遠藤憲一

2026年03月04日

『テミスの不確かな法廷』 第7話 裁判所主導の職権主義

・・・・亡くなってしまった・・・
いったい誰に殺されたのか。
司法の失態が暴かれることを恐れた人物か。
真実が明らかになることを阻む木内晴彦の上にいる人間なのか。

 古川さん(山崎樹範)の想像どおり、「MiniDVテープ不見当」後の協議は針のむしろ状態。本部から応援要員も来て捜したが見当たらなかったことを伝えると当然のように隠ぺいの声が上がった。

「結城さんは、そんなことはしない。
絶対に。
結城さんに限っては」古川


 証拠のテープが無いのでは再審請求を認める訳にはいかない。それにはみんな同意。なら、このまま新たな証拠が出るまで待つしかないのか・・・

「今までこういうことで審理が止まり、
何年も時間を要してきた。
そして結果、証拠は提出されず、
請求は認められない。
長い年月をかけて事件関係者の人生を狂わせる。
そんなことあっていいんでしょうか」穂積(山本未來)


 そうだよね。
失われたその人の人生の時間は戻らない。
冤罪を何十年も訴え続けても再審請求は認められない。
一度確定した刑を覆すのは、とんでもなく難しい。
だからこそ慎重な捜査と判断がされるべきなのに。

「いや、決してあってはならない」

 門倉(遠藤憲一)は裁判所主導で、新たな証拠を見つけると宣言。
落合(恒松祐里)も賛同。

 安堂(松山ケンイチ)と門倉さん、ふたりとも「え?(マジ?)」ってびっくりした顔しとる(笑
でも落合はフェアな判断のできる人。
そして彼女も真実が明らかになることを心から望んでいる。

 その後、小野崎(鳴海唯)から事件当夜の秋葉の目撃証言に疑問が生じたことが伝えられた。→事件発生時と同じ時刻と状況で現場検証が行われ顔の判別がつかないことが証明された。さらに目撃者本人から話は聞けなかったが、家族によると「秋葉一馬みたいだった」との証言が「秋葉一馬を見た」ということになっていたそうな。

 この事件は物的証拠にとぼしかったので、動機から秋葉がマークされ、あやふやな目撃証言が重要な証拠とされ、結城検事の自白の強要があったことを穂積が言いつのると古川さんはピシャリと返したぞ。

「結城さんはそんなことしない」

 なぜそんなにも結城検事を信じるのか、門倉が尋ねたら、古川の父の汚名を晴らしてくれた恩人だったそうな。

 んーーーーー
古川さんにとって結城検事は、絶対的な「真実の人」なんだね。
その信頼は揺らぐことがない。

 さらにマスコミで再審請求審が報道されたことにより様々な情報が寄せられた中から安堂が気になった匿名の一通を見せた。送られてきたのは事件とは関係が無さそうな自治体の防犯活動を手伝っていたITエンジニアの羽鳥朋世さんが自宅で亡くなったことが載っているタウンニュースのページ。

 朋世さんの父親(田辺誠一)と会ってみると彼は娘が殺されたと思っていた。
しかし安堂と小野崎が話を聞き、現場となった部屋を見せてもらうも同意できる証拠はない。この事件が「前橋一家殺人事件」と繋がるとも思えない。



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matakita821 at 18:24|PermalinkComments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加

2026年02月25日

『テミスの不確かな法廷』 第6話 再審請求審

「どうして普通にできないのか。
どうして当たり前のことができないのか。
どうしておかしなことばかりするのか。
僕は何度もあなたにそう言われてきました。

検察は、あなたは、
どうして不見当という対応を取るのか。
その答えは?」
「・・・・・」
「分からないことを分かっていないと
分からないことは分かりません。
僕は真実が知りたい。
再審請求審に加わり、
25年前に何があったのか必ず明らかにします」


