2016年05月08日
「トットてれび」 第2話 上を向いて歩こう!
『今日はテレビが始まった頃のお話です。
トットちゃんは、まだ二十歳そこそこだったけれど
ドラマ「ヤン坊ニン坊トン坊」の出演をきっかけに
NHKの3人娘として売り出し中でした』語り(小泉今日子)
22才の徹子(満島ひかり)はNHK専属女優として売れっ子になっており、
様々な番組で司会を務めるほどになっていました。
オープニングの『夢で会いましょう』では徹子らしいおしゃべりのスタイルが生まれていました。
当時の番組内容とセットは忠実に再現されているようです。
一升瓶のラベルに出演者の名前が書かれているというのもそのままでしょうか?
今見ると、一升瓶て・・って感じだけど、ユニークですな。
徹子はNHKに通うのが楽しくてたまらないようです。
ウキウキとした軽い足取り・・・
さて、3人娘が揃い朝の挨拶をしていると玄関ホールに何やら動きが・・・
多分NHKのお偉いさん達でしょうか。慌てて入口向かって走って行く。
どうやら大物出演者をお迎えに行くようです。
現れたのは大勢の女優たちを引き連れた森繁(吉田鋼太郎)・・
トット達も物珍しそうに遠くから見つめております。
私が物心ついてTVを見ていた時には、もう森繁はおじいちゃんだった。
ホントにボケてるのかボケたフリをしているのか
最期までわからんかったゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
つまづいたフリをして女性に支えられる(ボディタッチする)芸(?)はこの頃からだったようです。
きれいな女優さんたちの数を数えながら徹子が歩いていると、
森繁がステッキで徹子のスカートをめくったぞ。
「これは白だね」森繁
『大物俳優森繁久彌さんの第一印象は近所のちょっとエッチなおじさんだった』
びっくりしたトットちゃんでしたが、このどこか飄々とした変なおじさんに
自分と似た匂いを感じたのでしょうか。
大人の顔をしているやんちゃ坊主。
この人もテレヴィジョンの中で遊んでいる・・・
陰から森繁を覗くトットちゃんはどこか期待に満ちていました。
『素人同然のトットちゃんにも共演の機会は訪れた。
でも素人も大物もテレビのスタートラインは一緒。
トットちゃんと森繁さんは同期生のようなものだった』
「ねぇ、一回どう?」森繁
「と、おっしゃいますと?」徹子
「キスの事じゃありませんよ」
「・・・(゚∇゚ ;)・・!」
『この森繁さんの「ねぇ、一回どう?」が、それから生涯続くとはまさか思わなかった』
テレヴィジョンの世界にはいろんな人間がいる。
びっくりすることも多いけど、そのびっくりはトットの心の栄養になっていました。
HPはこちら


トットちゃんは、まだ二十歳そこそこだったけれど
ドラマ「ヤン坊ニン坊トン坊」の出演をきっかけに
NHKの3人娘として売り出し中でした』語り(小泉今日子)
22才の徹子(満島ひかり)はNHK専属女優として売れっ子になっており、
様々な番組で司会を務めるほどになっていました。
オープニングの『夢で会いましょう』では徹子らしいおしゃべりのスタイルが生まれていました。
当時の番組内容とセットは忠実に再現されているようです。
一升瓶のラベルに出演者の名前が書かれているというのもそのままでしょうか?
