きこりのテレビ日記 #90きこりのテレビ日記 #91

2022年09月25日

『初恋の悪魔』#10(最終話)

 自宅捜査会議は続く。
これが、彼ら4人が選んだ道。
出会った時から変わっていないように見えて変わった4人、変わっているようで変わらない4人。耳かき一杯ほどの変化が彼らの中で起きたけど、その光と闇とともに4人は生きていく。

行くぞ!
マーヤーのヴェールを剝ぎ取るんだ
』鹿浜

 鹿浜の心の中に生まれた一生抜けない棘のような「初恋の悪魔」・・・
彼は、その悪魔を飼いならすことはできるだろうか。
痛みであるとともに喜びでもある不思議な存在。
きっと彼は、その悪魔を猛烈に愛しているのだ。

 こんなドラマを書く人だったんだね。坂元さんって。
初めて、一回目が始まった時から引き込まれた坂元裕二さんの作品。雰囲気も、テンポも、音楽も、キャスティングも、もちろん脚本も、全てにハマった。新鮮なカッコよさにシビれたよ。

 さて、振り返ってみましょう。
玄関前の飛び散った血痕を見つけ、ヤバいな〜ヤバいな〜、コレ絶対殺されるやつでしょ!と思いながらもサイコキラーの元へと近づいて行く小鳥さん(柄本佑)。で、期待を裏切らずやられるという・・・うわっ!!って声が出ちゃって、ミー太がビクッ!としていたよ( ̄▽ ̄;)

 いつものように父親(伊藤英明)に助けを求める弓弦(菅生新樹)。
そして真相に気づき署長を問い詰める鹿浜(林遣都)。
この期に及んでも隠ぺいしようと協力を求める雪松署長。

 確かに弓弦はサイコキラーなのかもしれないけれど、その芽を育てたのは雪松。彼が息子が最初の殺人を犯した時に罪に向き合わせ償わせていたら違っていたかもしれない。もしかしたら雪松にとっては隠ぺい工作が愛情表現だったんだろうか。誰にも言えない家族だけの秘密を絆と勘違いしていたのか?だから苦悩しつつも心の奥でハッスルしていた。そんな父の姿を感じた弓弦は愛に応えようとさらに頑張ったのかもしれない。

 その雪松劇場も終了。捕まって、今度は一緒に罪を背負うことで父と息子の絆を紡いでいくのかな。

 てか、小鳥さんが生きてて良かった〜!あ、森園(安田顕)も(笑)。
そして刺されたショックなのかヘビ女(って言うのもアレだから鏑木さんにするね)(松岡茉優)が消えてしまった・・・
退院後、なぜか鹿浜の家に居候し、いちゃいちゃする悠日(仲野太賀)と星砂(松岡茉優)を淡々と、かいがいしくお世話する鹿浜が切ない。

 悠日たちは自分達の存在が鹿浜を苦しめることはわかっていても傍に居たかったんだと思う。ここにいるのは星砂だけど鏑木さんの気配や匂いを少しでも残しておいてあげたかった。鹿浜と鏑木さん、ふたりの世界・・それは確かに存在し溶け合ったのだから。






 リサ(満島ひかり)釈放の日、星砂が迎えた。
リサはすぐに星砂が「あの子」ではないと気づいた。

 星砂に目をつぶらせて、頬に手を合わせ語りかけるリサに泣けた。

ただいま、星砂。
ありがとうね、待っていてくれて。
これからはずっと一緒だよ


 リサという人間の感覚、余計なもののない心の美しさ、鏑木さんへの純粋な思いが繊細に伝わってきた。鏑木さんはリサの中で永遠に生きていく。
満島さんってやっぱりスゴイ人だ。

 そして・・・
悠日と星砂が出て行った後、以前の生活に戻ろうとする鹿浜・・・
でも戻れるはずもない。
靴下をバラまいてみたり、慌てて捨ててしまった悠日たちの新居の住所が書いてあるメモをさがしたり・・・
ゴミ袋から転がり出て来た林檎を棚の上に置く鹿浜。

 もう林檎も、以前の林檎ではない。
鏑木さんが詰まった大切なものだ。

 ひとり、自分の家の模型を作り、まるで儀式のように記憶とともに、ひとつひとつ人型を置いていく鹿浜。
模型と共に「思い出」としてしまっておこうというのか。

 そこに鏑木さんが散歩に誘いに現れた。

もうすぐ居なくなると思うのでお別れを言いに来ました。
お別れというか・・言っておかなきゃって思って
』鏑木
何を?』鹿浜
鹿浜鈴之介さん、あなたに会えて良かった。
あなたのことを好きになりました。
あなたはとても素敵な人です


 顔を手で覆って涙する鹿浜・・・

 ウワァァ━━。゚(゚´Д`゚)゚。━━ン!!(抑えられん)

これからもあなたのことを思っています
はい

 その後は普通の恋人同士のように他愛ない話で笑い合ったり、
自分の好きなことを伝えあったり、
秘めてきた思いを伝えたり・・・

ありがとう!ありがとう!
僕はもう大丈夫です!
』鹿浜

 振り向かず手をひらひらと振って鏑木さんは去っていった。
夢のような時間。

 これは恋の終わりではない。
鹿浜の初恋はこれからも続くのだ。
ほんの少し変わった自分を愛しながら。

 いや〜面白かった!今季一番好きで楽しみに見ていました。
ミステリーとしても良かったけど、多分、坂元さんが本当に描きたかったのは最終回のラスト30分。
足元に残ったたったひと粒の希望を抱きながら生きていく4人の姿。

 忘れられないドラマになると思います。
スタッフとキャストの皆様へ心からありがとうと伝えたい。
また「first devil」から見直したいなぁ。


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matakita821 at 10:47│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 2022年ドラマ 

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