「お別れホスピタル」

2024年02月25日

『お別れホスピタル』 第4話(最終話) 未来のわたし

『これが、私。
ここは一度来たら
元気になって退院していく人は、ほぼいない。
そういう場所だ。
でも、私たちは死ぬことの手助けをしている訳じゃない。

ここは病院だ。
人が生ききるための場所だ』


 ここは死に向かっているかもしれないけど、死とともに生きる患者さんたちと一緒に生きている私たちの職場だ。死を意識しながら患者さんも家族も、改めて人生を見つめ直す。本当の自分自身と向き合わざるを得ない。逃げてきた人も、そうじゃない人も。残された時間の中で。

 権利証を食べて逝った池尻さん(木野花)。それは捨てきれなかった欲なのかもしれないけれど、これが私の生き方だよ!という強い意志とエネルギーを感じた。池尻さんの人生が鮮明に残った。捨て鉢になっていた大土屋さん(きたろう)の赤根さんへの声にならなかった言葉・「生きろ」。奉仕する側・される側ではなく、患者さん達の叫びやため息、伝えたい思いを受けながら看護師も自分の人生を見つめ、悩み、力を貰いながら、同じように必死に生きている。

 生きていくってなんだろう。
死んでいくってなんだろう。
そう問いかけ続けながら。

 振り返ってみますか・・・

 リハビリを頑張り、ベルとバラと再会する池尻さん。
生き生きとしていたね〜。
その場面を見ていたら歩(岸井ゆきの)は気づいちゃった!

 にゃんと、いつも歩をツネるのは、
わんこにしているようなかわいがいりだった!(笑
そういえば岸井さんってわんこ顔だもんねゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ

 体調を崩してお見舞いに来ていなかった久美さん(泉ピン子)が久々に現れたが、広野(松山ケンイチ)に会うと「仮病だった」と謝った。

「お父さん見てるのが辛くて・・・
こうして生きていることを望んでたのかなって思ったら・・・
一日でも長くって言ったの私なのにね」
「・・・・僕はその時の気持ちでいいと思います」広野
「・・・そうね」


 見守る側の思いは日々揺れ動いている。
そばに居続けた時間、自分自身の体調や感情によっても変わる。そして自分の変わる心を責めてしまい、求めていたものに確信が持てなくなっていく。広野の言葉は救いになったと思うよ。

 そしてナースコールで自分を呼び出し続ける大土屋さんにいつになくキレる赤根さん(内田慈)。何かを感じた歩がカラオケに誘うと(赤根さん、歌うま!)ライブっぽくカミングアウト。

「え〜では、ここで私からみなさんにお知らせがあります!」
「えっ?なになに〜?!」歩
「えっへへ・・え〜〜私、癌になりました。
下咽頭癌、ステージ3です!
え〜なので、しばらく治療に専念します」


 明るく前向きに必ず仕事に復帰する、息子が第一志望の大学に合格したからそのためにも稼がなきゃならない、人生にはハードルがあった方が馬力が出る、看護師だから医療を信じていると話す赤根さんだったが・・・

「全部うそ。
・・・・死んだらどうしよう」
「・・・・・」歩


 看護師だって人間だ。
死の恐怖に怯えながら、何とか戦おうとするひとりの患者になる。

 それはいつも穏やかで優しい福山さん(樫山文枝)も同じ。
激しい痛みに苦しみ、「助けて!」と叫びしがみつく。
目の前にぶらさがっている死の恐怖と戦っている。

 今後の治療方針を決める為に同居している息子さんと話し合いたいと伝えるも、福山さんにしてはめずらしくやんわりと拒否。



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matakita821 at 19:04|PermalinkComments(2)

2024年02月18日

『お別れホスピタル』 第3話 サンタさんはいるの?

「あ・・あぁ・・・!
わかっています。これは私の勘違い。
でも・・・今、この子、私を見た」寛子(筒井真理子)
「おめでとう」池尻(木野花)


 生きていくことはサンタを信じることなのかもしれない。
サンタさんの真実を知ってしまっても、
それでもいつか来てくれると願うことで生きていける。

 クリスマス会の準備が始まった病棟。
しかし看護師に暴言を吐き続ける安田さん(木村祐一)、
ケアワーカーさんを泥棒呼ばわりする池尻さん(木野花)、
相変わらずのケンさん愛で南(長村航希)にチューを迫る幸村さん(根岸季衣)、
ナースコールの鬼・大土屋さん(きたろう)、
いろんな音や叫び声・怒声が飛び交っております( ̄▽ ̄;) 大変だぁ

 そんな中、変わらぬ優しい時間が流れている佐古ひとみさんの病室。
母親の寛子さんは10年前脳出血で倒れ運動機能の回復は見込めず意識が戻らない娘さん・ひーちゃん(大後寿々花)に、毎日声をかけ続けている。

『私たちが慌ただしいということは患者さんに活気があって、
意外と明るい日だったりする。
逆に妙に重苦しい日もあって・・・』


 寛子さんは寒くなると手足のこわばりが強くなる娘の状態を広野(松山ケンイチ)に相談。リハビリを増やすことにした。そしてリハビリの効果が出ず、また小さな脳梗塞を起した可能性もある池尻さん。苛立ちと失望、明日が見えない日々。

