2016年02月12日
「ちかえもん」 第5回 標的、忠右衛門(ターゲットはちゅうえもん)
「なぁ・・親の仇討ちて親孝行か?親不孝なんか?どっちや?」お袖(優香)
「そら、親不孝や」ちかえもん(松尾スズキ)
「あんたにしてはきっぱり答えたな」
「赤穂義士もお初も親から見たら不孝者や。
地獄に落ちる覚悟しとんのやさかい・・・」
『・・・と思わずワシまでシリアスモードに入ってしまいましたが・・・
安心して下さい。これは痛快娯楽時代劇です。
さぁ、平野屋忠右衛門の運命やいかに・・・!
・・・・ってな陳腐な言い回しはワシのプライドが許さんのである』
どこが「痛快娯楽時代劇」やねん!Σ\( ̄∇ ̄;)
でも、仇討ちを親不孝と言い切ったちかえもん・・・・
今まで脚本家としてどうやのん?って言動ばかり見てきたが、
やっぱりアンタはおもろい。そしてほんまもんや。
「美しい忠義」の裏にある人間の思い、そしてそういうもんの後ろに隠れていた
決して消せない人間の本物の思いを見ている。
わてもアンタが歴史に残る脚本を書けるはずやと、やっと思えるようになりましたで。
HPはこちら
さて、先週の続きだす。
お初(早見あかり)の目論見を見破った久平次(山崎銀之丞)は手を組まないかと
誘いよった。
自分が目的を達したら身請けしてやるとさ。
んが、そんな話に乗るほどお初はあまちゃんではなかった。
はっきり断りましたで。
「わては、この手で平野屋忠右衛門に仇討ちします。
邪魔せんといておくなはれ」
お初の思いは、そんな誰かと共有できるようなもんではないし邪魔されたくもない。必ず自分が忠右衛門を殺る!
それだけお初の恨みは深いし決意も固いいうことでっしゃろ。
「そら、親不孝や」ちかえもん(松尾スズキ)
「あんたにしてはきっぱり答えたな」
「赤穂義士もお初も親から見たら不孝者や。
地獄に落ちる覚悟しとんのやさかい・・・」
『・・・と思わずワシまでシリアスモードに入ってしまいましたが・・・
安心して下さい。これは痛快娯楽時代劇です。
さぁ、平野屋忠右衛門の運命やいかに・・・!
・・・・ってな陳腐な言い回しはワシのプライドが許さんのである』
どこが「痛快娯楽時代劇」やねん!Σ\( ̄∇ ̄;)
でも、仇討ちを親不孝と言い切ったちかえもん・・・・
今まで脚本家としてどうやのん?って言動ばかり見てきたが、
やっぱりアンタはおもろい。そしてほんまもんや。
「美しい忠義」の裏にある人間の思い、そしてそういうもんの後ろに隠れていた
決して消せない人間の本物の思いを見ている。
わてもアンタが歴史に残る脚本を書けるはずやと、やっと思えるようになりましたで。
HPはこちら
さて、先週の続きだす。
お初(早見あかり)の目論見を見破った久平次(山崎銀之丞)は手を組まないかと
誘いよった。
自分が目的を達したら身請けしてやるとさ。
んが、そんな話に乗るほどお初はあまちゃんではなかった。
はっきり断りましたで。
「わては、この手で平野屋忠右衛門に仇討ちします。
邪魔せんといておくなはれ」
お初の思いは、そんな誰かと共有できるようなもんではないし邪魔されたくもない。必ず自分が忠右衛門を殺る!
それだけお初の恨みは深いし決意も固いいうことでっしゃろ。
ちかえもんの執筆作業は難航しております。
『赤穂義士』もいつのまにかミュージカル仕立てとなっとる。
サブタイトルも消えたわ〜
本日のメロディーは『フランシーヌの場合』よ。
それでは歌っていただきましょう!
『赤穂義士の場合』!歌うはスランプが止まらない。近松門左衛門!
