「あさが来た」 第17週 最後のご奉公 第100話「あさが来た」 第17週 最後のご奉公 第101話

2016年01月29日

「ちかえもん」 第3回 放蕩息子徳兵衛(あほぼんとくべえ)

 さて、今日も今日とて居残り万吉(青木崇高)は朝からテンション高っ・・・
全速力で廊下を駆けぬけ部屋に朝粥を届けてみたら・・・
そこはお初(早見あかり)の部屋で徳兵衛(小池徹平)がしっとりと後朝の別れの最中・・・徳兵衛はお初を身請するとまで言ってますで。
お熱い二人の様子にあてられた万吉は・・・・・・・・_:(´ཀ`」 ∠):_


 その頃ちかえもん(松尾スズキ)は竹本座の様子を見に行っております。
現在元16(1703)年2月4日ですがな。

『♪ 君とよく この小屋に来たものさ〜♪
♪ わけもなくお茶を飲み 話したよ〜♪
♪ お客はんで にぎやかなこの小屋の〜♪
♪ 片隅で聴いていた義太夫節〜♪
♪ あの時の〜節は聴こえない〜人の姿も変わったよお〜♪
♪ 時は流れたぁ〜〜♪ (「学生街の喫茶店」のメロディーで)』


 本日も客、3人。しかもみんな何だかなぁ〜てな顔しはった。
出し物は近松門左衛門の出世作『出世景清』やと言うのに・・・
客を見送る義太夫(北村有起哉)と目が合って、気まずいったらありゃしない。


「あ〜あ・・・このままでは平野屋はんに義理が立たんで・・・
そのうちきっと、近松っつぁんがええ筋書いてくれる。
そない信じて催促せんどころか高い高い朝鮮人参まで煎じてくれはった
平野屋はんにな・・・」義太夫
「そないちくちく言いないなぁ〜」ち
「とにかく新作や。世間があっと驚くような新作」
「そない言うけどな、ネタがあれへんのや」
「ネタ?」
「この20年でなんぼほどの筋書いてきた思うねん。
何をどう書いても似たり寄ったりや。
あ〜あ・・・どっかにネタ落ちてへんかな」

 ありましたで!
瓦版売りが『赤穂浪士切腹!!』の記事を配っております。
みんなの食いつきようがすごい!!


『これや。これや〜!暮れに起きた赤穂義士の討ち入り事件!
見どころ満載!名場面続出!何で思いつかんかったんや。
早よ書かな。・・・・書かな!  』


 (* ̄m ̄)プッ 簡易版「赤穂浪士」楽しい。
でも、もうとっくに他の誰かが書いてんじゃないのぉ?
HPはこちら


曾根崎心中・冥途の飛脚 他五篇 (岩波文庫)


「母上!私は書き上がるまで寝えへん覚悟ですさかい
どうぞ邪魔せんといて下さい!」

「気がかりじゃ・・・・」喜里(富司純子)
「ご心配なく。まだまだ体は健やかですさかい」
「お前が張り切ってうまくいったためしがない」
「えっ?」
「凧が木に引っ掛かったと泣く弟のために木に登ってはカラスにつつかれ、
もっとよい凧を作ってやると材料を探しに入った竹藪で道に迷い・・・」
「やめて下さい。人のやる気をそぐような話は!」
「ああ・・・気がかりじゃ気がかりじゃ」
「ちかえもん・・・〜〜〜(m-_-)m」万吉
「うわ〜っ!」

 万吉っあん、ハートブレイクでヨレヨレョ〜
「討ち死に寸前の雑兵かっ!お前は」


「あないなあほボンのどこがええのや!」
「しゃあないがな。平野屋の若旦那やで。跡取り息子やで」
「平野屋?平野屋って何だんねん?」
「お前、そないな事も知らんとよう ぬけぬけと生きとるな」
「つまり、知らんでも生きていけるちゅう事でっしゃろ」
「そないしてちょくちょく学者めいた事言うさかいややこしねん、お前は」

 本日も舌好調。
近松門左衛門さん、もともと独特のセンスのあるお方なんやろけど、
万吉にツッコミをいれることでどんどん冴えてきてますやん!

