きこりのテレビ日記 #214夜ドラ「バニラな毎日」 第17夜

2025年02月17日

「御上先生」 episode 5 -confidence-



 さて『ビジコン』(花宝財団主催の『高校生ビジネスプロジェクトコンクール 2024』)にエントリーし初の決勝進出を狙おうとしている生徒たちに対して、「悪いけどそれ、どうせ勝てないよ」と言い放つ御上(松坂桃李)。
歴代優勝校は大人同士の忖度で決まっているそうな。

「それでも圧倒的なアイデアを出せれば
奇跡も起こるだろうけど」御上


 それ以前にテーマの段階でモメているんだと。
冬木(山下幸輝)は「金融商品」押し、宮澤(豊田裕大)は「社会貢献」を視野に入れた製品開発。結局、富永(蒔田彩珠)の意見で二つを合体させたプランにしようってことになったが、そこから進まない。

 一方、真山弓弦(堀田真由)に面会を拒否される中、手紙を出し続けてきた神崎(奥平大兼)の元に御上と一緒なら会ってもいいと返事が来た。

 前回の御上との面会では、精神的にかなり揺さぶられたはずだが、それでも御上同行を指定したのは、未だ混乱の中にいる自分の思いや動機を御上なら整理してくれると思ったのか。

 神埼は弓弦の家庭を壊した原因を作った自分を殺さずになぜ彼を殺したのか?と尋ねたが、弓弦は神崎の新聞のことは彼から来た手紙で初めて知ったそうな。

 冴島先生(もう先生じゃないけど)(常盤貴子)が弓弦に話さなかったのは、言い訳をしたくなかったからもあるだろうけど、新聞が原因ではないとわかっていたから。多分、神崎が自分を狙っていたことも知っていた。不倫がバレたから離婚したのではなく、離婚したかったから不倫したように見せかけたんじゃなかろうか。そして教師を辞めたのも不倫のせいではなく、学校という組織や教師という仕事に絶望したから?

 『父親への復讐でもない』・・・
暴力的な父親のことはそもそも軽蔑していたと思うから、父親に向けてのアピールではない。でも冴島先生が出て行ったことにより、父親に精神的にも肉体的にも痛めつけられたせいで追い詰められたのは確かだと思う。

 ずっと噛み合わない弓弦と神崎の会話だったが、被害者・渋谷友介の母親からの手紙で初めて繋がった。弓弦が殺した青年も母親も彼女と同じ父親(夫)の暴力に苦しんだサバイバーだった。





 『誰でも良かった』と無差別殺人の加害者は言う。
でも弓弦が本当に殺したかったのは、消えてしまいたかったのは自分自身なんじゃないだろうか。でもできない。他人に刃を向けた自殺。無差別に相手を選んだのは知り合いだと自分の身代わりにはならないから(期せずして自分と重なる人生を生きている青年を殺してしまったが)。罪の意識も多少軽減される。動機も「社会のせい」「環境のせい」とぼやかすことができる。自分がやったことだけど社会がやらせたこと。無意識に殺人の責任から逃れようとした。

 そのことを神崎に突き付けられてしまった。

「この人(被害者の母)が考えてる。
考え続けてる。
だから・・・
僕たちがやめていい訳がないんです」
「・・・・偉そうに!ガキが!」
「・・・偉くねぇよ・・・
俺もアンタも
同罪だつってんだよ!


 御上が二人に話した高級ホテルを占拠した少年テロリストの映画。
虐殺をした少年も、高級ホテルに泊まっていた裕福な観光客たちも、「本当の悪人」ではない。どちらも被害者なのかもしれない。でも少年は別の道を選ぶこともできた(渋谷友介君のように)。ホテルの客を殺したことで美味しいピザを味わうことはできたが、彼が抱える根本的な問題は解決していない。個人の憂さ晴らしで「貧しかった少年」が「大量殺人鬼」になっただけ。

「自分の責任だって思わないと・・・
進めないから。
俺も。・・・弓弦さんも」神崎
「・・・・・」
「弓弦さん、冴島先生が本当に不倫してたと思いますか?」
「・・・・」
「僕は信じています。
僕が知ってるあの人は・・・
そんなことする人じゃない」


 神崎は弓弦に向けた刃を自分自身にも向けている。
自分自身が崩れ落ちそうな恐怖と戦いながら、
確信と言える信頼を必死に見出し、
責任と共に自分だけの真実を掴もうとしている。

 彼がここまでの人間だとはさすがの御上も見抜いていただろうか。
目を逸らさずにどこまでも突き詰めて行こうとする強い精神力と行動力。成長とも言えるだろうが御上は怖くもなったんじゃないだろうか。兄に似すぎていると。神崎はまだ危うい。

 さて、ビジコン3週間前。
「社会貢献をしながら利益を生み出す」というテーマは決まったのだが、具体的にどうしたもんだか。そこで是枝先生(吉岡里帆)によるファシリテート発動(てか、すぐに「ファシリテート」の意味がわかって参加する生徒達すごいぞ( ̄▽ ̄;))。

「私、これまでず〜っと、
お金って汚いものと思いこんでました。
でも・・・信じるってことの具現化なんだって思ったら、
なんかお金って・・人間ってすごいな〜って」


 すごく新鮮でおもしろい発想。
是枝先生からこんな言葉が出るとは思わなったよ。

 その後に聞けた普段クールな冬木の父への思い。
ごめんよ〜わたしゃ、どうせ受験のための点数稼ぎだろうが!って思っていたよ( ̄▽ ̄;) その動機、すごくいいじゃんか。リベンジではなく希望が込められている。やっぱり話し合うことって大事だよね。

 冬木の話を受けた後の、「自分達が思う理想の社会をデザインするための金融商品を作りたい」という宮澤の意見、神崎と御上からのヒントで「作った金融商品そのもので社会貢献できるもの」に決定。

 いや〜賢いだけでなく、なんと健やかな。
ここの生徒さん達最初っからこんな素直な子達だったかしら〜?

