2015年12月24日
「おかしの家」 第十話(最終話) 忘却
「さくらや」の前に椅子を出してお客さんが来ないか見ている明子(八千草薫)。
そしてため息をつきながら隣に椅子を並べて一緒に前の通りを見つめる太郎(オダギリジョー)。
「・・・・・・」明子
「おばあちゃん、今日も全然、客来ないね」太郎
「そうね。来ないわね」
全く気にしていない声に太郎も思わず笑ってしまう・・・
「・・・お茶でも飲む?」太郎
「・・・うふふふ・・・」明子
「・・・みゃ〜〜ん・・・」ミーちゃん
なんと穏やかで幸せな時間だったろう・・・
でも、その大切で幸せな時間でも人は忘れていく。
明子はわかっていたと思う。
あんなに引き留めてくれた太郎だけど、いずれ自分のことを忘れていくだろう・・
そして『さくらや』での日々も思い出さなくなっていくだろうと。
それでいい。
忘れてしまうということは太郎がそれだけ一生懸命生きているということ。
あの、常に回りに気を使っていた太郎が自分のことだけを考え、
頑張って前を向いて走っているということ。
だから明子は自分に会いに来てくれなくなった太郎に安心していたのかもしれない。
あの時間が太郎の中から消滅してしまう訳ではない。
太郎が春馬に「いつか思い出してくれ」と言ったように、太郎も思い出すだろう。
何度も何度も噛みしめるように。
今はその時じゃないって明子はわかっていたんだよね。
「俺はホントにバカだ。・・・・・おばあちゃん・・・ごめん・・・はぁ・・・・」
『いくつになっても後悔だらけよ』・・・・それでいいの。
笑顔と共に明子の声が聞こえるようでした。
HPはこちら
さて、振り返ってみますか・・・
「さくらや」の入口には『売物件』の張り紙が・・・
『駄菓子屋を閉めた直後、理不尽な裁判に巻き込まれ、
結局、賠償金を支払うことになってしまった。
そして俺にほとんど何の相談も無く、おばあちゃんはこの家を売ったのだ』
明子の思いを知らない太郎たちは4人で住むアパートを探し、よさげなところを見つけた。エレベーター付きでバリアフリーになっている所を。
「働いて金貯めて俺の店出すタイミングで、もっといい家に引っ越そう。
ま、それまでは少し辛抱してもらうことになる」太郎
「ここを売ったお金でお店を出したら?」明子
「そういう訳にはいかないよ・・・」
「太郎らしいわね」
「・・・・・・」
「私は一人で暮らそうと思っているから」
「・・・・・・」
「あなた達とは一緒に暮らせないわ」
「・・・・・えっ・・・ナニ言ってんの?」
「・・・・・養護老人ホームに入ることにしたの」
「『入ることにした』って・・・それは何・・」
「決めたことなの」
「・・・勝手すぎるよ」
「私ももう年だから。静かに暮らしたい。
あなた達と一緒だと疲れちゃうから・・・」
そこまで言われると何も言い返せなかった。


そしてため息をつきながら隣に椅子を並べて一緒に前の通りを見つめる太郎(オダギリジョー)。
「・・・・・・」明子
「おばあちゃん、今日も全然、客来ないね」太郎
「そうね。来ないわね」
全く気にしていない声に太郎も思わず笑ってしまう・・・
「・・・お茶でも飲む?」太郎
「・・・うふふふ・・・」明子
「・・・みゃ〜〜ん・・・」ミーちゃん
なんと穏やかで幸せな時間だったろう・・・
でも、その大切で幸せな時間でも人は忘れていく。
明子はわかっていたと思う。
あんなに引き留めてくれた太郎だけど、いずれ自分のことを忘れていくだろう・・
そして『さくらや』での日々も思い出さなくなっていくだろうと。
それでいい。
忘れてしまうということは太郎がそれだけ一生懸命生きているということ。
あの、常に回りに気を使っていた太郎が自分のことだけを考え、
頑張って前を向いて走っているということ。
だから明子は自分に会いに来てくれなくなった太郎に安心していたのかもしれない。
あの時間が太郎の中から消滅してしまう訳ではない。
太郎が春馬に「いつか思い出してくれ」と言ったように、太郎も思い出すだろう。
