「無能の鷹」第7羽 恋をするとはキモくなること「モンスター」 #07 愛の末路

2024年11月25日

「海に眠るダイヤモンド」第5話 一島一家

「進平さん・・・死んじゃうかと思った」
「・・・(首を振る)」
「ごめんね・・ごめん・・」


 このふたりは人間としてギリギリの淵でどうしようもなく求めあっている。
二人なら一緒に生きられる、というよりも一緒に死ねるのかもしれない。
リナ(池田エライザ)の「死んじゃうかと思った」は「愛している」。

 妻の死を認めようとしなかった進平(斎藤工)が
リナにだけは「栄子は死んだ」と伝えた。

「もう誰も愛さない」
「愛さない」
「独りで生きていく」
「生きていく」


 ふたりだけにわかる思いの確認。
リナのために殺すことにためらいは無く、
「海流が沖へ流すと助からん」ことを伝える、
弟への嘘も上手な進平。

 でもきっとこのふたりに平穏な日々は来ない。
ジンクスは繰り返される。
多分、進平は死ぬのだろう。
進平のいない端島にリナの居場所はない。

 てことは・・・玲央(神木隆之介)はリナの孫なのか?
じゃあなぜ朝子(いづみ)は玲央に拘るのか。
鉄平とは結ばれなかった。結ばれなかったからこそ宝物を捜すように玲央を求めたのかと思ったが、そんなもんじゃないんだね、きっと。もっと深くて大きなもの。郷愁だけではなく、端島ですごした幸せな時間、島を出てから捨てて来たものを取り戻したかったのか、あるいは贖罪?

 ストライキ、部分ストライキ、ロックアウト、ロックアウト破り・・・
いつの時代も経営者と労働者の間には暗くて深い河がある。
これは戦争だ。生きる為の。
でも必死に戦っても、いつのまにか上同士で話が決まっている。
負傷した兵士は虚しいばかり。
その怒りは痛みを感じないトップではなく、ちゃんとその下の痛みがわかる人間に向けられる。

 賢将(清水尋也)は、いけにえだ。
鉱員や組合長らにとっては敵の息子であり、戦わずして勝利を得た卑怯者でしかない。鉄平(神木隆之介)も職員ではあるが、家族は鉱員だし、負傷したということは敵側とはいえ同じ兵士と認められる。そして鉄平のように正直に思いを発表することは立場上許されない。責められ罵られる賢将の心の傷は誰にも見えない。





 賢将の母親は、この島での生活に耐えられず逃げたんだね。
辰雄(沢村一樹)はよそから来た人間だが、意地と、鉱員たちと自分は違うと思いこむことでプライドを保ちながらここにいる。彼らの要求飲んだり、彼らのために譲歩することは負けになる。自分は使う者で鉱員たちは使われる者、そのスタンスは崩さない。賢将に対しても父親ではなく炭鉱長として接してきたんじゃないだろうか。

 広くて立派な家やお手伝いさんが用意してくれる美味しい料理があっても、鉄平の家に入り浸っていた賢将。彼が欲しかったのは家族のぬくもり。父と息子の心のふれあい。賢将が小鉄とやらとやり合った時も辰雄は経過を知ろうともせず結果しか見なかった。信じてくれたのは百合子(土屋太鳳)だけ。鉄平は心配していたけれど賢将の言葉の意味に気づかない。朝子(杉咲花)は何も言えない。

 端島で産まれ、端島で育った賢将だけど、どちらにも所属できない。
二つに分かれた家族の中で彼だけが(百合子もか)取り残されている。
だから一平(國村隼)の言葉がどんなに嬉しかったか。
昔のように顔に炭を塗りながら。

「なんだオマエら、知らなかったのか?
あいつはな、うちの家族。俺の自慢の息子。
・・・みてぇなもんだ!
いつだって来ていいんだぞ。待ってるぞ」


 本当は辰雄から聞きたかったかもしれない言葉。
そして親友であり同志である百合子の言葉。

 賢将を理解できるのは百合子だけなのかもしれない。
でも賢将が求めているのは決して得られない朝子の心だ。

 でも島を出た朝子が共に生きたのは賢将なんじゃ?って気もする。
鉄平がなんらかの事情で亡くなった後、朝子を支えられるのは賢将だけだろうし(って、鉄平死亡説確信しちゃってるけど ( ̄▽ ̄;) )。

 鉄平が賢将の痛みを理解することはないだろう。
でも「(賢将のためにも)少しはよくなる。よくする」という言葉に嘘はない。

「俺、朝子のことが好きなんだ。
賢将のことも好きだ。
端島でみんなが幸せに、
どうしたら幸せになれるんだろうって」鉄平
「・・・・ワガママだな、お前は!」
「うっ!・・・ごめん」
「・・・俺は幸せ者なのかもしれない・・・なっ!」


 理解されなくても心は伝わる。
本当の自分を理解されないからこそ一緒にいられる場合もある。
鉄平の思いを未来へ繋ぐのは賢将なのかもしれない。

 切ない回だった。人間は哀しい生きものだね。
それでも生きていって欲しいと思う。

 第1話 地底の闇を切りひらく
 第2話 スクエアダンス
 第3話 孤島の花
 第4話 沈黙
 第6話 希望の種
 第7話 消えない火

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この記事へのコメント

1. Posted by 桔梗   2024年11月28日 16:17
いづみさんは朝子だったのね。雰囲気が一番似てたものね。
二人で桜を見た時のことは、一生忘れない。
いづみが鉄平のノートを持ってるってどういうこと?
形見みたいな・・・。
朝子のおしゃべりがリナを救ったのかな。
好きになった人はみんな死んでしまう・・・もう皆想像してしまうよね。
賢将もその父も切ないね。
いつか閉山で皆が島を離れるまで、そしてその後どんなドラマが繰り広げられるんだろうか?
朝子以外の人生も気になるよね。
2. Posted by きこり→桔梗さん   2024年11月28日 18:57
> いづみさんは朝子だったのね。雰囲気が一番似てたものね。
そう言われりゃそうだよね(笑
骨格的にも百合子ではない・・
> いづみが鉄平のノートを持ってるってどういうこと?
> 形見みたいな・・・。
やっぱそうじゃない?でも鉄平がどういう形で亡くなるんだろうね?
進平ならヤクザの追っ手が来たのかな〜?とか鉱内での事故?とかあるけど、鉄平は健康だし、亡くなる理由がわからんよね。でも死ぬと思うけどゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
> 朝子のおしゃべりがリナを救ったのかな。
こういう偶然が人を救うんだろうね。
> 好きになった人はみんな死んでしまう・・・もう皆想像してしまうよね。
結ばれても絶望的にしか思えない・・・
> 賢将もその父も切ないね。
そうだよね。子供が憎い訳ないのに、愛情を表現できない。
このまま閉山して和解することなく離れるんだろうか。
> いつか閉山で皆が島を離れるまで、そしてその後どんなドラマが繰り広げられるんだろうか?
閉山したら賢将父はどうなってしまうのか、島で生きていた人達はどこへいけばいいのか、あの日々が幻になってしまうなんて・・外の世界でどう生きていくんだろう

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