 岸部一徳さんに微妙に似たアニメで平野屋忠右衛門のサクセスストーリーが語られます。このアニメ、毎回楽しみ。


「つまり日本一の金持ちなんや。
あの徳兵衛は、やがてその財を皆受け継ぐ男。
わしかて、おなごやったら少々のあかんとこは目ぇつぶってでも
嫁にもろてほしいと思うわい!」

「あんたが嫁て・・・気色悪いな」万
「仮にの話や。そういうこっちゃさかいお前に勝ち目はないねん」
「何や!そんな事分かりまへんがな!」
「分かんねん!」
「何で?」
「あのな・・・もうーー!!一ぺん平野屋はん行て見てこい!
あの店見たら、そないな浅はかな考えはのうなるわ」
「・・・・・平野屋・・・どこにおまんねん」
「わしに聞くな!表 歩いてる人に聞いてぇ!」
「ちかえもん一緒に行っとくんなはれな」
「何でやねん!」
「一緒に行っとくんなはれなぁ〜!」

「信盛!ついでにお醤油買ってきてちょうだい」
喜里

 甘えん坊やねぇ・・・万吉は(*´∇`*)
てな訳で、ちかえもんが平野屋まで道案内することに。
でかい店、たくさんの奉公人、繁盛しているらしい活気・・・
さすがに万吉もスケールのデカさに驚いているようだす。


 ちょうど徳兵衛が帰宅。
働いている番頭さんや丁稚たちの前で見せつけるように饅頭食べ始めた。

「(丁稚さん達に)何や?欲しいんか?
(うなづく丁稚さん達)やらへんで。
私を恨まんといてや!恨むんやったら己の生まれを恨むこっちゃ。
汗水垂らして働かんでもこないしてうまい饅頭にあやかれる。
それは私が、この平野屋の跡継ぎに生まれたさかいや。
お前らみたいな子どもの時分から、よそぃ働きにやられてるような者は
そないな家に生まれついたのが、身の不運ちゅうこっちゃ」


 なんちゅう性格の悪いあほや・・┐( -"-)┌

「・・・・とことん性根の腐った男やな。気分悪い。去の」ち

 ところが万吉は店の中に入って行った。

「・・・・お醤油下さい!」万吉
「・・・はあ?」徳兵衛

 入れてくれたけどお代はいらんのやて。
いずれ自分の代になったら竹本座の金主なんぞ辞めるから
「手当が無うなる者から取ったったらかわいそうやさかいな」・・やて。


「あら・・・潰れるな。あの若旦さんの代になったら平野屋は、しまいや。
あのお人は旦さんがどないな苦労して店大きゅうしたのか、
奉公人らがどないな思いで醤油造ってんのか、な〜んにも分かってへん。
あほボンもここに極まれりや。どないした?さっきからおとなしい」ち

「すごいでんな・・・」万吉
「店の事か?そやから言うたやろ。はなっからお前に勝ち目はないねん」ち
「あそこまで突き抜けた不孝者は初めて見た」
「え・・・?」
「人間、あそこまで親不孝できまんねんな」
「どこに感じ入っとんねん」
「わいは不孝糖売りとしてふがいない思いや。
「ややこしい事、思いな」

「ああ、くそ〜!ああ!不孝糖売るで〜!」
「おお・・・!走るな!おい!醤油が・・・醤油がこぼれる!おい!」

 なんでやねん!ゞ( ̄∇ ̄;)
不孝糖売り魂に火がついたがな。


 その後、徳兵衛がいつものように店の金を手に遊びに行こうとしていたら・・・

『♪ それ! 不孝糖 不孝糖〜♪
♪ おやおやおやおや親不孝の不孝糖〜♪
♪ ほい!親を泣かせてやろうとて〜 ♪ 拵え始めの不孝糖! ♪
♪ おいしいで! 売ったろか?! ♪ 一ぺん食うたらやめられへん ♪
♪ それ!不孝糖〜不孝糖〜♪ 』


