2024年09月07日
「笑うマトリョーシカ」第11話（最終回）
「僕には僕がわからない。
でも、だからと言って
見くびられたくないんですよ」
支配する側はされた側がそのことに気づいていないと思っている。
自分の思う通りに動く、意志のない人間だと。
だから守ってあげている、助けてあげていると。
親が子供を支配するのは簡単だ。
家庭という閉鎖された場所では幼い子供は権力者に従うしかない。
暴力と洗脳。
生きる為に自分の感情を抑え込み、これが自分の意志なんだと思いこむ。
そうやって生きているうちに自分というものがわからなくなった。
彼はその「自分自身」を捜し続けている。
一郎（櫻井翔）にそのことを気づかせたのは亜里沙（田辺桃子）だった。
支配しようとする者だけが他の支配者に気づくことができる。
そして彼女も、浩子（高岡早紀）と同じだった。
友達だと思っていた鈴木（玉山鉄二）も。
「だから彼らにとって最悪のタイミングで、
別れを与えたんです」
自分を見くびっていた相手に罰を与えるために。
お前が見くびっていた相手は、お前の人生を終わらせる力を持っているということを知らしめるために。
自分がわからないと言っていた一郎。
でも、それが「清家一郎」という人間なんじゃないの？
握りつぶしたい仮の姿のはずの自分自身は、すっかり彼の実体になってしまっている。
支配する相手に飲み込まれたように見せながら、その希望を叶え、油断させたところで叩き潰す。
そうすることでしか生きられない人間。
でも、だからと言って
見くびられたくないんですよ」
支配する側はされた側がそのことに気づいていないと思っている。
自分の思う通りに動く、意志のない人間だと。
だから守ってあげている、助けてあげていると。
親が子供を支配するのは簡単だ。
家庭という閉鎖された場所では幼い子供は権力者に従うしかない。
暴力と洗脳。
生きる為に自分の感情を抑え込み、これが自分の意志なんだと思いこむ。
そうやって生きているうちに自分というものがわからなくなった。
彼はその「自分自身」を捜し続けている。
一郎（櫻井翔）にそのことを気づかせたのは亜里沙（田辺桃子）だった。
支配しようとする者だけが他の支配者に気づくことができる。
そして彼女も、浩子（高岡早紀）と同じだった。
友達だと思っていた鈴木（玉山鉄二）も。
「だから彼らにとって最悪のタイミングで、
別れを与えたんです」
自分を見くびっていた相手に罰を与えるために。
お前が見くびっていた相手は、お前の人生を終わらせる力を持っているということを知らしめるために。
自分がわからないと言っていた一郎。
でも、それが「清家一郎」という人間なんじゃないの？
握りつぶしたい仮の姿のはずの自分自身は、すっかり彼の実体になってしまっている。
支配する相手に飲み込まれたように見せながら、その希望を叶え、油断させたところで叩き潰す。
そうすることでしか生きられない人間。
自分の思う通りに動く人間がいたらどんなに気持ちがいいだろう。
しかもその人間は政治家でこの国を変える力を持っている。
自分が望む社会を、その人間を使って実現できるかもしれない。
道上（水川あさみ）も、その欲望に溺れそうになった。
これは世の中のためになる意見だから正義だ、自分だけの意志じゃない、国民が望んでいることなんだ。それを清家一郎に伝える役目をしているだけなんだと。
道上の目を覚ましてくれたのはジャーナリストである山中（丸山智己）。
そして息子・勇気（森優理斗）の純粋な思いだった。
欲望には勝てた道上だったが「清家一郎」の本質を掴むことはできなかった。
「残念ながら、
あなたが追いかけた清家一郎の正体こそ
僕にしてみたら、
はっきりと演じられた清家一郎なんですよ」
一郎の根底にあるのは怒り。
「自分自身」を奪い、そのことを利用してきた人間達への。
そして「自分自身」を捜し続ける宿命を背負わせた者たちへの。
彼の自分探しの旅は死ぬまで続くだろう。
恐ろしいほどの孤独と苦しみとともに。
ただ問題なのは彼が政治家という道を歩いていること。
そしてこの国のトップに立ち、国民の人生を変える力を持ってしまったこと。
「わからないからですよ。
僕自身、何がしたくて何をすべきなのか。
僕には心からやりたいものなど何もないんです。
でも政治家には成し遂げたい政策というものがあるでしょう？
それで、かつて誰かが教えてくれたことをこなしていただけです。
僕は何か指針が欲しいんです。
僕には・・明確な意志など何もないから」
カヌッセンはいないと言い切っていた一郎だが、常に捨てるためのカヌッセンを求めている。それが彼の復讐であり選んだ自分自身だがら。明確な選ぶ基準はない。タイミングと相性みたいなもんか。一郎がヒトラーと同じ行動を取る可能性はゼロじゃないし、その本質に気づかず彼を求め続ける国民は多いだろう。地獄が待っているとも知らず。
「私には泣いているように見えます。その人形。
あなたも怖いんじゃないんですか？
自分のことが。わからないことが。
清家さん、私はあなたを知ろうとすることを諦めません。
それがあなたを救うことになると信じて」
