華麗なるニャッツビー「この声をきみに」 第1回 つまらない男

2017年09月03日

「植木等とのぼせもん」 第1回 誕生 スーダラ節

 楽しみにしていたドラマがまた始まりましたョ〜
いや〜いいもん見せてもらいました。
まず山本耕史さんの創り上げた植木等の完成度の高さに驚いた!
佇まいはもちろん話すトーン(ドラマや映画に関してしか知らんけど)が植木等そのもの。
映画見ている時と同じように『ウッヒャッヒャッヒャ』という植木等の
笑い声に一緒に笑っちゃったよ。
そして歌の部分はさすがに難しいからふき替えにしたんだな〜と
思ったんだけど、にゃんとヤマコーが歌っていた!神かよ?!( ̄∇ ̄;)

 でも、勘違いしちゃいけないのはこのドラマがすばらしいのは
ヤマコーが植木等そっくりだからじゃない。
私的には実在の人物を描いたドラマでの再現率はそれほど重要ではありません。
顔の雰囲気も身長も体格も全く違う俳優が設定と脚本という枠の中で
その人をどう解釈し表現するのか。そこにわくわくする。

 ヤマコーの植木等からはキャストの皆さんとのバランスを保ちながら
「植木等」という人間の存在感と魅力がしっかり伝わってきた。
そして彼のその奥にあるものを知りたいと思わせてくれた。
なにより、そのスピリットを感じさせてくれた。
「植木等のスピリット」って何ぞや・・?
私もうまいこと説明できないけど妻の登美子さん(優香)の言葉に詰まっているように思いました。

「真面目に無責任やってください」

 テレビの画面やスクリーンに映る軽くて無責任で運まかせのイージーな男。
でも、その「無責任」は「適当」じゃない。
植木等という人間の信念がしっかり根っこにあるからこそ
あそこまで自我を消してどこまでも軽やかに力強く演じることができた。

 平均(たいらひとし)に代表されるキャラクターにそんなバカな・・と驚きつつも、
その圧倒的な自己肯定感を笑いつつも引っ張られ、
もっとやってくれというエールを送らざるを得ない、
そしてその期待を遥かに超えてくれる男。
バカバカしくて、スマートで、うまく立ち回っても憎めない、
どこにも支配されない自由で魅力的な唯一無二の存在。
まさに日本中が彼を求めていただろうし、彼にしか創れないキャラクターだったんでしょう。

 このドラマはそんな「植木等」になるために支えてくれた人達の存在、
その中でも「付き人」という立場だった小松政夫から見た「人間・植木等」を
時代の勢いと共に描いてくれるようです。
HPはこちら


 ドラマは昭和36年、植木等(山本耕史)が父・徹誠(伊東四朗)に
歌手として歌うことになった『ひどい歌詞』についてボヤく場面から始まる。

「『チョイト一杯のつもりで飲んで いつのまにやらハシゴ酒
気が付きゃ ホームのベンチでゴロ寝
これじゃ体にいい訳ないよ
わかっちゃいるけど やめられねぇ』・・・なぁ?」植木
「・・・・すばらしいじゃないか。
『わかっちゃいるけどやめられない』・・・
これは親鸞聖人の生きざまに通づるものがある」徹誠
「それは大げさってもんじゃないのぉ?」

「親鸞聖人はもがき苦しんで90歳まで生きられた。
その年月を振り返った時、やっちゃいけないことばっかりやって・・・
まさに『わかっちゃいるけどやめられない』・・・だったと。
等、この歌は大変な歌だぞ
「・・・・(;-_-) =3 ったく・・・冗談じゃないよ。34にもなってこんな歌歌うの!」
「坊主を継がなかった罪滅ぼしに、歌ってこ〜い・・」

 徹誠さんは元僧侶。
この親子がここに至るまでにもいろんなドラマがあったでしょうが今回は省略。
修羅場を乗り越えて来たらしい飄々とした穏やかな佇まいは、まさに『植木等』。

 父親の言葉に説得された訳ではないが、多分、植木等と言う芸人は
与えられたものを「受け止める」ことで成長してきたんじゃないか・・
彼の中には「こんな歌がヒットするようじゃ日本はおしまいだよ!」という
思いが消えなかったようだけど、ある意味ドライにも見えるこだわりのなさが
「植木等」を作ったのかもね。


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 「スーダラ節」は大ヒット。
「♪ スイスイスーダラダッタ スラスラスイスイスーイ〜 ♪
♪ スイスイスーダラダッタ スラスラスイスイスーイ〜 ♪」

 重力無視の軽やかさで現れ、泳ぐようにリズムにのって歩く植木等とクレイジーキャッツの姿を覚えている方も多いでしょう。
植木等を演じる上で難しいのが、この重力を感じさせない「軽さ」だと思うのです。
浮かんでいるのとも違う、キレもあるけど穏やかで安定感のある動き。
あの手で道を切り開いているような確実な軽さ。
植木等を見て、自分達の求めていたものはコレだ!って初めてみなさん気づいたのかもね。
 

 主演で映画化が決まった。
脚本はできてないけどタイトルだけは決まっていた。
『ニッポン無責任時代』。

「無責任・・・・(-言-)」植木

 いや〜映画製作現場の場面には笑っちゃった。
あの無責任キャラは監督の古澤憲吾(勝村政信)が「植木等」にインスピレーションを受け
創り上げたものだったんだね。
唐突に始まる一人ミュージカル、全く空気を読まない不条理感、
そこで弾けすぎることにより生まれる笑い。
コレ、ある意味革新的な作品だったんじゃないの?


