きこりのテレビ日記 #166プレミアムドラマ「エンジェルフライト」第1話 スラムに散った夢

2024年06月08日

ドラマ25「季節のない街」 第10話(最終話) とうちゃん


 たんばさんが立退き交渉に応じ出て行ったことから、勢いがついた「ノーシーズン」は一軒一軒交渉を開始。「ナニ」から13年目の仮設住宅解体にマスコミも注目している。

 立ち退き料は一律5万円(復興住宅の家賃一ヶ月分)+マスク二枚。
もちろんみんな難色を示しとる。

 子だくさんの良太郎さん(塚地武雅)も、はっきり拒絶。
交渉(選ぶ余地ないけど)に来た連中(タツヤ含む)を罵倒するみさお(前田敦子)だったが、ミッキー(鶴見辰吾)から子供達それぞれの父親から養育費をもらえば生活していけると言われる始末。

「(子供達に)お前達は知ってるはずだ。
誰が本当の父ちゃんで、誰が嘘つきか。
そうだよな。リョウコ、父ちゃんの名前言ってみろ」良太郎
「さわがみりょうたろう!」リョウコ
「ハハハ!いやいやいや、どう見てもハーフ。
インド人だろ?出稼ぎの」ミッキー
「アンタに聞いてねぇ!!」


 その夜、みさおは赤ん坊だけ連れて街を出て行った。
そして入国管理局がリョウコの父親のラジニを不法就労の罪で連行。
他にも税金を払っていない者、年金の不正受給者・・叩けば埃の出る者多数。
この街にいることで守られていた公然の秘密が立退き交渉を機に露わになっていく。

 改めてスパイ行為の罪の深さを思い知り、自分を責める半助(池松壮亮)。
なんとこの場所には復興記念のフェスが開催されるメモリアルスタジアムのアーティスト達の控え室や駐車場・簡易トイレが作られるんだって。

「そんなのここじゃなくてもいいじゃないすか!!
フェスの?控室?トイレ?
そのためにみんな出て行くんですか?!」半助
「田中君さ、ここ、確かにいいとこだけど。
ユートピアじゃないからね。
仮の住まいだから。
まともな人間、みんな出てくんだよ。
こんなとこ」島さん(藤井隆)





 島さんの言葉は残酷だけど事実だ。
そんなことわかっている。
わかっちゃいるけど、みんなここにいた。
いつのまにかここは現実世界の手前の休憩所みたいになっていたんだ。

 結局、みんな立退きに同意した。
そして最後の日、「ノーシーズン」主催のお別れ会が開かれた。
たんばさん(ベンガル)には伝え忘れていて来なかったのだが、たんばさんは認知症と診断され一人暮らしは無理とのことでケアハウスに入居したそうな。

 この街じゃ普通にひとり暮らししてたのにね。
なんだかこの街を出たら、ある意味魔法が解けてしまったような。
この街の独特の距離感がたんばさんを守っていたのかしら。

 その後、事件勃発。
この街を離れたくない沢上家のこども達が、かつ子(三浦透子)を人質にして校舎に立てこもったのさ〜!子供達みんなバラバラになると思いつめたみたい。

「仮設って言っても、みんなには仮じゃないもんね」半助

 13年。ここで生れて育った子供もいる。
この街しか知らない子供達。

 大人達だって、一番辛い時に居をかまえ、いろんな思いを飲み込みながら暮らした街。
ここを出なきゃ一歩が踏み出せないのもわかってはいるけれど・・
「みんな一緒がいい!」という子供達の叫びは大人達みんなの思いでもある。

 せめて「やかましく」出て行こうと半助が決心し暴れ出したら、酔っぱらった益夫(増子直純)が島さんちに放火。なんとか出て来た島さんだったがワイフを助けに火の中へ。半助も加勢。実は外にいたワイフは島さん救出へ。そこに六ちゃん(濱田岳)が置いてあったショベルカーで乱入。てんやわんやだよ。

 火はどんどん燃え盛る。
なんとか外に出て来た半助に続き、島さんを背負ったワイフ(LiLiCo)も登場。
ヒーローかよ!