今見ると、一升瓶て・・って感じだけど、ユニークですな。
徹子はNHKに通うのが楽しくてたまらないようです。
ウキウキとした軽い足取り・・・
さて、3人娘が揃い朝の挨拶をしていると玄関ホールに何やら動きが・・・
多分NHKのお偉いさん達でしょうか。慌てて入口向かって走って行く。
どうやら大物出演者をお迎えに行くようです。
現れたのは大勢の女優たちを引き連れた森繁(吉田鋼太郎)・・
トット達も物珍しそうに遠くから見つめております。
私が物心ついてTVを見ていた時には、もう森繁はおじいちゃんだった。
ホントにボケてるのかボケたフリをしているのか
最期までわからんかったゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ
つまづいたフリをして女性に支えられる(ボディタッチする)芸(?)はこの頃からだったようです。
きれいな女優さんたちの数を数えながら徹子が歩いていると、
森繁がステッキで徹子のスカートをめくったぞ。
「これは白だね」森繁
『大物俳優森繁久彌さんの第一印象は近所のちょっとエッチなおじさんだった』
びっくりしたトットちゃんでしたが、このどこか飄々とした変なおじさんに
自分と似た匂いを感じたのでしょうか。
大人の顔をしているやんちゃ坊主。
この人もテレヴィジョンの中で遊んでいる・・・
陰から森繁を覗くトットちゃんはどこか期待に満ちていました。
『素人同然のトットちゃんにも共演の機会は訪れた。
でも素人も大物もテレビのスタートラインは一緒。
トットちゃんと森繁さんは同期生のようなものだった』
「ねぇ、一回どう?」森繁
「と、おっしゃいますと?」徹子
「キスの事じゃありませんよ」
「・・・(゚∇゚ ;)・・!」
『この森繁さんの「ねぇ、一回どう?」が、それから生涯続くとはまさか思わなかった』
テレヴィジョンの世界にはいろんな人間がいる。
びっくりすることも多いけど、そのびっくりはトットの心の栄養になっていました。
HPはこちら


さて、玄関ホールで口上よろしく高らかな声で名刺を配っている妙な男がおりました。
「丈夫で長もち使い得ですよ〜!
そのうちなかなか時間がとれず使いたくても使えねぇ役者になりますよ!
私、浅草から参りました渥美清といいます。どうもよろしく」
この時配っていた名刺の似顔絵が本物の渥美清さんと
演じる中村獅童さんをミックスしたような『渥美清』。
小道具さん、グッジョブ!!
渥美と徹子は『お父さんの季節』で初共演。
生放送前に渥美が持っていた台本を徹子が取り上げちゃったもんだから
セリフを覚えていない渥美はしどろもどろになっちゃった。
「なんとかなったけど、すごくハラハラしたわ」徹子
「俺への当てこすりかい?このアマ!」渥美
「「アマ」とおっしゃいますと?」
「アマはアマでえ」
「へえ〜あの、初めて聞いたお言葉ですがそれって日本語ですか?」
「あ〜やだやだ!この手の女は本当ヤダね!」
「この手の女とおっしゃいますと?」
「山の手でお生まれになって音楽学校か何か行って
苦労知らずの温室育ちのいけ好かねえ女の事でえ!このアマ!」
「まあ!そんな因縁つける前に
セリフくらいちゃんと覚えていらしたらどうか しら!?」
「言いやがったな!俺の台本本番前に奪って!」
「え?」
「邪魔したのはてめえの方だろこのアマ!」
「アマじゃございません。あのね、黒柳です」
「しゃらくせえ!黒ナナギ!白ヤナギ!おっ、言えた。黒ヤナギ言えた」
「言えてません!黒柳!」
『後に大の仲よしになったトットちゃんと渥美さんですが
最初は こんな感じだったんです』
(* ̄m ̄)プッ・・徹子のことを上品ぶった皮肉屋だと思ったんだろうね。
でも徹子には裏なんて全くない。
蝶々のように無心に光に乗って飛んでいるだけ。
人を見抜く確かな目を持っていた渥美さんは、性別を超えてこの「お嬢さん」を愛したんだろうなぁ・・
でも頭にきた徹子は名前を芸名にしたいと大岡先生(武田鉄矢)に訴えた。
「どのような?」大岡
「リリーがいいんです。リリー白川とかリリー白井?白井とか」徹子
「およしなさいよ。そんな踊り子さんみたいな名前」
「だってみんなすぐ私の名前トチるんですもの!