 司法に仕える者として、
検察官として、どうして普通にできないのか。
どうしておかしなことばかりするのか。

 皮肉でもなんでもない。
それが安堂が父から伝えられたものだったから。
それに従っているにすぎない。

 分からないことを明らかにしようとするのではなく、
分からないままにしようとする厳然とした意志。
そこには真実を隠そうとする何かがあると安堂は判断したんだね。

 父親から断ち切られた縁、
自分のことを「宇宙人」と思っていた父。
安堂には『父』という人がわからない。
分からないことを分かっていないと
分からないことは分からない。
だから安堂は父と同じ司法の世界に入ったんだと思う。

 そうして父の下した判断と行動を安堂が審議しなおす巡りあわせになった。
安堂にとっては事件の真実と、そして父の真実にも向き合うことになるんだろうな。

 25年前に起きた「前橋一家殺人事件」。
発生から半年後、その一家に恨みを抱く秋葉一馬(足立智充)が逮捕された。否認し続ける秋葉の取り調べを任されたのが結城検事(小木茂光)だった。

 家庭から逃げるために仕事に没頭する、そんな思いもあったのかな。息子と一緒にいると自尊心が傷つけられる場面が多々あり、仕事の成果を上げて出世して自己肯定感を上げようとしたのか・・・
結城の取り調べは異常だったね。
もーー決めつけ検事め。



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matakita821 at 18:07|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加

2026年02月04日

『テミスの不確かな法廷』 第5話 書証主義と人証主義


 「書証主義」と「人証主義」。
「書証主義」とは「弁護人や検察が出した書類を重視するやり方」。
落合(恒松祐里)は、こちらのタイプ。
 
 「人証主義」とは「被害者や被告人の尋問を重視するやり方」。
安堂(松山ケンイチ)は、こっち。尋問だけでなく関係する場所にも行って確認するし、被害者や被告人の言動に疑問が生じたら解決するまであらゆる方法で調べつくす。

 津村(市川実日子)に言わせると落合は『ザ・箱の中の裁判官』。

「裁判官のほとんどが箱に閉じこもっている。
世間というものを知らない。
自分達から遠ざけているようにも見える」


 狭い世界から出ようとせず、生の人間の声を聞こうとしない、関わろうとしないで頭の中だけで判決を下している。執行官の津村には、そう見えるらしい。

 経歴にキズがつくのを恐れているのか、自分の決定に落ち度はないと断言し、堂々と保身発言をする落合。危ういわ〜( ̄▽ ̄;)裁判官としての優秀さは件数をこなすことだと考えており、どの事件にも平等に時間をかけすぎる安堂に常にイライラしている。そして安堂は『箱の中から出がちな裁判官』

 まぁ、確かにね。安堂みたいに丁寧に調べてくれたら裁かれる身にしたら安心だけど、安堂が処理できなかった裁判は他の者が受け持つことになるからなぁ。もしこの支部の裁判官全員が安堂タイプだったら、未処理は膨大な量になるよね。

 どちらかに偏りすぎても別の問題が生れる。
この二人が協力し合えれば丁度いんでないの?( ̄▽ ̄;)

 でも落合にも落合なりの矜持があったんだね。

「裁判官は弁護人や検察官と違い、
被告人や事件関係者に法廷で初めて会います。
そして法廷以外では会わない。
私は自分が抱く感情を法廷には持ち込まない。
適切かつスムーズな判断が下せなくなるからです」


 落合とて人の子。
事前に会ってしまえば同情や怒り等の特別な思いを抱く時もあるのかもしれん。そうなると裁判官として冷静な判断ができなくなる。てことは、落合は実は情に流されやすい人間なのか?だからあえて「書証主義」を貫いている?

 でも、その鉄の鎧を着こんでいた落合が自分が決定を下した現場で津村が刺されたことから、しかたなく「人証主義」に足を踏み入れてしまう。
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matakita821 at 18:04|PermalinkComments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加

2026年01月28日

『テミスの不確かな法廷』 第4話 伝説の反逆児

「司法の場をナメるな」
「さ、裁判長・・今・・なんと?」鳴子
「司法の場をナメるなと言ったんです。
法廷は真実を明らかにする。
ここで明らかにならなかった時は、
あったことは無かったことになる。
誰かにとって都合のいい真実じゃダメなんだ」


