ドキュメンタリー
2023年07月09日
「世界で一番美しい少年」2021年 監 クリスティーナ・リンドストロム&クリスティアン・ペトリ
「世界で一番美しい少年」とはルキノ・ヴィスコンティ監督が「ベニスに死す」のタジオ役に抜擢したビョルン・アンドレセンを評して言った言葉。
この映画は突然「世界で一番美しい少年」となってしまった彼が、自分自身の人生を振り返るドキュメンタリーだ。劇伴はオープニングから不穏であり、見ている者の心をキリキリと刺すように落ち着かない気持ちにさせる。まるで彼の人生そのもののように。
1970年、ヴィスコンティは新作映画「ベニスに死す」の要となる「完璧なる美」をもった少年役を演じられる子を探し、ヨーロッパのあちこちでオーディションを行っていた。ストックホルムで出会ったのが15歳のビョルン・アンドレセンだった。
彼が現れた時、隣に座っていたキャスティング・ディレクターが、すぐにわかるほどヴィスコンティは「一瞬で生き返った」そうな。
祖母からしつこく言われしかたなく来たビョルンのオーディション映像を見ると、彼はあきらかに戸惑っていた。「上半身脱いで」と言われ拒否したそうにしていたが、結局脱ぎ、海水パンツ姿や様々な角度から顔や身体を撮られ、彼の運命が決まった。
そうして画面は現在、老人となったビョルンが借家人組合に相談を入れる場面となる。彼はガスレンジの火を何度も付けっぱなしにしており、火事を心配した大家から出ていくよう言われていた。恋人は彼の不潔すぎる生活ぶりに(枕を持ち上げるとボロボロと崩れたと( ꒪⌓꒪��) )呆れ怒りながらも1週間かけて掃除してくれた。
ショッキングだったわ〜なぜ彼はこのような生活に・・・
恋人や大家から指摘を受けても、いまいちピンときていない風で、彼には大きな、埋めようのない欠落があることが伝わってきた。
私が「ベニスに死す」を見たのは大学生の頃だったが、彼の美しさは衝撃だった。天使のようでもあり悪魔的でもあり、その微笑は闇に連れて行くようにも全てを赦しているようにも見えた。ヴィスコンティが創り上げた完璧な世界にピッタリとはまる「絶対的な美」。「完璧な美」を求め続けた主人公のアッシェンバッハ(ダーク・ボガード)が心酔し、振り回され、老醜を晒しながらも恋焦がれ、死の瞬間まで見ていたいと望む少年、そのものだった。
しかしビョルン自身はその神がかり的な美しさの価値に気づいてはいなかったようだし演技をしている意識も無かったらしい。ヴィスコンティの指示(行け、止まれ、振り返って、微笑んで、のみ)通り動いていたという。巨匠・ヴィスコンティの映画に出演する意味も、映画の中で自分の役がどれほど重要かもわかっていなかったのかもしれない。
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この映画は突然「世界で一番美しい少年」となってしまった彼が、自分自身の人生を振り返るドキュメンタリーだ。劇伴はオープニングから不穏であり、見ている者の心をキリキリと刺すように落ち着かない気持ちにさせる。まるで彼の人生そのもののように。
1970年、ヴィスコンティは新作映画「ベニスに死す」の要となる「完璧なる美」をもった少年役を演じられる子を探し、ヨーロッパのあちこちでオーディションを行っていた。ストックホルムで出会ったのが15歳のビョルン・アンドレセンだった。
彼が現れた時、隣に座っていたキャスティング・ディレクターが、すぐにわかるほどヴィスコンティは「一瞬で生き返った」そうな。
祖母からしつこく言われしかたなく来たビョルンのオーディション映像を見ると、彼はあきらかに戸惑っていた。「上半身脱いで」と言われ拒否したそうにしていたが、結局脱ぎ、海水パンツ姿や様々な角度から顔や身体を撮られ、彼の運命が決まった。
そうして画面は現在、老人となったビョルンが借家人組合に相談を入れる場面となる。彼はガスレンジの火を何度も付けっぱなしにしており、火事を心配した大家から出ていくよう言われていた。恋人は彼の不潔すぎる生活ぶりに(枕を持ち上げるとボロボロと崩れたと( ꒪⌓꒪��) )呆れ怒りながらも1週間かけて掃除してくれた。
ショッキングだったわ〜なぜ彼はこのような生活に・・・
恋人や大家から指摘を受けても、いまいちピンときていない風で、彼には大きな、埋めようのない欠落があることが伝わってきた。
私が「ベニスに死す」を見たのは大学生の頃だったが、彼の美しさは衝撃だった。天使のようでもあり悪魔的でもあり、その微笑は闇に連れて行くようにも全てを赦しているようにも見えた。ヴィスコンティが創り上げた完璧な世界にピッタリとはまる「絶対的な美」。「完璧な美」を求め続けた主人公のアッシェンバッハ(ダーク・ボガード)が心酔し、振り回され、老醜を晒しながらも恋焦がれ、死の瞬間まで見ていたいと望む少年、そのものだった。
しかしビョルン自身はその神がかり的な美しさの価値に気づいてはいなかったようだし演技をしている意識も無かったらしい。ヴィスコンティの指示(行け、止まれ、振り返って、微笑んで、のみ)通り動いていたという。巨匠・ヴィスコンティの映画に出演する意味も、映画の中で自分の役がどれほど重要かもわかっていなかったのかもしれない。
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2015年02月06日
「イヴ・サンローラン」 2010年 仏 監督 ピエール・トレトン
公私共にイヴ・サンローランの生涯のパートナーだったピエール・ベルジェによって語られる、
写真とインタビューで構成されたドキュメンタリーです。
2002年のイヴ・サンローランの引退記者会見を経て、2008年の告別式、そしてピエール・ベルジュ氏にとって「魂の一部」であり「人生の一部」であった美術品や家具が競売業者によって回収されていく場面から始まる。
「運命の偶然」で出会った作品たち、それは単なる美術品ではなく、イヴと過ごした時間と思い出そのもののはず。
でも彼自身もこの時、70代後半。自分が亡くなった後のイヴの愛したものたちの行く末を考えた末の決断だったのでしょう。
「私は何も信じていない。
だからこそ”物”を信じたいのかもしれない。
だが生命のない美術品に魂はあるのか?魂など信じない。
自分の魂も、美術品の魂も」
コム・アギルの音楽が繊細で美しく心に響き、
イヴとピエールの愛と苦しみを切なく彩ってくれます。
HPはこちら
![イヴ・サンローラン [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/5116OMSfY4L.jpg)
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写真とインタビューで構成されたドキュメンタリーです。
2002年のイヴ・サンローランの引退記者会見を経て、2008年の告別式、そしてピエール・ベルジュ氏にとって「魂の一部」であり「人生の一部」であった美術品や家具が競売業者によって回収されていく場面から始まる。
「運命の偶然」で出会った作品たち、それは単なる美術品ではなく、イヴと過ごした時間と思い出そのもののはず。
でも彼自身もこの時、70代後半。自分が亡くなった後のイヴの愛したものたちの行く末を考えた末の決断だったのでしょう。
「私は何も信じていない。
だからこそ”物”を信じたいのかもしれない。
だが生命のない美術品に魂はあるのか?魂など信じない。
自分の魂も、美術品の魂も」
コム・アギルの音楽が繊細で美しく心に響き、
イヴとピエールの愛と苦しみを切なく彩ってくれます。
HPはこちら
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