 万吉がいつもの不孝糖売りの装束で平野屋に乱入。
徳兵衛の前に立ちました。


「おい、あほボン!わいと一緒に不孝糖売らへんか?」
「はあ?」
「日本一の不孝者を看板にして不孝糖を日本一の商いにすんのや!」
「ふざけんな!誰が日本一の不孝者や!」


「この、今、手に握りしめてる銭。
おおかた店の銭箱からくすねてきたんちゃいまっか?
自分は跡継ぎや。そやさかい店の金は自分の金や。
あんたの理屈は、そないなとこでっしゃろ。
親不孝もそこまでいったらあっぱれや。
うん!立派な不孝糖の看板になる。
どないしようもないあほボンのあんたが人の役に立つんや。ええ?
どや、あほボン、徳兵衛!わいと一緒に不孝糖売らへんか!」

「あほか!誰がそないな事言われて、「はい。そうでっか」と、
のこのこついていくねん」

「あぁ、あかんか」
あかんわ!
大体、お前・・・私に そないな口きいてただでは済まんぞ」
「何で?」
「私は平野屋の跡継ぎや」

 それを聞いて、回りにいた奉公人たちが一斉に失笑しましたで。

「・・・・チッ」徳兵衛
「はは〜ん。分かったぞ。さてはあんた、客あしらいもまともにでけんのやな!」
「何やと!?」

「あぁ、そうか。それやったらしゃあない。どうもお邪魔しました。ほな、さいなら」

 ところが・・万吉が店を出ていくと、きれいなよく通る声で「不孝糖売りの歌」が聞こえてきた。
ビジュアルもいいしねぇ・・すぐにおなごらが集まって来ましたでぇ〜


「もし・・・そこのいとさん。私と親不孝してくれまへんか?」徳兵衛
「親不孝てどないしてしますのん?」娘さん
「親の目盗んで今宵私に会いに来てほしい」
「そないな事したらお父ちゃんに叱られます」
「・・・これは親不孝したい者がなめる不孝糖。
どうぞひとつお求めになり、私に会いに来る気概を持って下さい」
「そないな事・・・若旦さんこそ親不孝でっせ」
「親不孝してでも手に入れたいものがありますのや」
「不孝糖下さい!(*゚д゚*)」

(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」(」゚ロ゚)」オオオオオッッッ
ギャラリー騒然!わても心の中でおおおお〜!叫びましたで。
やるのぉ・・・伊達に放蕩息子名乗ってまへんな。


「さすが若旦さん。口だけは達者や」定吉
「そして卑劣や」
「まさに己の持ち味を生かした商いや〜」伊八

 奉公人のみなさん、言いたい放題ですな・・・( ̄∇ ̄;)

「ヘヘヘ・・・」徳兵衛
「見事やあ〜」万吉
「私を誰やと思てんねん」

 その後も不孝糖売りは徳兵衛のおかげで大繁盛。
徳兵衛もお客さんとのやりとりを楽しんでいるようやった。
なんやら輝いていましたで。


 その頃、ちかえもんは「天満屋」のお袖(優香)の部屋で「赤穂義士」の構想を練っておった。
でも、脳内の志士達はやれ「鼻緒が切れた」だの「家の行燈消し忘れた」だの「道が怪しい」などと言って討ち入ろうとしない。


「あかんがな。何をもたもたしてんねん。早よ討ち入りせんかい」義太夫
「へぇ。わしもそない思いますねんけどなぁ・・なかなか行こうとしまへんのや」
「誰が?」
「赤穂義士が」
「・・・えっ?(꒪⌓꒪)」
「えっ?」
「・・・なんぼ書かれへんからいうて、いまだかつて
そないな大胆な言い訳聞いた事ないわ」
「いやいや、言い訳ちゃいまんねん」
「いい加減にせんと!わしがあんたに夜討ちかけまっせ!」

 書き始める前の作家さんいうのは、こんなもんでっしゃろな。
物語のキャラクター達は集合してはるのに、お互いに譲り合ってなんもしようとしない。
プレッシャーだけは充満しとるのに、ちかえもんもどうしたらええかわからん。
何かが足りない・・・