「佐久間さんは、
なぜ死ななきゃいけなかったのか。
通行人の松倉すずえさんは、
なぜ巻き込まれなきゃいけなかったのか。
今回のことをなかったことにしたら、
また事故が起きるかもしれない。


八御見運送のみなさん、
置かれている立場はわかります。
ただ働くために生きてる訳じゃないでしょう」
「意義あり。
公平であるべき裁判長が偏った発言をしています」


「意義を認めます。
だが認めない!
型どおりなら認める。
だが型にはまっていると見えない真実ってものがある。
それをちゃんと見極めなければいけない裁判だと判断した。
反訴は原告を威圧・萎縮させ、
訴訟を取り下げさせるのが狙いではないですか?」
「裁判官の忌避申し立てを行います」


「訴訟の遅延を目的とする『忌避申し立て』は
却下します。
被告代理人、私の訴訟指揮が不服なら、
高裁に即時抗告してくれて構いません。
裁判所からオールタイム急便の全下請け会社に、
ドライブレコーダー及び運転違反状況の
証拠保全命令を出したい」
「しかるべく」安堂
「・・・しかるべく」落合(恒松祐里)

「徹底的に真実を追求してジャッジを下す、
それが裁判官の仕事です」


 門倉さん(遠藤憲一)、かっけ〜〜!!
安堂(松山ケンイチ)の貧乏ゆすりを止めさせる潔さ。

 でも言い終わった後、『終わった・・やっちまった・・』っていう心の声が聞こえたよね?( ̄▽ ̄;)『あ〜ぁ・・なんでロックしちゃったんだろ』って(笑

 一回目の裁判の時から安堂のことをじ〜っと見ていたのは、自分と同じロックの波動を感じたから?もちろん勘違いだったんだが、安堂の考えずにはいられない性質、愚直なほどに真実に向き合おうとする姿勢が、大切な家族との生活を守るために封じ込めていた門倉のロック魂を呼び覚ました。

 上の方の意向を読み、裁判官として『うまくやること』を努めてきた門倉だったけど、常にそんな自分でいいのか?という葛藤はあっただろうし、自分に嘘をついている思いもあったんだろうね。それとやっぱり推しの力(笑)清志郎だったらどうする?清志郎だったら、この状況で『うまいこと』やろうとするか?門倉さんの中の清志郎が問いかけたんだろうね。
私もたまに風様の声を聞くからわかるよゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ



 一度は証言を翻した富樫さん(森岡龍)に勇気を与えたのは息子の存在。
そして佐久間さん(清水伸)は何度も加賀美(長谷川朝晴)に物流業界の改善を必死訴えていた。その行動を支えていたのは、娘に顔向けできないことはしたくない、胸を張って娘に会いたいという思い。


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matakita821 at 16:12|PermalinkComments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加

2026年01月21日

『テミスの不確かな法廷』 第3話 裁判官の資質

『門倉さん、僕は日常的に忘れ物をします。
そして一度に二つ以上のことができません。
落合さん、僕は冗談がわかりません。
言葉どおりの内容をそのまま受け取ってしまいます。

僕は普通を装っています。
でも・・・
普通ではありません。
僕は・・・僕は・・・・』


 忘れ物ぐらい誰でもするよ、とは言ってあげられない。みんな社会生活を送る上で『普通』を装っている部分はある。でも、そういうことじゃないんだよね。そして、一度に二つ以上のことができない場合、今まで優先順位はどう判断しつけてきたのか。法律の世界には『六法全書』という厳然たるルールがあるが、日常生活の中でのルールは本人がほぼ決める。安堂(松山ケンイチ)の場合は母親か山路先生(和久井映見)に指示を仰いできたんだろうか。

 そういう日常生活での穴はあるだろうが「裁判官の資質」という意味では、安堂には十分あるように思う。抽象的な表現(今回だと「〜など」「企業努力」)には暗黙の了解や知ってて当然という押し付けも多少含まれているが、安堂はそんなもん受け入れない。陳述や文書には顕れない(読み取れない)真実を掴むために客観的事実を求め、調べ確認し続ける。