『♪ 赤穂浪士の場合は〜 あまりにも おばかさん ♪
♪ 赤穂浪士の場合はぁ〜 あまりにも さびしい ♪
♪ 元禄十六年のぉ〜 二月四日 ♪
江戸の朝にぃ〜 燃えたぁ〜命ぃ〜 四十六ぅ〜 ♪』
切腹装束ダンサーズが厳かな雰囲気で舞ってますぇ〜ヽ(*゚∀゚*)ノ
って・・・自分の世界に浸っていたら、原稿を読んだ喜里(富司純子)に
叱り飛ばされちゃった。
「何です!?これは!」
「うわっ!母上!あ、あきまへん。それは・・・」
「信盛。お前は・・・もはやまともな筋を書く気はありませんね?」
「そないな事はおまへん。これは単なる書き損じですねん」
「昨日、竹本座の義太夫殿が訪ねてきましたよ」
「義太夫が・・・?」
「そなたがいつまでも書かぬゆえであろう」
「ついに家まで来よったか。たちの悪い男や!」
「なんと口の悪い」
「あれの正体は多分、精いっぱい男前に化けた狐やな」
こっから、ちかえもんは義太夫(北村有起哉)を見つけると
逃げ回ることに・・( ̄∇ ̄;)
そこに万吉(青木崇高)が現れ、あろうことかちかえもんの最高傑作と言われとる
『出世景清』をトイレ紙にしようとしましたで。
この前読み聞かせしてもらったけど、難しいてナニ言ってるか
さっぱりわからんかったんやて。
そこで、ちかえもんがわかりやすぅく噛み砕いて教えたげたぞ。
「主人公は平家の残党の悪七兵衛景清。狙うは憎き仇・源頼朝。
しかし景清仇討ちのたくらみがバレ追われる身に。
身を挺して景清をかばう妻・小野姫!
その父・熱田大宮司!景清の恋人・阿古屋!その兄・伊庭十蔵!
源氏の悪漢・梶原源太!
一筋縄ではいかん連中が繰り広げる波乱万丈の傑作仇討ち劇それが・・・!
出世景清! syussekagekiyo」
映画の予告編やん!と思ってたら・・・
「Don't miss it !!」やて〜〜〜!(*≧▽≦)ノシ)) なんや今日は飛ばしてるなぁ〜!
華々しく言ってみたけど、二人とも冷たい。
寂しくなったちかえもんは『出世景清』を諳んじていたという、
多分、ワシのファンに違いないお初の元へ行き、
浮かれていつ見たのお〜?と尋ねたら・・・
「そないなもん知りまへん!
人形浄瑠璃みたいなもん、一ぺんも見た事おまへん!」
「(((( ;゚Д゚)))・・・・・」
しゅん・・・・・
傷つきやすいおっちゃんはすっかりうなだれてお袖の元へ・・・
「何でや・・・何でお初はあないに怒ったんや。
わしか?わしが嫌いなんか?
こんなおっちゃんに気安う声かけられとうないちゅう事か・・・」
「あんたは、それでも物書きか。
ちょっと考えたら分かるやろ。
わてらみたいな商売のおなごはな、昔の事詮索されとうないねん。
皆、人に言われへん事抱えてんねんさかい」お袖
「・・・・・・・そうか・・・そやな」
「けど・・・ちょっと羨ましいわ」
「何が?」
「お初、人形浄瑠璃見た事あんのやろ?
わては見た事あれへん。
あんたがここで書けん書けん言うてう、なってるとこを見てるばっかりでな」
「そうか・・・」
「きっとおもろいもんなんやろな・・・」
「そら・・・いや・・・ちょっと・・・厠」
『年なんやろか・・・
ここから好きに出入りのでけん遊女らの胸の内を思たら
何や急に・・・・切のうなってしもた』
泣いちゃいそうになって出てきたんやて・・・
そしたら・・おっと!危ない。義太夫が自分を探しているやないか!
((((((((((`ω´;)サササッ
天満屋は広い。
いろんな場所でいろんな出来事が起きている。
ちかえもんから離れたお初を徳兵衛(小池徹平)が待っていた。
「お初。こないだはあないな騒ぎで脅かしてすまんかった。
けど・・私は決してええ加減な気持ちやあれへん。
お前を身請けしたいと心から思とる。
梅や。こないだの雨で皆散ったか思たけど、天神の森ぃ行たらまだ咲いとった。
春が終わらんうちにきっとお前を外ぃ出したる。
天神さんに2人を夫婦と認めてもらおやないか」
きれいな目ぇでまっすぐに見つめながら言われて・・・
見たいと言っていた梅を少しでも喜ばせようと持ってきてくれた。
さすがのお初も胸が痛んだようや。
よろよろっと倒れてしもた。
面倒を見てくれたのはお袖ねぇさんや。
お初に胸に溜まっているもん吐き出すよう言うたんやけど・・・
「ほっといてんか!ねえさんなんぞに何が分かりまんねん!
余計なおせっかいはいりまへん!」
突っぱねてしもたけど、やっぱり苦しかったんやろし、
情のあるお袖ねぇさんにすがりたかったんやろ。
聞いてくれるだけでいいと後ろ向きのまま話始めました。
んが・・実は聞いているのは義太夫から逃げ回っているちかえもんやった!
