2016年02月11日
「ジンジャーの朝 さよなら 私が愛した世界」 2012年 イギリス/デンマーク/カナダ/クロアチア 監 サリー・ポッター
原題は『Ginger & Rosa』。
邦題は語りすぎちゃって、ちょっとアレだね。
1962年冷戦時代のロンドンが舞台。
16歳のジンジャー(エル・ファニング)とローザ(アリス・イングラート)は、母親が同じ産院の隣同士のベッドで励ましあいながら出産して以来の付き合い。
いつも一緒に行動し、何でも語り合い、笑いあい、危険な冒険も二人なら怖くなかった。
二人の世界はひとつだった。
だが幼い頃に父親が家を出て行き、自分は捨てられたという思いがあるローザは満たされない愛情を外に求め奔放に行動するようになっていた。ジンジャーは頑張ってついて行こうとしていたが次第にローザに距離を感じるようになり、詩を書くことで自分を表現する喜びに目覚め、反核運動に意義を見出すようになっていった。
いっつも一緒に居たら、回りも自分らもおんなじ人間と思いがちだけど、ソラ、自分らしさが育つと共に違いも出てくるよね。双子のようにひとつだった二人はその違いを意識するとともに不安と寂しさを感じるようになる。
感受性の鋭いジンジャーにとっては世界の揺らぎにも思える恐怖だ。
しかし以前からジンジャーの父・ローランド(アレッサンドロ・ニヴォラ)に憧れを抱いていたローザは、彼が妻ナタリー(クリスティナ・ヘンドリックス)との生活に疲れ、別居するようになると積極的に彼と行動を共にするようになり、ジンジャーとの溝はますます深くなる。
ここからはラストの内容にも触れますョ〜
![ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51oF-X9ygQL.jpg)
邦題は語りすぎちゃって、ちょっとアレだね。
1962年冷戦時代のロンドンが舞台。
16歳のジンジャー(エル・ファニング)とローザ(アリス・イングラート)は、母親が同じ産院の隣同士のベッドで励ましあいながら出産して以来の付き合い。
いつも一緒に行動し、何でも語り合い、笑いあい、危険な冒険も二人なら怖くなかった。
二人の世界はひとつだった。
だが幼い頃に父親が家を出て行き、自分は捨てられたという思いがあるローザは満たされない愛情を外に求め奔放に行動するようになっていた。ジンジャーは頑張ってついて行こうとしていたが次第にローザに距離を感じるようになり、詩を書くことで自分を表現する喜びに目覚め、反核運動に意義を見出すようになっていった。
いっつも一緒に居たら、回りも自分らもおんなじ人間と思いがちだけど、ソラ、自分らしさが育つと共に違いも出てくるよね。双子のようにひとつだった二人はその違いを意識するとともに不安と寂しさを感じるようになる。
感受性の鋭いジンジャーにとっては世界の揺らぎにも思える恐怖だ。
しかし以前からジンジャーの父・ローランド(アレッサンドロ・ニヴォラ)に憧れを抱いていたローザは、彼が妻ナタリー(クリスティナ・ヘンドリックス)との生活に疲れ、別居するようになると積極的に彼と行動を共にするようになり、ジンジャーとの溝はますます深くなる。
ここからはラストの内容にも触れますョ〜
![ジンジャーの朝 さよなら、わたしが愛した世界 [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51oF-X9ygQL.jpg)
気まずい関係のジンジャーとローザがローランドとボート遊びに出た夜、別室から漏れてくる二人の声を聞きながら、ジンジャーは衝撃に必死で耐えた。
その夜、ジンジャーは親友も尊敬する父も失ってしまった。
いやいやいやいや・・・そんな狭い船の中でさ〜
娘もいるのに娘の親友とそういうことするってねぇ・・・( ̄∇ ̄;)
自由主義者だかなんだか知らんけど、娘の気持ちを考えたらそげなことできんじゃろ・・
