「アイシテル〜海容〜」 

2009年06月18日

「アイシテル〜海容〜」 最終回

 キヨタンのお墓の前で会ってしまったさつき(稲森いずみ)と聖子(板谷由夏)・・・
土下座をして詫びるさつきに、聖子は顔をあげるよう頼むのでした。
「あなたがどんなに苦しんでも、私は楽になれないんです。
おそらくこれからもずっと・・・」
「生きて・・・生きてください。
「清貴のために。あなたのお子さんのために・・」聖子

 同じ母親として、さつきの苦しみに理解を示した聖子。
しかし、苦しみとは一人で背負うもの・・・相手に預けることも預かることも決してできない。
さつきも聖子も、それぞれが生きている限りずっと背負い続けなければならないでしょう。

 「もう二度と会うことは・・・」
さつきと決別した聖子・・・
確かにキヨタンは、さつきの息子に殺された。
智也はその罪をつぐなわなければなりません。
でも、お互いの家族が憎しみの感情で繋がり続けることは止めにしたい。
自分たちがこれからも前を向いて生き続けていくためにも・・・

 そんな聖子の決意をしっかりと受け止めた秀昭(佐野史郎)。
息子を殺された怒りと苦しみの中で、違う感情を持つことはキヨタンに対する裏切りではないかと思い続けてきた秀昭でしたが、憎しみにこだわり続け生きていくことはむなしいし、何よりキヨタンが望みはしないと悟ったのでしょうか・・・続きを読む

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matakita821 at 15:49|PermalinkComments(10)TrackBack(17)

2009年06月11日

「アイシテル〜海容〜」 第9回

  「決定言い渡し」の前に、富田によって読み上げられた聖子からの手紙は
「ありがとう」という言葉から始まっていました。

 清貴(佐藤詩音)を助けてくれてありがとう・・
お家のトイレに連れて行ってくれて、キャッチボールまでしてくれて、本当にありがとう・・
 そして、その明るさゆえに遠慮のない発言で智也を傷つけてごめんなさいと。

 「ありがとう」という言葉をこんなに重く感じたのは初めてです。
自分の息子を殺した相手の気持すら配慮して書かれた聖子(板谷由夏)の手紙・・
さつき(稲森いずみ)への手紙にも書かれていましたが、小沢聖子からと言うより、キヨタンママとしての言葉なんでしょうね。

 『智也君、あなたが見た清貴だけが清貴の全てではないことをわかってください』
『未来を失ってしまった清貴の代わりに、あなたは心から愛し合える人と出会い、
暖かい家庭を築いて下さい。
あなたが愛する人との子供を授かった時、その時初めてあなたは
あなたのしたことがどんなことだったのか知ることになるでしょう』

 聖子は智也に、これからも生き続けることによって罪の深さと重さをを知って欲しいと望んだんですね・・
智也(嘉数一星)にとっては、生き続けることが唯一つぐないに繋がる道・・・
 複雑な思いで書かれた手紙だったでしょうが、さつきにとってはまさに暗闇の中の「道しるべ」に思えたでしょう・・ 続きを読む

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matakita821 at 23:32|PermalinkComments(4)TrackBack(9)

2009年06月05日

「アイシテル〜海容〜」 第8回

 ついに智也(嘉数一星)の犯行動機が明らかにされました。
それは日誌に書かれたものでしたが、間違いのないものと判断され、審理の日を迎えることができました。

「お兄ちゃんち変!」を連呼され、それを自分のせいと感じた智也・・
自分は母親に愛されていない不安と悲しみに押しつぶされそうなのに、
愛されている事に揺るぎのない清貴君(佐藤詩音)の次々とコンプレックスを刺激する言葉が智也の胸に突き刺さったのでしょう。
 そして、あの看板のように母親の愛情に包まれている清貴君に憎しみにも似た嫉妬心が湧き上がった・・
「お兄ちゃんのママとうちのママを一緒にしないで!
お兄ちゃんはすごく悪い子なんだ。
だからみんなお兄ちゃんを大っ嫌いなんだ!
キヨタンのママはキヨタンのことが大好きだから・・
だから、お兄ちゃんのママとは違うもん!!」清貴
「僕のお母さんを悪く言うな!!」智也