「わての父親は結城格之進。蔵役人やった。
優しゅうて・・・ちょっと堅物で・・・人形浄瑠璃が好きでな。
わても連れていってもろた。9つの時や。
父には親しゅうしてる商人がおった。
平野屋の旦那や」
『ええ〜〜!?w( ̄Д ̄;)w 』
「やっぱり人形浄瑠璃が好きで気が合うみたいやった。
けどある時、父は・・・気付いてしもたんや。
平野屋が不正な取り引きして大もうけしてるちゅう事に」
『ええ〜〜!? ( ̄□ ̄;)!!』
「町奉行やら長崎の役人やらに袖の下渡して、ええようにしてたんや。
父はすぐにやめるように平野屋忠右衛門に訴えた。
けど・・・忠右衛門は父の忠告を聞き入れるどころか、
ありもせえへん罪をでっちあげて父を牢屋へ入れたんや。
父は何日も何日も厳しいお取り調べを受けてあげく・・・父は・・・」
切腹させられてもうた・・・
『あの平野屋はんが、そないな悪党やったとは・・・』
「父が亡くなってから母も具合が悪うなって・・・程なく父のもとへと旅立たれた。
わては強欲で評判の伯父に引き取られて・・・京の遊郭に売られた。
分かりましたやろ?
わてが、あの若旦さんとええ仲になったんは・・・あの人に惚れたからやおまへん」
『ええ〜〜!?( ̄□||||!! 』
「・・・この手で平野屋忠右衛門に仇討ちするためや」
『うわ〜〜・・・(-言-)・・・』
「平野屋に入り込んで不正の証拠をつかんで・・・父の無念を晴らすためや!」
『ちょ・・・ちょっと待って。待ってて・・・』
まさかこんな身近でリアル出世景清が・・・
ショックですっかり混乱したちかえもんは白湯を持ってきたお袖と
入れ替わりに消えた。
いや〜今回はいつもにも増して登場人物たちの配置と展開が緻密で
まさに舞台を見ているようや・・魅せるねぇ。
その頃、ちかえもんを探していた義太夫さんは万吉につかまり、
「出世景清」を語らせられておりました。
この語りがお初の告白と重なっており、うまい作りやったわ〜
乗せ上手の万吉だから義太夫さんも気持ちよう語ってはる。
場面は父親を探しにきた小野姫を梶原源太が見つけ、
夫・景清の行方を吐かせようと『裸に剥いて火責め・水責め・古木責め』するところに。
「ちかえもんも大概、屈折してまんな」万吉
「ちかえもん?・・・ああ!近松っつぁんの事かえ?」義太夫
「うん。それや。ちかえもんが書いたんでっしゃろ?」
「いかにも。近松門左衛門作『出世景清』や」
「おお〜。何やえらいかっこよろしな」
「平野屋忠右衛門はんがこない言うてくれた。
『近松っつぁんの筋とわし、竹本義太夫の語りが出会うて
人形浄瑠璃は見事に花開いた』てな。
近松っつぁんとわしは浄瑠璃でつながった同志や」
「ほんまでっか?ちかえもんはあんたを怖がって逃げ回ってまっせ」
実は義太夫さんはちかえもんにもう書かんでもええと言いにきたんやて。
「もう、竹本座閉めてまおか思て。
京では歌舞伎が人気やいうし、大坂にも新しい歌舞伎小屋が出来るちゅう噂も聞く。
・・・もう人形浄瑠璃の時代やないかも分からんな。
竹本座は、もう用済みなんかも分からん」
「安心しなはれ。
今にちかえもんが傑作にんじょうぎょうるりを書きますさかい」
「フッ・・・いや〜・・・けど、けったいやな。
いや〜何や、あんたに言われたら・・・ほんまにそんな気ぃしてきたわ」
「結構や!」
「時に・・・あんた、一体誰でんねん?」
「よう聞いた。わいは不孝糖売り万吉や!」
「・・・不孝糖売り?」
「ちかえもんの友達や!」
万吉って、ホンマに何者なん?
相変わらず浄瑠璃って言えてへんし。
時の旅人?
芸能の神様が不孝糖売りに姿を変えてんの?
この天真爛漫で邪気の無い姿は神様っぽいぞ。
でも「ちかえもんの友達」と言うてるから、幼い頃、浄瑠璃に目覚めさせてくれた
あの人形なのか?あの人形に魂が宿ったんやろか・・
そんな事考えてたら、いずれ万吉はこの時代を去っていくんやろな・・と思えて
切ないがな〜
さて、お初の部屋を出たちかえもんは、書かずにいられなかった。
この心に刺さる物語を書かで脚本家と言えるかい!
お玉(高岡早紀)から売上帳の紙をむしり取って書き始めたがな。
それをしょうがないねぇという優しい目で見逃してくれたお玉さん・・
こういうちょっとした場面がいいよねぇ。
んが・・・相関図を書いてみたが、これをどうやって物語に興したらいいかわからん・・・
家で一晩中悩んだけどひらめかん。
顔しかめとったら、窓から覗いていた万吉に見られてしもたでーーー!!