黒ヤナギとか白ヤナギとか白ウサギとか黒ウサギとか!」
「あのね、名前なんてものはね、いい女優さんになったら
すぐに誰にでも覚えてもらえます。
トット様のお名前が全国津々浦々広まる日がいつか来ますよ」
「津々浦々?」
「うん。津々浦々」
大岡には、トットちゃんがテレビジョンそのものになる日が見えていたのかしら・・・
この大岡の存在はトットにとってテレビ界のお父さんのよう。
いつでもおおらかに見守りつつ、優しく諭してくれる。
昭和33年(1958年)大晦日、『NHK 紅白歌合戦』が始まっております。
この時が第九回。徹子は総合司会ですョ〜。
テレヴィジョンの普及率もちょっとづつあがり・・・
王さん(松重豊)の店にもテレビジョンが入りました。
店内は『紅白歌合戦』を見たいお客さんで一杯。
窓際のテーブルのいつもの席には大晦日だっていうのに
向田邦子(ミムラ)が執筆しております。
『大岡先生の言葉どおり黒柳徹子の名前は全国津々浦々に広まった。
でもみんながそれほど「紅白」に熱を上げていなかった時代で
ほかの劇場と掛け持ちする歌手も多く・・・
出番になっても歌手がなかなか来なかった』
舞台裏ではスタッフがこげな会話を・・・
「おい、女来たか?男来たか?」
「男が来ました。男!」
「・・・(徹子に)何かしゃべって!」
「え・・・」徹子
「伸ばして!女が来てないから」
「ちょっと・・・」
徹子はなんとかその場を繋いだ。
でも何やら事情があるらしいことはテレヴィジョンの向う側にも伝わった。
「案外、いい度胸してるわね」向田
「あっあっ!女来ました!女来ました!
それではこちらには、めでたくお正月を迎えて頂きましょう。
曲目は・・・あれです!あれです!
あれです!『かっぽれ』。『あれ かっぽれ』どうぞ!」徹子
『銀座のかっぽれ』でした・・・( ̄∇ ̄;)
いい時代だねぇ・・・
視聴者が温かい目でテレビ業界を見守ってくれているような。
ミスよりも徹子が頑張っていることを見てくれている。
『テレヴィジョン』が映る不思議の理由はわからんけど
人間がやるもんだってことをみんなわかっていたんでしょうね。
昭和34年(1959年)、ミッチーブームから美智子様ご成婚パレード・・・
時代を映すテレビジョンを人々は熱い思いで求めるようになったいった。
『テレビはだんだんと日本人の生活に入っていった。
昭和34年には300万台。3年後には1,000万台になった。
おかげで トットちゃんはどんどん忙しくなっていった』
月曜日 「お父さんの季節」
火曜日 「はてな劇場」
水曜日 「ブーフーウー」
木曜日 「一丁目一番地」
金曜日 「チロリン村とくるみの木」
土曜日 「夜の仲間」
日曜日 「パノラマ劇場」
休みないやん・・・( ̄∇ ̄;)
当時はまだ生が普通だったろうから撮りだめしておくこともなかったろうし・・
こりゃ大変だわね。
『衣装も自前でメークも自分でやっていてほとんど寝る暇もなかった。
悪くすると1週間に6日徹夜なんて事もあった』
いくら丈夫が取り柄の徹子でも、自分は普通の人間だったということを
思い知る日が・・・
収録中に倒れてしまいました。
救急車で病院に搬送された徹子の病名は『過労』。
医師からは一ヶ月の休養を命じられましたとさ。
なのに番組のプロデューサーが病室に現れ、喋れるんだから『コレだけはやってよ!』と頼みに来た。
さすがに母・朝(安田成美)が割って入ったさ。
「フフッ・・・もう・・・あの、私がいないとNHKは潰れちゃうんじゃないですか?」徹子
「潰れたっていいじゃない。死ぬわよ。
入院して寝てたら治る。さもなきゃ死ぬわよ。
皆さん、どうかお引き取り下さい」朝
徹子が休養中に、徹子が担当していた番組の司会は別の女優に変わっていった。
「私がいなくても、みんな楽しそう・・・」
「お父さんの季節」は渥美の相手役を務める徹子がいなくて困っているのでは・・と
スイッチを付けたら・・・
