「この世にたやすい仕事はない」 最終回 大きな森の小屋での簡単な仕事 後編 2017年 我が家の庭 その4

2017年05月28日

「ツバキ文具店 〜鎌倉代書屋物語〜」 第七話 話せなかった思い 

 蜜朗 (上地雄輔)の奥さんの死因についての告白の続きから始まりました。
奥さんはスーパーに買い物に行った時に見ず知らずの男に刺殺されてしまったのでした。
その時、一緒にいたはーたん(新津ちせ)は2歳になる前で記憶はおぼろげなものだと思われますが「スーパーで買い物」と聞くと、不穏なものを感じて怯えてしまうのでした。

 蜜朗は呆然自失となり、しばらくは何もできなかったそうな。
でも、このままじゃいけないと一念発起してカフェを開いたらしい。
鎌倉でカフェをやるのは奥さんの夢だった。

 いつも鳩子(多部未華子)を癒してくれる二人にそんな辛い過去があったとは・・
あまりの衝撃に鳩子も何も言えなかったさ。


 さて、ツバキ文具店には旧暦2月3日に行われる手紙供養のための
手紙が全国から届いております。
文塚の前で火を焚いてお焚き上げをするらしい。

 これって、この物語だけの行事なのかな?
ネットで調べてみたら、遺品的な手紙なら神社のお焚きあげで受け付けるそうな。
手紙ってやっぱり人の思いがこもっているものだから簡単に捨てられないもんだよね。
(と言いつつ、私はここ2,3年の断捨離でほとんどの手紙を
処分しましたが・・・( ̄∇ ̄;)
自分が死んだあとに処分困るだろうな〜とか思うと
大抵のモノは処分できるもんだす)
こうやって成仏させてくれたら安心だぁね。


 さて、そこで今回の依頼人だす。
名前を名乗りたがらないので鳩子は『匿名さん』と心の中で呼ぶことに。
差出人だけは「元姉」と教えてくれました。
そして、その内容は「絶縁状」!

 送る女性との関係は高校の同級生で親友。
夫よりも大切な存在だったようで絶縁を決めるまで週2,3回は会う仲だった。

「本当は自分の血で呪いの手紙を書いてやりたいけど、
あの女にはそんなことすらしたくない」とか
「完全に縁を切りたいんです」とか・・穏やかじゃないぞ〜( ̄∇ ̄;)
いったい何があったんだろうねぇ・・・
HPはこちら
 

ツバキ文具店


 鳩子も「絶縁状」なんて出して後で後悔するんじゃ・・と心配したんだが
匿名さんの決意は固いようだす。

「友達は選べるの。ストレスを溜めてまで付き合いたくない。
大人だからこそ、けじめが必要なのよ。
私たちの関係をあなたが斧でぶった切ってちょうだい

『誰かの幸せのために役に立ちたい。
それが代書屋の心意気だと思う。
それなのに相手を傷つける手紙をあえて書く必要があるのだろうか・・』


 引き受けることになっちゃったけど・・・鳩子の心はもやもや〜ん・・
タイミングよく現れたバーバラ婦人(江波杏子)に絶縁したことがあるか聞いてみたら、さすがバーバラ婦人、示唆に富んだお言葉を。

「絶縁するってことは、それだけ相手に執着があるっていうことよね。
見方を変えれば、絶縁も愛情の証かもしれない」

 なるほど〜
匿名さんも「斧でぶった切る」って言ってたもんね。
斧でぶった切らなきゃならないほど太い絆だったということか・・・
そして他人にぶった切られないと断ち切ることができない関係・・・

 まぁ、女性の場合はここまでならなくても、少しづつ距離を置いて
フェイドアウトとかあるよね。
お誘いを何度か断っていたら相手も察するだろうし。

 こんな私でも若い頃は無理して付き合っていたことあったわ〜
友達少ないから貴重な友達を逃しちゃいけねぇと思って頑張ったというか( ̄∇ ̄;)
でも、ある日いつものように電話が来て話を聞いていたんだけど、
なんも言えなくなっちゃった。相槌さえ打ちたくなくなって。
相手にしてみたら意味わかんないよね。
彼女とはそれっきり。時々、どうしているかな〜って思い出すよ。
今ならもっと自分の言いたいことも言って気持ちいい距離感で付き合えるかもなって思うけど、時間は戻らないやね〜


『私は・・・先代のことを思い出していた』

 家を出ていくという鳩子にカシ子(倍賞美津子)は「東京でどうにもならなくなったら、このお金で帰ってきなさい」とのし袋を手渡してくれたけど、鳩子はそれを地面に叩き付け、逃げるように去った。
それが祖母との最後だった。