「万吉!何でお前がおんねん」
「そういう事やったんか。ようやく合点がいったで。
お初・・・何でいっつもあないに悲しそうなんかな思たら、そういう訳やったんか。
あほボンのお父はんがお初のお父はんを裏切った訳でんな!」
「シ〜!シ〜!シ〜!シ〜!d(oεo;)
これは下手に口外でける話やあれへん。
知ってしもた事が知れたら、わしらの身ぃかて危ういんやで!」
聞いちゃいない・・( ̄∇ ̄;)
「あほボンの親父め。
悪者みたいな顔しとって意外とええ者なんかな思たら、やっぱり悪者やったんやな」
「何言うてんねん!」
「こないしてはおれん。ちかえもん行きまっせ」
「行くてどこへ?」
「ええさかいついてきなはれ!」
「何する気ぃや?・・・えっ!?待て待て!お前、字ぃ読めたんか?」
えええ〜〜そこ?!(* ̄m ̄)プッ
万吉はちかえもんを連れて平野屋へ行きましたで。
そして天満屋のお初に会いに来るよう言い置きました。
実はこのちょっと前に忠右衛門(岸部一徳)は徳兵衛に政略結婚を命じたんだけど
お初を身請けするからできん!と拒否されていたんだよね。
その話かと思い忠右衛門は喜助(徳井優)を連れて天満屋に向かったさ。
一方、万吉たちはお袖の部屋にいるお初の元へ。
「今日はお前のためにたんと不孝糖拵えてきたで。
存分になめて、存分に仇討ちせえ!」万吉
「・・・・ねえさん、万吉っつぁんに・・・?」お初
「・・・???」お袖
慌ててちかえもんは状況を説明したさ。
「お初。お前の気持ちはよう分かった。
平野屋のちゅう・・・ちゅう・・・え〜と、ちゅうちゅう衣紋掛け?」万吉
「忠右衛門や!鼠かっ!?」ち
「その何ちゃら衛門ちゅうのんは悪いやっちゃ。
お前があほボンだまくらかしてまで仇討ちしたいのも道理や」
万吉、畳にドスを突き刺しましたで。
「後でここへ鼠の親分が来る。
回りくどい事せんと積年の恨み晴らしてまえ!」
「あほ〜!(*°皿°)ノシ☆バンバン」
「いっ!痛た・・」
「な・・・なんちゅう事言いだすんやお前は〜!
こないなとこで仇討ちなんぞしてみい。
お初かて死罪は免れんのやぞ。
あほが考えなしに動くな!ぼけ〜!」
ボコボコ叩くもんだから、万吉が泣いちゃったよぅ・・・
「な・・・泣くな。おい、泣くなて(´Д`;)」ちかえもん
「そうかて・・・かわいそうやねんもん・・(ノω;`)
お初・・・かわいそうやねんもん!小野姫・・・」万吉
「『出世景清』の小野姫か?」
「あんた、えげつない場書きましたやろ?
心優しいお姫さん、裸に剥いて火責め・水責め・古木責め」
「おお・・・そやけどそのあと景清が現れて小野姫は救われたんやで」
「お初は救われてまへん。
お初はこの10年ず〜っとず〜っと火責め水責め古木責めに
遭うてきましたんや。
・・・・たった9つで親失うて廓ぃ売られて。
親の仇の名も顔も知ってんのに恨み晴らせんと、
来る日も来る日も死んだみたいに生きて。
あほボンに会うて、やっと笑た思たのに・・・
あれも皆ほんまの笑顔やなかったんや!
積年の恨み晴らさん事には、お初が笑う事はおまへん。
救われる事はおまへんのや」
「・・・分かるで。分かるけど・・・
そやからいうて、こないな捨て身の手は・・・」ち
「ちかえもんが言うたんやろ!
主の仇親の仇は討とうちゅうんが当たり前やて」
「それは・・・それはもう昔のこっちゃ。
わしの書いた古くさい物語の中だけのこっちゃ。
若いおなごがこないなもん持ち出さんかて救われる道はなんぼでもあるのや!」
お初は刺さっていたドスを手にとりましたで。
「・・・・ご心配おかけしてすんません。
万吉っつぁん。不孝糖頂戴・・・」
「お初・・・」お袖
「もう回りくどい事はしまいや。
世間知らずの若旦さんだまし続けんのもしんどいしな。
心配せんといておくなはれ。
会うなりこれ 抜いたりしまへんさかい。
抜くかどうかは…平野屋忠右衛門の出方次第や」
美しいヒロイン誕生や!