何度も何度も噛みしめるように。
今はその時じゃないって明子はわかっていたんだよね。
「俺はホントにバカだ。・・・・・おばあちゃん・・・ごめん・・・はぁ・・・・」
『いくつになっても後悔だらけよ』・・・・それでいいの。
笑顔と共に明子の声が聞こえるようでした。
HPはこちら
さて、振り返ってみますか・・・
「さくらや」の入口には『売物件』の張り紙が・・・
『駄菓子屋を閉めた直後、理不尽な裁判に巻き込まれ、
結局、賠償金を支払うことになってしまった。
そして俺にほとんど何の相談も無く、おばあちゃんはこの家を売ったのだ』
明子の思いを知らない太郎たちは4人で住むアパートを探し、よさげなところを見つけた。エレベーター付きでバリアフリーになっている所を。
「働いて金貯めて俺の店出すタイミングで、もっといい家に引っ越そう。
ま、それまでは少し辛抱してもらうことになる」太郎
「ここを売ったお金でお店を出したら?」明子
「そういう訳にはいかないよ・・・」
「太郎らしいわね」
「・・・・・・」
「私は一人で暮らそうと思っているから」
「・・・・・・」
「あなた達とは一緒に暮らせないわ」
「・・・・・えっ・・・ナニ言ってんの?」
「・・・・・養護老人ホームに入ることにしたの」
「『入ることにした』って・・・それは何・・」
「決めたことなの」
「・・・勝手すぎるよ」
「私ももう年だから。静かに暮らしたい。
あなた達と一緒だと疲れちゃうから・・・」
そこまで言われると何も言い返せなかった。


「どうする?」礼子(尾野真千子)
「・・・・・何かさぁ・・・おばあちゃんに裏切られたような気分だよ」太郎
「・・・そんな訳ないじゃない」
「わかってるけど・・・・どうすることもできない・・・
俺がもっとしっかりしてりゃあなぁ・・・」
何か親に見捨てられたように気持ちになったかしら・・・
いつまでもずっとそばに居て自分を見守っていてくれると信じていた。
自分と明子の気持ちは同じだと思っていた。
でも明子は大切な太郎の自立の邪魔をしたくないと思ったんじゃないかな。
太郎の自分への思いやりや優しさがその邪魔になっている。
思い切って羽ばたこうとしている太郎と離れるなら今しかない、と決心したんだと思う。
明子がホームへ行く日が来た。
お迎えの車がいる場所まで付いてきたけれど・・・
「おばあちゃん・・・やっぱり止めよう」太郎
「・・・・・・」気にせず乗り込もうとする明子
「ちょ・・・おばあちゃん、やめようって・・・」
「・・・・・・」
「すいません・・・俺があとで連れていくんで」
結局、太郎がタクシーで送って行った。
ホームに入ったら、明子はすぐに太郎に別れを告げた。
「ここでいいわ」
「えっ・・・」太郎
「荷物はお預かりします。さ、どうぞ!」職員
「・・・・・・・」
「・・・・太郎・・・本当に・・ありがとう」
いつものように優しい微笑みを浮かべ、明子は太郎から離れて行った。
いつか明子の本当に気持ちに太郎も気づく時が来る。
この笑顔の意味がわかる時が。
新居にはミーちゃんも一緒ですョ〜
春馬は『広い〜』と喜んでいました。
アパートになり、ベッドになり・・・明子と離れ家族3人の新しい暮らしが始まりました。
そして喫茶店で会っている太郎と弘樹(勝地涼)。
わざわざ連絡しあって会うなんて不思議な感じよね。
「やっぱり『さくらや』がいいなぁ」弘樹
「・・・・・・・」太郎
「俺、絶対忘れないよ」
「うん。・・・・脚本どうだ?」
「やってる。お前は?・・・・おばちゃんは大丈夫か?」
「近いうちに絶対また一緒に暮らすよ。
まぁ・・・それにはやっぱ金が必要だから、今はとにかく頑張るだけだ」
「・・・・・・(うなづく)」
なんかコーヒー飲んじゃったりして、やっぱり変な感じ。
本当に『さくらや』は無くなっちゃったんだねぇ・・・
それから月日は流れ・・・・
太郎は念願のスペイン料理屋「さくらや」を開くことができました。
すんごいりっぱなお店じゃん!
