「カムカムエヴリバディ」 第19週 1992-1993 第89話「カムカムエヴリバディ」 第19週 1992-1993 第91話

2022年03月09日

「カムカムエヴリバディ」 第19週 1992-1993 第90話

 道場で最後の掃除をしている五十嵐(本郷奏多)の元に虚無さん(松重豊)が現れ、練習に使っていた木刀を手渡した。

『はなむけだ』
『虚無蔵さん・・俺は、もう殺陣は・・・』
『どこで何をして生きようと、お前が鍛錬し、
培い、身につけたものはお前のもの。
決して奪われることのないもの。
一生の宝とせよ』

 今の五十嵐にとっては
竹光さえも重いかもしれないが、
殺陣の練習の時間、2人は剣だけではなく
真剣にお互いの心をぶつけあったはず。
学び合った濃密な時間は消えることがない。
竹光はその象徴。

 今までのことは決して無駄じゃない。
必ずこれからの人生にも生かされるはずだと
虚無さんは伝えたかったんだと思う。
いつも心に侍を
忘れるでないぞ。
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 ここから、五十嵐と向き合うジョー(オダギリジョー)と
ひなた(川栄李奈)へ向き合うるい(深津絵里)の姿が同時に描かれる。

 あの詰所にいる五十嵐を訪ねたジョーは笑顔だった。

『事情を知ってるなら・・・
もっと他にあるんじゃないかと』五十嵐
『ほ・・・他にって?』ジ
『いや・・・だから・・・
「娘を泣かせやがって」とか「責任とれ」とか。
「一発殴らせろ」とか・・・』

 ジョーはそんなこと言わないよ。
元恋人の父ではあるけれど、
きっと一人の大人として、
同じく夢を諦めねばならなかった人間として
話しに来たんだと思う。


『すみません・・・
こんなことになってしまってすみません』
『五十嵐君・・・
僕もなぁ、夢があったんや。若い頃。
でも、叶わんかった。
一度は手が届いたように見えたけど・・・
でも、あかんかった』
『あの・・・夢って・・・?』

 ジョーは袋からCDを取り出して見せた。
それはトミー(早乙女太一)のものだった。
トミー北沢は、音楽に疎い五十嵐ですら知っている
ジャズトランぺッターになっていた。


『僕の友達。
レコード出して、CD出して。
アメリカにまで行って。
僕の叶えられへんかった夢、全部叶えてる。
新譜出る度に買うてるけど、一回も聴いてない。
そやから・・・僕には分かるんや。
五十嵐君はひなたのことを大事に思ってる。
そやからこそ、ひなたの前から消えるんやって。
僕がるいの前から消えようとしたように


 いつもの穏やかな語り口・・・
でも、
ジョーがどんな地獄を乗り越えててきたのか、
夢を捨てることがどんなに苦しいことか、
死に向かう道でどんな光を見出したのか・・・
ジョーを見てきたわしらにはわかる。

 新譜が出る度に買っているけど聞いていない・・・
30年近く経っても、トランペットから離れたこと、
その傷と痛みが忘れられないんだね。

 わたしゃ、ジョーが作曲でもして稼いでいるんじゃ・・なんて抜かしていたけど、違ったね。ジョーも一瞬そんな事考えたかもしれんが、辛くて、苦しくて、できなかったんだと思う。それにジョーは吹きながら作曲していたから、感覚の記憶だけでは難しかったのかな。

 るいにとっては、
ジョーが生きていてくれるだけで、
一緒にひなたの道を歩いてくれるだけで良かったんだね。
それがるいの幸せであり、ジョーの幸せ。
望んだとおりの道を、今、2人は歩いている。







 るいは、泣いているひなたの背中をなでながら
『On the sunny side of the street』を歌った。

 まだ赤ちゃんのるいに安子(上白石萌音)が
祈りを込めて歌った子守歌のように。
るいは憶えていたのだろうか。
忘れていたとしても、安子と同じように母親として娘の幸せを心から願った時、自然と口をついて出たんだろうな。


『何?それ・・・』ひなた
『「On the sunny side of the street」。
「ひなたの道を」。
ジャズのスタンダードナンバーや。
ひなたの名前の由来になった歌や
『そうなん?
てっきりお父ちゃんが縁側で 
ひなたぼっこしながら思いついた名前やと・・』
(まぁ、それっぽいけど( ̄▽ ̄;)アハハ…)