 そして判決を決める際、私情やしがらみから完全に自由だ(だから温情がないとは見られるだろうが)。どんな裁判官ももちろん私情は排除しているだろうが安堂の場合は「感じること」ができない代わりに判断基準が「六法全書」のみだからこそ、状況を正確に読み取り、見合った判決を選び取ることができるんじゃないだろうか。


「僕なら発達障害の僕に裁かれたくない」

 そうだろうか。
でも判決に不満のある人が発達障害のことを知ったら、不服を訴える材料にされるかもしれない。かつて父である結城検事(小木茂光)が言っていたのもそういうことなのかもしれない。

「発達障害の君に裁かれる人はどう思うか?
差別・偏見は決して無くならない。
本気なら自分の特性を周囲に隠した方がいい」


 同じく発達障害の岸辺は職場の人達にカミングアウトした結果、理解してくれたと言っていたが・・・。その結果、岸部君への仕事の伝え方や教え方を工夫してくれたらいいんだが、逆に変なカードに使われないか心配だよ。


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2026年01月14日

『テミスの不確かな法廷』 第2話 真実義務と誠実義務

「『真実』という漢字は左右対称、
シンメトリーです。
栗田奈央さん、八木一喜さんが、
かつてのように調和がとれた関係に戻ることを
願っています」安堂


 シンメトリーへの拘りは安堂(松山ケンイチ)の症状なのかと思ったら、ちゃんと意味があったんだね。シンメトリーになっている栗田奈央(山時聡真)と八木一喜の名前には、父親の感性と願いが込められていた。

 伝えることができず封じ込められていたふたりの真実、
それが裁判という場で明らかにされた。
様々な事実を隠蔽したまま、あった罪を無かったことにしたままでは、彼らが再出発をすることはできない。
真実を露わにすることでしか救いはない。
その思いからの小野崎(鳴海唯)の判断だった。

 小野崎の『ヨシ!』は被告人の真実をとことん調べ向き合うことで、彼らが未来に向けて一歩を踏み出す手伝いをすること。東京から逃げてきた形になったかもしれないけれど、今は『ヨシ!』と思える自分自身を応援できているんじゃないのかな。

 栗田には執行猶予が付き保護観察となった。
被告人も検察側も弁護側も、納得の判決。
安堂もこだわりをちょっとは楽しめたかしらん・・( ̄▽ ̄;)


 今回も真実が明かされるまでの流れが自然で腑に落ちる展開。
安堂も津村(市川実日子)も口にしていた言葉。
『学校は社会の縮図』
学校という閉じられた世界では限られた大人の行動が子供達に与える影響は大きい。そのことを知らない、知ろうとしない大人が多すぎる。

 いいことも悪いことも子供達は常に見ており感じている。そして自然と模倣することで力を示そうとしたり、大人達におもねようともする。その中でがんじがらめになっていく者も多い。今回、傷害事件の刑事裁判という形であり、被害者は入院し、結果的に学校側の隠ぺい体質がバレてしまったけど、子供達がこの渦の中から抜け出すいい機会だったと思う。


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2025年05月25日

「慶次郎縁側日記 3」 第5回 可愛い女

 なんか3話ぐらいまで、あれ?なんか違うよな〜とうっすらと馴染まないものを感じていたが、先週からしっくりくるようになり、今回は沁みたわ〜


 美人でモテモテだったおさき(17歳)(黒川芽以)はキスをすると子供ができるという言葉を信じ、職人の源次(長谷川朝晴)と所帯を持つはめになったが、コイツが仕事もできなきゃ才覚もない嫉妬深いDV夫。おさきを殴っては長屋で騒ぎを起こすというクズだった。しかしおさきには逃げた先の知恵もなく耐えるしかなかった。

 いつも友達のおしな(矢沢心)にぐちを聞いてもらったり慰めてもらって気を晴らしていたが、このおしなも考えなしに同心の森口(晃之助)(比留間由哲)に男になったフリをしてもらえばいいとアドバイスする始末。ある日、源次の暴力に耐えられなくなったおさきは晃之助に助けを求め、晃之助もそんなおさきを家にかくまうのだった。

