶望になることもある。

 真実を知っても香は救われなかった。

「どう考えればいいかわからなくなって、映画にしたの」香

 それが「監督(作家)」という人間。
自分を含む人間と出来事を客観視し、残酷で嫌な部分をも目を見開きまっすぐに見つめ、「作品」という形に創り上げずにいられない。そうすることでしか救われない。

 次に香が映画にしたいと思ったのが沙良と力輝斗の事件だった。

「沙良さんが亡くなったって知ってからずっと・・
私だけが生き残ったっていう罪悪感があったの。
だから、どうして沙良さんが死んだのか、どうしても知りたかった。
知れば・・・前に進めるから」

「真尋さんもそうじゃない?お姉さんのこと。
知らなければ良かったって・・言ってたけど、
知ることで前に進めたこと、あるんじゃないかな」


 香の言葉を受け止めきれなかった真尋(吉岡里帆)は去っていった。

 香はほとんど表情を変えずにしゃべる。
一見、感情を失ったロボットのように見えるけれど、心の底に揺らいでいるものたぎっているものが伝わってくる。それは時に香を飲み込んでしまうほど大きなものになり彼女を苦しめたのだろう。多分、香は、作品というものに落とし込めなければ死んでいたかもしれない。



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matakita821 at 19:35|PermalinkComments(0)

2023年09月19日

連続ドラマW 『落日』 第2話

「監督は・・・
『知りたい』って言い続けてますけど、
知ることで、その先に何があるんですか?」真尋(吉岡里帆)

「知らないと・・前に進めないから。
・・・知ることによって、次の道を探して・・・
やっと生きて来た」香(北川景子)


 香は知りたいんだと思う。
人間とは、なんなのか。
自分とは、どんな人間なのか。
私は生きていていい人間なのか。

 香の「知りたい」は、まるで叫びのようだ。
暗闇の中を這いずりながら光を探し求めている。そして、やっと見つけたおぼろげな灯を決して逃したくないというような、静かな横顔から必死な思いが伝わってきた。

 彼女の「知りたい」は「生きたい」なのだと思う。
それを彼女自身も気づいていないのかもしれないけれど。

 医師の葛城は、カウンセリングで得た立石力輝斗(竹内涼真)の「真実」を語ってくれた。

「僕は妹が嫌いでした。
自分勝手でわがままで何でも自分の思い通りになると思ってた」


 事件当日、沙良(久保史緒里)は両親が買っておいてくれたクリスマスケーキを手に2階の部屋へとあがってきた。
沙良の部屋は力輝斗の部屋を通らないといけない造りになっており、その度に彼女は引きこもりの兄に毒づくのが日常だった。


「あんたさ・・・そろそろ死んでくれないかな」

 オーディションに合格した沙良は、高校卒業後に東京でアイドルデビューが決まっており、「引きこもりの兄」がいるのは都合が悪いと吐き捨てた。
彼女はケーキを切る為に持ってきたナイフで挑発しながら、蹴り、叩き、罵り続けた。


「わかるよね。
アンタなんて生きてる価値ねぇんだよ!!


 無反応だった力輝斗は静かに立ち上がると、ナイフを拾い、沙良の腹部を刺した。
一階で酔っぱらって寝ていた両親、「親も嫌いだった」「子供の頃から妹ばかりかわいがっていた」からそのまま火をつけた。


 虐待の有無を確認したら力輝斗は否定したが、
葛城は「うそかもしれない」と思っていた。

「死刑になりたくて。
あえて虐待のことを言わなかったのかもしれない。
情状酌量の余地を残したくなくて」
「どうしてそう思うんですか」香
「彼は・・・死にたがっているように見えたからです」


 カウンセリングの時の力輝斗の言葉には何パーセントかの真実はあるのだろう。
しかし話された「真実」は「本当の動機」を隠すため彼が創った「真実」かもしれない。

「僕は正常です。死刑にしてください」力輝斗

 ヤケになっているふうでもなく、思いつめている訳でもない。
「死刑」を求めることが彼の救いに繋がってでもいるような。
彼も香とおなじ?自分が生き続けることへの疑問を持ち続け、それでも静かに繋いでいた細い糸を断ち切られてしまったんだろうか。



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matakita821 at 19:17|PermalinkComments(0)

2022年07月22日

『模範タクシー』 第14話

 HPはこちら

 カン判事(イ・ソム)の力を借りて取り調べ室から脱出し、囚人達が潜伏しているムジゲ運輸のアジトで大暴れしたドギ(イ・ジェファン)は、チェ・ミン(姉の動画を撮影した奴)に拉致されたゴウン(ピョ・イェジン)とマリアを助けにUデータの連中が撮影に使っていた場所へ。

 ジノンさん(ぺ・ユラム)は代表(キム・ウィソン)とギョングさん(チャン・ヒョクジン)が捕まった時、自分は逃げたからと決死の覚悟で時間稼ぎをするとペク会長(チャ・ジヨン)らの元へ。かなり心配だけどドギの体はひとつしかないからね( ̄▽ ̄;)

 いや〜も〜マリアに執着する塩辛工場の男が気持ち悪くて気持ち悪くて〜(°ㅂ°҂)
もちろんチェ・ミンはドギがボッコボコにして股間になんか鋭いものを(針?笑)打ち込んでくれたけど、コイツにも同じ罰を与えたいよ。

 その間にカン判事らはウソプとワンさんを殺したソクテ(イ・ホチョル)捜索名義でペク会長の会社に乗り込んだんだが、ソクテは隠れてるし、殺害の証拠も見つからない。代表達が監禁されている場所って地下?カン判事達、ちゃんとすべての部屋を捜索しなさいよ〜!やり方がぬるいわよ〜!

 ゴウンを救出したドギはジノンさんと合流しようとしたんだが、目の前でジノンさんの車が、あのしつこくドギに復讐心を燃やす塩辛工場の社長 パク・ジュチャンの乗ったトラックに破壊されてしまう。

 ひー−−意識不明の重体状態のジノンさん!!なんてことだ・・・
ジノンさんは『代表と先輩を救ってくれ・・』と言い残し、あの世へ(じゃありませんよ!ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ ちゃんと手術を受けて成功した模様。予告にもいた(笑))

 てか、わたしゃ、ドギとゴウンがジノンさんを囲んで涙にくれてる姿に、車の影に いるからトラックでガーーーー!!っとやられたら終わりだよ!とヒヤヒヤ( ̄▽ ̄;) まぁ、ドギが肩刺されたけど、それぐらいへのカッパさ(結構深く刺されたように思うが〜)。ジノンさんの願いを胸にゴウンのバイクで代表達の元へ。

 ゴウンはどうやって帰ればいいの〜?と思ったけど、ジノンさんの救急車に一緒に乗っていったよね( ̄▽ ̄;)



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matakita821 at 16:11|PermalinkComments(0)