「ツバキ文具店 〜鎌倉代書屋物語〜」 第五話 母へ贈る文字「この世にたやすい仕事はない」 第7回 大きな森の小屋での簡単な仕事 前編 

2017年05月20日

「ツバキ文具店 〜鎌倉代書屋物語〜」 第六話 愛するチーちゃんへ 

 今回の依頼人は清太郎さん(高橋克典)。
彼は認知症の母・ 千代(草村礼子)を介護施設に入所させたことで
申し訳なさと母を裏切ったような罪の意識を感じていました。
そして20年前に亡くなった父の手紙を待ち続けている母の思いを
なんとか叶えてあげたいと思ったのです。

 貿易商をしていた清太郎の父は世界中を飛び回る忙しい生活をしていたため
留守がちだったそうな。
子供だった清太郎にとっては強くて昔気質の男、母に優しい言葉をかけている
のを見たことはなかったそうな。

 実は父は海外から母にたくさんの手紙を送っていた。
しかもその手紙はいつも「愛するチーちゃんへ」か「愛しのチーちゃんへ」と
いう言葉から始まり「世界で一番チーちゃんを愛しているボクより」という言葉で
締めくくられていた。

 紫の風呂敷に包まれていた手紙の束・・・
子供には見えなかった父と母の夫婦としての絆。
離れていても千代さんはこの手紙を受け取ることで
彼の愛情をしっかりと受け取っていたんだろうなぁ・・・


 千代さんも交えた2回目の面談で鳩子(多部未華子)は彼女から
カシ子(倍賞美津子)と思われていました。
清太郎は鳩子が嫌がると思って言わなかったんだけど、実は鳩子は若い頃のカシ子に雰囲気がそっくりなんだって〜

 鳩子は手紙を読んで気になっていた『タマノリ人生』の意味を
聞くことができました。
旦那さんは地球を玉乗りの玉に見立て、自分は自由に世界を
歩きまわっていると考えていたそうな。

「私はいつも待っているんです。
いくら世界を自由に歩きまわっていたって男の人には帰る場所が必要でしょ?
・・・・・早く来ないかしらねぇ・・・手紙・・・」千代

 夫のことを語る千代さんの顔は幸せに輝いていました。
認知症だけが理由なのではなく、千代さんにとって生きた証ともなるような大切な記憶なんだろうなぁ。
HPはこちら


ツバキ文具店


「先代さんがいなかったらね・・・僕も母も、今生きてはいないんだ・・・
先代さんが亡くなる一年前・・・僕は母と心中しようとしたんだ」

 話疲れて千代さんが眠っている間、甘酒を飲んだ清太郎は
カシ子との思い出を話してくれた。

 その頃の清太郎は勤めていた商社で大きな契約に失敗。
認知症になりはじめていた母の介護を妻に押し付け、
そのために離婚。

 介護が自分の身に降りかかり、逃げるように会社を辞め、
どん底だった。
車内で眠っている母の足元には七輪が・・・
覚悟を決めた清太郎だったが、それでも最後にカシ子に電話をかけた。

 カシ子はすぐにかけつけてくれた。
そして水筒に入った温かい甘酒を飲ませ、ショールで清太郎の肩を包んでくれた。


「飲みなさい!」とまっすぐに見つめて飲ませたカシ子。
カシ子にはわかっていたんだよね。
人間はそういうちょっとした事でこちら側に戻ってくることができる。
温かい甘酒、カシ子のぬくもりが伝わるショール、
そして自分のことをしっかり受け止めてくれるまなざし。


「忘れるんじゃないよ。
人間と人間、頼ったり頼られたりするのが当たり前のことなんだ」
「・・・・・・」
「よく頑張ったねぇ」
「・・・うっうっうっ・・・」
「頑張った!!」


 清太郎と一緒に、おらも泣いたよ(´;ω;`)ブワッ
カシ子の大きな優しさに包まれ清太郎は安心して泣くことができた。
良かったよぉ・・・・


 その後もカシ子は施設探しを手伝ってくれたり、
介護の愚痴を聞いてくれていたそうな。

「先代なら・・・今回の手紙をどんなふうに書くでしょうか・・」鳩子
「・・・・・・」清太郎
「私、白川さんのお母さんが安心して旦那様の帰りを待てるような
手紙書きます」