 怒りにかられ、清貴君を何度も石の上に叩きつけ・・・
気づいたら、清貴君は動かなくなっていた。
富田(田中美佐子)が日誌を読み上げた後、
「僕は悪い子です!」と壊れたように叫び続ける智也・・・

 智也のエスカレートしていった自分を責める気持、
そして不安感と嫉妬心をかきたてた清貴君の言葉、
そんな時にあの看板が目に入ったこと・・・それらの偶然が重なって小さな命を奪う行動に出てしまった。
アイシテルうつし絵(藤城清治氏デザイン・ジャケット完全生産限定盤)
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2009年05月28日

「アイシテル〜海容〜」 第7回

 今回は、智也(嘉数一星)が最後の扉を開けてくれる前の、揺れ動くそれぞれの家族の姿が描かれました。

 自分が生きていく事の意味を「智也が犯した罪を一緒に背負い、共に生きていく事だ」と気づいたさつき(稲森いずみ)は、小沢家に宛てた手紙を富田(田中美佐子)に託すのでした。
「私たちにできるのは、ご家族の苦しみを思い続けること・・それだけです」

 長く苦しい旅です・・・死ぬまで終わらない・・・
でも、さつきは加害者の親として、これからの人生を智也と歩き続ける決心がついたようです。

 やっと智也と面会できて、感激のあまり泣き続けるさつきでしたが、2回目には
きちんと自分の思いを智也に伝えることができました。
「智也、ごめんね。お母さん、智也のこと何もわかっていなかった。
これからは苦しい事も辛い事も全部智也と受け止めたいの。
お母さんと一緒に歩いていこう」

 母親の愛情を感じた智也でしたが、さつきの「さなぎが成虫になったら」という言葉を聞いて、急に黙り込んでしまいました。
 久し振りに富田の面会に応じた智也は、富田に尋ねるのでした。
「僕は死刑になるんでしょ・・?」続きを読む

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2009年05月21日

「アイシテル〜海容〜」 第6回

 今回は、それぞれが自分にできることを改めて問いなおした回でした。

 美帆子(川島海荷)に「アンタが死んでみれば!」と言われたさつき(稲森いずみ)は、ふら〜っと死の世界に誘い込まれそうになるが、他の子供の声で我に返る。

 一方、美帆子も自分が口にした言葉の恐ろしさと重さに震えていた。
命の重さを痛いほどに感じている美帆子なのに・・・
「私が殺したようなものです・・か。
あんな事件を起こした子供を育てたんだ、当たり前だ、何にもわかっちゃいない!」秀昭(佐野史郎)
「でも、キヨタンを殺したのは母親じゃない」聖子
「子供が犯人なら親が責任を負うのは当然だろう」秀昭

 何と言っても、加害者はまだ10歳ですからね・・・
これが25歳とかだったら、また違ってくると思うんですが・・・
でも、そういうふうに育ててしまったんだから責任はあるような・・
代わりに罰を受ける必要はないけど、親の責任が終わることはないんですよね。
同じ母親として、聖子(板谷由夏)の心も揺れているようです。

 さて、やはり彩乃(田畑智子)の縁談は白紙になってしまいました。
ショックを受けた彩乃はついに溜まっていた思いをさつきにぶつけてしまいました。
「いい加減優等生ぶるの止めてよ!
勉強もできたし、ちょっときれいな顔してるからって、
昔から回りのみんなが喜びそうなことばっか口にして!
お姉ちゃんみたいになんなさい、お姉ちゃんを見習いなさいって、私いっつも比べられて・・・
その度に私がどれだけ嫌な思いをしてきたかなんて全然わかろうともしないで・・
もううんざりよ!
 智也だって、きっと私みたいに思ってるわよ!だからあんなこと!」
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2009年05月14日

「アイシテル〜海容〜」 第5回

 さつき(稲森いずみ)は、智也(嘉数一星)の態度が変わり始めたのは、
半年前、ずぶぬれで帰って来たのを叱ってからだと思い出しました。
それを聞いた富田(田中美佐子)の調査により、智也の秘密を知ることができました。

