日曜劇場

2024年11月25日

「海に眠るダイヤモンド」第5話 一島一家

「進平さん・・・死んじゃうかと思った」
「・・・(首を振る)」
「ごめんね・・ごめん・・」


 このふたりは人間としてギリギリの淵でどうしようもなく求めあっている。
二人なら一緒に生きられる、というよりも一緒に死ねるのかもしれない。
リナ(池田エライザ)の「死んじゃうかと思った」は「愛している」。

 妻の死を認めようとしなかった進平(斎藤工)が
リナにだけは「栄子は死んだ」と伝えた。

「もう誰も愛さない」
「愛さない」
「独りで生きていく」
「生きていく」


 ふたりだけにわかる思いの確認。
リナのために殺すことにためらいは無く、
「海流が沖へ流すと助からん」ことを伝える、
弟への嘘も上手な進平。

 でもきっとこのふたりに平穏な日々は来ない。
ジンクスは繰り返される。
多分、進平は死ぬのだろう。
進平のいない端島にリナの居場所はない。

 てことは・・・玲央(神木隆之介)はリナの孫なのか?
じゃあなぜ朝子(いづみ)は玲央に拘るのか。
鉄平とは結ばれなかった。結ばれなかったからこそ宝物を捜すように玲央を求めたのかと思ったが、そんなもんじゃないんだね、きっと。もっと深くて大きなもの。郷愁だけではなく、端島ですごした幸せな時間、島を出てから捨てて来たものを取り戻したかったのか、あるいは贖罪?

 ストライキ、部分ストライキ、ロックアウト、ロックアウト破り・・・
いつの時代も経営者と労働者の間には暗くて深い河がある。
これは戦争だ。生きる為の。
でも必死に戦っても、いつのまにか上同士で話が決まっている。
負傷した兵士は虚しいばかり。
その怒りは痛みを感じないトップではなく、ちゃんとその下の痛みがわかる人間に向けられる。

 賢将(清水尋也)は、いけにえだ。
鉱員や組合長らにとっては敵の息子であり、戦わずして勝利を得た卑怯者でしかない。鉄平(神木隆之介)も職員ではあるが、家族は鉱員だし、負傷したということは敵側とはいえ同じ兵士と認められる。そして鉄平のように正直に思いを発表することは立場上許されない。責められ罵られる賢将の心の傷は誰にも見えない。



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matakita821 at 09:45|PermalinkComments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年11月18日

「海に眠るダイヤモンド」第4話 沈黙

「奇跡は・・人が起こす」百合子

 長崎での被爆。
死んでしまった姉。
原爆症に苦しみながらも祈り続けた母。
その母の介護をしながら、自分もいずれこうなるのだと怯え続けた百合子(土屋太鳳)。

 神は何もしてくれなかった。
戦争でたくさんの人間が死んだ時も、原爆が落ちた時も、その後も。
どんなに祈っても必死に救いを求めても沈黙していた。
その恨みを朝子(杉咲花)にぶつけてきた百合子。

 でも戦争を始めたのも人間で、原爆を落としたのも人間だ。
戦争を始めた人間、勝つために国民をコントロールした人間、
負けが見えていても戦争を終わらせようとしなかった人間、
愛国心の名の元に他国民の命を消滅させる決断をした人間、

 そしてそんな決定に従うしかなかった人間たち。
戦争は人の考える力を奪う。
戦争を始めた人間たちが望んだのは何も考えず従うロボットだから。

 迷いを振り払い生きる人達。
戦争になんの疑問も抱かず息子が戦地に向かうのをばんざいで見送った一平(國村隼)。
飢えさせないために娘達を疎開させ空襲に遭わせてしまったハル(中嶋朋子)。
自分の信仰のために娘を長崎へ連れて行き死なせてしまった百合子の母。

 誰も悪くない。その時その時を必死に生きていただけだ。
終戦を迎えても、いや戦争が終わってからがさらなる苦しみの始まりだった。
みんな自分を責めながら、後悔の狭間で自分の罪と向き合いながら生きている。
戦争の愚かさを、失った命の尊さを、その罪を、忘れずに生き続けることでしか償えないから。



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matakita821 at 15:43|PermalinkComments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加

2024年11月11日

「海に眠るダイヤモンド」第3話 孤島の花

「さぁ、一緒にこの会社を潰そうじゃないか」いづみ


 どんな状態でいづみが端島を出たのかはわからない。
閉山でしかたなく離れたのか、その前に夢を求めて飛び出したのか。
外の世界でいづみ(宮本信子)は端島では得られなかったものを掴むことはできたのか。
端島にいた頃のような純粋な幸せを感じることはできたのか。

 金銭的に不自由ない生活、立派な家、心が通い合わない家族。
これが、いづみが望んだ人生なんだろうか。
端島を捨ててまで見た夢なんだろうか。

『一度見た夢を忘れることはできるのだろうか』

 1957年、端島は景気がいいけど、金回りがいいのは炭鉱員と職員だけ。
彼らをの生活を支えている「社外者」たちは年中無休で働いても常にカツカツ。
食堂を営んでいる朝子(杉咲花)の家も。
それでも自分の気持ちを引き立て、日々、ここで自分にやれることをやって生きていくしかない。

 そこに突然現れた『非日常』。
そりゃ参加するさ、夢もみるさ。
でもその夢も惨めに破れた。
鉄平(神木隆之介)は泥棒に堕ちた夏八木(渋川清彦)のことを
『(組合のお金を)半分を残したのは、権力に負け金にも負けた男の矜持だったのか』と言っていたけど、夏八木は泥棒にもなりきれなかっただけだと思う。半分残すことでプライドを保とうとした情けない男だよ。

 朝子を慰めようと連れ出した鉄平。
ふたりだけの花見。
離れた場所から見る端島は光り輝いていて美しい。
その中にいると逃げ場がなくて心が塞がれる時もあるのに。
でも朝子にとっては鉄平がいてくれれば楽園だったのかもしれない。

 鉄平はやっと朝子の気持ちに気づいたかね?( ̄▽ ̄;)
初恋の鞍馬天狗・・・
こっからふたりの距離は縮まるのかな〜。

 さて、「いづみさんは誰だ」問題だよ。
こんな大きな会社を夫と二人で興すだけの器量を持った女性というと・・・
やっぱりリナ(池田エライザ)か朝子だよねぇ・・
百合子(土屋太鳳)は、経営センスとかなさそうだし。
てか、旦那さんって誰なんだろ?
もしかして朝子が賢将(清水尋也)と一緒になって会社を?
まだまだわからんね〜

 百合子はないな〜と思ったのだが〜
『初耳学』にわざわざ呼ばれるってことは、もしかしていづみだから?とか思ったり・・・(笑

 第1話 地底の闇を切りひらく
 第2話 スクエアダンス
 第4話 沈黙
 第5話 一島一家
 第6話 希望の種
 第7話 消えない火


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matakita821 at 17:00|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加