黒木メイサ

2024年09月09日

「降り積もれ孤独な死よ」最終話

「蓮見さん、取り合えず歩きませんか?
今までのことも、これからのことも、
話す時間ならいくらでもある。
生きてる限り」
「そうですね」


 暴力と死、苦しみの果てに見えてきたもの。
生きていくこと。繋いでいくこと。
ゆっくりと歩き続けながら、きっといつか、ふたりだけの道が見えてくるはず。

 まさかこの物語のラストに、こんな柔らかな光に包まれた希望を見せてもらえるとは予想していなかったよ・・・(´;ω;`)

 13年前、やはり健流(杢代和人)は灰川邸で亡くなっていた。
母親からも見放され戻ってきた健流だったが、自分の居場所はもうないと思いこみ、怒りを花音(吉川愛)にぶつけ殺そうとした。それを見つけたマヤ(仲万美)が花音を助けるために刺し、つきとばした結果、背中の鋏が深く突き刺さり死亡。

 健流の死を確認した灰川(小日向文世)は優磨と邸の近くの森に遺体を埋めた。
蒼佑(萩原利久)と悟(松本怜生)には知らせなかった。

 13年前、灰川が子供達との暮らしを突然やめたのは、この事件のためだった。
この場所にいる限りマヤたちは事件のことを忘れられず自分を責め続ける。罪は自分だけが背負う。決別は灰川だけが示せる愛情だった。そして7年前、灰川が自首したのは、あの遺体を発見させないため、子供達を守るためだった。

「何も言うな。これは家族の秘密だ。

・・・
『降り積もれ孤独な死よ
灰の雪だけが知る 君がそこにいたことを』


・・・この詩には続きがある。

『降り積もれ孤独な死よ
その重みの下にだけ芽吹くものがあるならば
降り積もる雪の下に
新たな命が芽吹くように
たとえそれがどれだけ孤独で冷たい死に見えても
それは終わりじゃない』
」灰川


 家族の暴力に苦しみ、常に死を意識しながら生きてきた自分達だから見出せる生き方がある、そしてリッカという家族は解散してしまうけど、決して終わりではない、この繋がりは永遠のものだ・・と伝えたかったのか。


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matakita821 at 17:42|PermalinkComments(2)