太郎、莫大な借金しちゃったんじゃないのお?( ̄∇ ̄;)
で、TVで2020年って言ってるから5年たったのか?
かわいかった春馬もでっかくなっちゃって・・・中学生?高校生??
そして弘樹は脚本家として活躍しております。
連ドラが放送されているようだけど太郎に見る暇はない。
忙しい毎日を送っているようで、ぐったりとベッドに倒れる太郎。
「少し落ち着いたら、おばちゃんに会いに行こうか?
もう半年近く会ってないし」礼子
「・・・・あぁ・・・・うん・・でも、今はちょっと忙しい・・・」
「・・・・・・・」
そして弘樹がエマさんという美人女優を伴って来店しました。
あの弘樹がこじゃれた業界人ぽい雰囲気ョ〜
食事は終わったのか、酔っ払った弘樹は厨房の太郎の所へ行ったさ。
「太郎〜!太郎〜!太郎!」
「ちょっと!迷惑でしょ!」エマ
「太郎!」
「なんだよ・・声デカいよ」太郎
「めちゃくちゃ美味しいぞ」
「うん」
「俺のドラマ見てるか?」
「あぁーーいつも急いで帰ってんだけどなぁ・・・
決まってエンディングしか見られないんだよ。お前の名前見つけて礼子と騒いでる」
「・・・・それでいい。別に見なくていいんだよ。
太郎は俺が書いたものより俺のことが好きだろう?」
「えっ?」
「こいつはさ、俺が書いたものの方が好きなんだよな?」
「そんなことないから」エマ
「酔ってんな、三枝・・・」太郎
「おばちゃんには会いに行ってるか?」弘樹
「・・・・・・・・」太郎
「そんなことだろうと思ったよ」
「・・・・・」
「忘れていくんだよ。・・・・どんどん・・・忘れるんだ。
大切だと思っていたものをさ・・・」
「・・・・・」
「昔はあんなにはっきり見えたのに・・・・
俺・・・・何で脚本家やってんだろう・・・たろうーーー」
「・・・・・・・」
「大丈夫?すいません・・・ちょっと飲みすぎたみたいで」エマ
「・・・・・・ハハハ・・・」弘樹
忘れないと誓っていた弘樹も忘れてしまう。
太郎も日々の生活に追われ忘れている。
人間とは悲しい生き物だ。
弘樹はあの裏庭にいた頃に戻りたいと思っているんだろうか・・・
自分がどこを目指しているのかわからない・・・
あの頃、ピンと来なかった武蔵(藤原竜也)の気持ちがわかるような気がする。
『さくらや』に戻って来た思いも。でも、もう『さくらや』はない。
そんなある日、明子の容態が悪化したと連絡が来た。
「いや・・・今日は・・・ちょっと・・・どうしても店に行かないと。
重要な打ち合わせがある・・・」太郎
「・・・・・・・」礼子
でもネクタイを締めている手が止まってしまった。
その言葉をすぐに後悔したはず。
ベッドに座り込んでネクタイを外したさ。
「(背中をなでながら)行くよね?」礼子
「・・・・・・(うなづく)」太郎
「すぐ用意して」
「・・・・・・・・・」
「春馬!おばちゃんのとこ行くよ!」礼子
「ええーー!俺、ヤダよ。学校あるし」春馬
「何言ってんの?!」礼子
「いいよ。無理すんな」
そう言って太郎は春馬のことをぎゅっと抱きしめた。
「ちょっ・・・何だよ?!」春馬
「・・・・いつか・・・思い出してくれ・・」
「・・・・・・・」
車で明子のところに向かう太郎はため息をついていた。
「はぁ・・・・俺はホントにバカだ」
「・・・・・・・・」礼子
「・・・・ふぅ・・・・おばあちゃん・・・・ごめん・・・・・」
明子という光の存在があったから太郎は生きてこられた。
静かに温かくふりそぞいでいた明子の愛。
優しすぎてその中にいたことを忘れてしまった。
それでも太郎は明子からもらったものを、同じように春馬に手渡していくのだろう。
生きながら忘れたり、思いだしたりしながら。