 祖母へ向けた怒りはそのまま求めていた愛情の裏返し。
愛されたいのに愛されていないと思っていたから絶縁せずにはいられなかった。


『絶縁状・・・・本当に書いていいのだろうか・・・』

 そんな時、あの『ミスターX』が来店。
一緒にいた魚福の奥さん(大島蓉子)と共に身構えたが・・・
実は彼はカシ子の友人の使者だった。

 彼はイタリアから来たアンニョロと名乗った。
彼のお母さんは日本人で長いことカシ子のペンフレンドだったそうな。
カシ子の最期の手紙から時間が経っていたので、死を察したお母さんが今までもらった手紙を鳩子に渡すよう頼んだんだと。
カシ子が送った手紙の束を受け取ったけど、鳩子はすぐに読む気になれず置いておいた。

 さて・・・もう出てこないと思った鳩子の元彼・武田がまた店に来たよ。
そこで男爵(奥田瑛二)と鉢合わせ。
やはり作家の龍崎は男爵でした。

 びっくりした鳩子は、すぐにパンティーさんに教えたんだけど反応が鈍い。
こりゃ、事前に知っていたね。
てか、男爵と付き合ってんじゃないのかな〜( ̄▼ ̄)ニヤッ!


『縁というのは不思議だ。
人と人は目に見えない力で引き合うのかもしれない。
そう思うとやはり絶縁なんて簡単にしてはいけないことだと思う』


 鳩子は匿名さんを呼び出し、やはり絶縁状は書けないと伝えたんだけど・・・
気持ちは変わらないようです。

 匿名さんがぶっちゃけてくれたことによると、元妹は親友のフリしていたが
実はずっと匿名さんを嫌っていたらしい。

「そりゃあ、私が心のどこかをごまかせば今まで通りの関係を
続けられるかもしれない。
でも、もう、ごまかしは嫌なの。
・・・・・・・・・今のままじゃ、あの女だって幸せになれないもの」

 彼女の言葉から、絶縁状とは言え相手のことを思いやる気持ちが見え、これは前向きな絶縁状なのかもしれない・・と思ったのか鳩子は改めて依頼を受けました。
なんだろうねぇ・・・陰口でも聞いちゃったかな。
そして慕われているから付き合っていると思っていたけど、
実は自分の片思いだったと知らされたのか・・
でも、向うが嫌なのに付き合いを断ち切れないのなら、こっちから切ってあげるのが姉としての最後の仕事と思ったのかな・・


 でも、どういうものが『匿名さん』らしい手紙なのか掴めずにいた鳩子ですが・・・
はーたんからの手紙を見て反転すると読むことができる「鏡文字」を思いついた。

『便箋は羊皮紙に決めた。
動物の皮なので簡単に破れたり燃えたりしない。
羊皮紙には虫こぶインクを使う。
植物にできる虫こぶと呼ばれる膨らみを砕いて鉄などを混ぜたインクだ。
それを羽ペンにつけて書く』


 いや〜ここにはどれだけの種類の便箋とペンがあるんだろうね〜
手紙に綴る思いや事情は人の数だけあるもんね。
そう考えると人間っておもしろくもあり、悲しくもあり・・・


 作業はかなり時間を要しました。
まず文章を決める。その後にそれを鏡に映し書き換える。
その後、清書。

 鳩子の書いた絶縁状はこちらから確認できますョ〜

 すばらしい絶縁状です。
匿名さんの元妹への深い愛情と感謝が見えるし、鳩子の意図どおり鏡文字を使うことで彼女の裏返った思いと強い決意が伝わってくる。

 嘘は人の心の奥を蝕み気づいた時には自分がわからなくなっている。
嘘をつく方はいろんな理由で嘘をつき続けているのかもしれないけど、
知らないうちに自分自身を傷つけ貶めている。
匿名さんは妹を自分から解き放つことで自由にしてあげようとしているんだよね。
そして手紙を読んだ匿名さんも自分を赦すことができた。
よかった・・良かったよぅ・・・(´;ω;`)ブワッ


 彼女の前向きな笑顔に励まされ、鳩子も勇気を出してカシ子の手紙を読むことにした。
手紙供養を終えたらね。

 供養の前日、清太郎(高橋克典)が現れた。
お母様(草村礼子)が一週間前、脳出血で亡くなったので、父から母へ送った手紙を供養してもらうために。

「母は父からの手紙を受け取って安心したんだと思う・・・
とても・・・・・安らかな顔でね。
父が母のことを迎えに来たのかもしれない」清太郎

「いいんですか・・・?焼いてしまって」鳩子
「母はこの手紙のことも全部持って行きたかっただろうから」

 そっか・・・処分というアレだけではなくお焚き上げは亡くなった方の元へ
届けるという意味もあるんだね。
これが見送る側の息子としての最後の仕事だね。
お父様もお母様も天国で喜んでいると思うよ・・・


 そして手紙供養の日、お焚き上げをしているとバーバラ婦人が現れ、ハンカチに包んだあのブローチと封筒を自ら火へ投じた。
ブローチはパリで暮らしていた時にバーバラ婦人が愛した画家、妊娠がわかった時交通事故で亡くなった方との思い出の品。
そして封筒の中には亡くなった娘の毛髪が入っていた。