宮川彬良さんの音楽がドラマチックに切なく盛り上げます。
お初に引き込まれるようにちかえもんの中で物語が動き始める。
いや〜わくわくするワ。
そして自分のかつての名作を『古くさい物語』と言い切ったちかえもん。
過去を切り捨てなければ新しいものは生まれない。
あの名作が生まれる準備ができてきたようです。
お初が忠右衛門を呼び出したことを知った(平野屋に草の者が)
久平次(山崎銀之丞)も天満屋に向かいました。
「行くぞ。こんな面白い見せ物を逃す手はなかろう」
役者が次々と舞台に集まってきております。
忠右衛門を待つお初は帯の中に短刀を忍ばせました。
ちかえもんはお袖の部屋から見張っとる。
そして・・・
「平野屋の旦さん、お越しだす」
幕が上がりましたで。
お初はしっかりと忠右衛門に向き合いました。
万吉の純な涙、そしてちかえもんのお初を救いたいいう思いが
お初を浄化したようや。
その姿は神々しいほどの美しさやった。
いや〜面白い!としか言いようがない。
このドラマを見ようと思った自分を褒め称えたいぐらいや。
来週は義太夫はんがわりと活躍しまっせ〜!!
第1回 近松優柔不断極(ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ)
第2回 厄介者初、井守黒焼(やっかいものおはつといもりのくろやき)
第3回 放蕩息子徳兵衛(あほぼんとくべえ)
第4回 善悪不明九平次(ぜんかあくかくへいじ)
第6回 義太夫些少活躍(ぎだゆうわりとかつやく)
第7回 賢母喜里潔決断(ははうえきっぱりけつだん)
最終回 曽根崎心中万吉心中(そねざきしんじゅうとまんきちのおもい)
『赤穂義士』もいつのまにかミュージカル仕立てとなっとる。
サブタイトルも消えたわ〜
本日のメロディーは『フランシーヌの場合』よ。
それでは歌っていただきましょう!
『赤穂義士の場合』!歌うはスランプが止まらない。近松門左衛門!
『♪ 赤穂浪士の場合は〜 あまりにも おばかさん ♪
♪ 赤穂浪士の場合はぁ〜 あまりにも さびしい ♪
♪ 元禄十六年のぉ〜 二月四日 ♪
江戸の朝にぃ〜 燃えたぁ〜命ぃ〜 四十六ぅ〜 ♪』
切腹装束ダンサーズが厳かな雰囲気で舞ってますぇ〜ヽ(*゚∀゚*)ノ
って・・・自分の世界に浸っていたら、原稿を読んだ喜里(富司純子)に
叱り飛ばされちゃった。
「何です!?これは!」
「うわっ!母上!あ、あきまへん。それは・・・」
「信盛。お前は・・・もはやまともな筋を書く気はありませんね?」
「そないな事はおまへん。これは単なる書き損じですねん」
「昨日、竹本座の義太夫殿が訪ねてきましたよ」
「義太夫が・・・?」
「そなたがいつまでも書かぬゆえであろう」
「ついに家まで来よったか。たちの悪い男や!」
「なんと口の悪い」
「あれの正体は多分、精いっぱい男前に化けた狐やな」
こっから、ちかえもんは義太夫(北村有起哉)を見つけると
逃げ回ることに・・( ̄∇ ̄;)
そこに万吉(青木崇高)が現れ、あろうことかちかえもんの最高傑作と言われとる
『出世景清』をトイレ紙にしようとしましたで。
この前読み聞かせしてもらったけど、難しいてナニ言ってるか
さっぱりわからんかったんやて。
そこで、ちかえもんがわかりやすぅく噛み砕いて教えたげたぞ。
「主人公は平家の残党の悪七兵衛景清。狙うは憎き仇・源頼朝。
しかし景清仇討ちのたくらみがバレ追われる身に。
身を挺して景清をかばう妻・小野姫!
その父・熱田大宮司!景清の恋人・阿古屋!その兄・伊庭十蔵!
源氏の悪漢・梶原源太!
一筋縄ではいかん連中が繰り広げる波乱万丈の傑作仇討ち劇それが・・・!
出世景清! syussekagekiyo」
映画の予告編やん!と思ってたら・・・
「Don't miss it !!」やて〜〜〜!(*≧▽≦)ノシ)) なんや今日は飛ばしてるなぁ〜!
華々しく言ってみたけど、二人とも冷たい。
寂しくなったちかえもんは『出世景清』を諳んじていたという、
多分、ワシのファンに違いないお初の元へ行き、
浮かれていつ見たのお〜?と尋ねたら・・・
「そないなもん知りまへん!
人形浄瑠璃みたいなもん、一ぺんも見た事おまへん!」
「(((( ;゚Д゚)))・・・・・」
しゅん・・・・・
傷つきやすいおっちゃんはすっかりうなだれてお袖の元へ・・・
「何でや・・・何でお初はあないに怒ったんや。
わしか?わしが嫌いなんか?
