常盤貴子

2025年03月03日

「御上先生」 episode 7 -delusion-



 椎葉春乃(吉柳咲良)はドラッグストアで万引きをしたのだった。
盗んだものは生理用品。
駆けつけた御上(松坂桃李)は自分のことで忙しくて気遣えなかったことを椎葉に謝った。

「1人で抱え込んでしまう気持ちはわかる。
・・・僕もそうだったから」


 椎葉はやっと自分のことを話し始めた。
もともと生理が軽い方ではなかったが、祖父の認知症が重くなるとともにPMS(月経前症候群)もひどくなっていったそうな。

「生理がくるって思ったら・・・
それも不安で・・・」


 健康である限り、必ず毎月来るもんだもんな。
その度に体の痛みや抑制できない感情の波に耐えねばならない。黙って寝てられりゃいいけど、彼女の場合は祖父母の世話がある。将来のこと、お金のこと、休業中の店のこと、重くのしかかるすべてに答えが出ないし決められない。

 ドラッグストアの店長は警察には届けないと言ってくれた。
帰り際、御上は椎葉のために大量の生理用品を買った。

 いや〜もう御上ったら、来店した時から対応が完璧なんだけど〜
店側への丁寧な謝罪。その佇まい。
椎葉に向き合う姿勢。
「生まれて初めて買ったよ」と言いつつの流し笑顔。
も〜〜!惚れてまうやろ!!

 生理用品を両手に持ちながら、夜道を歩く二人。
もうなんのストッパーもない。
傷つきながらもいろんなことを1人で背負って倒れかけた人間と、
彼女よりはちょっと年上の同じように傷を抱える人間。
その二人が歩調を合わせ静かに歩きながら語る。
泣かずにいられますかっての (´;ω;`)




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matakita821 at 17:58|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加

2025年02月10日

「御上先生」 episode 4 -fate-

「それにしてもマズイよ、槙野君。
人事の話までしていいとは言ってない!」塚田(及川光博)
「だって、まんまとハメられたんですよ?
人をダシに使って・・・」槙野
「いやいや、止められなかった
槙野君の責任もあるだろ!」
「・・・・はい。
ですので、このままでは済ませません。
御上の好きにはさせない。
いいですね?」
「好きにしたまえ」


 こりは・・・塚田ちゃん・・
今後、槙野が暴走する許可を与えたことになるのでは〜?( ̄▽ ̄;)

 槙野と御上、過去のひとつの事件の関係者かと思ったら、それぞれ別の事件と関わり向き合ううちに日本の教育を根本から変えるしかないとの思いに至り、そんな二人が運命的に出会い、同志となったのか。

 多分これはまだ序の口。
槙野と御上、このふたりはどこまで行くつもりなんだろう。


 隣徳祭が近づき、東雲(上坂樹里)は教科書検定のことを調べて展示する企画の提案をした。三年生は通常不参加で自習が認められているため、少数の積極的参加の声と戸惑いの声に分かれた。

 そのことには触れず、自分の授業を終えた後、倉吉(影山優佳)にアメリカでの授業と教科書について尋ねる御上(松坂桃李)。テーマは「原爆投下について」。

 倉吉の話すアメリカの教科書に載っている言い分に憤る生徒たちだったが、教科書にはこうも書かれていた。
『大統領の意見は正しかったと思いますか?』
当時の倉吉には知識もなく、ディスカッションできるほどの意見もなかったが、この授業をきっかけに勉強したそうな。そして今、クラスのみんなの前で自分自身の考えを発表している。

 倉吉は時間はかかったけれど教科書からの問いかけに、悩みながら答えを見つけた。『人や国の数だけ正義がある』。教科書=正解(真実)ではなくて、あくまで考えるための叩き台?学びの主役は教科書ではなく、人間ということか。そして学びの結果はすぐに出るものではないから、テストで確認できるのは知識の量だけなんだろうな。



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matakita821 at 17:02|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加

2025年02月03日

「御上先生」 episode 3 -beginning-

「22年前、
学校の放送室で声明文を全校放送したのち、
自死を選択した少年がいた。
あまりに衝撃的な死は当時、
後追いが出るほどの騒ぎになった。
その少年の名前は御上宏太。
僕の実の兄だよ」御上

「あんた、何しにこの学校に来たの?
復讐?・・・それとも」神崎
「まだ話せない」


 御上(松坂桃李)の行動の原点は兄の死。
兄の死が無ければ、御上は文科省に入らなかっただろうし、
この高校にも来ていない。
そして御上の行動は槙野(岡田将生)とも繋がっているはず。
御上も槙野も人生を賭けている。

 なぜ兄は自死を選んだのか。
兄が校内放送で訴えたこととは・・・


 
 真山弓弦(堀田真由)は事件のあった試験会場で自作の爆弾で自爆テロを決行しようとしていたが、失敗。ナイフに変えて被害者を襲った。

「君が変えたかった浅はかで思慮の足りない社会(は変わらない)。
地下鉄でビニール袋に傘を突き立てても、
飛行機でビルにツッコんで
何千人という人が死んでも
世界は1ミリも変わらなかった。
なのに何でたった一人、人を殺したぐらいで
社会を変えられると思った?」御上
「私は・・・・」弓弦
「誤解しないで。
僕は君を裁くために来た訳じゃない。
君の戦いが孤独だったことを、
多分、僕は知っている」

「帰れ・・」
「忘れられないはずだ。
自分が殺した人の顔が・・・
また来る」


 真山弓弦は御上自身であり、兄でもある?
彼女の中で燃え盛る社会への怒りと憎しみ。

 それは東雲(上坂樹里)の父親が自主退職する羽目になり、
両親が離婚し家庭崩壊したことへの怒りとも通じるだろうか。
彼女の怒りはあまりにも感情的だったし、
その矛先は身近で文科省所属の御上に向けられたけれど。
(指導を受けたのに無視して独自の教科書を使い続けたお父さんに問題があると思うが〜( ̄▽ ̄;) 離婚も教員という仕事を失ったからというよりも夫婦間の問題がすでにあったんじゃ?)



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matakita821 at 16:10|PermalinkComments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加

2025年01月27日

「御上先生」 episode 2 -awareness-

『何で殺した?』

 常に冷静で感情を見せることのない御上の言葉から強い怒りが伝わってきた。
誰のための怒りなんだろう。

『どうしてそんなに理由が欲しいの?
・・・テロだから。
もしくは・・・革命?』弓弦(堀田真由)


 本当だろうか?
真実を隠すための言葉に思えてならない。
本当は個人的な思いがあったんじゃ。
それとも本当にゆがんでいるこの世の中を
破壊するためにやったと信じ込んでいるのか?
御上にはすべてが見えているんだろうか。


『辞めさせたのは女性だからですか?』神崎

 もちろん否定し経過を説明する理事長(北村一輝)。
賢い理事長は問題発覚後、TV出演を利用し、世間に対しすぐに手を打った。
在籍している生徒側の問題ではなく、殺人犯を生み出すような、不倫をして辞めた教師の家庭の問題と述べ、社会的な問題であると視聴者に捉えさせようとした。『パーソナル イズ ポリティカル』という言葉を使って。

 なんだか本質を見させないために『ポリティカル』にしようとしてるんじゃないの?いや、もちろんこの事件は社会的な問題ではあるんだけど学校内の問題に蓋をしようという意図があるような。冴島(常盤貴子)は学校の何かを守るための生贄なのかもしれない。
そしてそれに冴島先生も気づいていたんじゃ。
生贄がどこまでも踏みつぶされるということまではわかっていなかったけど。


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matakita821 at 17:28|PermalinkComments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加