不在の理由は『実家に帰ってます』で、いつも通り進んでいた。
『「実家に帰ってます」のひと言で片づけられちゃうって何なんだろう』
「使い捨て・・・?」徹子
自分が発見した楽しい遊び場は自分だけのものじゃなかった・・・
自分がちょっと行かないでいる間に誰かがその大切な場所で遊ぶようになってしまった・・・
何ともいえない寂しさを徹子は感じていました。
『トットちゃんは思い出していました。
テレビジョンの事を教えてくれた大切なお友達の事を。
夏休み。
トットちゃんは足の悪い泰明ちゃんをどうしても大切な場所に案内したかったのです。
それは幼い2人にとっては大冒険でした』
足が悪くていつも教室で読書していた泰明ちゃん。
そんな泰明ちゃんを徹子は自分の大切な場所・大木の上の特等席に
招待したかったのです。
徹子が脚立を運んできて一生懸命泰明の手を引っ張り、
諦めそうになる泰明を励ましながら、時間をかけて
二人はその場所に一緒に立つことができた。
「登れたね」
「あぁ、よかった!いらっしゃいませ」
「お邪魔します」
セミの鳴き声が自分達を取り囲み、
太陽の光が枝や葉を通して降り注いでいる。
太い幹に耳を近づけると命の動きが伝わってくる。
大木に包まれているような、
そしてこの世界と一つになっているような充実感・・
「木に登るって、こういう事か。ありがとう」
『復帰したトットちゃんを待っていたのは新番組「夢であいましょう」でした。
歌とコントを組み合わせた斬新な演出。
テレビの新時代が幕を開けようとしていました』
外人仕事をE.H.エリックが一人で引き受けていた時代。
彼も番組の中で『テレヴィジョン』役としてコントに参加していた。
「ねぇ、どうしてテレビジョンっていうのかしら?」徹子
「あ?そら、テレビジョンだからテレビジョンじゃねぇの」渥美
「テレとは遠い距離。ビジョンは見る事。
すなわちテレビジョンとは遠くを見るという意味です」E.H.エリック
「あら、この話、いつか聞いた事あるわ」徹子
『トットちゃんは新人の頃NHKで講義を受けました。
それはアメリカから日本にテレビを伝えに来た人のお話でした』
「これからは世界の果てで行われる結婚式や戦争何もかもが
テレビジョンによって見る事ができるようになるでしょう」講師
「あのね、アメリカにはテレビジョンっていう四角い箱みたいなものがあって
それが日本に来たら家にいてもお相撲が見られるんだって」泰明
「お相撲さんって大きいのに、どうやって家まで来て
箱の中に入るのかな?」徹子
徹子は研修で学んだあの言葉を思い出していました。
「テレビは一番大きなメディアになります。
世の中をよくするのも悪くするのもテレビに懸かっています。
テレビが永久的な平和をもたらしてくれると信じています。
そんなテレビの無限大の可能性を引き出すのは放送に携わる皆さんです」
『あの日、トットちゃんは自分の一番大切な場所に泰明ちゃんを招待したかった。
泰明ちゃんには、もう会えない。
テレビジョンが日本に来る前に天国へ行ってしまったから。
そして今、その四角い箱の中でトットちゃんは生きている』
ちょっぴり挫折感も味わったけど、徹子はやっぱりこのテレヴィジョンに
泰明ちゃんと一緒に登り大木の上で感じた世界を見る。
ここで感じたすべてを伝えたい。
生き生きとした思い、ワクワク、ドキドキ、尽きることのない好奇心・・・
やっぱりこの場所が大好きだ。
ほのかな使命感と共に夢が広がって行くトットちゃんなのでした。
エンディングは坂本九(錦戸亮)の『上を向いて歩こう』。
切ない思いを宝物のように抱き、前を向いて歩いて行く徹子にぴったりでした。
このドラマには懐かしさだけではない何かがある。
今のテレビに、あの頃の熱さはあるか。
自らを見つめ成長しようとする厳しい目は存在するのか・・・
第1話 テレビ女優第一号・黒柳徹子の笑いと涙の青春
第3話 生放送は波乱の連続!
