連続ドラマW 「闇の伴走者」

2015年05月10日

連続ドラマW 「闇の伴走者」 Episode5 死を恐れない

 室谷祥子(藤井美菜)と優希(松下奈緒)の拉致監禁・殺人未遂事件は
被疑者・貝原章彦(平田満)の自殺という形で幕を閉じた。
阿島文哉の潔白も証明された。
でも、あの画稿と35年前の失踪時間の謎は、まだすべて解明されてはいない。
退院した優希と醍醐(古田新太)はそれぞれ調査を続けていた。
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 矢島(森本レオ)によると、貝原には前科があった。
1978年、名古屋でスナックの常連客と争い「傷害致死」で6年服役していた。

 そもそも貝原は青年時代に美大を受験するが失敗。
デザイン専門学校を出て、広告会社に就職。
1972年に英人社の週刊「少年ロード」の努力賞受賞を機に上京(最初の事件が起きたのは1973年秋)。
アシスタントを続けながら雑誌への投稿を続けるもデビューはできなかった。

 優希は一峰(田中哲司)に連絡を取り、当時の貝原の担当編集者を調べるよう頼んだ。
そして貝原の生い立ちが書いてある書類を見ていて、小学6年生の貝原が事件を起こしていたのを知った。
それは近所の年上の少女の家で練炭による一酸化炭素中毒になり貝原は意識不明の重体、少女は絶命したというものだった。

 これは、貝原が話していた「あの少女」・・・?
「あの少女と心中を・・・?」優希

 本当に心中だったのか事故だったのかはわからない。
でも少年だった貝原は少女の絶命する瞬間を見ていたはず。
その姿に彼は言いようのない美しさと陶酔を感じた。
その瞬間を求め、彼は監禁と殺人を繰り返した。
殺人は貝原にとってその少女へ送り続けたラブレターのようなものだったのかもしれない。


 事件を経て、優希の周りでも内面でも変化があった。
姉から母を施設にいれるという連絡が入り、家族の問題に一区切りがついたことを知った。

 優希はずっと介護してきた姉に罪の意識を感じてきたと思うんだよね。
そして母親のために何かしなければと思いつつ、離れているし何をしたらいいのかわからないと考えることで逃げてきた。でも姉が決断してくれたことで、やっと認知症の母親と向き合う心の準備ができたんだと思う。


 そして離婚調停中の夫・幹男(野間口徹)に初めて感謝することができた。

「私・・・今まで何にもわかってなかったんだよね。家族で一緒に暮らす意味とか・・
嫌になっちゃったら別れちゃえばいいって、そんなふうに簡単に
思ってたのかもしれない。でも、本当は違うんだよね。
家族って好きなとこも嫌いなとこも含めて家族なの」
「うん。だったらさ」幹男
「ごめん。あなたのとの関係はもう無理だけど・・・
でも・・・ありがとう。今まで家族でいてくれて」
「・・・・・うん」

 幹男は復縁を望んでいたからアレだったけどさ、ずっと背中を見せて逃げ回ってきた優希が、ちゃんと自分に向き合って心の中を伝えてくれたって事で腑に落ちるものがあったんじゃないかな。
幹男もホントは、ただ優希の本音が聞きたかっただけなのかもしれない。


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matakita821 at 19:35|PermalinkComments(2)

2015年05月05日

連続ドラマW 「闇の伴走者」 Episode4 人を滅ぼす

 さて・・・優希(松下奈緒)が消えたとの連絡を受けた醍醐(古田新太)は竹内(前野朋哉)と共に小澤(要潤)の家へ。
小澤が亡くなった風呂場で鍵の束を見つけた。
そして地下室に画稿にあった監禁部屋が再現されているのを見つけた。
そこには35年前に失踪した園田貴美子にそっくりな女性のクロッキーと噛み痕のついた鉛筆が残っていた。

 それを持って醍醐は矢島(森本レオ)の元へ走った。
描かれたクロッキーが新しいものであることから、最近失踪事件に巻き込まれた女性のものと思われた。
醍醐はその女性・室谷祥子(藤井美菜)と会えるよう矢島に手配してもらった。

