夜ドラ「バニラな毎日」 第18夜きこりのテレビ日記 #215

2025年02月20日

夜ドラ「バニラな毎日」 第19夜



 突然の秋山(木戸大聖)乱入に、葵(蓮佛美沙子)だけでなく佐渡谷さん(永作博美)も驚いとった。今回はホントに佐渡谷さんが呼んだ訳ではないらしい。

 そんなことは置いといて・・・
佐渡谷さんがバニラを入れ忘れたので、一袋だけ頂戴した秋山バニラビーンズをしまいこんだケースから取り出す葵。

 材料を混ぜ合わせている佐渡谷を見ているうちに彼女と母親が重なり、葵の中に母親との思い出が蘇った。
ホットケーキを作っている母親・・・
呼びかけても答えてくれず消える母親・・
ずっと呼び続ける自分・・・

 オーブンを見つめながら世界に入っている葵に気づいた佐渡谷さんは、秋山に目で『アンタ、どっか行ってなさいよ』と指示。こそ〜っと消える秋山であった。

 いつもとは違う表情になっている葵に「何かあった?」と問いかけるも、葵は例によって「何もない」「大丈夫」と返すのみ。

「ここまで生きてきて・・・
大丈夫な人なんていないよ。
自分の本当の声、聞こえてる?」
「・・・・・・」葵


 お茶を入れたカップを目の前に置き、

「よう頑張ったな」
「・・・・」
「本当に」
「・・・・」


 これは葵が聞きたかった言葉。
佐渡谷さんは、人の心の扉を開ける鍵をもっている。
開いてきたら、後は静かに待つ。
徐々にその人自身の声が溢れだす。





「怖かった・・・ずっと怖かった。
お母さんは腹を立てるとすぐ家出して、
なのに、何にもなかったみたいにすぐ戻って来て。
それがすごい怖くて・・・
いい子にしてた。

いい子じゃないとダメだから。
お母さんがどっかに行かないように。
お母さんが好きなことが好きで、
嫌いなことは嫌い。
いい子じゃなかったら、全部なくなって
お母さん出ていくかも・・・

でも頑張れば頑張るほど、
お母さんの心は離れていった気がした」


 今は母親とはほとんど連絡を取っていないそうな。
お母さんのことは嫌いな訳ではなく、
得意じゃないだけなんだと。

 いや〜嫌いとは言えないよね。
嫌いと言ってしまったら、そんな自分が嫌になる。
得意じゃない相手と日常生活を送るのは辛い。
常に言動をコントロールしていても、
どこで地雷を踏むかわからない。
踏んでしまったら、家族であるがゆえの罪の意識や責めに苦しむ。
相手のご機嫌を取ることを理不尽に思いながらも、せずにはいられない。
怒りが静かに溜まっていく。
それでも心の奥では母親を求めてしまうんだよね。

 母親が家出したある日、
葵は自分で「理想のホットケーキ」を焼いてみた。
工夫して丁寧に心をこめて。
できあがったのは、パッケージに載っているものとおんなじ。

 でも、そこに帰って来た母親は
嬉しそうにホットケーキを運んでいる葵を見て、
こうつぶやいた。

「もうお母さんは必要ないかもね」

 お母さんが冷蔵庫に入れたものを見ると、
家族3人分のケーキが入っていた。


「自分好みに作ったホットケーキが
すごく後ろめたかった・・・」


どうすることもできず打ちひしがれていた過去の自分。
ちゅうぶらりんのホットケーキ。
惨めな気持ちでみつめていたら、
過去の葵の前に佐渡谷さんが現れた。

『完璧やん!
・・・ナニこれ!美味しい!
こんな美味しいの食べたことないけどぉ!』
『・・・・・え?』子供の頃の葵
『最高!』


 笑顔で口に運んでくれて、
美味しい!と言ってくれて、
すごく嬉しそうに葵のほっぺを包んでくれた。
幸せだった。

 子供の頃に欲しかったお母さんの言葉。
して欲しかったこと。
してもらえなかったこと。
凍り付いた時間。
そんな記憶が脳内にまで入り込むおせっかいおばちゃんが塗り替えてくれた。

 それだけ佐渡谷さんの存在が葵の中で大きくなっているってことだよね。
いつもあるがままの自分を受け止め、寄り添ってくれる佐渡谷さんにどれだけ葵が癒されたか。

「佐渡谷さん・・私今わかった・・
私はあの時、お母さんにホットケーキ食べてもらいたかった・・・
ただそれだけだったんだなって・・・」


 自分が何に傷ついていたのか、
相手にどうして欲しかったのか、
それがわかれば、
傷は回復に向かっていくのかもしれない。

 未だ母と接することへの恐怖心がある葵に佐渡谷さんは伝えた。

「白井さんの見てるお母さんと、
お母さんの本当の思いとでは違うかも。
大人だからこそ、
うまく感情を表現できないことってあるでしょ?」
「・・・・・」
「ま、無理することはないけど、
『後悔しないように生きろ』とだけは言うとくわ。
・・・なっ!」


 これは隠れて二人の会話を聞いていた
秋山にも言ってるのかしら〜?

「大丈夫よ」佐渡谷
「むかつきます」葵


 自分から言う「大丈夫です」は、たいてい大丈夫じゃないけど、
佐渡谷から言われる「大丈夫よ」は、まるでお守りみたいにあったかい。

 葵とお母さんとの関係は、そんなすぐに変わらないとは思うけど、少しづつ葵の中で準備ができていくのかもしれない。子供にとって母親は母親でしかなくて、自分が歳をとっても、いつまでも子供の頃に抱いたイメージのままだったりするけど、ある日ふと、一人の人間としての違う顔が、思いが、読み取れる時がある。母と自分の時間は止まっているように感じていたけれど、ちゃんと流れているんだよね。

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matakita821 at 18:40│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 夜ドラ「バニラな毎日」 

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