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2021年01月17日

「ここは今から倫理です。」 第1話

 面白かった。なかなか衝撃的な第一話だけど、この物語がどんなふうに始まるのかがわかりやすく描かれていたわ〜ちょっと『鈴木先生』思い出しちゃった。
スタイルもビジュアルもまるっきり違うけど。
HPはこちら

 高校3年時選択科目の「倫理」の時間、教師は高柳(山田裕貴)。
活力漲るってタイプではなくてどちらかというと無気力ふう。
一回目の授業は「倫理は学ばなくても将来困ることはほぼない学問です」という言葉から始まった。

「この知識がよく役に立つ場面があるとすれば、死が近づいてきた時とか。
倫理は主に独りぼっちの時に使う。
信じられるものが無くなった時、死が目前に迫った時
人はまず宗教による救いを求める。悩みが絶えず苦しい。憂鬱。
私は何のために生きている?
昔の哲学者達は生涯をかけて悩み抜いた。
「男はこうあるべき」とか「女はこうしなきゃダメ」とか。
そんな事誰が決めた?
「死にたい」
倫理は選択科目ですが実は人生における必修科目です。
今はピンとこなくても一年間はしっかり学んでもらいます」

 いやいやいやいや、中々面白い授業だと思います。
こんな出だしだったら興味を持つと思う。
高校の時「倫理」と言えば楽できる科目としか・・・( ̄▽ ̄;)
受験にも関係ないから赤点取らなきゃいいやって感じだったよね。

 選択した生徒たちは10人いるかいないか。
その中の一人、逢沢いち子(茅島みずき)は一年前教室で性交中に高柳に見つかって以来、彼に興味を持っており、授業後に早速誘惑。しかし高柳が教師と生徒のラインを超えることはなかった。

『残念ながら私は教養ある女性がタイプです。
あなたには教養がない』

 いち子は意外と素直。江戸時代の花魁は教養があり性的魅力だけで客を惹きつけていた訳ではないと高柳に教えられると花魁関係や授業で紹介された本を図書館で借りていたし漢字の練習もしていた。彼女は父親のDVが横行する家庭で育ったため、人には隠していたが他人の機嫌に敏感だった。男子からの誘いに乗るのも性交中は彼らが笑顔になるからであり、誘いを断ると怒る相手に合わせて喜んで応じている演技をしていた。

 そしてストーリー進行役の谷口恭一(池田優斗)は一年前、偶然いち子と高柳のやり取りを目撃して以来、そのクールなさばき方に惚れ込み理想の教師と見定めていた。いじめられっ子だった恭一は自分のような生徒を救いたいとも思っていた。しかし高柳が喫煙室で煙草を吸っているのを見て幻滅。いじめっ子に煙草でジュっ!とやられた経験のある恭一は煙草に関わる全てを嫌悪していた。

 まぁ、痛い目に遭ったからっていうのもあるけど、若い頃って簡単に幻滅するよね( ̄▽ ̄;) すごく好きだった相手も変なズボン履いてたってだけで嫌いになったり、しぐさや発言で180度変わったりね。

ここは今から倫理です。 1 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)ここは今から倫理です。 2 (ヤングジャンプコミックスDIGITAL)


『タバコなんてやめればいいのに・・』恭一
『谷口君もそう思うのですね』高柳
『だって・・体に悪いし、お金だってかかるし、
何より人に迷惑がかかるし・・』
『条例で定められた方法で作られた喫煙所の中で
喫煙者が自ら望んで煙草を吸うことは迷惑な行為ですか?』
『だけど、実際に嫌な思いをする人はいる訳だし、
止めた方が怒られないし』

『すみませんが、煙草を止めることは私の救いにはならないんです』

 なんか高柳という人は『倫理教師』というアイデンティティに救われているような。多分すごく惑って辛い時期を過ごした時に『倫理』に出会って「自分」の芯を作ることができて「自分」を守ることができたんじゃなかろうか。

 高柳と出会い、今までとは違う価値観に目覚めたいち子はセックスフレンドの男子だちと距離を置こうとする。それにキレた男子が教室で無理やり事に及ぼうとする。それを目撃した恭一は(よく目撃するな( ̄▽ ̄;) )は迷った末高柳に助けを求める。そうして現場に現れた高柳は押さえつけられているいち子に1年前と同じ質問をした。

『合意でしょうか?
本当に深く愛し合っての切羽詰まっての逢瀬なら時間と場所についての注意に止めます。
逢沢さん、合意ですか?』高柳
『・・・・違う

 それを聞き、高柳は男子生徒を引きはがした。逆上した生徒が殴ってきたが返さず、再び振り上げた手をおろさせたのみだった。

『やめなさい。
私はあなたを殴れない。
異性の生徒にいたっては落ち着くように背をさすってやることもできない。
セクハラになってしまう。
お願いします。暴力は止めてください』