「そんなバカな踊りやる奴、本当にいるんですか」植木
「いない!いないからいいんだ!」監督

 この監督って『シャボン玉ホリデー』の「監督コント」のモデル
なんじゃ?(* ̄m ̄)プッ


 映画も大ヒット。『無責任シリーズ』は次々と製作された。
それと共にクレイジーキャッツの忙しさも極まり、皆さん、体力も限界。
ついに植木は倒れ入院してしまった。

 元々、異常な忙しさに喜びよりも違和感を感じていた植木は、ここらで活動の仕方を見直して欲しかったようだけど世間も社長(高橋和也)もそうはさせてくれなかった。

「自然な生き方じゃないよ、こんなの。
コツコツ骨折ながらやっと生きていくのが本当の人間だろう?
少なくとも俺はそういうたちだ。
なのにやってる事ときたら『こつこつやる奴ぁ、ご苦労さん!』なんて・・・」植木
「今あなたを必要としているのは私たちだけじゃない。
俺たちでもない。
日本があなたを求めてるの。社長さんが、そうおっしゃってたわ」登美子

「はぁ〜勘弁してくれよ・・・」
「家と子供のことは大丈夫。私が責任を持って守りますから。
だからあなたも責任を持って無責任やってください」

 素敵な奥様だな〜
こういう妻や子供達の存在に支えられていたからこそ『植木等』を演じられたんだろうなぁ・・
『寅さん』を演じきることで孤高の人になっていった渥美清さんのことが思いだされる。
芸人として求める道も方法もそれぞれで、どちらも大好きな芸人さんだけど、
植木等さんの家庭人としての顔にはほっとしました。


 一応、社長の配慮ってことで植木に付き人が付けられることになった。
それが、のちの小松政夫である博多出身の松崎雅臣(志尊淳)。

 失礼ながら志尊淳さん、このドラマで初めて知りました。
ちょっとイケメンすぎて、なぜこのキャスティング?と思わないでもなかったけど・・
さらに演技的にも一生懸命さが全面に出すぎて、ちょっとどうかな〜とも思っちゃいましたが、そういう役なのでちょうどいいとも言えましょう(すいません・・偉そうに)


 これから松崎が関わることになると思われる理髪店の主人のでんでんさん・・・
カミソリ手にして目を光らせる姿に熱帯魚が見えて笑っちゃったわよ〜


 この松崎、緊張感の度が過ぎてどうかとも思うが、よく気が付くし、動ける子よ〜
父親は彼が中学生の頃に亡くなっており、母一人7人兄弟という環境に育った。
付き人になる前は横浜で2年間サラリーマンをしていたそうな。
自己紹介の時、自分のことを「のぼせもん」と言っていたけど、故郷の言葉で『カ〜ッとなりやすい者』のことなんだって。

 植木は自分のことを「親父(おやじ)」と呼ぶよう言いましたぞ。
亡くなった父の代わりになってくれようという植木の言葉に松崎の目はウルウル・・・

 新参者松崎の目に映る家庭人としての植木等が新鮮でした。
父親としても夫としても頼りになるバランスのいい人だったんだな〜
松崎の心を通して描かれる物語に期待が膨らみます。
エンディングのクレイジーキャッツの演奏も最高。
土曜日は『悦ちゃん』から『のぼせもん』・・・昭和を生きられるわね。


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matakita821 at 14:33│Comments(8)2017年ドラマ 

この記事へのコメント

1. Posted by 紅緒まま   2017年09月09日 10:09
あっ、このドラマ始まってるんですね。
先日、録画していた番組にこの番組の番宣が入っていて面白そうだなと。
植木さんも植木さん演じる山本さんも好きですよ。
小松政夫さん、おいくつなんだろう、今。
そうそう、寅さんと彼を演じた渥美清さん、思い出されますね。
2. Posted by きこり→紅緒ままさん   2017年09月10日 19:33
>植木さんも植木さん演じる山本さんも好きですよ。
いや〜山本さんの凄さを目の当たりにしましたよ。
クレイジーキャッツのメンバーを演じる皆さんも楽しい♪
ちょっと誰が誰かな〜って確認しながらになりますが( ̄∇ ̄;)
本当に小松政夫さん、若々しいですよね。おいくつなんでしょう・・


