ドラマ10「テミスの不確かな法廷」

2026年02月04日

『テミスの不確かな法廷』 第5話 書証主義と人証主義


 「書証主義」と「人証主義」。
「書証主義」とは「弁護人や検察が出した書類を重視するやり方」。
落合(恒松祐里)は、こちらのタイプ。
 
 「人証主義」とは「被害者や被告人の尋問を重視するやり方」。
安堂(松山ケンイチ)は、こっち。尋問だけでなく関係する場所にも行って確認するし、被害者や被告人の言動に疑問が生じたら解決するまであらゆる方法で調べつくす。

 津村(市川実日子)に言わせると落合は『ザ・箱の中の裁判官』。

「裁判官のほとんどが箱に閉じこもっている。
世間というものを知らない。
自分達から遠ざけているようにも見える」


 狭い世界から出ようとせず、生の人間の声を聞こうとしない、関わろうとしないで頭の中だけで判決を下している。執行官の津村には、そう見えるらしい。

 経歴にキズがつくのを恐れているのか、自分の決定に落ち度はないと断言し、堂々と保身発言をする落合。危ういわ〜( ̄▽ ̄;)裁判官としての優秀さは件数をこなすことだと考えており、どの事件にも平等に時間をかけすぎる安堂に常にイライラしている。そして安堂は『箱の中から出がちな裁判官』

 まぁ、確かにね。安堂みたいに丁寧に調べてくれたら裁かれる身にしたら安心だけど、安堂が処理できなかった裁判は他の者が受け持つことになるからなぁ。もしこの支部の裁判官全員が安堂タイプだったら、未処理は膨大な量になるよね。

 どちらかに偏りすぎても別の問題が生れる。
この二人が協力し合えれば丁度いんでないの?( ̄▽ ̄;)

 でも落合にも落合なりの矜持があったんだね。

「裁判官は弁護人や検察官と違い、
被告人や事件関係者に法廷で初めて会います。
そして法廷以外では会わない。
私は自分が抱く感情を法廷には持ち込まない。
適切かつスムーズな判断が下せなくなるからです」


 落合とて人の子。
事前に会ってしまえば同情や怒り等の特別な思いを抱く時もあるのかもしれん。そうなると裁判官として冷静な判断ができなくなる。てことは、落合は実は情に流されやすい人間なのか?だからあえて「書証主義」を貫いている?

 でも、その鉄の鎧を着こんでいた落合が自分が決定を下した現場で津村が刺されたことから、しかたなく「人証主義」に足を踏み入れてしまう。
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matakita821 at 18:04|PermalinkComments(2)

2026年01月28日

『テミスの不確かな法廷』 第4話 伝説の反逆児

「司法の場をナメるな」
「さ、裁判長・・今・・なんと?」鳴子
「司法の場をナメるなと言ったんです。
法廷は真実を明らかにする。
ここで明らかにならなかった時は、
あったことは無かったことになる。
誰かにとって都合のいい真実じゃダメなんだ」


「佐久間さんは、
なぜ死ななきゃいけなかったのか。
通行人の松倉すずえさんは、
なぜ巻き込まれなきゃいけなかったのか。
今回のことをなかったことにしたら、
また事故が起きるかもしれない。


八御見運送のみなさん、
置かれている立場はわかります。
ただ働くために生きてる訳じゃないでしょう」
「意義あり。
公平であるべき裁判長が偏った発言をしています」


「意義を認めます。
だが認めない!
型どおりなら認める。
だが型にはまっていると見えない真実ってものがある。
それをちゃんと見極めなければいけない裁判だと判断した。
反訴は原告を威圧・萎縮させ、
訴訟を取り下げさせるのが狙いではないですか?」
「裁判官の忌避申し立てを行います」


「訴訟の遅延を目的とする『忌避申し立て』は
却下します。
被告代理人、私の訴訟指揮が不服なら、
高裁に即時抗告してくれて構いません。
裁判所からオールタイム急便の全下請け会社に、
ドライブレコーダー及び運転違反状況の
証拠保全命令を出したい」
「しかるべく」安堂
「・・・しかるべく」落合(恒松祐里)