 いや〜皐月(安達祐実)の留守にね〜( ̄▽ ̄;)
なんかシーズン3では皐月の母・志乃(大谷直子)が気鬱の病になり(ぴったり( ̄▽ ̄;) 病気のせいもありわがままになり女中もいつかない)、看病のためちょいちょい実家に戻っているだが、この時もそうだった。前回、晃之助から自分がいなくてもは大丈夫と聞き皐月はモヤモヤしてるっていうのに。(皐月はお前がいなくて寂しかったとか、やっぱりお前がいないとダメだと言って欲しいのだが、朴念仁の晃之助にそんなセリフ思いつくはずもなくこじれていく〜)。晃之助は仕事の一環としておさきを守っているつもりだが、うぶなおさきは一緒にいるうちにどんどん惹かれていく。

 それを察したおしづ(皐月のばあや的存在)(梅沢昌代)は辰吉(お手先)(遠藤憲一)に相談するんだが、「晃之助は行くところのない者を放り出せないと言ってるし、おさきはそろばんづくで動いている訳ではないからさ〜」と気にしない。

「それだから恐ろしいんです。
そろばんづくではないから」おしづ


 さすが年の功、わかっている。
そろばんづくなら、さすがににぶい晃之助でも気づく。それがないから、いつのまにか取り込まれっちまうんだよ〜
 
 ある雷の夜、晃之助は怯えているおさきを思わず抱きしめキスをしてしまうが寸でのところで思いとどまる(よく耐えた!)(ま、家の中におしづもいるしね( ̄▽ ̄;) )。怖くなった晃之助はおさきを根岸の慶次郎(高橋英樹)に預けるのさ〜


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2024年07月15日

プレミアムドラマ「エンジェルフライト」第6話(最終話) 母の最期の旅

『母さま・・・
あなたの言うとおり、あなたに反抗したくて、
私はここに辿り着きました。
あなたのおかげです。
ありがとう』



 子供を愛せなかった母親。
子供といることが苦痛でしかたがなかった。
愛せない自分を責め、母親らしい感情が湧かない自分を呪い、それでも変われない自分に苦しんだ。母親にとっても娘にとっても辛い親子関係だった。

 苦しみながら出した結論は、『ひとりで生きていく逞しさを身につけた子に育てる』。
自分にはそれぐらいしか教えられない。嫌われても憎まれても。

 踏切に自転車が挟まり、電車が近づいているのにただ見ているだけだった母。
凛子(松本穂香)の記憶の中の母・塔子(草刈民代)は助けようともせず踏切の向こうから冷たい目で見ていた。『死ねばいいのに』とでもいうように。でも、今蘇るのは頑張って一人で自転車を運んで危機を脱出した娘を抱きしめてくれた母の手。戸惑いながら背中に添えられた温かさ。

 『6. 娘に迷惑をかける』
写真の裏に書かれていたバケットリストの最後のナンバー。
あんなに人に頼ることも頼られることも嫌いだった母が、最期に娘に甘えることを自分に許した。こんな形でしか残すことができなかった親子の絆だけど、凛子も母様らしい・・と思ったんじゃないかな。最期に、娘が選んだ仕事も娘のことも信じて自分の最期の旅を託した。



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2024年07月08日

プレミアムドラマ「エンジェルフライト」第5話 那美 VS 究極の悪女

 『愛ってなに?』

 それは彼女が自分自身にずっと問いかけてきた言葉。
問いかけ続けながら、彼女はその答えをくれる人を渇望していた。
そして本当は誰よりも「愛する人」になりたかったのかもしれない。

 三番目の夫(実際には結婚していなかったので愛人だったけど)・サリム(ESSAM SAAD)は最初から第一夫人のナディアの身代わりとしてゆり(松本若菜)に近づいてきた。認知症の影響もあったかもしれない。今までのように男をお金を引き出す道具としか思っていなかったゆりは気にしなかった。でも亡くなったのちもナディアを求め続けるサリムと接しているうちに、こんなふうに愛されたい、愛されるナディアが羨ましいと思うようになったのか。ナディアを演じることで「愛」を手に入れた(本当は違うってわかっているけど)気持ちになりたかったのかもしれない。