 人にはいろんな顔がある。
夫としての父の顔に清太郎が全然気づかなかったように
鳩子にとっては鬼のように厳しい指導者としか映らなかったカシ子にも
こんな顔があった。

 私自身もそうでしたが、子供の頃に強烈なできごととともに心に残った
人物像って、会わないでいると逆に悪いイメージが心の中で上塗りされ
膨らんでモンスターのようになってしまうことがある。

 その巨大化した人物像はその人の一部であるのは確かだけれど
自分が見えなかった、見ようとしなかった顔が必ずあるはず。
一人の世界では気づけなかったこと。
いろんな人がそっと静かに鳩子に気づかせてくれている。


『白川さんのお母さんは手紙を待ち続けてきた。
世界で一番愛してくれた旦那さんからの手紙。
そして白川さんのお父さんは今、天国から奥さんに
何を伝えたいと思っているんだろう』


 さて、頭の中は清太郎の依頼でいっぱいだけど、男爵(奥田瑛二)から
バーバラ婦人(江波杏子)とパンティーさん(片瀬那奈)と一緒の
七福神めぐりに誘われ強制参加することになったわよ。

 ほえ〜鎌倉にはそういう楽しみもあるんだね。
わたしゃ、来年の秋には鎌倉旅行を予定しているんで行ってみようかしら〜
御朱印もらうのも楽しいよね。
厳かな気持ちになるって瞬間もなかなかないしさ。

 この時の男爵の装いはまさしく男爵っぽくて素敵だったわね〜
ベストにロングジャケット(?)、山高帽っちゅーの?
懐中時計が似合うしステッキも粋に感じたワ〜


 バーバラ婦人が言っていたようにこの遠足は鳩子にとって
いい息抜きになったようです。
見晴らしのいい長谷寺の休憩所にあった望遠鏡から鎌倉を見ると
そこに生きているいろんな人達の日常があった。
その中には仲良く手をつなぎ歩いている老夫婦の姿もあった。

『自分のいない場所で、いろんな人達がぶつかって寄り添って
心を通わせながら日々を生きている』


 その後、男爵がお弁当をツバキ文具店に忘れちゃったもんだから
戻りまして、そこでお昼ごはん。
その間にも鳩子は望遠鏡で見た老夫婦の姿が頭を離れない。

 美味しい稲荷ずしを頂きながらみんなでおしゃべり。
話題は10年前に亡くなった男爵の奥様のことに。

「夫婦どちらかが先に逝くときは相手が元気で長生きするように
先に逝く者は自分の命を託していくんだ。
残された者は笑いながら生きていく責任がある」男爵
「そうね・・・愛する人が先に亡くなったとしても、またいつか会える。
魂は永遠に寄り添い続けるわ」バーバラ婦人

 その時、鳩子の頭の中でバラバラだったジグゾーパズルが一気に
はまった!
ついに「産気づき」ましたぞ〜。
今なら千代さんへの手紙が書ける。いや、今しか書けない!
みなさんに断って文机の前へ。
道具を吟味する間も惜しい。
引き出しにあった便箋に書き始めたさ。


 その姿は先代さんそっくりだったと男爵とバーバラ婦人が
驚いていました。

 書きあがった手紙は「天国からの手紙」をイメージして台紙に張り、
回りをパンティーさんにもらった押し花で飾った。

『押し花にはずっと枯れることのない思いを託した』

 そして押し花が取れないように手紙をロウ引きにした。
こうすると表面に光沢が出て、より美しく見えるんだそうな。

 手紙を手にした清太郎は感激の涙を流しておりました。
字もお父様にそっくりだったらしい。

 HPのこちらから手紙をご覧になれます。

 父からの手紙を読めて清太郎も嬉しかったと思う。懐かしかっただろうし
生きる気力が改めて湧いてきたと思う。


「こうして見てると・・・花の宝石箱みたいだ・・・
この花はまだ生きてるんだよね」清太郎
「まだ生きてると思います。
地面から切り離されても、この花は生きてます」鳩子
「おやじとおなじだ。
死ぬっていうことは・・・・永遠に生きることかもしれないねぇ・・
この手紙は父が天国から送ってくれた手紙だと思う」

 (´;ω;`)ブワッ・・・
いつもの手紙でありながら、ちゃんと天国から来た最後の手紙になっとる。
でもそれは、お別れの手紙ではなく、生きていた時に感じられた愛情の交流が
今も続いてることを伝えてくれている。