 ふとしたきっかけで橋の下に住むホームレスのおばあさんと知り合った智也は
さつきに禁止されていたにも関わらず、彼女の元に通うようになった。
過去に息子を亡くしたおばあさんは、息子と似た智也の訪問を喜び、
智也も自分の話を聞いてくれるおばあさんにすっかり心を許しておりました。
 しかし、ある日、智也を亡くなった息子と混同したおばあさんは智也を抱きしめようとして首を締めてしまう。
おばあさんから逃れるために手を噛み、突き飛ばして逃げた智也・・・
その時に香炉が倒れて、ボヤ騒ぎになってしまったらしい。

 ショックと恐怖心で噴水に入り、何とか気持を静めた智也はずぶぬれになって家にたどり着きました。
しかし、さつきとの約束を破ってしまった罪の意識と後悔から、自分からさつきを呼ぶことはできなかった・・・

 「お母さん・・・出てきて「おかえり」って言って・・・・お母さん・・・」

 やっと出てきたさつきはネットを中断されたイラ立ちから、頭ごなしに智也を叱ってしまった。
この時、智也のこころが壊れたことにも気づかずに・・・・

 「ありがとう・・・話してくれて・・辛かったね。
その時、たくさんの大人が智也君とすれ違ったのに誰一人声をかけてくれなかったよね」富田
「僕が悪いんだ・・・僕がおかあさんのいいつけを守らなかったから・・・」
「智也君は悪くない、気がついてあげられなくてごめんね・・・
その時、誰かがこうして抱きしめてあげられたら良かったのに・・・辛かったよね・・」続きを読む

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2009年05月07日

「アイシテル〜海容〜」 第4回

 さて、ファミレスでさつき(稲森いずみ)と富田(田中美佐子)の会話を小耳にはさみ・・・
さつきが加害者の母親であると気づいた美帆子(川島海荷)は、勇気を出して振り返り顔を確認・・
 そして、さつきが微笑んでいるところを見てしまう・・・

 これね〜稲森さんだからなのか・・・
きれいに化粧して身なりもきちんとして美しく微笑んでいる姿を見たら、怒りがわいてくるのもしかたないかもしれない・・
 自分の母親は悲しみとショックからぼろぼろになってるのに・・とか思ってしまうよね・・

 智也(嘉数一星)が「優しい気持ちでその子に声をかけた」ことに「救われた」と感じたさつきですが・・・
これはやはり口に出してはいけない事のようにも思います。
 すぐに気がついて、殺害現場に花を手向けに行ったさつきですが、被害者家族の気持に寄り添うことはまだまだ難しいようです。

 そして智也は犯行当日の清貴君(佐藤詩音)との行動を話し始めました。
キヨタンにトイレを貸した後、智也たちは、現場でキャッチボールをした。
「キヨタン、うまいでしょう?パパとい〜っつもキャッチボールしてるんだぁ」
無邪気に話すキヨタン・・
 さらに、智也に「ヘタだ」と言ってしまった。
智也は父親が忙しくてキャッチボールをしていないと言ったら
「お兄ちゃんち変だ!」
「ムカついた・・・だから・・・だから・・・あの子が悪いんだ」

 キヨタンは智也のコンプレックスを刺激してしまったんじゃないでしょうか・・
自分は父親とキャッチボールなんてめったにしたことない。
事件後、キャッチボールをしたけれどお義理って感じで心が通い合うものではなかった。
 智也はずっと自分は両親に愛されていないと悩み、苦しんでいたんじゃないでしょうか・・・
自分のうちは普通じゃないんだろうか?
それとも自分が悪い子だから愛されないんだろうか・・・続きを読む

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2009年04月30日

「アイシテル〜海容〜」 第3回

 さつき(稲森いずみ)は少年鑑別所にいる智也(嘉数一星)に面会しに行くが、
「ウザイ」のひと言で拒否されてしまう。
 さつきは職員がそばにいるから、こんな態度を取っているって最初思ったようですが、智也は正直になっただけなのでしょう。
 さつきは、こんなふうにずっと自分の思うとおりの反応を智也に求めてきたのかも・・・
さつきが喜ぶような反応をしない・・・自分の感情に正直になる。
それが智也の再生の第一歩なのかもしれません。
 今の智也は本当の自分を探っている状態なのかも・・・