こんなおっちゃんに気安う声かけられとうないちゅう事か・・・」
「あんたは、それでも物書きか。
ちょっと考えたら分かるやろ。
わてらみたいな商売のおなごはな、昔の事詮索されとうないねん。
皆、人に言われへん事抱えてんねんさかい」お袖
「・・・・・・・そうか・・・そやな」
「けど・・・ちょっと羨ましいわ」
「何が?」
「お初、人形浄瑠璃見た事あんのやろ?
わては見た事あれへん。
あんたがここで書けん書けん言うてう、なってるとこを見てるばっかりでな」
「そうか・・・」
「きっとおもろいもんなんやろな・・・」
「そら・・・いや・・・ちょっと・・・厠」
『年なんやろか・・・
ここから好きに出入りのでけん遊女らの胸の内を思たら
何や急に・・・・切のうなってしもた』
泣いちゃいそうになって出てきたんやて・・・
そしたら・・おっと!危ない。義太夫が自分を探しているやないか!
((((((((((`ω´;)サササッ
天満屋は広い。
いろんな場所でいろんな出来事が起きている。
ちかえもんから離れたお初を徳兵衛(小池徹平)が待っていた。
「お初。こないだはあないな騒ぎで脅かしてすまんかった。
けど・・私は決してええ加減な気持ちやあれへん。
お前を身請けしたいと心から思とる。
梅や。こないだの雨で皆散ったか思たけど、天神の森ぃ行たらまだ咲いとった。
春が終わらんうちにきっとお前を外ぃ出したる。
天神さんに2人を夫婦と認めてもらおやないか」
きれいな目ぇでまっすぐに見つめながら言われて・・・
見たいと言っていた梅を少しでも喜ばせようと持ってきてくれた。
さすがのお初も胸が痛んだようや。
よろよろっと倒れてしもた。
面倒を見てくれたのはお袖ねぇさんや。
お初に胸に溜まっているもん吐き出すよう言うたんやけど・・・
「ほっといてんか!ねえさんなんぞに何が分かりまんねん!
余計なおせっかいはいりまへん!」
突っぱねてしもたけど、やっぱり苦しかったんやろし、
情のあるお袖ねぇさんにすがりたかったんやろ。
聞いてくれるだけでいいと後ろ向きのまま話始めました。
んが・・実は聞いているのは義太夫から逃げ回っているちかえもんやった!
「わての父親は結城格之進。蔵役人やった。
優しゅうて・・・ちょっと堅物で・・・人形浄瑠璃が好きでな。
わても連れていってもろた。9つの時や。
父には親しゅうしてる商人がおった。
平野屋の旦那や」
『ええ〜〜!?w( ̄Д ̄;)w 』
「やっぱり人形浄瑠璃が好きで気が合うみたいやった。
けどある時、父は・・・気付いてしもたんや。
平野屋が不正な取り引きして大もうけしてるちゅう事に」
『ええ〜〜!? ( ̄□ ̄;)!!』
「町奉行やら長崎の役人やらに袖の下渡して、ええようにしてたんや。
父はすぐにやめるように平野屋忠右衛門に訴えた。
けど・・・忠右衛門は父の忠告を聞き入れるどころか、
ありもせえへん罪をでっちあげて父を牢屋へ入れたんや。
父は何日も何日も厳しいお取り調べを受けてあげく・・・父は・・・」
切腹させられてもうた・・・
『あの平野屋はんが、そないな悪党やったとは・・・』
「父が亡くなってから母も具合が悪うなって・・・程なく父のもとへと旅立たれた。
わては強欲で評判の伯父に引き取られて・・・京の遊郭に売られた。
分かりましたやろ?