 妊娠を確認した時の幸せそうな笑顔。
ゆりは初めて自分を誇らしく思えたんじゃないのかな。
そして間違いだと知った時の絶望。
鏡に映っていたのは、一生「愛」なんて手に入れることができない女の顔。

 死ぬ直前のケンカは認知症の発作のようなものだった。
それでも「お前はナディアじゃない!出ていけ!」という言葉は。ゆりにとって死刑宣告と同じだった。その言葉に反応し首を絞めてしまった。拒絶ののち、自分を見る怯えたような目、それがゆりの見た彼の最期の顔だった。

 彼は死んだかもしれない。
ほっておくと死ぬかもしれない、そう思いながらも、その場から逃げ出した。
手に入れたと思いこもうとしても、すぐにその隙間から落ちていく「愛」。

 松本若菜さんが素晴らしかった。
ゆりという女性は愛する顔と憎む顔が同じだったんだと思う。


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matakita821 at 22:03|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年07月01日

プレミアムドラマ「エンジェルフライト」第4話 アニメに憧れたベトナム人技能実習生



 「死」が、残された人の心を変える、これから生きていく人の人生を変える。
パワハラ、給料未払い、過酷な労働環境・・本当なら彼女が生きているうちに変わって欲しかった。日本という国に希望を抱いて来た彼女の心に、真摯な努力と懸命な労働にふさわしい形で応えて欲しかった。でも彼女の死が、彼女が残した愛が、あの社長を変えると信じたい。

 スアン(リエン)の御遺体を奪って元職場に立てこもった上田(濱津隆之)。「ストーカー」という声を聞いて一瞬ぞっとしたが(家族でも恋人でもない相手に死んだからと言って御遺体袋を開けて見られるのは抵抗あるぞ)、スアンは上田のこと尊敬していたみたいだから許してやっか。それに彼の行動で工場のみんなも勇気を出すことができたし。

 亡くなられた後の肉体とはなんだろう。
那美(米倉涼子)に病死した母親の遺体の処置をしてもらって魂が戻ったように感じて、生きている頃の母と向き合うようにお別れをすることができた柊(城田優)。亡くなった後に夫の不倫が発覚し、御遺体となった相手の女性の指を切ってでも指輪を外させたかった妻(高橋由美子)。結局、ギリギリのところで留まってくれたが相手が御遺体となっても復讐せずにはいられなかったのか。

 離れてくらしていた娘の生きているような姿を前にして、彼女の人生を改めて称え感謝し愛おしむ父。やっぱりお骨で対面するのと御遺体を前にするのでは違うよね。そして8年前に海難事故で夫を亡くしたが遺体が未だに見つからない那美。御遺体を前にお別れをすることができなかったために、彼女は後悔を抱え続け、わかってはいるが生きて戻って来る可能性が捨てられない。

 私は父が亡くなった後の遺体を見て、もう「父」はいないんだな、ここにあるのは「父の魂」が入っていた、ただの入れ物なんだなと思ったけれど、その入れ物に、その人の息吹のようなもの、命が感じられたら、死んでしまった者だからこそ与えられるものがあるんじゃないだろうか。目の前の「死」を通してしか伝えられない瞬間の。それは愛かもしれないし、気づきかもしれないし、希望なのかもしれない。

 第1話 スラムに散った夢
 第2話 テロに打ち砕かれた開発支援
 第3話 社葬 VS おかめ食堂
 第5話 那美 VS 究極の悪女
 第6話(最終話) 母の最期の旅


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2024年06月24日

プレミアムドラマ「エンジェルフライト」第3話 社葬 VS おかめ食堂

  二つの御遺体、ふたつのご葬儀。
どちらも優劣なんてつけられやしない。
今まで葬儀なんて、ただの形と思っていたけど、ご葬儀を執り行う家族や身内の中で生き生きと蘇るその人の人生、ともに生きてきた時間、改めて愛情や感謝を伝えられる特別な場なんだね。