 冬木達は最終審査まで残り、決勝プレゼンに出場することに。
当日、会場には槙野(岡田将生)はもちろん津吹も来とる。
そしてにゃんと中岡さん(林泰文)は審査員なんですってよ〜

『高校生が夢みる 未来の企業応援ファンド』

自分達が未来に残したい企業を選び投資先にする、
企業が成長し得た利益の一部を教育支援のために使う、
その残りが投資家へ分配される。

 わかりやすいし聞きごたえのあるすばらしいプレゼンだった。
(今回も次元(窪塚愛流)が大活躍)
そりゃオカミも感動して涙ぐむさ。
個人の私利私欲のためではなく、社会の中で生きるファンド。
利益はお金だけではなく、ともに社会を作っていくという誇りと希望。

「金融の本来の意味。
それは・・・信用と助け合いです。
お金とは信じることが形になったものなんです。
僕たちは金融の一番始まりに立ち戻りたいと、
そう思い、このプランを作りました」冬木

「大人達が忘れた投資の意味を問いかける、
未来を作る金融投資。
そんなビジネスプランを僕たちは考えました」宮澤


 彼らの提案は、ある意味御上がやろうとしていることにも通じるんじゃないかな。
固定観念を壊し、初心に戻り改めて意味を問いかけ、未来への希望とともに新に構築していく。

 意外なことに一番最初に拍手してくれたのが中岡さんだった。
そして優勝を決めたのも。
あら?意外とまともな人だったのかしら〜?( ̄▽ ̄;)

 いや〜しかしわたしゃ、御上と槙野はひとつ岩で別行動していると思っていたが、ラストの睨み合いがあまりにも真に迫っとる・・・実は違うのかい?
同じ志を持っていることを知らずに別々の場所で動いているの?
それとも、そう見せかけて?ぐるぐる〜

 そして御上の兄の記事が週刊誌に出ることを伝えた神崎。
まったく動じない御上だったが・・・

「もう終わったことだ」
「終わってないでしょ。
俺がアンタだったら・・・そんな簡単に終われない。
俺は・・もう大丈夫だから。
だから次はあんたが」神崎

 
 神崎・・・今度はアンタが御上を支えたいと言うのかい?
どこまで成長を続けるんだ。
でも『終わったこと』というのは本当だと思う。
終わったことだからこそ始められる。
今の御上の行動のきっかけではあったけれど、そこに拘っていたら新しいものを構築していくことはできない。兄の死さえも踏み越えていこうとしているんじゃ。

 第1話 -destruction-
 第2話 -awareness-
 第3話 -beginning-
 第4話 -fate-
 第6話 -confession-
 第7話 -delusion-
 第8話 -strategy-
 第9話 -joker-
 第10話(最終回)- Puppets can't control you -

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matakita821 at 17:34│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 日曜劇場「御上先生」 

この記事へのコメント

1. Posted by sannkeneko   2025年02月18日 17:35
こんにちは。
>いや〜賢いだけでなく、なんと健やかな。
>ここの生徒さん達最初っからこんな素直な子達だったかしら〜?
御上との初対面の時とはみんな別人。
この変化だけでも御上に会った甲斐があるというもので。
>是枝先生によるファシリテート発動
この変化だけでも・・・以下同文。
>てか、すぐに「ファシリテート」の意味がわかって参加する生徒達すごいぞ( ̄▽ ̄;))。
一体感が出てきましたよね、このクラス。

ただ、やっぱり強力なのが真山弓弦パート。
不倫したかどうかは別として、DVに苦しんだ冴島が学校に居場所を求めたのは自然だと思う。でも彼女”だけ”が学校を追われた。
取り残された弓弦に父の暴力が一身に向けられた。それなのに
>弓弦が殺した青年も母親も彼女と同じ父親(夫)の暴力に苦しんだサバイバーだった。
この皮肉。
>「俺もアンタも
>同罪だつってんだよ!」
神崎の叫びが哀しすぎる。
週刊誌に御上の兄のどんな記事が載るのか、それが真実なのか・・・。槙野も何を考えているのか謎だし。
・・・日曜劇場ってこんなに息苦しくなるドラマ枠でしたっけ?
2. Posted by きこり→sannkenekoさん   2025年02月19日 17:02
こんにちは〜!
> 御上との初対面の時とはみんな別人。
> この変化だけでも御上に会った甲斐があるというもので。
もともと賢い子達だったけど、御上との出会い、その授業で奥底に芽吹いていたものが育ってきたんでしょうかね。
> 一体感が出てきましたよね、このクラス。
もともと仲は悪くなかったけど、自意識のせいで表現できずにいた思いを素直に口に出せるようになったというか。面白いですよね〜
悩みは尽きなくて次回も別の生徒の悩みから広がっていくんでしょうね。
> 不倫したかどうかは別として、DVに苦しんだ冴島が学校に居場所を求めたのは自然だと思う。でも彼女”だけ”が学校を追われた。
きっと隠された意味があるんでしょうね。それを彼女は受け入れた。
> 神崎の叫びが哀しすぎる。
口に出すことで自分自身も苦しいはずなのに。
ここまで自分の責任を全うするのって大人だって難しいですよ。
> 週刊誌に御上の兄のどんな記事が載るのか、それが真実なのか・・・。
これも御上の作戦なのか、あるいは御上の足を引っ張ろうとしているのか・・
> ・・・日曜劇場ってこんなに息苦しくなるドラマ枠でしたっけ?
そうそう!も〜苦しいったらありゃしない。1時間があっという間だけど。

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