第4話 徹子、変身!玉ねぎヘア誕生
第5話 向田邦子と徹子・友情の物語
第6話 私の兄ちゃん・渥美清
第7話(最終話) 徹子、森繁を叱る
「丈夫で長もち使い得ですよ〜!
そのうちなかなか時間がとれず使いたくても使えねぇ役者になりますよ!
私、浅草から参りました渥美清といいます。どうもよろしく」
この時配っていた名刺の似顔絵が本物の渥美清さんと
演じる中村獅童さんをミックスしたような『渥美清』。
小道具さん、グッジョブ!!
渥美と徹子は『お父さんの季節』で初共演。
生放送前に渥美が持っていた台本を徹子が取り上げちゃったもんだから
セリフを覚えていない渥美はしどろもどろになっちゃった。
「なんとかなったけど、すごくハラハラしたわ」徹子
「俺への当てこすりかい?このアマ!」渥美
「「アマ」とおっしゃいますと?」
「アマはアマでえ」
「へえ〜あの、初めて聞いたお言葉ですがそれって日本語ですか?」
「あ〜やだやだ!この手の女は本当ヤダね!」
「この手の女とおっしゃいますと?」
「山の手でお生まれになって音楽学校か何か行って
苦労知らずの温室育ちのいけ好かねえ女の事でえ!このアマ!」
「まあ!そんな因縁つける前に
セリフくらいちゃんと覚えていらしたらどうか しら!?」
「言いやがったな!俺の台本本番前に奪って!」
「え?」
「邪魔したのはてめえの方だろこのアマ!」
「アマじゃございません。あのね、黒柳です」
「しゃらくせえ!黒ナナギ!白ヤナギ!おっ、言えた。黒ヤナギ言えた」
「言えてません!黒柳!」
『後に大の仲よしになったトットちゃんと渥美さんですが
最初は こんな感じだったんです』
(* ̄m ̄)プッ・・徹子のことを上品ぶった皮肉屋だと思ったんだろうね。
でも徹子には裏なんて全くない。
蝶々のように無心に光に乗って飛んでいるだけ。
人を見抜く確かな目を持っていた渥美さんは、性別を超えてこの「お嬢さん」を愛したんだろうなぁ・・
でも頭にきた徹子は名前を芸名にしたいと大岡先生(武田鉄矢)に訴えた。
「どのような?」大岡
「リリーがいいんです。リリー白川とかリリー白井?白井とか」徹子
「およしなさいよ。そんな踊り子さんみたいな名前」
「だってみんなすぐ私の名前トチるんですもの!