 前半、御遺体になっても地位や利益が優先されるんかい、順番を優先させろよ!(「王様のレストラン」で大臣よりも先に予約したSPさんの順番を守った千石さんを見習えよ!とムカムカ)、そもそも別の会社に頼んだくせにいばりくさりやがって!と腹立ちを感じながら見ていたが、さすが那美(米倉涼子)、最後まであきらめなかった。

「今まで・・一度も言ってなかったな。
社長・・・こんな俺を・・・拾ってくれて・・
本当にありがとうございました」井村(菅原大吉)


 「すまない」じゃなくて「ありがとう」。
その気持ちが伝えられて良かった。
亡くなられた二人に共通しているのは出会いを大切に生きてきたこと。

 大波さん(社長)(井上肇)には井村を救ってやったという気は微塵もないと思う。大好きな親分がそばにいてくれたら自分はもっと頑張れる。一緒に働きたい。だからこそ井村さんもかつての自分を捨てて生まれ変わることができた。最期だってホントは女性を必要としていなかったと思うけど、井村の気持ちを立ててくれたんじゃないかな。井村という心から信頼できる相手を得て、子供の頃二人でウキウキと過ごした時のように新鮮な気持ちで仕事に臨めたのかもしれない。

 そして「おかめ食堂」の吉崎さん(余貴美子)。
いつだって自分は後回し。働いている時はお客さん優先、家では子供達優先。
でも耐えているふうでもなく、それが吉崎さんらしさだったのかな。
今回のコンサートも、そりゃ推しに会えるんだから嬉しかっただろうけど、子供達の自分への思いが嬉しくて優先させたんだと思う。それなのにチケットを失くしてしまったおばあさんに譲ってあげた。性分なんだね、そのことを後悔はしていないだろうし、ホテルでコンサート楽しんでいるかなとほほ笑んでいたように思う。

 亡くなられた方、ご家族、お身内、今回もそれぞれの人生と歴史が伝わってくるすばらしい仕事ぶりだった。脚本もちょっとスリリングで構成も良かった。次も必ず見たくなるドラマだよ。日曜日が楽しみになっている。

 第1話 スラムに散った夢
 第2話 テロに打ち砕かれた開発支援
 第4話 アニメに憧れたベトナム人技能実習生
 第5話 那美 VS 究極の悪女
 第6話(最終話) 母の最期の旅


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2024年06月17日

プレミアムドラマ「エンジェルフライト」第2話 テロに打ち砕かれた開発支援

 無差別テロにより失われた命。
本当に誰を恨めばいいのか。
自分で選んだ道とは言え、志なかばで命を奪われた時、残された家族は心の中でどう折り合いをつければいいんだろう。

 改めて「エンジェルハース」の仕事の意味をつきつけられた回。
御遺体修復と死化粧は大切だ。対面した最後が凄惨なままだったら、家族はその姿を一生忘れられず苦しむだろう。自分を責め、家族を責め、悲しみの地獄がより深くなる。死化粧は、死者のためでもあるけれど、これからも生き続ける家族のためだ。命が奪われたのは許せない、テロリストは憎い、でも死に顔が安らかで眠っているようだったら、せめて救われる。「おかえり」と言って迎えてあげることで、やっと死と向き合うことができる。

 『死と向き合うってことは生と向き合うこと』

 途切れてしまった命を見届け、その人の思い、歩いて来た道、人生そのものを受け止める。そして受け止めながら、自分も生きて行く。
生きることで、いなくなってしまった家族と共に生きていく。

 前回もだったけど、見ていると涙が止まらない。
大切な人の死と向き合おうとする家族の、その愛に。エンジェルハースのメンバーの、故人とご家族に寄り添い仕事を全うしようとする真摯な姿に。

 第1話 スラムに散った夢
 第3話 社葬 VS おかめ食堂
 第4話 アニメに憧れたベトナム人技能実習生
 第5話 那美 VS 究極の悪女
 第6話(最終話) 母の最期の旅