も〜最後の最後まで憎いドラマだったわ。
生きていくこと、生活していくこと、誰かと一緒にいるということ、
そんな過ぎていく時間の中で、遠くにきらりと光っている何か・・・
チクンと痛むような、どこか懐かしくて心地よいものでもある捨てても残る大切な思い。それを見せてくれたようにも思います。
納戸を掃除していたら見つけた昔の宝箱のようなドラマでした(ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ、どういうこっちゃ)。
その優しい痛みとぴったり寄り添う『空がまた暗くなる』・・・
毎週、この歌を聞くたびに、なにやら切なく鼻の奥がつーんとしちまったわ。
いいドラマでした。
基本のほほんとしていて妙な空気感も好みでした。
放送されていない地域もあったけど、たくさんの人に味わってほしい世界でした。
見て良かったな〜キャストとスタッフの皆さまに心から感謝デス。
そうそう、太郎の開店祝いにシマさん(嶋田久作)と武蔵(藤原竜也)からのものがあって嬉しかったわ〜
みんな、それぞれ生きていってるんだね。
第一話 恋と恐怖
第二話 意味
第三話 後悔
第四話 痛み
第五話 愛
第六話 夢
第七話 夢の続き
第八話 覚悟
第九話 戦い
「・・・・・何かさぁ・・・おばあちゃんに裏切られたような気分だよ」太郎
「・・・そんな訳ないじゃない」
「わかってるけど・・・・どうすることもできない・・・
俺がもっとしっかりしてりゃあなぁ・・・」
何か親に見捨てられたように気持ちになったかしら・・・
いつまでもずっとそばに居て自分を見守っていてくれると信じていた。
自分と明子の気持ちは同じだと思っていた。
でも明子は大切な太郎の自立の邪魔をしたくないと思ったんじゃないかな。
太郎の自分への思いやりや優しさがその邪魔になっている。
思い切って羽ばたこうとしている太郎と離れるなら今しかない、と決心したんだと思う。
明子がホームへ行く日が来た。
お迎えの車がいる場所まで付いてきたけれど・・・
「おばあちゃん・・・やっぱり止めよう」太郎
「・・・・・・」気にせず乗り込もうとする明子
「ちょ・・・おばあちゃん、やめようって・・・」
「・・・・・・」
「すいません・・・俺があとで連れていくんで」
結局、太郎がタクシーで送って行った。
ホームに入ったら、明子はすぐに太郎に別れを告げた。
「ここでいいわ」
「えっ・・・」太郎
「荷物はお預かりします。さ、どうぞ!」職員
「・・・・・・・」
「・・・・太郎・・・本当に・・ありがとう」
いつものように優しい微笑みを浮かべ、明子は太郎から離れて行った。
いつか明子の本当に気持ちに太郎も気づく時が来る。
この笑顔の意味がわかる時が。
新居にはミーちゃんも一緒ですョ〜
春馬は『広い〜』と喜んでいました。
アパートになり、ベッドになり・・・明子と離れ家族3人の新しい暮らしが始まりました。
そして喫茶店で会っている太郎と弘樹(勝地涼)。
わざわざ連絡しあって会うなんて不思議な感じよね。
「やっぱり『さくらや』がいいなぁ」弘樹
「・・・・・・・」太郎
「俺、絶対忘れないよ」
「うん。・・・・脚本どうだ?」
「やってる。お前は?・・・・おばちゃんは大丈夫か?」
「近いうちに絶対また一緒に暮らすよ。
まぁ・・・それにはやっぱ金が必要だから、今はとにかく頑張るだけだ」
「・・・・・・(うなづく)」
なんかコーヒー飲んじゃったりして、やっぱり変な感じ。
本当に『さくらや』は無くなっちゃったんだねぇ・・・
それから月日は流れ・・・・
太郎は念願のスペイン料理屋「さくらや」を開くことができました。
すんごいりっぱなお店じゃん!