「あの人・・私を見てるのね・・ずっと見てるのね・・・!」千代
「うん。もう、大丈夫だよ」清太郎

 手紙は日常の句読点。
ふと立ち止まらせて、いつもの日常があることを気づかせてくれる。
旦那さんが亡くなった後も千代さんの日常は続いて行く。
この手紙はこれからの千代さんの日常を優しく力強く照らしてくれると思う。


 さて、バーバラ婦人の寝室にあったブローチ(?)・・・
なにやら鳩子の記憶にあるようです・・・ 

 そして謎の外国人・Mr.Xの魔の手が迫る!ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
やはり鳩子の母と関係があるようだす。

 さらにMr.Xが.鳩子の店に現れたと知り、
追いかけた鳩子たちを怒るほどに心配した蜜朗(上地雄輔)・・・
奥さんは殺人事件に巻き込まれ亡くなったようです。
ミステリー色が強くなってきましたぞ〜


 第一話 奇妙なお悔やみ状
 第二話 幸せの修了証書
 第三話 けじめの断り状
 第四話 最後のラブレター
 第五話 母へ贈る文字
 第七話 話せなかった思い 

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1. ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜 「愛するチーちゃんへ」  [ のほほん便り ]   2017年05月20日 20:22
今回の依頼は、母・千代(草村礼子)の介護に悩んでいた白川(高橋克典)から。どうも、施設にいながら、今もずっと夫からの手紙を待ち続けてるよう。参考に、と多くの書簡を渡してもらったのですが、すっかり煮詰まり、そんな折、バーバラ夫人(江波杏子)や男爵(奥田瑛二
2.  ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜 第6話  [ emitanの心にうつりゆくもの ]   2017年05月21日 16:54
第6話 「天国の夫からのラブレターを待つ母!変わらぬ愛が彩る手紙」

この記事へのコメント

1. Posted by う〜みん   2017年05月22日 13:17
手書きの手紙っていいですよね〜私はかなり癖字なんですが手紙を書くのは大好きです。今は時間がないのでもっぱらメールですが..

商品を発送する時にほんの一言「ご注文ありがとうございます」と書くだけで喜んで下さる方もいて、お客さんからメッセージカードの依頼があれば下手な字で手書きしてます(^_^;)この間は娘さんからお父さんへのプレゼントに添えるメッセージを書いたのですが私の字が娘さんの字に似ていたらしくお父さんがとても喜んでましたというメールが来て達筆じゃなくてもいいんだな〜と思いました(*^-^*)

