きこりのテレビ日記 #185特集ドラマ「母の待つ里」第2話 古賀夏生の場合

2024年09月22日

特集ドラマ「母の待つ里」第1話 松永徹の場合

 いかにも仕立ての良さそうなコートを着て、鞄も靴も高級そうなものを身につけた男・松永徹(中井貴一)が40年ぶりに故郷に帰ってきた。電車を乗り継ぎ、バスに乗り、隠れ里のような村に。『故郷に錦を飾る』のだ。

 いくら40年ぶりと言ったって家に帰る道もわからない、久しぶりに会った母親ともぎこちなさすぎる。もしかしてこの人死んでる?ここは黄泉の里?と思ったが( ̄▽ ̄;)母親の名前を尋ねる姿に思い当たった。昔、ホンジャマカのコントに『レンタルお父さん』というのがあったが、これは『レンタルお母さん』なのだと。

 カード会社の企画プラン『ホームタウン・サービス』。
一泊50万円で故郷と、そこで待つ母を提供してくれる。

 村をあげての事業。出会う人も話しかけてくれる住人も、もちろん母親もすべて創りもの。
最初は他人行儀で距離の取り方がわからず敬語だった徹も温かな母親の態度にリラックスし、方言で応えるようになる。おふくろの味を堪能し、歓待され、懐かしい気持ちで一晩すごした徹は「完全な幸せ」を壊したくなくて早めに村を後にする。

 東京生まれの徹には、そもそも故郷は無く、母親も30年前に亡くなっている。
それでも彼が「故郷」を求めるのは何故だろう。
演技だと知りつつ「故郷」の「母」を訪ねるのは何故だろう。

 60代後半?大手食品メーカーの社長にまでなった成功者。
帰る所なんてないのに湧き上がる「帰りたい」という思いは、人間というものにあらかじめセットされている感情なんだろうか。心の奥に隠してきた後悔や寂しさが「帰りたい」という思いに繋がるのか。死に向かっている今を意識した時、誰かに自分の生きてきた道を無条件に肯定し受け止めて欲しいと望むのか。あるいは現在の自分の位置を確認するために「母」が必要なのか。

 「故郷」がある、「母」が待っているという記憶を手に入れた松永は、嘘と知りつつ自分の中に活力が蘇るのを感じる。いそいそと2回目の予約を入れ、再び「故郷」へと向かう。「母」と設定の確認をしながらも、この「母」と自分だけの「故郷」つくりに励む。友人からは新手の詐欺なんじゃ?と心配されながらも。

 なんかお母さん(宮本信子)が息子(松永)にする昔話がホラーすぎるんだが ( ̄▽ ̄;)
一泊50万のプランに申し込むのはリッチな成功者だけ。好奇心もあると思うが現実世界で満たされない心の空洞をお金で埋めようともがいているんだろうか。村をあげての詐欺疑惑も捨てがたいが、すべてはファンタジーというか、この里自体が幻のようにも見える。

 第2話 古賀夏生の場合
 第3話 室田精一の場合
 最終話 藤原ちよの場合


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