わてが、あの若旦さんとええ仲になったんは・・・あの人に惚れたからやおまへん」
『ええ〜〜!?( ̄□||||!! 』
「・・・この手で平野屋忠右衛門に仇討ちするためや」
『うわ〜〜・・・(-言-)・・・』
「平野屋に入り込んで不正の証拠をつかんで・・・父の無念を晴らすためや!」
『ちょ・・・ちょっと待って。待ってて・・・』
まさかこんな身近でリアル出世景清が・・・
ショックですっかり混乱したちかえもんは白湯を持ってきたお袖と
入れ替わりに消えた。
いや〜今回はいつもにも増して登場人物たちの配置と展開が緻密で
まさに舞台を見ているようや・・魅せるねぇ。
その頃、ちかえもんを探していた義太夫さんは万吉につかまり、
「出世景清」を語らせられておりました。
この語りがお初の告白と重なっており、うまい作りやったわ〜
乗せ上手の万吉だから義太夫さんも気持ちよう語ってはる。
場面は父親を探しにきた小野姫を梶原源太が見つけ、
夫・景清の行方を吐かせようと『裸に剥いて火責め・水責め・古木責め』するところに。
「ちかえもんも大概、屈折してまんな」万吉
「ちかえもん?・・・ああ!近松っつぁんの事かえ?」義太夫
「うん。それや。ちかえもんが書いたんでっしゃろ?」
「いかにも。近松門左衛門作『出世景清』や」
「おお〜。何やえらいかっこよろしな」
「平野屋忠右衛門はんがこない言うてくれた。
『近松っつぁんの筋とわし、竹本義太夫の語りが出会うて
人形浄瑠璃は見事に花開いた』てな。
近松っつぁんとわしは浄瑠璃でつながった同志や」
「ほんまでっか?ちかえもんはあんたを怖がって逃げ回ってまっせ」
実は義太夫さんはちかえもんにもう書かんでもええと言いにきたんやて。
「もう、竹本座閉めてまおか思て。
京では歌舞伎が人気やいうし、大坂にも新しい歌舞伎小屋が出来るちゅう噂も聞く。
・・・もう人形浄瑠璃の時代やないかも分からんな。
竹本座は、もう用済みなんかも分からん」
「安心しなはれ。
今にちかえもんが傑作にんじょうぎょうるりを書きますさかい」
「フッ・・・いや〜・・・けど、けったいやな。
いや〜何や、あんたに言われたら・・・ほんまにそんな気ぃしてきたわ」
「結構や!」
「時に・・・あんた、一体誰でんねん?」
「よう聞いた。わいは不孝糖売り万吉や!」
「・・・不孝糖売り?」
「ちかえもんの友達や!」
万吉って、ホンマに何者なん?
相変わらず浄瑠璃って言えてへんし。
時の旅人?
芸能の神様が不孝糖売りに姿を変えてんの?
この天真爛漫で邪気の無い姿は神様っぽいぞ。
でも「ちかえもんの友達」と言うてるから、幼い頃、浄瑠璃に目覚めさせてくれた
あの人形なのか?あの人形に魂が宿ったんやろか・・
そんな事考えてたら、いずれ万吉はこの時代を去っていくんやろな・・と思えて
切ないがな〜
さて、お初の部屋を出たちかえもんは、書かずにいられなかった。
この心に刺さる物語を書かで脚本家と言えるかい!
お玉(高岡早紀)から売上帳の紙をむしり取って書き始めたがな。
それをしょうがないねぇという優しい目で見逃してくれたお玉さん・・
こういうちょっとした場面がいいよねぇ。
んが・・・相関図を書いてみたが、これをどうやって物語に興したらいいかわからん・・・
家で一晩中悩んだけどひらめかん。
顔しかめとったら、窓から覗いていた万吉に見られてしもたでーーー!!
「万吉!何でお前がおんねん」
「そういう事やったんか。ようやく合点がいったで。
お初・・・何でいっつもあないに悲しそうなんかな思たら、そういう訳やったんか。
あほボンのお父はんがお初のお父はんを裏切った訳でんな!」
「シ〜!シ〜!シ〜!シ〜!d(oεo;)
これは下手に口外でける話やあれへん。
知ってしもた事が知れたら、わしらの身ぃかて危ういんやで!」
聞いちゃいない・・( ̄∇ ̄;)
「あほボンの親父め。
悪者みたいな顔しとって意外とええ者なんかな思たら、やっぱり悪者やったんやな」
「何言うてんねん!」
「こないしてはおれん。ちかえもん行きまっせ」
「行くてどこへ?」
「ええさかいついてきなはれ!」
「何する気ぃや?・・・えっ!?待て待て!お前、字ぃ読めたんか?」
えええ〜〜そこ?!(* ̄m ̄)プッ
万吉はちかえもんを連れて平野屋へ行きましたで。
そして天満屋のお初に会いに来るよう言い置きました。
実はこのちょっと前に忠右衛門(岸部一徳)は徳兵衛に政略結婚を命じたんだけど
お初を身請けするからできん!と拒否されていたんだよね。
その話かと思い忠右衛門は喜助(徳井優)を連れて天満屋に向かったさ。
一方、万吉たちはお袖の部屋にいるお初の元へ。
「今日はお前のためにたんと不孝糖拵えてきたで。
存分になめて、存分に仇討ちせえ!」万吉
「・・・・ねえさん、万吉っつぁんに・・・?」お初
「・・・???」お袖
慌ててちかえもんは状況を説明したさ。
「お初。お前の気持ちはよう分かった。
平野屋のちゅう・・・ちゅう・・・え〜と、ちゅうちゅう衣紋掛け?」万吉
「忠右衛門や!鼠かっ!?」ち
「その何ちゃら衛門ちゅうのんは悪いやっちゃ。
お前があほボンだまくらかしてまで仇討ちしたいのも道理や」
万吉、畳にドスを突き刺しましたで。
「後でここへ鼠の親分が来る。
回りくどい事せんと積年の恨み晴らしてまえ!」
「あほ〜!(*°皿°)ノシ☆バンバン」
「いっ!痛た・・」
「な・・・なんちゅう事言いだすんやお前は〜!