この時点でローランドはジンジャーの父親という立場から離れたことになるよねぇ・・
もともとローランドは俗物的になりたくないという理由から「お父さん」とは呼ばせず名前で呼ばせていたんだよね。
その時点でもう俗物になっているような気がするけど・・
ただ単に責任から逃れたいんじゃ?と思ってしまったよ。
思想家のローランドは平和主義者として戦い投獄された過去がある。
女の子ってそういうのに弱いんだよね〜
でもジンジャーにとっても、固定概念に縛られず常に自由に生きるよう教えてくれたローランドは自慢の父親だった。
大切な世界が壊れていく・・・
キューバ危機が世間を騒がせている中、ジンジャーは原爆で人類が滅亡してしまう恐怖感を募らせ、反核運動にのめりこんでいった。
一方、ローザは堂々とローランドとの仲を誇示するようになり、母親に捨てられた過去のあるローランドと同じ悲しみを背負っている自分だけが彼を救えると信じ絆を深めていった。
若さは美しい。でも同時にいろんな恐怖と戦っていたように思う。
未熟さや無知、それが知られること、そして必死で保っている自分の世界が破壊されるのではという不安・・
今日、世界はなんて美しいんだろう!と全世界の人々の幸せを願ったと思ったら、
翌日にはこんな世界終わってしまえばいい!と呪う。
自分が死ぬべきなのか、世界を終わらせるべきなのかと葛藤が終わらない。
そして怯えながらも強い自意識から自分の考えに固執する。
残酷だとわかっていながら他人を傷つけても守らずにいられない。
それほどギリギリの場所に立っている。
嫉妬深くてぐちの多い母親と離れて父のアパートに同居し始めたジンジャーだったが、息苦しさから母の元に戻ろうとするも母からもやんわりと拒絶される。
母のようにはなりたくない。でもローザと愛し合う父の生き方も受け入れられない。
ローザから妊娠を告げら自暴自棄になったジンジャーは反核デモに参加し警察に拘留されてしまう。
心配した母やその友人たちが集まり、何があったか尋ねるがジンジャーは答えることができない。
「絶対に言えない。言ったら私が爆発する!どうせ(核戦争で)死ぬんでしょ!」
父とローザの関係を言えば、かろうじて保たれていた自分の世界は完全に崩壊する。
ジンジャーの恐怖はそのまま核戦争による世界の終わりと死の恐怖に繋がっている。
問詰められ話した結果、母は父を罵った後自殺を図りで病院に搬送される。
病院でジンジャーとローランドは待った。
明け方になり、ジンジャーは詩を書き始めた。
『夢を見てた 一生 親友でいるって
人によって 生は終わりを意味する
今となっては 私に明日はない
これだけの恐怖と 痛みの中でも
私は世界を愛する
命を守りたい
ローザは許してと言った
いつか ママが回復できたら 再会するでしょう
そして伝える 愛していたと
残念だけど 私たちは違う
あなたの夢は永遠の愛 私とは違う
私の夢は 生きること
生きられたら それだけでいい
だから許すよ』
少女だったジンジャーの世界は崩壊した。
でも、失われたことで新しい世界が生まれる。
彼女の詩からはその萌芽が感じられる。
この詩は絶望のうたでありながら、希望のうただ。
ローザとローランドの世界があるように、ジンジャーにもジンジャーの世界がある。
大人になるということは、そのまるっきり別の世界があることを受け入れること。
自分とは違う、でも生きようとしている命の存在を認めること。
人は許すことで前に進んでいける。
終わりは始まり。
ラストのジンジャーが、ただあるがままの自分を見つめているようで清々しかった。
エンディングのセロニアス・モンクの「The man I love」、そのピアノの音が優しくて切なくて。
自分の人生を歩き始めたジンジャーを温かく彩ってくれているようでした。

その夜、ジンジャーは親友も尊敬する父も失ってしまった。
いやいやいやいや・・・そんな狭い船の中でさ〜