太郎、莫大な借金しちゃったんじゃないのお?( ̄∇ ̄;)
で、TVで2020年って言ってるから5年たったのか?
かわいかった春馬もでっかくなっちゃって・・・中学生?高校生??
そして弘樹は脚本家として活躍しております。
連ドラが放送されているようだけど太郎に見る暇はない。
忙しい毎日を送っているようで、ぐったりとベッドに倒れる太郎。
「少し落ち着いたら、おばちゃんに会いに行こうか?
もう半年近く会ってないし」礼子
「・・・・あぁ・・・・うん・・でも、今はちょっと忙しい・・・」
「・・・・・・・」
そして弘樹がエマさんという美人女優を伴って来店しました。
あの弘樹がこじゃれた業界人ぽい雰囲気ョ〜
食事は終わったのか、酔っ払った弘樹は厨房の太郎の所へ行ったさ。
「太郎〜!太郎〜!太郎!」
「ちょっと!迷惑でしょ!」エマ
「太郎!」
「なんだよ・・声デカいよ」太郎
「めちゃくちゃ美味しいぞ」
「うん」
「俺のドラマ見てるか?」
「あぁーーいつも急いで帰ってんだけどなぁ・・・
決まってエンディングしか見られないんだよ。お前の名前見つけて礼子と騒いでる」
「・・・・それでいい。別に見なくていいんだよ。
太郎は俺が書いたものより俺のことが好きだろう?」
「えっ?」
「こいつはさ、俺が書いたものの方が好きなんだよな?」
「そんなことないから」エマ
「酔ってんな、三枝・・・」太郎
「おばちゃんには会いに行ってるか?」弘樹
「・・・・・・・・」太郎
「そんなことだろうと思ったよ」
「・・・・・」
「忘れていくんだよ。・・・・どんどん・・・忘れるんだ。
大切だと思っていたものをさ・・・」
「・・・・・」
「昔はあんなにはっきり見えたのに・・・・
俺・・・・何で脚本家やってんだろう・・・たろうーーー」
「・・・・・・・」
「大丈夫?すいません・・・ちょっと飲みすぎたみたいで」エマ
「・・・・・・ハハハ・・・」弘樹
忘れないと誓っていた弘樹も忘れてしまう。
太郎も日々の生活に追われ忘れている。
人間とは悲しい生き物だ。
弘樹はあの裏庭にいた頃に戻りたいと思っているんだろうか・・・
自分がどこを目指しているのかわからない・・・
あの頃、ピンと来なかった武蔵(藤原竜也)の気持ちがわかるような気がする。
『さくらや』に戻って来た思いも。でも、もう『さくらや』はない。
そんなある日、明子の容態が悪化したと連絡が来た。
「いや・・・今日は・・・ちょっと・・・どうしても店に行かないと。
重要な打ち合わせがある・・・」太郎
「・・・・・・・」礼子
でもネクタイを締めている手が止まってしまった。
その言葉をすぐに後悔したはず。
ベッドに座り込んでネクタイを外したさ。
「(背中をなでながら)行くよね?」礼子
「・・・・・・(うなづく)」太郎
「すぐ用意して」
「・・・・・・・・・」
「春馬!おばちゃんのとこ行くよ!」礼子
「ええーー!俺、ヤダよ。学校あるし」春馬
「何言ってんの?!」礼子
「いいよ。無理すんな」
そう言って太郎は春馬のことをぎゅっと抱きしめた。
「ちょっ・・・何だよ?!」春馬
「・・・・いつか・・・思い出してくれ・・」