「徹底的に真実を追求してジャッジを下す、
それが裁判官の仕事です」


 門倉さん(遠藤憲一)、かっけ〜〜!!
安堂(松山ケンイチ)の貧乏ゆすりを止めさせる潔さ。

 でも言い終わった後、『終わった・・やっちまった・・』っていう心の声が聞こえたよね?( ̄▽ ̄;)『あ〜ぁ・・なんでロックしちゃったんだろ』って(笑

 一回目の裁判の時から安堂のことをじ〜っと見ていたのは、自分と同じロックの波動を感じたから?もちろん勘違いだったんだが、安堂の考えずにはいられない性質、愚直なほどに真実に向き合おうとする姿勢が、大切な家族との生活を守るために封じ込めていた門倉のロック魂を呼び覚ました。

 上の方の意向を読み、裁判官として『うまくやること』を努めてきた門倉だったけど、常にそんな自分でいいのか?という葛藤はあっただろうし、自分に嘘をついている思いもあったんだろうね。それとやっぱり推しの力(笑)清志郎だったらどうする?清志郎だったら、この状況で『うまいこと』やろうとするか?門倉さんの中の清志郎が問いかけたんだろうね。
私もたまに風様の声を聞くからわかるよゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ



 一度は証言を翻した富樫さん(森岡龍)に勇気を与えたのは息子の存在。
そして佐久間さん(清水伸)は何度も加賀美(長谷川朝晴)に物流業界の改善を必死訴えていた。その行動を支えていたのは、娘に顔向けできないことはしたくない、胸を張って娘に会いたいという思い。


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matakita821 at 16:12|PermalinkComments(2)

2026年01月21日

『テミスの不確かな法廷』 第3話 裁判官の資質

『門倉さん、僕は日常的に忘れ物をします。
そして一度に二つ以上のことができません。
落合さん、僕は冗談がわかりません。
言葉どおりの内容をそのまま受け取ってしまいます。

僕は普通を装っています。
でも・・・
普通ではありません。
僕は・・・僕は・・・・』


 忘れ物ぐらい誰でもするよ、とは言ってあげられない。みんな社会生活を送る上で『普通』を装っている部分はある。でも、そういうことじゃないんだよね。そして、一度に二つ以上のことができない場合、今まで優先順位はどう判断しつけてきたのか。法律の世界には『六法全書』という厳然たるルールがあるが、日常生活の中でのルールは本人がほぼ決める。安堂(松山ケンイチ)の場合は母親か山路先生(和久井映見)に指示を仰いできたんだろうか。

 そういう日常生活での穴はあるだろうが「裁判官の資質」という意味では、安堂には十分あるように思う。抽象的な表現(今回だと「〜など」「企業努力」)には暗黙の了解や知ってて当然という押し付けも多少含まれているが、安堂はそんなもん受け入れない。陳述や文書には顕れない(読み取れない)真実を掴むために客観的事実を求め、調べ確認し続ける。

 そして判決を決める際、私情やしがらみから完全に自由だ(だから温情がないとは見られるだろうが)。どんな裁判官ももちろん私情は排除しているだろうが安堂の場合は「感じること」ができない代わりに判断基準が「六法全書」のみだからこそ、状況を正確に読み取り、見合った判決を選び取ることができるんじゃないだろうか。


「僕なら発達障害の僕に裁かれたくない」

 そうだろうか。
でも判決に不満のある人が発達障害のことを知ったら、不服を訴える材料にされるかもしれない。かつて父である結城検事(小木茂光)が言っていたのもそういうことなのかもしれない。

「発達障害の君に裁かれる人はどう思うか?
差別・偏見は決して無くならない。
本気なら自分の特性を周囲に隠した方がいい」


 同じく発達障害の岸辺は職場の人達にカミングアウトした結果、理解してくれたと言っていたが・・・。その結果、岸部君への仕事の伝え方や教え方を工夫してくれたらいいんだが、逆に変なカードに使われないか心配だよ。


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matakita821 at 18:05|PermalinkComments(0)