「お袖・・・今日が浄瑠璃作者近松門左衛門の命日や。
身ぃ削って書いたもんをあないな言いようされて・・・
物書きの気持ちなんぞ誰にも分かってたまるかい」ち
「そうやな。わてにも分からんわ」お袖
「・・・お袖!お前まで!」
「そんだけ特別な仕事やいう事やろ?」
「・・・・えっ」
「お殿様にも公方様にもでけへん事をあんたはその腕一本でやっとんのや。
すごいこっちゃがな」
「そやな!」

 きたよ!待ちに待っていた「褒め」が!
しかも口先だけやない。アンタのことを心から思ってくれている本物の「褒め」が。
「名脚本家・近松門左衛門」のそばには、こんないい女がいてくれたんやなぁ・・


 さて、天満屋では黒田屋九平次(山崎銀之丞)が平野屋忠右衛門(岸部一徳)を接待中。
大事な席ということでお玉(高岡早紀)はお初を用意しました。
徳兵衛を捕まえてからお初は表面上は機嫌よく働くようになったらしい。

 九平次は新しい商売を始めるために力添えしてほしいと忠右衛門に頼みました。

「あんたはただの商売人やあれへんとは思てましたで」忠右衛門
「ハハハ・・・お褒め頂き恐縮です」九平次
「で・・・あんたの商いに力添えして、うちには何の利がおます?
答え次第でうちの出ようも変わりまっせ」
「・・・・・・」
「次に会うた時に聞かしとくなはれ」

「隙のないお人だ。
弱みを握っている事をちらつかせても、かえって優位に立って物を言う。
ハハハ・・・!」九平次

 閉店。ガラガラ〜って、開いてもいまへんがな。
忠右衛門のこのクールフェイスを崩せるもんってあるんやろか。


 そして相変わらずちかえもんの筆はいっこも進まん。

「しかし何でいつものように書けんのやろなぁ。
忠義物は今までぎょうさん書いてきたんやが・・・」ち
「わては別に赤穂のお侍さんの事あっぱれとも思わんけどなぁ」お袖
「・・・えっ?」
「なんぼお仕えした殿さんやいうたかて死んでしもた人のために命懸けるやなんて。
わてらからしたら親不孝の極みや」
「・・・・・何やよう分からんようなってきた。厠、行てくる」

 お袖ちゃんいうたら、エルキュール・ポアロに対するヘイスティングスみたいな?
気づかんとすんごい大事なことを言うてくれてますで。


 そしたら廊下で帰ろうとした忠右衛門と会っちゃった。
向こう側には不孝糖売りで気持ちようなって戻ってきた徳兵衛と万吉が
不孝糖ソング歌いながら派手に騒いどる。
「徳兵衛!」

『何でや・・・何でこないな事になってんのや・・・この部屋で…』

 お袖の部屋に全員集合。さっそく忠右衛門の説教が始まりました。

「徳兵衛。うちの家訓は何や?始末する事。放蕩は慎む事。
も一つは何や?」
「・・・孝行
「聞こえん」
「・・・・孝行
そうや!そうや。孝行する事や。うちの家訓や。
子は親を敬うこっちゃ。子は親に尽くし忠実に従うこっちゃ。
それをお前は家の仕事もせんとけったいな商いに関わってたちゅうのやな?
ええ?この平野屋忠右衛門の伜が平野屋の跡継ぎが
「不孝糖 不孝糖」ちゅうて人様に親不孝を勧めて歩いとったちゅうのやな?
この恥さらしが!

「・・・・・・・・・」

 怒った忠右衛門は徳兵衛を江戸に修行に行かせると言い放ちました。

「旦さん・・・・それはあんまりな・・・」喜助
「ほかにどないな手がある!」
「あ・・・へぇ」
「お前はわしの伜や。平野屋徳兵衛や。
わしが一代で大きいした平野屋を担わんならん男や。
それを思い出すまで大坂へは戻るな」