3. Posted by Largo   2017年09月12日 16:59
きこりさん お久しぶりです(^^#;;

「しゃぼん玉ホリデー」はぎりぎりリアルタイムで(^^;;)、クレイジーと植木さんはマイフェヴァリット・コメディアン&ミュージシャン、あの音楽とお笑いがミックスされたおしゃれなバラエティーが大好きでした。
普段はNHKしか見てはいけなかった我が家ですが、この時間だけは視聴を許されただけでなく、一家揃って爆笑したものです。一方で山本さんウォッチャーでもありまして、どちらも好きだからこそ、ドラマ化がとっても不安だったんです。
>「植木等のスピリット」って何ぞや・・?
2話まで見て、単なるバックステージものに終わらない予感がして、嬉しいです。
>エンディングのクレイジーキャッツの演奏も最高。
これでグレードがあがりましたわ。山内さんのドラムにはびっくり(^^☆)

何かと筆が進まず、このドラマの感想も書き逃してしまいそうだけど、最終回までしっかり見ますです〜♪
4. Posted by きこり→Largoさん   2017年09月13日 22:24
Largoさ〜ん!こちらこそごぶさたしております。時々覗かせていただいてはいたのですが共通するドラマがなく、すごすごと引き下がっておりましたゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
「シャボン玉ホリデー」は見ていましたョ〜カラーになってからでしたけど(笑
当時でもホントおしゃれだな〜と思った特別な番組でした。
私は音楽音痴ですが、クレイジーキャッツは音楽家としてもすごいんだろうな〜
でもコントもすごいし、そういうのがカッコいいよな〜と思っておりました。
Largoさん家はNHKオンリーだったのに視聴を許されていたとは、やっぱりクレイジーはすごい存在だったんですね。
>どちらも好きだからこそ、ドラマ化がとっても不安だったんです。
わかります。私も山本耕史さんはすごい人なんだろうな〜とは思いつつ
植木等はどうなんじゃろうね〜と・・・( ̄∇ ̄;)
「トットてれび」もアレだったし・・・
でも、新鮮な喜びを感じながら見ています。これからどんな植木等を
見せてくれるのかわくわくですよ〜
>山内さんのドラムにはびっくり(^^☆)
私も!いや〜みなさん、さすがですよね。ざ・ピーナッツも。これからもいろんな歌手のみなさんが出演されるでしょうが、不安よりも期待が高まっています。
>何かと筆が進まず、このドラマの感想も書き逃してしまいそうだけど
私もちょっとバタバタしていて2回目は書けなかったんですが
書ける時に書くってことで・・( ̄∇ ̄;)
一話一話味わっていきましょうぞ。
5. Posted by ヒロル   2017年09月17日 18:03
きこりさんが このドラマを紹介されてるのを拝見して、父に 電話で紹介しましたら、帰省した際、しっかり録画されてました、すぐ冒頭を見てみましたが、なんだか ウルウル来て、親の前で泣けないと思い、保留になってます、
1人で見たら号泣しそうです。💦
6. Posted by きこり→ヒロルさん   2017年09月18日 12:38
こんにちは〜♪ なんだかお父様と趣味が合うようですね。
この年代はいいですよねぇ。私ももう少し早く生まれて60年代70年代に青春を
過ごしたかったな〜なんてよく思います。
2回目3回目と感想は書いていませんが植木等さんと小松さんの深まって行く繋がり、
そしてクレイジーキャッツという仲間との強い信頼に基づいた絆には毎回、心動かされます。30分という短い時間の中でエンターティメントとしても楽しめるし、充実した時間になっております。
って、ヒロルさん、号泣って・・ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ 
でも、思いっきり泣けるっていいことですよね。
私も毎回じわ〜っときております。キャストとスタッも信頼で結ばれているのでしょうね。
7. Posted by hirolu   2017年09月18日 21:22
号泣とか 言って 驚かしてすいません!
クレイジーキャッツの時代は、まさに両親そのものといいますか、ジャズが好きで ジョークが好きで、ちょっとカッコつけてて、、今はかなり弱ってきた寝たきりの母と 介護する父、
両親と過ごした思い出が遠く切なく、
番組を見た瞬間、多分 無意識に重ね合わせる自分がいたので、感傷的になってすいませんでした!
8. Posted by きこり→hiroluさん   2017年09月19日 18:31
いやいやいやいや・・こちらこそ妙な文章になってしまってごめんなさい。
クレイジーキャッツはお父様、お母様、hiroluさんのとても大切な思い出の一部なのですね。素敵ですね。hiroluさんが音楽の道に進まれたのもご両親の影響が大きいのでしょうか。音楽ってあっと言う間に思い出の時間に戻してくれますよね。
それを聞いた時の状況や匂い、感覚が鮮やかに蘇る。癒される時もあれば励まされる時もある。音楽音痴の私ですが音楽のもつ力を感じることは多いです。

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