何でもそうですが便利な時代になって機械で簡単にできちゃいますけどやっぱり人間の手でやると温かみが感じられますよね(*´ω`*)
2. Posted by きこり→う〜みんさん   2017年05月22日 20:34
手紙って特別な感じがしてもらうとすごく嬉しいですよね。
私もほとんどがメールですが、誕生日やどうしても伝えたいことが
ある場合はやっぱり手紙です。
>商品を発送する時にほんの一言「ご注文ありがとうございます」と書くだけで喜んで下さる方もいて
すごくよくわかります。
私、たまに手作り作品のサイトで買い物をするのですが、その時にちょっとした
一言書いてあるカードつけてくださる方は素敵だな〜って思って、次回もこちらで
買い物しましょ♪って思いますもの。
う〜みんさんがメッセージを書いたことでお客様と交流があったのはすばらしいですね。
やはり最後は人ですもんね。ほとんどの物がネットで買えますが
ただお金と商品の交換だけじゃ味気ないですもん。
そういうちょっとしたやりとりがあると嬉しくなりますよね。
3. Posted by ヒロル   2017年05月23日 00:32
きこりさん、こんばんは!
実はまだ第6話は見ておりません、、
が、、書かずにいられないことがありまして(^-^) 、先日 電話で 父にこのドラマを紹介したんです、代筆屋のお話で面白いよ、って。
父は、多部未華子を知っていて、時代劇で主役になったこともある個性的な女優だと。昨日帰省して、偶然文具店の話をしたら 、「ああ、あの文具店のドラマ、途中まで見たが 涙っこ 出るから 後でひとりの時に見ることにした、」と。
しっかり録画されてました。その言葉に私も内心ウルウル。父は 「涙が出る」 とか 今まで口にしたことが無かったので、 。私も明後日、東京にもどり 見ることにしてます、
また、コメントさせて頂きます!。
4. Posted by きこり→ヒロルさん   2017年05月23日 20:45
お父様、多部ちゃんのことちゃんと知っていたんですね。
というか、ドラマ御覧になっていたとは・・?!
やはり代筆をされていたからシンパシーを感じたのでしょうか。
しかも涙っこでるとは・・・かなり心に響いたドラマだったようですね。
ヒロルさんもうれしかったのではないですか?
離れて住んでいるのに同じドラマに心惹かれるなんて、やはり親子ですね。
ドラマを見た感想を言い合うのは気恥ずかしいかもしれませんが
お父様も見ていると思うと、また違った感慨があるでしょうね。
5. Posted by ヒロル   2017年05月23日 21:57
お返事有難うございました!今日 父は第6話を最後まで見てました。(^_^)v
相当感動したようでした。ちょっと切なすぎたかなと心配。また、あらためてコメント入れさせて頂きます。
6. Posted by ヒロル   2017年05月25日 09:03
5 とうとう観ました!。・°°・(>_<)・°°・。
まず、父の話になりますが、結局昨日またしっかり観たようで、俺が死んでも認知の妻に手紙を書いてくれる鳩子みたいなのは居ないなと冗談半分に言って、
とくに認知症のお母さんの演技が素晴らしかったと。ドラマ全体、心から感動してました、
それから、今の若い人にも優秀な奴は沢山いるんだな、こういうドラマを作ってるんだな、昔の方が単純だったかも知れないなと。父も老老介護と代筆業と、教師と、鎌倉の家や歴史、郷愁など、ドラマ全体が 自分と重なってで、本当に放心状態で泣いたようです。それから、手紙の書き出しの達筆の文字を書いていた手は、鳩子 本人だったんでしょうか、
きこりさん、今回も沢山お話聞いて頂いてしまい、感謝です!。
7. Posted by きこり→ヒロルさん   2017年05月26日 07:02
おはようございます。
お父様、深く心動かされたのですね。
>それから、今の若い人にも優秀な奴は沢山いるんだな、こういうドラマを作ってるんだな、
なんだか嬉しくなりました。
中高年の方はほとんどドラマを見ないと言われていますが、
それはその年代の方の観賞に耐えうるドラマが少ないからかもしれませんね。
今回のストーリーはご自分と重ねてご覧になった方も多いと思います。
介護の大変さ、家族だからからこそ生まれる葛藤・・・
夫婦の愛情、親子の愛情が説得力を持って描かれていましたよね。
泣くということはすごく精神の開放によいことだと聞きます。
お父様の心からの感動で流されたドラマはいろんなものを流して
くれたんじゃないでしょうか。
手紙の書き始め、いつも思いますが、アレって多部ちゃんなのでしょうか?
だとしたらすごいですよね。今夜も楽しみです(って、起きていられないので
いつも翌日見ています・・・( ̄∇ ̄;))
8. Posted by ココ   2017年05月26日 13:08
毎回 涙ポロリとさせられちゃうんだよね〜
多部ちゃんは好きな女優さんだしさ〜
なんてったって奥田さんがさぁ
今、私の中の目がハート男優第一位なのよ〜 うひゃひゃ
だから、パンティーちゃんを応援してるんだ。
ところで、きこりさん、七福神めぐりといえば
東京に行ったとき七福神巡りしてなかったっけ?
谷中七福神めぐり・・・(都内七福神巡り、各所にあるけど)
あ、谷中は猫巡りだたか?にゃ?
9. Posted by きこり→ココさん   2017年05月26日 22:09
ホントだよね。なんか気づいたら泣かされているよ。
静かにゆっくりとこみ上げてくるものがあるよね。
私も、久しぶりに多部ちゃんらしいドラマを堪能しているよ。
こういう生活感と透明感を一緒に表現できるのがすごいよね。
>今、私の中の目がハート男優第一位なのよ〜
あら!そうなのね〜!でも、私も久々にいいじゃん!って思ってるわ〜
最近、好みが熟年世代から老年世代へと移ってきているという・・(笑
ココさんもそうなのけ?(* ̄m ̄)
そもそも初老の男爵ってキャラがど真ん中(笑
それに猫とも相性いいみたいだし(笑
東京へ行った時は七福神めぐりしていないのよ〜
まねき猫寺とかは巡ってたけど( ̄∇ ̄;)
来年は絶対行きたいよーー

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