こないなとこで仇討ちなんぞしてみい。
お初かて死罪は免れんのやぞ。
あほが考えなしに動くな!ぼけ〜!」
ボコボコ叩くもんだから、万吉が泣いちゃったよぅ・・・
「な・・・泣くな。おい、泣くなて(´Д`;)」ちかえもん
「そうかて・・・かわいそうやねんもん・・(ノω;`)
お初・・・かわいそうやねんもん!小野姫・・・」万吉
「『出世景清』の小野姫か?」
「あんた、えげつない場書きましたやろ?
心優しいお姫さん、裸に剥いて火責め・水責め・古木責め」
「おお・・・そやけどそのあと景清が現れて小野姫は救われたんやで」
「お初は救われてまへん。
お初はこの10年ず〜っとず〜っと火責め水責め古木責めに
遭うてきましたんや。
・・・・たった9つで親失うて廓ぃ売られて。
親の仇の名も顔も知ってんのに恨み晴らせんと、
来る日も来る日も死んだみたいに生きて。
あほボンに会うて、やっと笑た思たのに・・・
あれも皆ほんまの笑顔やなかったんや!
積年の恨み晴らさん事には、お初が笑う事はおまへん。
救われる事はおまへんのや」
「・・・分かるで。分かるけど・・・
そやからいうて、こないな捨て身の手は・・・」ち
「ちかえもんが言うたんやろ!
主の仇親の仇は討とうちゅうんが当たり前やて」
「それは・・・それはもう昔のこっちゃ。
わしの書いた古くさい物語の中だけのこっちゃ。
若いおなごがこないなもん持ち出さんかて救われる道はなんぼでもあるのや!」
お初は刺さっていたドスを手にとりましたで。
「・・・・ご心配おかけしてすんません。
万吉っつぁん。不孝糖頂戴・・・」
「お初・・・」お袖
「もう回りくどい事はしまいや。
世間知らずの若旦さんだまし続けんのもしんどいしな。
心配せんといておくなはれ。
会うなりこれ 抜いたりしまへんさかい。
抜くかどうかは…平野屋忠右衛門の出方次第や」
美しいヒロイン誕生や!
宮川彬良さんの音楽がドラマチックに切なく盛り上げます。
お初に引き込まれるようにちかえもんの中で物語が動き始める。
いや〜わくわくするワ。
そして自分のかつての名作を『古くさい物語』と言い切ったちかえもん。
過去を切り捨てなければ新しいものは生まれない。
あの名作が生まれる準備ができてきたようです。
お初が忠右衛門を呼び出したことを知った(平野屋に草の者が)
久平次(山崎銀之丞)も天満屋に向かいました。
「行くぞ。こんな面白い見せ物を逃す手はなかろう」
役者が次々と舞台に集まってきております。
忠右衛門を待つお初は帯の中に短刀を忍ばせました。
ちかえもんはお袖の部屋から見張っとる。
そして・・・
「平野屋の旦さん、お越しだす」
幕が上がりましたで。
お初はしっかりと忠右衛門に向き合いました。
万吉の純な涙、そしてちかえもんのお初を救いたいいう思いが
お初を浄化したようや。
その姿は神々しいほどの美しさやった。
いや〜面白い!としか言いようがない。
このドラマを見ようと思った自分を褒め称えたいぐらいや。
来週は義太夫はんがわりと活躍しまっせ〜!!
第1回 近松優柔不断極(ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ)
第2回 厄介者初、井守黒焼(やっかいものおはつといもりのくろやき)
第3回 放蕩息子徳兵衛(あほぼんとくべえ)
第4回 善悪不明九平次(ぜんかあくかくへいじ)
第6回 義太夫些少活躍(ぎだゆうわりとかつやく)
第7回 賢母喜里潔決断(ははうえきっぱりけつだん)
最終回 曽根崎心中万吉心中(そねざきしんじゅうとまんきちのおもい)
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1. あらき風にもあてぬ身を裸になして縄をかけ(早見あかり)お初がかわいそうやねん(青木崇高) [ キッドのブログinココログ ] 2016年02月12日 20:33
冬のラブ・ストーリー・・・。 (月)は中盤・・・ラブ・シャッフルである。 (火)は主人公がかわいすぎるのでトライアングルそっちのけ。 (水)は六十五歳のバージンの「アゲイン」である。 (木)は・・・もう・・・「愛」とか以前に・・・「人生」が悲しくて大爆笑。 (金)は究極