『ちゃうわ。
ひなたが「ひなたの道」を歩けますように。
そう思て付けた名前や』るい

 多分、ひなたの前で初めて歌った
「On the sunny side of the street」。
美しくて優しい歌声がひなたの上に光となって
降りそそぐようだったよ。


暗闇に・・・かすかな光が見えた。
るいの手をつかんで歩き始めた道の向こうに。
そしたら・・・生まれてきてくれた。
まぶしい光の塊みたいなひなたが
』ジョー

 あの時、海で見出したかすかな光・・
2人は、それを信じ、
ひなたの道へと向かって歩き出した。
その先で待っていてくれたひなたは、
ふたりにとって神様からの最高のプレゼントだった。


『五十嵐君・・・
これからいろんなことがあると思うけど、
それが五十嵐君の選んだ道やったら
きっとそれが・・・
それは・・・
五十嵐君の「ひなたの道」になるから
『・・・・』
『五十嵐君、
「Life can be so sweet,
on the sunny side of the steet」

ひなたの道を歩けば・・・きっと人生は輝くよ。
じゃあね・・』ジョー

 五十嵐は何もかも無くしてしまったと
思ったかもしれないけれど、
ジョーからのはなむけの言葉が一筋の光となって残ったはず。
去って行くジョーの後ろ姿に深々と頭を下げた五十嵐。
自分が選んだ道は「ひなたの道」へ続いているはず。
そう信じて、前を向いて歩いて行っておくれ・・


『ひなた・・・
「Life can be so sweet,
on the sunny side of the steet」
ひなたの道を歩けば・・・
きっと人生は輝くよ
』るい

 大丈夫だよ、ひなた・・・
ひなたらしく、明るく、
バカみたいに素直に生きて行けばいい。
今の苦しみも悲しみも全部「ひなたの道」へ繋がっている。

 おもちゃの刀を抜いて空を斬ったひなた。
昨日の自分に今日は勝つ!
ひなた・・・侍やのぅ・・


 そして2人の若者を見守り、思いを伝えたことで、
ジョーとるいは、あの痛みを懐かしい遠い輝きと思えるようになったかな。
人生は美しい。
ひなたと五十嵐だけでなく、
るいとジョーの人生にも、心動かされた15分間でした。


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この記事へのコメント

1. Posted by ナナプ   2022年03月09日 17:42
明日はどーなるんかねー?楽しみ
2. Posted by きこり→ナナプさん   2022年03月09日 17:52
>明日はどーなるんかねー?
時は流れて1993年になっているかな?
五十嵐とはあれっきりかなぁ・・・
3. Posted by 桔梗   2022年03月10日 00:56
虚無さんとジョーからのはなむけの言葉。これから生きて行くのに力になる何よりの贈り物だった。
二人とも暗闇を見てきたから、五十嵐のこと応援せずにはいられないよね。
五十嵐はどんな「ひなたの道」を歩んでいくのだろう。
でも安子やるいもすんなり結婚できた訳じゃないから、また会えるかも知れない・・・。
この時代女子も彼氏の夢を応援してるだけじゃダメなのかな・・。
るいはジョーという伴侶と共に歩んできたけど。
ひなたよ、今こそ虚無さんからの特命に取り組んでおくれ。
トミーご活躍で何より。きっと傍らにいつもジョーがいたよね。でも未だにCDを聴けてないとは。






4. Posted by きこり→桔梗さん   2022年03月10日 17:14
>これから生きて行くのに力になる何よりの贈り物だった。
ホントだよね・・すばらしい大人に出会えたよね。
2人とも、ただ五十嵐のこれからのことだけを思って言葉をくれた。
2人のおかげで五十嵐は気持ちを切り替え、未来に目をむけることができるようになったと思う。いつか自信をもってひなたやジョーに再会できる日がきたらいいと思うよ。
>この時代女子も彼氏の夢を応援してるだけじゃダメなのかな・・。
この頃から変わってきたかねぇ・・・
ただ男子の後をついていくだけじゃなくて女性も主体的に人生に向き合うドラマとかでてきたっけ・・
ディズニーのキャラも自分の人生は自分が決めるって感じになってきたよね?
2000年ぐらいからかい?
>でも未だにCDを聴けてないとは。
いつも穏やかで優しいジョーだけど、いまだに聞けていないなんて・・・
のんびり生きているように見えたけど戦っていたんだね。
ちょっとショックだったよ。
トミー、ご立派になられて・・・でもトミーもジョーのことは忘れていないよね。
いつか、この2人も再会できたらいいのになぁ・・

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