「この世にたやすい仕事はない」 第3回 おかきの外装の仕事 前編 「ツバキ文具店 〜鎌倉代書屋物語〜」 第三話 けじめの断り状

2017年04月22日

「ツバキ文具店 〜鎌倉代書屋物語〜」 第二話 幸せの修了証書

 さて、鎌倉に留まることにはしたものの・・・前回のお悔やみ状で代書屋の難しさを実感した鳩子(多部未華子)は、まだ迷いの中にいますョ〜。
 
 そんな時現れた依頼人・三津田(高橋和也)・・・
代書の内容は「離婚のお知らせ」。
妻の梨香さん(村松えり)に好きな人ができて離婚することになったんで、お世話になった方達に報告とお詫びとお礼の気持ちを伝えたいそうな。

 インテリアコーディネーターだった三津田さんと妻の梨香さんは一緒に会社を経営しており、共同で手掛けた仕事も共通の友人も多かったらしい。

 妻がいなくなっても同じ仕事を続けて行く三津田さんは複雑な思いもあるでしょう・・
いちいち説明するのもアレだしねぇ・・・( ̄∇ ̄;)


「よく、『終わりよければすべて良し』って言いますよね。
手紙はそういうものにしたいんです」三津田

 このような難しいテーマの手紙が書けるのであろうか・・・
不安が消せないながらも鳩子は代書を引き受けることにした。
梨香さんはもう新しい恋人と沖縄へ移住しているため話を聞くことが
できないが、彼女の希望は三津田が聞いていた。
それは手紙には彼女が持っていたWのイニシャルのシーリングスタンプを使って欲しい。
それだけ。旧姓が綿貫と言うらしい。

 シーリングスタンプって貴族の方がお手紙出す時に使うアレでございましょ?
なんかコレ使うだけで一気に重厚感よね〜
舞踏会への招待状かしらぁ〜♥♡♬☺(✿ฺ´∀`✿ฺ)


 三津田は「自分達は幸せな結婚生活を送って来た」し「円満離婚」だったので
それが伝わる内容にして欲しいと話しておったが・・・
なにか違和感が残る鳩子・・・

 まぁねぇ・・・こういう場合男性の方が引きずるというか・・・
優しい人であればあるほど内心納得がいってなくても相手の意思を尊重してあげたいと思ってしまうんだろうね。
でも、いくら「円満離婚」を強調してもこぼれてしまうものはある・・・


 今回は二つのエピソードが描かれました。
ある雨の日、切羽詰まった感じの女性がツバキ文具店に走りこんで来た。
昨日、すぐそばにあるポストに手紙を投函したんだけど、その後にやっぱり出すべきじゃなかったと考え直し、手紙を取り戻そうと集荷時間まで待っていたんだけど急用で時間がないと言うのさ〜

 その女性・楠木帆子(ハンコ)(片瀬那奈)が言うことにゃ、夏ごろにお父さんの容体が悪くなり、何とか花嫁姿を見せてあげたいとの思いからプロポーズしてくれた人にオッケーの返事を手紙に書いたんだが、父危篤の報を受け大分に帰る段となり、やっぱり良くないと思いなおしたらしい。

 飛行機の時間が迫っているそうなので代わりに鳩子が手紙を回収する約束をしたんだけど・・・
郵便局員さんからは、ここでは渡せないので直接管轄の郵便局に取りに来るように言われてしまったわ〜
HPはこちら

ツバキ文具店


 個人情報のアレもあるしねぇ・・・委任状でもないと渡せないよね。
帆子の携帯に留守電を入れたけど連絡はない。
やっと繋がった時にはお父様が亡くなられたばかりで、何も考えられない状態らしく、もう自分の手紙のために動かなくていいですと謝っとった。

 あるよね〜
メールでも手紙でも、出さなきゃ良かった〜失敗した〜って時がさ。
言ってしまった言葉もそうだけど、時間は戻らないのよね (-言-)
コレね、不思議なことに出さなきゃわからないのよね。
なんなんでしょ・・・( ̄∇ ̄;)
自分の手から離れて初めて気づくというか・・・


 鳩子も「しかたないか・・・」と諦めようとしたんだけど・・・
祖母・カシ子(倍賞美津子)の声が蘇る。

「『約束』っていうのはね、一度引き受けたら
最後まで絶対にやり遂げることなんだ。
そうやって何でもしかたがないで流してたら、
誰からも信頼されない人間になるよ!」