娘もいるのに娘の親友とそういうことするってねぇ・・・( ̄∇ ̄;)
自由主義者だかなんだか知らんけど、娘の気持ちを考えたらそげなことできんじゃろ・・
この時点でローランドはジンジャーの父親という立場から離れたことになるよねぇ・・
もともとローランドは俗物的になりたくないという理由から「お父さん」とは呼ばせず名前で呼ばせていたんだよね。
その時点でもう俗物になっているような気がするけど・・
ただ単に責任から逃れたいんじゃ?と思ってしまったよ。
思想家のローランドは平和主義者として戦い投獄された過去がある。
女の子ってそういうのに弱いんだよね〜
でもジンジャーにとっても、固定概念に縛られず常に自由に生きるよう教えてくれたローランドは自慢の父親だった。
大切な世界が壊れていく・・・
キューバ危機が世間を騒がせている中、ジンジャーは原爆で人類が滅亡してしまう恐怖感を募らせ、反核運動にのめりこんでいった。
一方、ローザは堂々とローランドとの仲を誇示するようになり、母親に捨てられた過去のあるローランドと同じ悲しみを背負っている自分だけが彼を救えると信じ絆を深めていった。
若さは美しい。でも同時にいろんな恐怖と戦っていたように思う。
未熟さや無知、それが知られること、そして必死で保っている自分の世界が破壊されるのではという不安・・
今日、世界はなんて美しいんだろう!と全世界の人々の幸せを願ったと思ったら、
翌日にはこんな世界終わってしまえばいい!と呪う。
自分が死ぬべきなのか、世界を終わらせるべきなのかと葛藤が終わらない。
そして怯えながらも強い自意識から自分の考えに固執する。
残酷だとわかっていながら他人を傷つけても守らずにいられない。
それほどギリギリの場所に立っている。
嫉妬深くてぐちの多い母親と離れて父のアパートに同居し始めたジンジャーだったが、息苦しさから母の元に戻ろうとするも母からもやんわりと拒絶される。
母のようにはなりたくない。でもローザと愛し合う父の生き方も受け入れられない。
ローザから妊娠を告げら自暴自棄になったジンジャーは反核デモに参加し警察に拘留されてしまう。
心配した母やその友人たちが集まり、何があったか尋ねるがジンジャーは答えることができない。
「絶対に言えない。言ったら私が爆発する!どうせ(核戦争で)死ぬんでしょ!」
父とローザの関係を言えば、かろうじて保たれていた自分の世界は完全に崩壊する。
ジンジャーの恐怖はそのまま核戦争による世界の終わりと死の恐怖に繋がっている。
問詰められ話した結果、母は父を罵った後自殺を図りで病院に搬送される。
病院でジンジャーとローランドは待った。
明け方になり、ジンジャーは詩を書き始めた。
『夢を見てた 一生 親友でいるって
人によって 生は終わりを意味する
今となっては 私に明日はない
これだけの恐怖と 痛みの中でも
私は世界を愛する
命を守りたい
ローザは許してと言った
いつか ママが回復できたら 再会するでしょう
そして伝える 愛していたと
残念だけど 私たちは違う
あなたの夢は永遠の愛 私とは違う
私の夢は 生きること
生きられたら それだけでいい
だから許すよ』
少女だったジンジャーの世界は崩壊した。
でも、失われたことで新しい世界が生まれる。
彼女の詩からはその萌芽が感じられる。
この詩は絶望のうたでありながら、希望のうただ。
ローザとローランドの世界があるように、ジンジャーにもジンジャーの世界がある。
大人になるということは、そのまるっきり別の世界があることを受け入れること。
自分とは違う、でも生きようとしている命の存在を認めること。
人は許すことで前に進んでいける。
終わりは始まり。
ラストのジンジャーが、ただあるがままの自分を見つめているようで清々しかった。
エンディングのセロニアス・モンクの「The man I love」、そのピアノの音が優しくて切なくて。
自分の人生を歩き始めたジンジャーを温かく彩ってくれているようでした。