 そこになぜか万吉がカットイン。

「ちょっと待っとくなはれ。しれ〜っと横入りしてもろたら困りまっせぇ」
「横入りぃ?」忠右衛門
「そないな事されたら、わい不孝糖の商いできまへんがな。
いや〜ほんま、こないに不孝糖売りに向いてるお人探そう思たかて見つかりまへんで。店の銭箱から盗んだ金で飲んで食うておなごと遊んで、ひとっつも悪びれる事あれへん。
『店の金は己の金。いずれは店ごと己のもんになる』ちゅうてはばからん!
いや〜こら、旦さん、あんたが思てるより、もっとこら
とんでもないど腐れ息子でっせ〜」


『言うかぁ?そこまで・・・本人の前で・・・親の前で・・・そこまで言うかあ・・・?』

 もしや万吉にとっては褒め言葉なのか・・?( ̄∇ ̄;)

「そらもう、見事な不孝糖の売りっぷりでしたわ。
一ぺん旦さんにも見せたりたい!」


『見せんでええ!』

「ええとこのあほボンなだけあって歌がうまい。口がうまい。
う〜ん、もうちかえもんとはえらい違いや」万吉
「先生もやってたんかいな」喜助(徳井優)
「あほボンにはあほボンにしかあれへん商いの才覚ちゅうもんがおまんねんな。
・・・ヘヘッ、旦さん。あんた、親のくせして知らなんだようやな。
恐れ入ったか!わいの勝ちや!」

「・・・そないなもん才覚とは言いまへん。
平野屋の跡継ぎにいるのは侍のような忠義の心や。
かの赤穂義士みたいに家のため主のために命なげうつ覚悟や。
ほかのしょうもない才覚はいりまへん」

 忠右衛門の言葉を聞いていたら・・・
もやもやしとったちかえもんの頭の中で何か弾けて、繋がりそうな感じが・・・


="color: #000000;">『わしが出る幕やあれへん・・・あれへんけど・・・』

旦さん、それは・・・!それはあんまり・・・酷でっせ。
いや・・・・その・・・あほボン、いやいや、若旦さんには若旦さんのええとこがあると
今、この万吉が言いました。何で『なるほどそうか』と言うてやれんのです?
・・・平野屋の跡継ぎたる者こうあるべきと旦さんの思い描くもんばっかり押しつけられたら、そら・・・若旦さんかて息が詰まりまっせ。
そもそも・・・そもそもそもそも・・赤穂義士かてそないに家のため 
主のために命なげうつ覚悟があったんでっしゃろか?
・・・・・・そうか!そうかそうかそうかそうか!

戦の世が終わって100年。
家より主より忠義の心よりもっと大事にしたいもんかてあったんや!
あぁ〜何で武家になんぞ生まれてきてしもたんやと、
できれば討ち入りなんぞしとうないなと思てた者もきっとおった!
そやさかい、わらじの鼻緒が切れたのと行灯の明かりがどうのともたもたと・・・」


「わらじ?」喜助
「あっ・・・いや・・・つまり・・・そのぉ・・・
皆がわあわあ言うほど華やかなもんやおまへんのや。
赤穂義士も平野屋の若旦那も・・・・
家に縛られて、義理に縛られて、のたうち回ってますのや・・・」

「ふざけんな。何で私が・・・この私が・・・
腐れ物書きなんぞにかばってもらわなあかんねん!
私は平野屋の跡継ぎやぞ!平野屋徳兵衛やぞ!

・・・・分かってるわい・・・
私みたいな者、家ちゅう後ろ盾取ったら何も残らん。
しょうもない男や・・・こないな私が生きていこう思たら
『私は平野屋の伜や』言うて偉そうな顔して羽振りよう
振る舞うしかあれへんやおまへんか!」徳兵衛

「若旦さん、今日の商いは楽しおましたか?(´;д;`)」喜助
「今日稼いだ銭で買うた。(見せびらかしていたのと同じ饅頭や)
丁稚らに食わしたろ思て・・・」
「若旦さん・・・!。゚(つД`)゚。」

 いい流れやん・・・(ノ∀;`) って思っていたら・・
どこまでもひんやりとした忠右衛門の声・・・


「あほやあほや思とったがほんまに救いようのないあほ息子やな、お前は・・・
これがわしの伜やと言うて歩くのも恥ずかしいわい。
明日から佐七の下で働け!」
忠右衛門
「・・・えっ?」
「手代からやり直せ言うてんねん。
そうでもせんとお前みたいなあほに恐ろしゅうて平野屋を任せられんわい!」