 さらに再度赤城堂の小松崎を訪ね、斑目先生のアシスタントについて教えてくれるよう頼んだ。
小松崎は醍醐の評判を確認し信用できる男と思ったようで、斑目先生の名誉を守るという約束でアシスタントの名前を教えてくれた。その名は「貝原章彦」・・・

 小松崎によると貝原は「仙人みたいな人。穏やかで大人しくて礼儀正しい人」・・・
効き手の右の手の甲がぷっくりとふくらんでいたので尋ねると指の関節を全部骨折したことがあると答えたらしい。

 「貝原章彦」はどこにいるのか・・・
森田耕治が独身の頃、同居していたアシスタント仲間が貝原だと気づいた醍醐は
森田の奥さんに電話をしたが、その頃の住所すらわからなかった。
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 一方、スタンガンで気絶させられた優希は手足を縛られ地下室とは別の場所に監禁されていた。
目が覚めた優希が見回すと「漫画家」(平田満)が自分を描いていた。

「おはよう」
「漫画家さん・・・」

「今度は私が獲物ですか?
あの画稿を描いたのはあなたですね?」優希
「三角筋と上腕二頭筋がいい。何かスポーツを?
大人になって武道を始めた。空手か合気道か・・・いや、柔道だ」
「ええ。柔道です」
「君の前職は警察官か。大人になってから柔道を始める人はそうはいないよ」
「・・・あなたは何故漫画家になったんですか?」
「交換条件にしよう。俺の事を教える代わりに君のことをもっと教えてくれ」

 優希は父親と同じ警官になったこと。その父親は10年前に亡くなったことを話した。
漫画家は亡くなった理由を知りたがった。


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matakita821 at 00:30|PermalinkComments(6)

2015年04月26日

連続ドラマW 「闇の伴走者」 Episode3 凡人は必ず裏切る

 あの園田貴美子を見初めた公園のベンチで座っている漫画家。

「漫画家さん・・」少年
「あ・・・君か」漫画家
「今日は質問があるんだ。漫画家さんは誰が好きで漫画家になったの?」
「・・・・誰が好き・・・うーーん・・・・今好きなのは手塚治虫の短編かな」
「どんな話?」
「連続殺人鬼のちょっと怖い話」
「その人、本当はいい人なの?」
「本当もなにも・・・悪い人だよ」
「でも、手塚治虫は悪い人でも見捨てないよね?」
「そうかなぁ・・・そうあって欲しいね・・」
少年の腕がわなわなと震えている・・・


 少年が感じていたのは怒り?それとも恐怖?
彼は漫画家に何を求めているんだろう・・・
この少年がキーパーソンだよな〜
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 小澤(要潤)と<漫画家>(平田満)は獲物の室谷祥子(藤井美菜)を地下室に監禁した。
まだ練炭は焚いてないようだけど、意識が朦朧としている祥子の姿を漫画家はスケッチしている。

「まだかな?まだ実行しないの?」小澤
「まだだ。恐怖が全身に沁み渡るのを待つ」漫画家
「少し休んだら」
「ん?」
「少し時間をくれってこと。そもそも彼女は僕の獲物なんだから」
「あぁ・・」
 
 祥子と二人になった小澤は語り始めた。
 
「ずっと・・・獲物を飼うのが夢だった・・」

 恋に生きていた母親は恋人が部屋に来ると彼をベランダに追いやり鍵をかけた。恋人とうまくいっている時は優しかったが、そうじゃなくなると腹いせに彼に折檻をした。
母親に殴られると、昆虫や動物の命を奪う事で憂さ晴らしをした。

「餌を与えず、そのまま放置して、少しづつ弱らせる。
動かなくなるまで眺めた。
命を冒とくすることへの罪の意識は微塵もなかった」

「阿島先生の漫画を知ったのは中学時代だ。
最初は卑猥で粗悪な漫画に違いないとバカにしてページをめくった。
でも・・骨太なストーリーに魅力的な画力、露骨な性描写はないのに
強烈なエロティシズムを感じて僕はたちまち虜になった。
阿島文哉は自分と同じ欲望を抱えているに違いない」