2026年01月14日

『テミスの不確かな法廷』 第2話 真実義務と誠実義務

「『真実』という漢字は左右対称、
シンメトリーです。
栗田奈央さん、八木一喜さんが、
かつてのように調和がとれた関係に戻ることを
願っています」安堂


 シンメトリーへの拘りは安堂(松山ケンイチ)の症状なのかと思ったら、ちゃんと意味があったんだね。シンメトリーになっている栗田奈央(山時聡真)と八木一喜の名前には、父親の感性と願いが込められていた。

 伝えることができず封じ込められていたふたりの真実、
それが裁判という場で明らかにされた。
様々な事実を隠蔽したまま、あった罪を無かったことにしたままでは、彼らが再出発をすることはできない。
真実を露わにすることでしか救いはない。
その思いからの小野崎(鳴海唯)の判断だった。

 小野崎の『ヨシ!』は被告人の真実をとことん調べ向き合うことで、彼らが未来に向けて一歩を踏み出す手伝いをすること。東京から逃げてきた形になったかもしれないけれど、今は『ヨシ!』と思える自分自身を応援できているんじゃないのかな。

 栗田には執行猶予が付き保護観察となった。
被告人も検察側も弁護側も、納得の判決。
安堂もこだわりをちょっとは楽しめたかしらん・・( ̄▽ ̄;)


 今回も真実が明かされるまでの流れが自然で腑に落ちる展開。
安堂も津村(市川実日子)も口にしていた言葉。
『学校は社会の縮図』
学校という閉じられた世界では限られた大人の行動が子供達に与える影響は大きい。そのことを知らない、知ろうとしない大人が多すぎる。

 いいことも悪いことも子供達は常に見ており感じている。そして自然と模倣することで力を示そうとしたり、大人達におもねようともする。その中でがんじがらめになっていく者も多い。今回、傷害事件の刑事裁判という形であり、被害者は入院し、結果的に学校側の隠ぺい体質がバレてしまったけど、子供達がこの渦の中から抜け出すいい機会だったと思う。


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matakita821 at 17:00|PermalinkComments(2)

2026年01月07日

『テミスの不確かな法廷』 第1話 裁判官忌避



「分からないことを分かっていないと、
分からないことは分かりません」


 確かにそうだ。
だから、分からないことを知ろうとせず、分かったフリして進めようとした前任弁護士を解任したのは正解だった。前代未聞の行為らしいが・・・( ̄▽ ̄;)

 検察の陳述に対する被告人・江沢卓郎(小林虎之介)の「全部間違っている」という言葉。無罪を主張しながら弁護人に協力しないという不可解な態度を知った安堂(松山ケンイチ)は自分の中に生まれた違和感を性質的にも見逃せなかったというか、確認せずにはいられないんだね。

 でも、だからこそ事件の背後にあった真実、医師達がゴルフと飲酒を優先したせいで脳梗塞で倒れた姉が対応してもらえず亡くなったこと、事件時運転していたタクシー運転手が知り合いで、そのことを漏らしたことが事件のきっかけであったことが明らかになった。そして江沢の心の底にあった思いを引き出すことができた。

「殴ったことは悪かったと思います。
けど・・・許せない気持ちが消えない。
これが本心です。
ただ・・・こんな騒ぎを起こして・・
姉ちゃんが喜んでると思えない。
・・・姉ちゃんの分まで生きたい!
今の俺には、それしかないから。
・・・やり直したいです!」


 この言葉を隠し通すか、公の場で伝えられるかで、彼の人生は大きく変わってくる。
安堂は裁判官ではあるけれど社会の中で自分の性質と向き合い生きていく為に戦っている。自分自身の問題が、まずくるんだよね。でも、そのことが被告人の真実を明らかにすることに繋がっているのが面白い。

 13歳の時、ASD(自閉スペクトラム症)(人の気持ちを読み取るのが苦手)とADHD(注意欠如多動症)(じっとしているのが苦手)の診断を受けた安堂。そのことを周囲に隠しているため「変人」ということになっている。しかし、『在官7年、刑事事件で無罪判決を2件だし確定判決になっている』=『99.9%を2回もひっくり返した』そうな。検察側には嫌われてるだろうね〜( ̄▽ ̄;)


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matakita821 at 17:09|PermalinkComments(2)