清家が道下を求めたのは、彼女が支配欲に打ち勝てる人間だと判断したのもあるけれど、彼女が「母親」であったことも大きいと思う。一郎の本質を突きつけられた道下が流した涙は彼のため。道下には不安でたまらない顔をしている子供の一郎が見えていた。支配者としてではない、自分を正しい道へと導いてくれる母親としての存在を求めたんじゃなかろうか。何もないと言い切った彼の中にも正しく生きたい・人の役に立ちたいという思いはあるのだと信じたい。だから彼は道下を求め続ける。そのまっすぐな鋭い目で見つめられる時だけ彼は本来の自分自身と再会できるような気持になるんじゃなかろうか。
いや〜面白かったわ〜
毎回「清家一郎」の実体を推理したり、展開を予想したり、いろんな人の感想を読むのも楽しかった〜人間の支配欲とその犠牲者をこんな形で描いてくれた人間ドラマは初めてだと思う。「清家一郎」という人間を探りながら、今自分が生きている世界への不安や問題を突きつけられる心地よさがあった。そして原作の持つ力とともに脚本をはじめとする創り手さんたちのすばらしい仕事を見せてもらったと思う。何より「清家一郎」そのものだった櫻井翔という役者の存在無くしては、この作品は成立しなかったかもしれない。他の共演者さんたちとのコンビネーションも抜群だった。充実した時間でしたわ〜
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しかもその人間は政治家でこの国を変える力を持っている。
自分が望む社会を、その人間を使って実現できるかもしれない。
道上（水川あさみ）も、その欲望に溺れそうになった。
これは世の中のためになる意見だから正義だ、自分だけの意志じゃない、国民が望んでいることなんだ。それを清家一郎に伝える役目をしているだけなんだと。
道上の目を覚ましてくれたのはジャーナリストである山中（丸山智己）。
そして息子・勇気（森優理斗）の純粋な思いだった。
欲望には勝てた道上だったが「清家一郎」の本質を掴むことはできなかった。
「残念ながら、
あなたが追いかけた清家一郎の正体こそ
僕にしてみたら、
はっきりと演じられた清家一郎なんですよ」
一郎の根底にあるのは怒り。
「自分自身」を奪い、そのことを利用してきた人間達への。
そして「自分自身」を捜し続ける宿命を背負わせた者たちへの。
彼の自分探しの旅は死ぬまで続くだろう。
恐ろしいほどの孤独と苦しみとともに。
ただ問題なのは彼が政治家という道を歩いていること。
そしてこの国のトップに立ち、国民の人生を変える力を持ってしまったこと。
「わからないからですよ。
僕自身、何がしたくて何をすべきなのか。
僕には心からやりたいものなど何もないんです。
でも政治家には成し遂げたい政策というものがあるでしょう？
それで、かつて誰かが教えてくれたことをこなしていただけです。
僕は何か指針が欲しいんです。
僕には・・明確な意志など何もないから」
カヌッセンはいないと言い切っていた一郎だが、常に捨てるためのカヌッセンを求めている。それが彼の復讐であり選んだ自分自身だがら。明確な選ぶ基準はない。タイミングと相性みたいなもんか。一郎がヒトラーと同じ行動を取る可能性はゼロじゃないし、その本質に気づかず彼を求め続ける国民は多いだろう。地獄が待っているとも知らず。
「私には泣いているように見えます。その人形。
あなたも怖いんじゃないんですか？
自分のことが。わからないことが。
清家さん、私はあなたを知ろうとすることを諦めません。
それがあなたを救うことになると信じて」
清家が道下を求めたのは、彼女が支配欲に打ち勝てる人間だと判断したのもあるけれど、彼女が「母親」であったことも大きいと思う。一郎の本質を突きつけられた道下が流した涙は彼のため。道下には不安でたまらない顔をしている子供の一郎が見えていた。支配者としてではない、自分を正しい道へと導いてくれる母親としての存在を求めたんじゃなかろうか。何もないと言い切った彼の中にも正しく生きたい・人の役に立ちたいという思いはあるのだと信じたい。だから彼は道下を求め続ける。そのまっすぐな鋭い目で見つめられる時だけ彼は本来の自分自身と再会できるような気持になるんじゃなかろうか。
いや〜面白かったわ〜
毎回「清家一郎」の実体を推理したり、展開を予想したり、いろんな人の感想を読むのも楽しかった〜人間の支配欲とその犠牲者をこんな形で描いてくれた人間ドラマは初めてだと思う。「清家一郎」という人間を探りながら、今自分が生きている世界への不安や問題を突きつけられる心地よさがあった。そして原作の持つ力とともに脚本をはじめとする創り手さんたちのすばらしい仕事を見せてもらったと思う。何より「清家一郎」そのものだった櫻井翔という役者の存在無くしては、この作品は成立しなかったかもしれない。他の共演者さんたちとのコンビネーションも抜群だった。充実した時間でしたわ〜
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matakita821 at 09:03│Comments(0)│2024年ドラマ