黒ヤナギとか白ヤナギとか白ウサギとか黒ウサギとか!」
「あのね、名前なんてものはね、いい女優さんになったら
すぐに誰にでも覚えてもらえます。
トット様のお名前が全国津々浦々広まる日がいつか来ますよ」
「津々浦々?」
「うん。津々浦々」
大岡には、トットちゃんがテレビジョンそのものになる日が見えていたのかしら・・・
この大岡の存在はトットにとってテレビ界のお父さんのよう。
いつでもおおらかに見守りつつ、優しく諭してくれる。
昭和33年(1958年)大晦日、『NHK 紅白歌合戦』が始まっております。
この時が第九回。徹子は総合司会ですョ〜。
テレヴィジョンの普及率もちょっとづつあがり・・・
王さん(松重豊)の店にもテレビジョンが入りました。
店内は『紅白歌合戦』を見たいお客さんで一杯。
窓際のテーブルのいつもの席には大晦日だっていうのに
向田邦子(ミムラ)が執筆しております。
『大岡先生の言葉どおり黒柳徹子の名前は全国津々浦々に広まった。
でもみんながそれほど「紅白」に熱を上げていなかった時代で
ほかの劇場と掛け持ちする歌手も多く・・・
出番になっても歌手がなかなか来なかった』
舞台裏ではスタッフがこげな会話を・・・
「おい、女来たか?男来たか?」
「男が来ました。男!」
「・・・(徹子に)何かしゃべって!」
「え・・・」徹子
「伸ばして!女が来てないから」
「ちょっと・・・」
徹子はなんとかその場を繋いだ。
でも何やら事情があるらしいことはテレヴィジョンの向う側にも伝わった。
「案外、いい度胸してるわね」向田
「あっあっ!女来ました!女来ました!
それではこちらには、めでたくお正月を迎えて頂きましょう。
曲目は・・・あれです!あれです!
あれです!『かっぽれ』。『あれ かっぽれ』どうぞ!」徹子
『銀座のかっぽれ』でした・・・( ̄∇ ̄;)
いい時代だねぇ・・・
視聴者が温かい目でテレビ業界を見守ってくれているような。
ミスよりも徹子が頑張っていることを見てくれている。
『テレヴィジョン』が映る不思議の理由はわからんけど
人間がやるもんだってことをみんなわかっていたんでしょうね。
昭和34年(1959年)、ミッチーブームから美智子様ご成婚パレード・・・
時代を映すテレビジョンを人々は熱い思いで求めるようになったいった。
『テレビはだんだんと日本人の生活に入っていった。
昭和34年には300万台。3年後には1,000万台になった。
おかげで トットちゃんはどんどん忙しくなっていった』
月曜日 「お父さんの季節」
火曜日 「はてな劇場」
水曜日 「ブーフーウー」
木曜日 「一丁目一番地」
金曜日 「チロリン村とくるみの木」
土曜日 「夜の仲間」
日曜日 「パノラマ劇場」
休みないやん・・・( ̄∇ ̄;)
当時はまだ生が普通だったろうから撮りだめしておくこともなかったろうし・・
こりゃ大変だわね。
『衣装も自前でメークも自分でやっていてほとんど寝る暇もなかった。
悪くすると1週間に6日徹夜なんて事もあった』
いくら丈夫が取り柄の徹子でも、自分は普通の人間だったということを
思い知る日が・・・
収録中に倒れてしまいました。
救急車で病院に搬送された徹子の病名は『過労』。
医師からは一ヶ月の休養を命じられましたとさ。
なのに番組のプロデューサーが病室に現れ、喋れるんだから『コレだけはやってよ!』と頼みに来た。
さすがに母・朝(安田成美)が割って入ったさ。
「フフッ・・・もう・・・あの、私がいないとNHKは潰れちゃうんじゃないですか?」徹子
「潰れたっていいじゃない。死ぬわよ。
入院して寝てたら治る。さもなきゃ死ぬわよ。
皆さん、どうかお引き取り下さい」朝
徹子が休養中に、徹子が担当していた番組の司会は別の女優に変わっていった。
「私がいなくても、みんな楽しそう・・・」
「お父さんの季節」は渥美の相手役を務める徹子がいなくて困っているのでは・・と
スイッチを付けたら・・・
不在の理由は『実家に帰ってます』で、いつも通り進んでいた。