 って、先週から鳩子が水を取り替えていた石灯籠みたいなもん ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
アレは「文塚」と言って手紙のお墓だそうな。
代書を生業としてきた雨宮家の庭に大昔からあったのかしら・・
務めを終えた手紙を感謝して弔う・・・そこまでしていたんだね。


 声が聞こえたら聞こえないフリするのは気持ちが悪い。
鳩子は帆子の手紙の受取人・沢野井の元へ行ってみることにした。
勝手に郵便箱から手紙を抜き取ろうとしたのだが、本人に見とがめられ失敗。
手紙を戻してくれるよう頼むも拒否され、読まないでくださいと頼むのが精一杯だった。ミッション果たせず・・・・

 その後、鳩子は横浜にある三津田の事務所を訪ね、二人が結婚していた頃の写真を見せてもらった。
シーリングスタンプについても聞いてみたら、これは結婚前に二人でイタリアに旅行した時に梨香さんが買ったものだった。
いつまでも買うのに迷っていた梨香さんと、早いとこ教会へ連れて行ってプロポーズしたい三津田はケンカになり、結局日本に帰ってきてからプロポーズしたそうな。

「『一生をかけて幸せにする』って約束して・・・
約束は果たせませんでした」三津田

 祖母も言っていた通り、『約束』は軽いものじゃない。
果たせないと相手を傷つけるだけでなく、果たせなかった自分自身も傷を負う。
鳩子は一人で空を見つめている三津田の表情に、彼自身にも掴み切れていない重たいものがあるのを見たのでした。


 さて、バーバラ婦人(江波杏子)に誘われて、素敵なレストランでディナーを頂いた鳩子ですが、三津田のことが気になっております。
そんな鳩子を優しく気遣うバーバラ婦人。

 今回、バーバラ婦人情報を得ることができましたぞ。
バーバラ婦人はパリに住んでいたことがあり、そこで多くのアーティストと知り合いになったことから画商のようなお仕事をされているみたい。


「私にとってパリって街は人生のすばらしさや・・・・厳しいことも教えてくれた街なの。
こうして離れてみると・・なんかとっても愛おしい。
そういうものなのかもしれないわね。街も人も・・・」B婦人

 江波杏子さん、謎多きバーバラ婦人にぴったり。
生きて来た時間が美しさに繋がっているというか・・・
優雅で貫禄があって、器の大きさ清らかさも伝わってくる。
祖母がいなくなった今となっては鳩子にとって大切な人生の先輩になってくれそう。


 しかし・・・一人になった鳩子はふと思う。

『鎌倉から離れて逃げ込んだ東京も、海外のいくつかの街も、
正直、私にはそんなふうに思える場所は無かった。
それは・・・きっと私がいつも中途半端だからで、今だって安請け合いして
帆子さんの手紙も取り返せず、三津田さんの手紙をどうやって書けばいいか、
手がかりすら掴めずにいる。
三津田さんの心の奥にはもっと複雑な感情がある。
三津田さんの本当の気持ちを知りたい』


『まだ私の心はブレている。だから・・書けないんだ』

 東京に戻って来た帆子さんが手作りのパンを手に挨拶に来てくれました。
手紙は回収できなかったけど、帆子の気持ちを察した沢野井はプロポーズを取り消して欲しいと言ってきたらしい。

「感謝しています。彼にも。鳩子さんにも」帆子

 帆子はさっそく婚活に励むと宣言しておりました。
父が亡くなる時、お母さんの手を取って何度も『ありがとう』と言っていた姿を見て、
最後にそう言える人生の伴侶が欲しいな〜と素直に思ったんだと。

 家族の死がこんな素敵な決心に繋がるなんて、お父さんも喜んでいると思うよ。
別れの後に残るのは悲しみだけじゃないんだよね。


 鳩子は三津田の気持ちについて帆子に相談してみました。

「奥さんを責めないのは・・自分を責めてるからじゃないのかな・・・
優しい人って相手を憎めば楽なのに自分を責めるでしょう?
相手がそういう気持ちになったのは自分のせいだって・・・
そんなふうに思っていたら、前に踏み出せなくなるだけなのに」

 ツバキ文具店を通して人との繋がりができてきましたなぁ・・・
帆子さんも大切な存在になってくれそう。
彼女は鎌倉にある小学校の教師。
実はバーバラ婦人の友人でもあって、にゃんと彼女からは『パンティー』と呼ばれているそうな。

 名前の帆子(ハンコ)と先生(ティーチャー)が組み合わさって「ハンティー」、
その後、パンを焼くのが趣味と知ると「パンティー」と呼ばれるように
なったんだって〜( ̄∇ ̄;)