 そして「お母さん、新しいスタートラインに立ったんです。辛抱強く見つめてあげて下さい」という富田(田中美佐子)の言葉がさつきを導いてくれるはずです。

 一方、小沢家ではまだ混乱が続いていた・・・
犯人のことが知りたいという聖子(板谷由夏)に、秀昭(佐野史郎)は、もう事件のことを考えたくもないと伝えるのでした。
「考えれば考えるほど、キヨタンが殺された理由を知りたくなる。
しかし、知ったところで納得できる自信もない。
だってそうだろう?キヨタンが殺されなきゃならない理由なんてないんだ」

 本当にそうなんですよ・・・
殺される理由なんてないのに、キヨタンはもういない。
考えてもキヨタンは戻ってこない・・・きっと頭の中はその繰り返し・・
 でも、これは母親だからなんでしょうか・・・
私もちゃんとした理由なんてないとわかっていても、それでも知りたいという気持が抑えられないと思うのです。続きを読む

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2009年04月24日

「アイシテル〜海容〜」 第2回

 警察署の相談室で智也(嘉数一星)と対面したさつき(稲森いずみ)・・・
「嘘でしょ?あなたがあんなことするなんて・・お願い、本当の事言って!」
「ホントだよ」
「何か理由があるんでしょ?ちゃんと説明しなさい!口があるんでしょ!」
その顔をじっと見ながら「お母さんこそ耳ついてんの?」と冷静に答える智也。
 そこに和彦(山本太郎)も来るが、一瞥もせず
「刑事さん、僕が殺しました」はっきり口にする智也・・・

 親への復讐なのかな・・・
頭の良さそうな子だから、大事件になるとはわかってたと思うんだけど・・・

 小沢家では相変わらずマスコミの取材攻勢に苦しめられていた。
TVのニュースでは聖子(板谷由夏)が留守にしていた「15分間」を強調し、暗に聖子のせいで清貴君(佐藤詩音)が殺されたと報じていた。
さらに、新聞でも『母親の暇つぶしランチの犠牲になった我が子』というタイトルが・・・
 「何で被害者がこんな言われかた・・・」憤りを口にする秀昭(佐野史郎)。
錯乱して庭で「キヨタンを返してよ〜!」と叫ぶ聖子を抑えることしかできない秀昭と美帆子(川島海荷)。
 
 さつき達は「状況証拠から見て、智也の犯行に間違いはない」という刑事の言葉を聞いていたが、まだ信じられなかった。
「本当にあの子が・・・」
「現実を受止めてください」刑事続きを読む

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2009年04月16日

「アイシテル〜海容〜」 第1回

 う〜む・・・非常に重たい内容で、第一回ですでに見てると息が詰まってくるようだけど、見ずにはいられないって感じかな・・・

 小沢家は、父秀昭(佐野史郎)、専業主婦の聖子(板谷由夏)、中学3年の美帆子(川島海荷)、
小学2年生の清貴(佐藤詩音)の四人家族。
甘えん坊のキヨタンが両親にちやほやされて、ちょっとおもしろくない美帆子は
「ウザイ!ムカつく。あんな奴、消えちゃえばいいのに」と友達に愚痴ったりもするが、兄弟ゆえの言葉だと両親もわかってる。
 聖子は日々成長していくキヨタンの姿が嬉しくもあり寂しくもあり・・・
二人目の育児を心から楽しんでいた。

 野口家は父和彦(山本太郎)、母さつき(稲森いずみ)、付属小学校5年生の智也(嘉数一星)の3人家族。
さつきはカフェでパートとして働いているが、友也の塾の講習費のために働く時間を増やそうと思っている。
 仕事にかまけて息子のことも自分のことも放りっ放しな夫に多少不満は抱いているが我慢できないほどではない。
最近反抗的で口数が少ない友也のことが心配でネットの「子育てお悩み掲示板」に相談したりしている。

 どちらも、どこにでもある普通の家庭のはずだった。
しかし、聖子が久し振りに友達に会ってランチをして帰りが遅くなった日、
玄関の前で待っていたキヨタンは鞄を置いてどこかへ行って、そのまま帰ってこなかった。 
アイシテル~海容 前編 (1) (KCデラックス)アイシテル~海容 後編 (2)
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