 結局高柳の目と態度に恐れをなした男子共は去っていった。

『あなたが倫理の授業を選んでくれて良かった。
倫理は人の心に触れ自分の心に触れてもらう授業です。
あなたの背中に触れ慰めることはできませんが
あなたの言葉を聞き、あなたの心に触れ、慰めることはできる』高柳
『好き。私、やっぱり先生が好き。
いっぱい勉強する。きれいな字書けるようになる』
いち子
『・・・「愛こそ貧しい知識から豊かな知識への架け橋である」。
マックス・シェーラーの言葉です。
続きはまた倫理の時間に』

 知識や教養って多分こういうこと。
その人自身の中に眠っているものを目覚めさせ広い世界を見られるようにしてくれる。一年前問われた時、その意味さえわからずやり過ごしたいち子が今は自分の中ではっきりとした答えを見出し行動することができるようになった。知識が時に武器となり、時に自分を守ってくれるものになるんだね。
今のこの時間は確かに「倫理」の授業であり、そのリアルな時間の中で高柳の心といち子の心はふれあい、いち子は気づきを得た。そして「自分」を見つめ、変わる勇気を得た。

 そして一部始終を見ていた恭一は高柳教に再び入信。
いじめられっ子だったことを告白し自分のような子を救える「いい教師」になりたいと伝えた。

『谷口君は苦労してきた分、人の痛みが人一倍わかるのでしょう』高柳
『そうなんです!誰よりもわかっているつもりです!』
『じゃあ、私のことも煙草嫌いな小林先生から救ってもらえますか?』
『・・・・・』
『善も悪もいつだって曖昧です。
「善なるものは吾これを善とし 不善なるものも吾またこれを善とす 徳は善なればなり」。老子の言葉です』

『ど・・・どういう意味ですか?』
『善人も悪人もみな善人だということです』
『いじめっ子も善人と思えって言うんですか?』
『善人であるから救う、悪人であるから救わない。
そうしてしまえばあなたはいつか、いじめっ子をいじめてしまうかもしれませんよ。
私はきっと「いい先生」じゃないけれど、あなたにはなって欲しいな。
いじめっ子もいじめられっ子もすべてを信じ救える先生に』

『・・・・・あの・・・最後に教えてください。
何で煙草吸い始めたんですか?』
『大学生の頃、喫煙ルームに入り浸っていた先生と
一度おしゃべりしてみたかったんです』
『・・・・・・・』
『ふふ・・・くだらないって顔してる。
ではまた、倫理の時間に会いましょう』

 決めセリフ来たーーー!(笑
おもしろい!おもしろいぞ、高柳先生。
今という時代を生きる「倫理教師」という人間。彼が学校という世界で生きることを選んだ理由も知りたい。喫煙ルームでおしゃべりできた先生が彼の扉を開いてくれたのかな?

 倫理の授業は自分自身の思い込みというか確実だと思っているものに対する疑問から始まるのかしら。
悪だからやっつけてもいい、善だから自分は正しい、凝り固まった考えは危険だしその考えに固執しているとまるっきり逆方向に来ていることにも気づかないのかも。長谷川平蔵様は『人間(ひと)とは妙な生きものよ。悪いことをしながら善いことをし、善いことをしながら悪事をはたらく。こころをゆるし合うた友をだまして、そのこころを傷つけまいとする』と言っていたけれど、人間の心の中にある善も悪も共にねじり合い、光の辺り具合や風の方向によって変わってくるのかもなぁ。単純でありながら複雑、複雑に見えて単純。高柳先生、もっと教えてください!来週も待っております。

「ここは今から倫理です。」 第2話



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この記事へのコメント

1. Posted by 桔梗   2021年01月23日 18:05
本気の学園ドラマ、リアルタイムで見ましたよ。
30分、目が放せなかった。
熱血教師とかじゃなくて、「倫理」に視点を持ってくるとは。
最近見てるEテレの宗教の時間の「コヘレトのことば」のシリーズも好き。
NHKの本気に期待です。
では、また倫理の時間に
2. Posted by きこり→桔梗さん   2021年01月23日 22:16
面白かったよね〜!全然期待してなかったんだけど(笑
>熱血教師とかじゃなくて、「倫理」に視点を持ってくるとは。
そそ!そんな視点があったとは・・
どんな場面でもあくまで倫理教師として生徒と接する姿が新鮮。
決してラインを越えない(これからもそうあって欲しいわ)クールな姿勢もいい。
きっと今の学校という世界を見せてくれるんだろうと期待しているわ〜
>最近見てるEテレの宗教の時間の「コヘレトのことば」のシリーズも好き。
Eテレは自動録画になっているから確認したら(4)だけ確保できたわ〜明日見てみる〜
Eテレは相変わらず攻めてるよね。たまに、ん?コレはなんだ?って番組に出会えるからまめにチェックしないとだね。

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