「いつかは思い切らないと前に進めないでしょ・・・」

 生きているものは留まっていちゃいけない。
前に歩いていかなければ。辛くても悲しくても。
それが残された人間の相手への愛情であり覚悟なんだと思う。


『みんな心に刺さって抜けない棘がある。
それは私にとっては先代なんだ』


 鳩子はカシ子の手紙を開きました。
それは代書屋だったカシ子が自分のために書いた唯一の手紙だった。
幼い鳩子との生活の喜びに始まった手紙は、年を経て鳩子との関係を憂うものへとなり、気持ちが伝わらずこじれていく関係に悩み苦しむ心情を吐露するものへと変わっていった。

 厳しく接することが鳩子のためになると信じてきたけれど、それが鳩子をずっと苦しめてきたと知ったカシ子の痛みと後悔・・・
でも、どう接したらいいのかわからない・・・
不器用だけど確かな愛情がそこにはありました。


 最期の一通は病院から一時帰宅した時のものでした。
死を覚悟したカシ子の思いが詰まっていた。
そこでカシ子は自分が一人になりたくないばかりに娘の手から鳩子を奪ったと告白していました。
娘は鳩子を連れて行こうとしていたのに自分がそうさせなかったと。

 そしてツバキ文具店が先祖代々続いてきた代書屋だというのも大ウソであり
代書屋は自分が始めたことだと書いてあった。

『今は心から鳩子に謝りたい。
でも、どこにいるのかすら教えてもらえません。
体が丈夫だったら日本中探しまわって謝りたいのに。
静子さん、人生って本当にままならないものです。
私はなにひとつなしえなかった。
人生なんてあっと言う間。本当に一瞬なのです。
おそらく私はもう長くは生きられません。
次の手紙が一ヶ月たっても届かなかったら、
その時はもう、私がもうこの世にいないものと思ってくださいね。

書きたいことはもっとあるの。
でも、もう、手に力が入りません。病院に戻らないと・・・
ありがとう、静子さん。グラッチェ

あなたとあなたのご家族の幸せを遠くの空よりお祈り申し上げます』

『どうしてわからなかったんだろう・・・先代の愛情を・・
自分の人生のすべてを捧げて・・・こんなにも私を愛してくれていたのに。
私はそんな先代を一人で死なせてしまったんだ』


 これは代書屋としてのカシ子が雨宮カシ子の依頼を受けて書いた手紙なのかもしれない。
自分では伝えられなかった思いを残った鳩子が生きていくために伝えたくて。
この手紙がいつか鳩子の元に届くだろうと信じて。
代書屋は自分が始めたことというのも、娘から鳩子を奪ったというのも
鳩子の心を自由にするためについたカシ子の嘘なんじゃないだろうか。
でも、その嘘が鳩子への溢れんばかりの愛情・・・


 鳩子は初めて泣いた。
そして人間としても代書屋としても、すっかり自信を失ってしまった。
そして、そんな時、蜜朗から店を閉めて、はーたんと実家に帰ると
伝えられてしまったわ・・・

『初めから私に代書屋の資格なんてなかったんだ・・・
人の心を預かる資格なんて・・・』


 亡くなった者、そして残された生きていく者のそれぞれの思いが交差するように描かれた回でした。
も〜さざ波が来るように何度も泣かされてしまったわ。

 次回はついに最終回。
鳩子は息を吹き返すことができるのでしょうか。


 第一話 奇妙なお悔やみ状
 第二話 幸せの修了証書
 第三話 けじめの断り状
 第四話 最後のラブレター
 第五話 母へ贈る文字
 第六話 愛するチーちゃんへ

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1. ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜 「解き放たれた言葉」  [ のほほん便り ]   2017年05月28日 15:12
珠玉だったラスト前。依頼されたのは、絶縁状だったのですが、それについて考えを巡らせていくうち、偶然、鳩子(多部未華子)は、亡きカシ子(倍賞美津子)が書いた手紙を読むことにそして、いろいろな祖母の想いを知り、ショックで、スランプとなります。店も休業してしま
2. ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜 第7話  [ emitanの心にうつりゆくもの ]   2017年05月31日 13:47
第7話 「怪しい外国人の正体が!祖母の手紙に見いだす衝撃の真実は」

この記事へのコメント

2. Posted by ヒロル   2017年05月31日 12:32
すいません!!、夜中に寝不足でコメントに変な事を書いてしまったので、削除して頂けたら幸いです、
最終回楽しみにしてます
3. Posted by きこり→ヒロルさん   2017年05月31日 21:47
特に変な内容とは思いませんでしたが・・( ̄∇ ̄;)了解です。
ドラマを見ていると突然いろんな思い出や感覚が蘇ってくることがありますよね。
知っている場所が出てくると余計に。
私も北海道が舞台だと移動とかで、こんな短時間で行ける訳ないじゃん!とか
思ったりします。あと方言とかに微妙なニュアンスが気になったり(笑
お仕事忙しくて寝不足ぎみなのですね。
今晩はゆっくり眠って、お身体ご自愛くださいよ〜(* ̄m ̄)

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