『「実家に帰ってます」のひと言で片づけられちゃうって何なんだろう』
「使い捨て・・・?」徹子
自分が発見した楽しい遊び場は自分だけのものじゃなかった・・・
自分がちょっと行かないでいる間に誰かがその大切な場所で遊ぶようになってしまった・・・
何ともいえない寂しさを徹子は感じていました。
『トットちゃんは思い出していました。
テレビジョンの事を教えてくれた大切なお友達の事を。
夏休み。
トットちゃんは足の悪い泰明ちゃんをどうしても大切な場所に案内したかったのです。
それは幼い2人にとっては大冒険でした』
足が悪くていつも教室で読書していた泰明ちゃん。
そんな泰明ちゃんを徹子は自分の大切な場所・大木の上の特等席に
招待したかったのです。
徹子が脚立を運んできて一生懸命泰明の手を引っ張り、
諦めそうになる泰明を励ましながら、時間をかけて
二人はその場所に一緒に立つことができた。
「登れたね」
「あぁ、よかった!いらっしゃいませ」
「お邪魔します」
セミの鳴き声が自分達を取り囲み、
太陽の光が枝や葉を通して降り注いでいる。
太い幹に耳を近づけると命の動きが伝わってくる。
大木に包まれているような、
そしてこの世界と一つになっているような充実感・・
「木に登るって、こういう事か。ありがとう」
『復帰したトットちゃんを待っていたのは新番組「夢であいましょう」でした。
歌とコントを組み合わせた斬新な演出。
テレビの新時代が幕を開けようとしていました』
外人仕事をE.H.エリックが一人で引き受けていた時代。
彼も番組の中で『テレヴィジョン』役としてコントに参加していた。
「ねぇ、どうしてテレビジョンっていうのかしら?」徹子
「あ?そら、テレビジョンだからテレビジョンじゃねぇの」渥美
「テレとは遠い距離。ビジョンは見る事。
すなわちテレビジョンとは遠くを見るという意味です」E.H.エリック
「あら、この話、いつか聞いた事あるわ」徹子
『トットちゃんは新人の頃NHKで講義を受けました。
それはアメリカから日本にテレビを伝えに来た人のお話でした』
「これからは世界の果てで行われる結婚式や戦争何もかもが
テレビジョンによって見る事ができるようになるでしょう」講師
「あのね、アメリカにはテレビジョンっていう四角い箱みたいなものがあって
それが日本に来たら家にいてもお相撲が見られるんだって」泰明
「お相撲さんって大きいのに、どうやって家まで来て
箱の中に入るのかな?」徹子
徹子は研修で学んだあの言葉を思い出していました。
「テレビは一番大きなメディアになります。
世の中をよくするのも悪くするのもテレビに懸かっています。
テレビが永久的な平和をもたらしてくれると信じています。
そんなテレビの無限大の可能性を引き出すのは放送に携わる皆さんです」
『あの日、トットちゃんは自分の一番大切な場所に泰明ちゃんを招待したかった。
泰明ちゃんには、もう会えない。
テレビジョンが日本に来る前に天国へ行ってしまったから。
そして今、その四角い箱の中でトットちゃんは生きている』
ちょっぴり挫折感も味わったけど、徹子はやっぱりこのテレヴィジョンに
泰明ちゃんと一緒に登り大木の上で感じた世界を見る。
ここで感じたすべてを伝えたい。
生き生きとした思い、ワクワク、ドキドキ、尽きることのない好奇心・・・
やっぱりこの場所が大好きだ。
ほのかな使命感と共に夢が広がって行くトットちゃんなのでした。
エンディングは坂本九(錦戸亮)の『上を向いて歩こう』。
切ない思いを宝物のように抱き、前を向いて歩いて行く徹子にぴったりでした。
このドラマには懐かしさだけではない何かがある。
今のテレビに、あの頃の熱さはあるか。
自らを見つめ成長しようとする厳しい目は存在するのか・・・
第1話 テレビ女優第一号・黒柳徹子の笑いと涙の青春
第3話 生放送は波乱の連続!
第4話 徹子、変身!玉ねぎヘア誕生
第5話 向田邦子と徹子・友情の物語
第6話 私の兄ちゃん・渥美清
第7話(最終話) 徹子、森繁を叱る