・・・けっ!・・ふん・・・」島
「・・・・・」みんな呆然
ふふふふ・・・ふっふっふ・・ふふふ・・あはは!
最高!サイコーー!!」かつ子


 なんかこの街らしいエンディング。
とんでもない事態なんだけど、なんか笑っちゃう。
ばかみたいだけどあったかくて、呆れちゃうけどこんな面白いとこあるかい?ってね。

 あの夜の騒動はワイドショーで繰り返し流され、SNSで拡散された。
『超悪質!仮設住宅に居座る住民 放火、暴動 令和のスラム街』
・・・( ̄▽ ̄;) スラム街ってアンタ・・

 そうして住人たちは新しい生活をつくるために街から旅立った。

『あれからずいぶんたったが、街の住人だったことを彼らは決して口外しない。
どこかですれ違っても絶対に声をかけない。それは暗黙のルール。
過去を消して社会に溶け込んでいる仲間の邪魔をしてはいけない』


 ファンタジーの世界へ行った者が現実世界に戻ってきても、一切そのことを口にしないように。
でも彼らの心の奥に『季節のない街』ですごした日々は生きている。
あの街での自分を愛おしく思えてるんじゃなかろうか。
「いつも心にあの街」を。

 いや〜面白かった!
第一話の始まりからもう、これは大好きな世界だとわかったよ。
痛みがはかなくて美しい雪に昇華されたような、それでいて人間のたくましさと不思議な輝きが伝わってきて嬉しかった。可笑しくって悲しくて身につまされながらも清々した気持ちになった。
クドカンの新しい世界を確かに魅せてもらったよ。

 それぞれのキャストの存在感も絶品。
いいドラマを見た後のいつも通り、住人達がまだあの街でわいわいがやがややっていて、六ちゃんが電車を走らせているのを感じる。彼らのことが忘れられない。

 第1話 街へいく電車
 第2話 親おもい
 第3話 半助と猫
 第4話 牧歌調
 第5話 僕のワイフ
 第6話 プールのある家
 第7話 がんもどき 前編
 第8話 がんもどき 後編
 第9話 たんばさん

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matakita821 at 17:54│Comments(2) このエントリーをはてなブックマークに追加 ドラマ25「季節のない街」 

この記事へのコメント

1. Posted by 桔梗   2024年07月05日 22:15
もう終わってから大分経ってしまった。
最後は凄かった。子供たちは立てこもるし火事にはなるし、六ちゃんがまさかショベルカーに乗り込むとは・・。
この混沌状態をどうやって撮影したんだろう、凄いよね。
原作も読んだけど、ドラマになった話、ならなかった話、なんとなく納得。
話の広げかた、それぞれの繋がり、そしてどう締めるか・・。これがクドカンなのか。
出て行った住人たちが、それぞれきれいな恰好をして新しい生活に馴染んでいる様に見えたから、これで良かったんだなという気持ちと、整地された跡地で変わりなく走り回る六ちゃんと子供たち、そしてオカベ。
街の外に住んでいたオカベが一番この街のことを記憶し続けるのかもしれない・・。
2. Posted by きこり→桔梗さん   2024年07月06日 18:08
> 最後は凄かった。子供たちは立てこもるし火事にはなるし、六ちゃんがまさかショベルカーに乗り込むとは・・。
カオスだったけど、すっきり終わったね。アレ、一発で撮ったのかね?
ケンカの場面は勢いもあるだろうし、火事は何回もやれないよね。
> 原作も読んだけど、ドラマになった話、ならなかった話、なんとなく納得。
あの原作からイメージを膨らませて、でも根っこはしっかり残して。うまい脚色だったしクドカンらしさも伝わってきたよね。昭和のようでもあり現在でもあり、リアルでありファンタジーであり。すごいよ。
> 出て行った住人たちが、それぞれきれいな恰好をして新しい生活に馴染んでいる様に見えたから、これで良かったんだなという気持ちと、整地された跡地で変わりなく走り回る六ちゃんと子供たち、そしてオカベ。
この二人の姿にほっとしたというか、癒されたというか、でもちょっぴり悲しくもあり。役者の皆さんもすばらしかったよね〜
> 街の外に住んでいたオカベが一番この街のことを記憶し続けるのかもしれない・・。
そうだね、そうかもしれない。街に住んでいた人達は別人のようになって街のことを忘れて生きていけばいい。でもオカベはちゃんと覚えている。そういう役割なんだろうなぁ。そして六ちゃんは街が消えても走り続ける。六ちゃんにだけは街が見えているんだろうなぁ。なんかとぼけていて切なくて、いいラストだったよね。

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