 そう確信した小澤はファンクラブに入会し阿島に近づいた。
気が付けばファンクラブの会長になっていた。
その後、漫画編集者になりたくて出版社の就職試験を受けたがどこも不採用だった。結局アジマプロが拾ってくれた。


「人生って思い通りに行かないよなぁ・・」

 そのつぶやきを<漫画家>は背後で聞いていた。
「一服しないか・・」

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matakita821 at 18:39|PermalinkComments(2)

2015年04月19日

連続ドラマW 「闇の伴走者」 Episode2 感覚を研ぎ澄ます

「何て理想的な獲物なんだ」
公園で漫画家が園田貴美子を見つめていると、少年が声をかけてきた。

「おじさん、絵うまいねぇ。漫画家?」
「わかるのかい?」
「だって、こんな上手な絵、僕初めて見たもの」
「そう・・・・・・ありがとう・・・」
「おじさん、名前は?」
「ただ漫画家と呼んで」
「わかった。漫画家さん」


 いや〜このドラマ、今季一番好きかも。2番目はNHK土曜ドラマ「64 ロクヨン」、
三番目は・・・記事書いてる中では今の所みんな横並びかな〜

 <漫画家>(平田満)に接触してきた<漫画編集者>は小澤(要潤)でした。
彼はあの少年なのか?それとも全く別の人間なのか・・・
アジマプロでたまたま見つけたあの画稿が小澤の闇を刺激したのか、
何故か彼の手に渡っていた画稿に触発された小澤が舞台を盛り上げるために
アジマプロの資料庫に置いたのか・・・

 どちらにしろ彼は新たなステージと獲物を用意して漫画家の「闇の伴走者」になる道を選んだ。
しかし「協力者」を名乗っていた彼が「先導者」となり「支配者」となる未来も見えてきそうな・・・彼の望みはいったい何なのでしょうか。
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 さて、あの画稿に隠れている少年の姿を見つけた醍醐(古田新太)は優希(松下奈緒)の元に知らせに行きました。
醍醐はこの作品には続きがあると見ていた。

「俺は三度も思わせぶりに出てくる少年がその後一度も登場しないのは作者の才能の無さだと思っていた。
けど、犯罪を目撃した少年がその後、漫画家に接触するシーンがあればストーリーは大きく変わってくる。
この作品、展開は遅いがスジはあるんじゃないかってね」醍醐
「なるほど・・・早速アジマプロに連絡して続きがないか調べてもらいます」優希

 伝えることを伝えると醍醐は例によって部屋を見回してズケズケと
言い始めましたぞ。
「君・・独身?もしくは離婚調停中?」

 ズバリじゃないですか〜
電話機もないし、必要最低限の家具しか見当たらない。
醍醐の奥さんが出て行った後の自分の部屋の雰囲気と似ているんだって。


 今度は優希が驚く番。
「え?奥さんって・・・・・結婚してたことがあるんですか?(驚愕)」優希
「あるよ。何でそんなに驚くんだよ?!失敬だな!
へぇーーーー(心底驚)」
「君こそ本当に結婚してたのか?こうしてお客さんが訪れたんだ。
お茶菓子のひとつも出してくれていいと思うけどねぇ!
「お菓子なんて置いてませんし」
「なぜ?」
「だって必要な栄養は食事やサプリで摂ってるし」

かああああーーー!!
だから君は漫画の気持ちがわからないんだ!

「はああ?!」
「必要ないものこそ世の中に必要なんじゃないか。
漫画だって音楽だって映画だってTVだってお菓子だって、無くても生きていけるよ。
けど、人生の楽しみはそこにあるんじゃないかなぁ。
そんなんでよく出版専門の調査会社にいられるよねぇ!」

「お菓子を出さなかったぐらいで人生まで否定される覚えはありません」

「はあああーー!君とは永遠に分かり合えそうにないな」
「同感です。気が合いますね」
「とにかく戸締りには十分気をつけるんだな」
「ありがとうございます。十分気をつけます」
「それとコレは経験者からの忠告だ。
この部屋、これからは自分の趣味で満たすがいい。じゃ」