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2024年06月11日

プレミアムドラマ「エンジェルフライト」第1話 スラムに散った夢

『陽平、よく頑張った!』

 彼がどんなにその言葉を求めていたか。
失望されるのが怖い。それでも彼は遠い地で夢を見つけた。
思いつきだったのかもしれないけれど、彼はそこで本当の仲間に出会えた。
家族と思って心から泣いてくれる人達と一緒に過ごしていた。

『死を扱うってことは、生を扱うってことだろ。
遺された人達は前を向いて生きてかなきゃならない。
そのために、せめて最期のお別れをさせてあげて、
とことん悲しんでもらう。それが私達の仕事』



 縁を切るような形で日本を飛び出した陽平君(葉山奨之)。
ご両親とは一切連絡を取らなかっただろう。遺された御遺体は彼がどんなふうに生きていたかを知るたったひとつの手がかり。
凛子(松本穂香)たちの仕事は御遺体と一緒に彼の心をも届けること。

 最初はご両親がもういいって言ってんだからいいじゃん!と思ったが( ̄▽ ̄;) 残された御家族はこれからも生きて行かなければならない、絶対後悔する(多分それは彼女自身の経験からだろう)との思いから無鉄砲とも思える行動にでた那美(米倉涼子)。

 人は変わる。会えなかった時間に陽平君も成長していたはず。
でもご両親の中にあるのは小さかった頃の彼であり、ろくでもないことをやらかすガキの姿であり・・・その空白の時間を繋ぐのが那美達の仕事なのかなぁ。

 『死』からスタートする物語。辛いけど視聴決定だす。

 第2話 テロに打ち砕かれた開発支援
 第3話 社葬 VS おかめ食堂
 第4話 アニメに憧れたベトナム人技能実習生
 第5話 那美 VS 究極の悪女
 第6話(最終話) 母の最期の旅


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2012年02月29日

「ストロベリーナイト」 第八話 悪しき実 その2

 今回はいつもと違った雰囲気でしたなぁ・・・
出張旅行もあったから「土サス」っぽくもあり・・・(´∀`;)
意外とあっさりカタがついたというか・・・
2話にしなくてもよかった・・・・かも・・・ねぇ・・
取調室で木村多恵さんの告白が始まると、よく聞こえなくて、ボリュームを2つぐらい上げたのは内緒・・・

 岸谷清次(松田賢二)の私書箱から見つかった11組の写真に写っている人物は、現場資料の鬼・林の確認により、過去5年の間に銃殺されていたことがわかった。
岸谷の部屋から見つかった木片は13体。
岸谷は17歳と29歳の時に殺人の罪で服役している。
この2件と写真に写ってる者たちを合わせると13になる。

 姫川(竹内結子)は、岸谷が大和会系に飼われていた殺し屋で、写真の11人も岸谷が殺したと推理しました。
で、姫川班も「組長射殺事件」の帳場に加えて欲しいと今泉(高嶋政宏)に頭を下げましたぞ。
んが、立ち聞きしていた日下(遠藤健一)が阻止。

「お前の話には確証がない。
つまり判断する材料が足りないということだ。
第一、その岸谷という男はなんで死んだんだ?
他殺なのか?自殺なのか?」
「他殺だと思ってましたけど今は自殺だと」姫川
「じゃ、その根拠は?」日下
「明確な証拠は、ありません」姫川
「根拠もなしに他殺から自殺に変えたのか?
そもそも、どうして遺体の右半身と左半身で死後硬直の解けるのが違うんだ?どうなんだ、姫川?答えは?!」日下
「・・・・・」姫川

「それとも、そのことはさして重要ではないと判断したのか?
じゃ、その判断はどこから導き出した?」
「重要じゃないなんて、言ってませんけど・・・・」姫川
「そうか、ただ、調べてないだけか。
そんな事も調べないで何が確信だ。
確信と確証とは大きく違う。
お前の勘に頼ったとんちんかんな確信は捜査を混乱させるだけだ」日下

 確かにね〜
日下のツッコミに即座に答えられて、納得させられるんだけのものを掴まないと・・・
逆に言うと、日下はどんなツッコミにも対応できるだけ調べあげ、確証を掴まないと逮捕はしない。
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matakita821 at 18:21|PermalinkComments(4) このエントリーをはてなブックマークに追加