『パンティーさんの言うとおり、大人になると肝心なところを
見逃してしまうのかもしれない。
きっと・・・私も何かを見逃している・・・』


 再び三津田に会いに行った鳩子は初めて彼の心のうちを知りました。

「一生かけて幸せにするって言ったくせに僕は妻を幸せにできなかった。
他の男のところへ行ってしまった彼女を責める資格は僕にはないし、
責めるつもりもない。
でも、思うんです。
今まで僕がしてきたことは何だったんだって。
間違ってたのかって・・・
・・・こんな気持ちのまま手紙を出すべきじゃないのかもしれない・・・
すいません・・・少し時間をください」

 三津田さんは「離婚のお知らせ」を出すことによって整理のつかない
自分の心の中に渦巻いている葛藤や後悔、やるせない思いを消してしまおうと思ったのかもしれない。
なのに鳩子と共にその作業をしているうちにますます深くなってしまった。
でも、それで良かったんだと思う。
心の中に蓋をしちゃいけない。


 実はシーリングスタンプを見た蜜朗にイニシャルはWではなくてMだと気づかせてもらった鳩子には、ある確信が生まれていた。
『M』は三津田のイニシャル。
プロポーズをされる前から梨香さんは三津田さんと生きていこうと決めていた。
シーリングスタンプは梨香さんにとって幸せの象徴であり、大切なものだからこそ、
新しい門出に使いたいと思ったんじゃないか?

「写真の中の奥さま、すごく幸せそうでした。
三津田さんが貸してくださった写真、奥さまたくさん笑ってました。
お二人はかけがえのない時間を一緒に過ごしていました。
三津田さんは奥さんを幸せにできなかったって言ってますけど、
ちゃんと幸せな時間はあったと思います。
汚点だなんて言ったら奥様に失礼です。
書かせて下さい。三津田さんの手紙。心をこめて」

 その夜、鳩子は手紙を書いた。

『今回の手紙は100人を超える人にいっせいに送る手紙だ。
まずはPCを使って内容を吟味する。
こういう場合はぶっつけ本番の臨場感より、じっくり言葉を選ぶ必要がある。

毛筆で書いたものをコピーする手もあるけど、今回は活字でつづることにした。
ある程度お金をかけてでも印象に残る誠意のこもった手紙にしたいという
三津田さんの思いは活版で丁寧に文字を刻んだ方が相手に伝わりやすい。

切手は15年前、二人が結婚した年のものを取り寄せた。
同じ年月を積み重ねた切手を貼ることに意味があることに思えたから。

印刷所から文面が仕上がってきたら、今度は宛名書き。
道具は万年筆。
インクは『灰色の雲』というインクを一晩蓋を開けたまま放置する。
水分を蒸発させてインクの色を少しだけ濃くして控えめな印象に仕上げる。

そして大切な二人の『区切り』になるシーリングスタンプ。
奥さんはこれで封をすることで自分達の結婚生活にもピリオドを打とうとしている。
これは三津田さん夫婦の終了証書。
新しい世界へ行くための印なんだと思う』


 (´∇`*)なんと丁寧な仕事でしょう!
『心をこめて』と簡単に言うけれど、実際はこういうことなんだね。
命をかけて向き合う。
三津田さん夫婦の心に寄り添い、二人の現在と未来のために
祈りを込めて手紙を生み出す。

 鳩子が手紙を書くために精神を統一し、文机に向かう姿が好きだ。
真剣勝負。余計なものは何もない。
澄み切った目は心。
その時、知らず知らずのうちに鳩子と祖母の心はぴったりと重なる。


 鳩子の書いた手紙はこちらから読むことができます。

 いい手紙だよぅ・・・( ̄ーÅ)ホロリ
三津田さんが自分では見つけられなかった自分自身の本当の思いを表現している。
別々の人生を歩むことになったけど、一緒に生きて来た時間を否定したい訳じゃない。
幸せな時間だったけど、それでも道が離れてしまうこともある。
それを認めるのは苦しいことだけれど、認めなければ前に進めない。

 そんな二人を光で包んでくれるような、温かくて力強い手紙でした。
鳩子に感謝を伝えに来た三津田さんの顔はすっきりと晴れやかだった。


 手紙を見た梨香さんから連絡があり『あなたと結婚して良かった。
いままでありがとう』と電話口で泣いていたそうな。

「お互い『ありがとう』で終わることができたのは雨宮さんのおかげです」三津田
「・・・いえ・・私はなにも」鳩子
「いいえ。雨宮さんに手紙を頼まなければ、僕は彼女を幸せにできなかった
罪悪感を引きずったままマイナスな感情に囚われ続けていたと思うんです。
今は思います。
離婚したことはマイナスじゃない。
ここからが新しい始まりなんだって。
あの手紙のおかげで前を向くことができました」