『よかったあ〜(ワシにはおとがめなしや)』

「あの・・・」万吉

『いらん事言うなよお〜〜』

「わいとの不孝糖売りはどないなりまんねん?」
「手代が仕事の合間に何しようとわしの知ったこっちゃない」忠右衛門

 本日も巻き込まれてしまったちかえもん。
でもおかげでどえらいもんを手に入れたようだす。
人の世に起こるいろんなできごと、それをただ書いただけなら瓦版や。
ちかえもんが書こうとしているのは人間のドラマ。
そこに関わった人間の裏の思い、言えなかったかもしれん思いを独自の視点から
見つけて、ちかえもん風に味付けしたる。
そうして生まれたもんは、より人間らしく深くなる。
人間のおもろさや哀しさはそんなとこに潜んでいる。
そこを拾えるのはワシだけじゃーーい!!てな。


 そのことに気づいたちかえもんを嬉しそうに見つめるお袖。
藤本さんのドラマはいつだって脇の人間がさりげなく深く支えている。
今回、若旦那を思う喜助の愛情にも泣かされたよ。
徳兵衛、アンタの辛さをちゃんとわかってくれてはる人がおるんやで。

 って、徳兵衛ったらお父ちゃんが帰ったら、陰で聞いていたお初と早速いちゃいちゃ・・またしても万吉を奈落に突き落とすのでした。


『わしが画期的な切り口で赤穂義士を書こうと奮起しているその隣の部屋で
黒田屋九平次がひそかに今夜の修羅場を皆聞いており、商人の町大坂を震撼させるよからぬ謀を企てている事をこの時のわしは知る由もなかったのである。
・・・ってな陳腐な言い回しはわしのプライドが許さんのである』


「 何?」お袖
「この緊張感で書けるかぁ〜?」ちかえもん

 
あれ・・・?まだ書けない・・・( ̄∇ ̄;)
それにしても親分さん、悪い顔してはるーーー!!
いったいどんなことしてくれるんや。
でもきっと、そのことも『曽根崎心中』へつながって行くはず。
まだまだやけど『曽根崎心中』が始まるまでのピースがひとつづつ集まってきてる感じやな。


 第1回 近松優柔不断極(ちかまつゆうじゅうふだんのきわみ)
 第2回 厄介者初、井守黒焼(やっかいものおはつといもりのくろやき)
 第4回 善悪不明九平次(ぜんかあくかくへいじ)
 第5回 標的、忠右衛門(ターゲットはちゅうえもん)
 第6回 義太夫些少活躍(ぎだゆうわりとかつやく)
 第7回 賢母喜里潔決断(ははうえきっぱりけつだん)
 最終回 曽根崎心中万吉心中(そねざきしんじゅうとまんきちのおもい)

usagi

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万吉ではなくてのび太なのか・・・。 ちかえもんではなくてやはりドラえもんじゃねえか・・・。 まあ・・・「ドラえもん」があってこその「ちかえもん」だからな・・・。 通説では近松門左衛門が・・・「歌舞伎」から「人形浄瑠璃」に主軸を移すのは「歌舞伎界」のタレント制
2. 「ちかえもん」3 ☆☆☆☆  [ ドラマでポン ]   2016年01月29日 16:56
あほぼんが商売人デビュー!なんと売り言葉に買い言葉からの不孝糖売りw WATS仕込みのええ声と踊りで通りがかりのいとさんをたぶらかしての、お買い上げ〜。どよめく見物人!奉公 ...
3. 『ちかえもん』 第3話  [ 美容師は見た… ]   2016年01月30日 15:54
♪君と よく この小屋に 来たものさ〜 わけもなく お茶を飲み〜 話したよ〜 お客はんで 賑やかな この小屋の〜 片隅で 聴いていた 義太夫節〜 あの〜時の節は 聴こえない〜 人の姿も 変わったよ〜ぉ 時は流れたぁ〜また聴けた〜ヽ(^∀^*)ノ音がなくても歌え

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