『時々、ハッとする。
私の目の前にいる人達は日々、風の中の蝋燭みたいな命と向き合っている。
頼りない命を前にして人は最期に何を望むんだろう』


 そうは思いながらも歩(岸井ゆきの)は寛子さんから「ひーちゃん、目覚ましますよね?」と聞かれた時、何も答えられなかった。

「ええ。そのうちきっと」赤根(内田慈)
「・・・きっと!」寛子

 歩の気持ちもわかるよなぁ。嘘を言えないというか、希望を持たせても叶わなかったら、さらに深く絶望してしまうんじゃ・・とか、いろいろ考えちゃうよね。

「サンタさん・・みたいなものよ。
子どもに『サンタさん来るかなあ?』って聞かれたら何て答える?」赤根
「・・・あぁ」歩
「『んなもんいない』なんて言ったら、世界からクリスマスが消滅するじゃない?で、子供が泣くでしょ」


 なるほど・・・サンタさんは子供たちの希望であり喜び。
ファンタジーでありながら現実でもある。
寛子さんはもう子供じゃないからサンタさんの真実を知っている。
それでも「サンタさんはいる」と言葉にしてもらえれば、希望を見出すことができる。たとえそれが、すぐに消えてしまう光だとしても。



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matakita821 at 18:35|PermalinkComments(0)

2024年02月11日

『お別れホスピタル』 第2話 愛は残酷

『「君じゃないと駄目なんだ」って、
あの言葉は呪いだったのかも。
52年間、
愛してたんだか憎んでたんだか、わからない。
でも私たちはこれで良かったんです』


 今日子さん(高橋惠子)はすっきりした笑顔で去って行った。
望まれて結婚、19才の時から旦那さんの一挙手一投足に気を使い、先回りして夫の願う通りになんでもやってきた。そういうもんなんだと受け入れて違和感を打ち消してきたのかもしれない。52年間。思考も行動も習慣化し、自分の本当の気持ちなんてわからなくなった。でも介護状態になった夫と過ごすうちに、自分はずっと不満だったんだ、この人のことなんて好きではないんだという気持ちが芽生えてしまった。

 それが介護疲れからくるものなのか、彼女がずっと押し隠してきた本当の気持ちなのか、彼女自身にも今となってはわからないのかもしれない。

「これでもういいでしょ。早く逝ってください」

 最期に初めて今日子さんは旦那さんに本当の自分を見せたんだと思う。
旦那さんの愛情(執着?)には十分すぎるほど応える努力をしてきたという気持ちもあったろう。そして、その言葉を言うと夫の心臓が止まるだろうことも予想できた。

『人は愛に生きる・・・のかもしれない。
でも、それは美しいけど残酷で。
最後はどっちも抱えていくしかないんだ』


 愛なのか憎しみなのかわからない関係。
夫はただ単に自分のいう事を聞く人間をそばに置いておきたかっただけなのかもしれない、あるいは本当に今日子さん以外の女性は目に入らないくらい愛していたのかもしれない、愛し方が今日子さんの望んでいたものと違うだけで。

 それでも今日子さんは夫と過ごした52年の時間と、自分の一言で逝かせたあの瞬間を決して忘れずに生きていくんだと思う。「自分」というものを消した、奪われた時間だったのかもしれないけれど、それもまた必死に生きてきた自分の人生だもの。
今日子さんの覚悟が伝わってくるような笑顔だった。



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matakita821 at 17:13|PermalinkComments(0)

2024年02月04日

『お別れホスピタル』 第1話 死ぬってなんだろう

 思っていたよりもかなり重たい内容だった・・・
でも、次回も見ます。

 いろんな病状の患者が一緒の部屋で暮らす療養病棟。
高齢者がほとんどで退院する人は、ほぼいない。
おしゃべり好きな山崎さん(丘みつ子)、反対に誰ともほとんどコミュニケーションを取らない野中さん(白川和子)、認知症傾向のある太田さん(松金よね子)。

 こりゃ大変だ・・・( ̄▽ ̄;)てな喧噪の後の急変。さっきまで楽しそうに喋っていた山崎さんが亡くなり、その隣の野中さんも。そして合わせるように太田さんも亡くなってしまった静かな病室。てんでバラバラだった病室の三人が仲良くお茶会をしているのを想像しながら、一緒にクッキーを食べる歩(岸井ゆきの)。彼女の今いる世界が静かに伝わってくる演出だった。

 そしてちょっとした知り合いだった陽気なおじさん・本庄(古田新太)の入院と自殺。自由に生きてきた結果、家族を失ったと笑って話していた本庄さんが突然、死を選ぶ。かと思えば回復の見込みがなく息子も諦めた植物状態が続くと思われる夫の延命処置を希望し、幸せそうに寄り添う妻もいる。

 本人が書類ででも残さない限り、最期の選択は残された家族にゆだねられる。でも家族でもその考えは一致する訳じゃない。息子は生き続ける母のために人工呼吸器をつけない判断を提案するが、妻はそれでも生きていて欲しいと拒否する。当の本人の意志は確認できる状態じゃない。

 死を選んだ本庄さんの孤独と絶望は本人にしかわからない。
でも、落ちていた3本の吸い殻。もし煙草が一本しかなかったら、本庄さんは部屋に戻ったかもしれない。目の前にある「死」は瞬間で消えたりくっきりしたり・・死に向かう心は偶然の要素にも左右される。

 そんな職場から、呼び出された実家に行けば別の現実が待っている。
中学の時のいじめが原因で摂食障害と自傷行為を繰り返す妹・佐都子(小野花梨)は「死にたい」が口癖。そんな娘を持て余し歩に依存する母加那子(麻生祐未)。




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matakita821 at 15:30|PermalinkComments(0)