『私がしたことなんてささいなこと。ただ手紙を書いただけ。
しかも一人前の仕事には程遠い・・・』


 そうかしらん・・・
でも手紙を書くことで鳩子は人生のいろんな面を学んでいるんじゃないかねぇ・・

 ところで清太郎(高橋克典)の母(草村礼子)は認知症?
そしてそのことを誰にも言えずにいる?
『むぎカフェ』の蜜朗 (上地雄輔)の奥さんは亡くなってしまったのかしら・・・
鳩子にとっては意地悪ジイサンにしか思えない男爵(奥田瑛二)とはいったい・・・

 見ているとこんなおばちゃんの私の心も浄化されるような
きれいな時間が流れているドラマ。
次回も楽しみだす。


 第一話 奇妙なお悔やみ状
 第三話 けじめの断り状
 第四話 最後のラブレター
 第五話 母へ贈る文字
 第六話 愛するチーちゃんへ 
 第七話 話せなかった思い 

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1. ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜 「幸せの修了証書」  [ のほほん便り ]   2017年04月22日 23:27
やはり、舞台になってる鎌倉や横浜が風情ですね。なにげに、かなり渋い豪華キャスティング。今回の依頼は、離婚による「幸せの修了証書」 それと、雨の中(プロポーズをうける)手紙が届くのを阻止して欲しい、と頼まれて、改めて、結婚について考えさせられました。キーア
2. ツバキ文具店〜鎌倉代書屋物語〜 第2話  [ emitanの心にうつりゆくもの ]   2017年04月23日 17:12
第2話 「円満離婚のお知らせ!夫が語らぬ思いと妻からのメッセージ」

この記事へのコメント

1. Posted by ヒロル   2017年04月22日 20:26
5 第2話も楽しかったです。今回は冒頭で男性が訪ねて来て、離婚の知らせを依頼するあたりから 何故だか
ウルウル感に。

いよいよ完成の手紙の下り、
ぶれない自分探しの 鳩子が、
いきなり、その道の超エキスパートになっていて、驚きました。きこりさんの解説も素晴らしく きこりさんも代筆業がお出来になるのではと思いましたよ。😊
おっしゃる通り、まさしく、きれいな時間でしたね!

追伸)和服のおじさん、鎌倉に居そうな感じです。鎌倉って素敵だけど、実際行くと、商店街の人は ちょっと気取ってて、不親切な人も多い印象でした。でも 最後から二番目の恋の 場所でもあり
懐かしく観させて頂きました。
2. Posted by きこり→ヒロルさん   2017年04月23日 22:52
二話もいい話でしたね。
離婚のお知らせなんてどうやって書くんだろうって思いましたが
本当に素敵な手紙でしたね。
こうなると師匠であるカシ子が書いていた手紙も読んで見たくなります。
>実際行くと、商店街の人は ちょっと気取ってて、不親切な人も多い印象でした。
(* ̄m ̄)プッ そうでしたか?
きっと中に入ってしまえば、また違った印象なのかもしれませんね。
鎌倉が舞台のドラマや映画って多いですよね。
物語が生まれやすい風景や情緒が残っているんでしょうね。
私も来年には行ってみたいと思ってるんですよ〜
ゆっくり散歩して実際の空気を感じてみたいです。
3. Posted by ヒロル   2017年04月24日 00:40
お返事有難うございます!鎌倉は 仕事で行った時、作ったばかりのメガネを失くして、商店街を探し廻ったんですが、冷たい態度で追い払う店が多かったもんで、、きっと たまたまだったかも知れません。その時は 海を見て帰りました。♡( ´ ▽ ` )ノ
住んでみたい素敵な場所です♡


4. Posted by きこり→ヒロルさん   2017年04月24日 19:50
>作ったばかりのメガネを失くして、商店街を探し廻ったんですが、冷たい態度で追い払う店が多かったもんで
ありゃーーーーーーそれはショックですよね・・ (Θ_Θ;)
おまけにめがねがないとよく見えないし・・
そりゃ印象も悪くなると思います。その後、眼鏡は見つかったでしょうか・・
次の機会にいい思い出ができたらいいですね。

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