 うん。剛球をバシッバシッと投げ合っている感じですな〜
松下さん、今までで一番合ってる役のような。
ちょっとやそっとじゃ傷つかないタフな雰囲気が見てて気持ちいいです。


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matakita821 at 18:52|PermalinkComments(8)

2015年04月14日

連続ドラマW 「闇の伴走者」 Episode1 恐怖を克服する

 おもしろかった〜!
コレは今まで見たことがないミステリーであり探偵コンビですよ〜。
詰め込みすぎずシンプルに描きつつ、見る側の探究心を刺激する魅力的な一回目でした。
漫画の謎を解き明かす優希と醍醐の現在に挟まれる殺人犯の過去と現在という構成もうまいし、1時間ずっと興味深く見ることができました。もちろん視聴決定。
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 出版関係の調査がメインの「EKリサーチ」調査員・水野優希(松下奈緒)は一周忌を迎える漫画界の巨匠・阿島文哉(ベンガル)の会社・アジマプロに向かった。
そこでは現社長で妻の阿島淑子(真野響子)が社員の小澤幸秀(要潤)と共に待っていた。
依頼人は阿島文哉の全集出版予定の英人社だが「阿島文哉」という漫画家の存在を揺るがす問題であるため淑子達が対応した。

 淑子は遺稿を整理している時に見つけたという未発表の作品(全50ページ)を差し出した。
この画稿は完成しているにも関わらず、担当編集者もアシスタントもその存在を知らないものだった。
内容はある漫画家の男が女性をスタンガンで襲い、誘拐監禁し一酸化炭素中毒で殺害する過程を描こうとするが描ききれず、その失敗を呪いながら遺体を埋めた後、自分の異常な殺人欲を肯定して終わっていた。

 それは35年前の未解決連続女性失踪事件に酷似していており、犯人が描いたとしか思えなかった。
画稿のそばに事件が載っている雑誌の切り抜きが入った封筒も見つかった。

 その事件とは板橋区で4年の間に4人の若い女性が消えた未解決事件だった。家出なのか犯罪なのかは不明。死体も手掛かりも全く見つからないため「神隠し」と報道されていた。唯一の情報は被害者の回りで目撃されたというプロ並みの画力がありスケッチブックを抱えていた男だけだった。

 淑子はこの画稿が阿島文哉本人によって描かれたものかどうか、そして事件との関連性を調べるよう要請した。

 その漫画のタッチは阿島文哉オタクである小澤にも判断がつかないほと、本人に酷似しているらしい。
さらに猟奇的な内容ではあるが阿島文哉は時代劇からラブコメ、そしてミステリーや政治漫画と幅広いジャンルのものを描いていたため彼の作品ではないと言い切れなかった。

 歴代のアシスタントならそっくりの画が描けるかもしれないが、50年以上漫画を描いてきた阿島のアシスタントは100人を超える数だった。

 応接間に飾られている温厚そうな阿島の写真・・・この男がそんな深い闇を抱えているのだろうか・・・
自宅で阿島のことを調べていた優希は帰りがけに淑子が言った言葉を思いだしていた。


「阿島が犯罪者だって可能性が無くもないの。
失踪事件のあった70年代、阿島は青年誌にくらーーいミステリーを描いてた。
異常jな性的嗜好を持った変態が山ほど出てくるやつをね。
漫画家って描いてる作品に影響されやすいから、あの時代、
阿島自身がそういう人間になったとしてもおかしくはないのよ。
40年以上も一緒にいたけど、私・・・阿島がどういう人だったか、
いまだにわからない・・・
だからこそ真実を知りたいの。たとえそれがどんなに残酷な結果だとしても」

 夫は天才とも謳われる偉大な漫画家。
長年連れ添った夫婦といえども理解できない部分が多かったのでしょう。
その部分にこそ天才が生み出す傑作の秘密があったんだろうし。
自分の知らなかった夫の真実の姿、それを追求し受け入れることも愛情の形なのかもしれません。


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matakita821 at 19:50|PermalinkComments(0)