「・・・・・・・」
車で明子のところに向かう太郎はため息をついていた。
「はぁ・・・・俺はホントにバカだ」
「・・・・・・・・」礼子
「・・・・ふぅ・・・・おばあちゃん・・・・ごめん・・・・・」
明子という光の存在があったから太郎は生きてこられた。
静かに温かくふりそぞいでいた明子の愛。
優しすぎてその中にいたことを忘れてしまった。
それでも太郎は明子からもらったものを、同じように春馬に手渡していくのだろう。
生きながら忘れたり、思いだしたりしながら。
も〜最後の最後まで憎いドラマだったわ。
生きていくこと、生活していくこと、誰かと一緒にいるということ、
そんな過ぎていく時間の中で、遠くにきらりと光っている何か・・・
チクンと痛むような、どこか懐かしくて心地よいものでもある捨てても残る大切な思い。それを見せてくれたようにも思います。
納戸を掃除していたら見つけた昔の宝箱のようなドラマでした(ゞ( ̄∇ ̄;)ヲイヲイ、どういうこっちゃ)。
その優しい痛みとぴったり寄り添う『空がまた暗くなる』・・・
毎週、この歌を聞くたびに、なにやら切なく鼻の奥がつーんとしちまったわ。
いいドラマでした。
基本のほほんとしていて妙な空気感も好みでした。
放送されていない地域もあったけど、たくさんの人に味わってほしい世界でした。
見て良かったな〜キャストとスタッフの皆さまに心から感謝デス。
そうそう、太郎の開店祝いにシマさん(嶋田久作)と武蔵(藤原竜也)からのものがあって嬉しかったわ〜
みんな、それぞれ生きていってるんだね。
第一話 恋と恐怖
第二話 意味
第三話 後悔
第四話 痛み
第五話 愛
第六話 夢
第七話 夢の続き
第八話 覚悟
第九話 戦い

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1. おかしの家 最終回「素敵な時間はいずれ終る」 [ のほほん便り ] 2015年12月24日 17:32
「この猫が自分の車のボンネットに傷をつけたから賠償しろ」という、なんとも理不尽なネコ裁判だったけど、
礼子(尾野真千子)の子供が餌付けしてた写真を突きつけられて、訴訟に負け、駄菓子屋「さくらや」を手放した太郎(オダギリジョー)たち。
太郎と、礼子母子
2. おかしの家 (第10話 最終回・12/23) 感想 [ ディレクターの目線blog@FC2 ] 2015年12月24日 19:16
TBS系・水ドラ!!『おかしの家』(公式)
第10話/最終回『忘却』ラテ欄『敵な時間はいずれ終る』の感想。
なお、原作小説:山田タロウ氏の『うちのネコが訴えられました!? -実録ネコ裁判-』は未読。
太郎(オダギリジョー)は礼子(尾野真千子)らと暮ら
3. おかしの家 最終話 [ emitanの心にうつりゆくもの ] 2015年12月25日 14:37
最終話(第10話) 「忘却」
この記事へのコメント
1. Posted by ヨーコ 2015年12月25日 07:29
大切だからこそ、気軽におばあちゃんに会いにいけない
太郎ちゃんの気持ちの繊細で弱い部分は凄くわかる。
切なくて泣けちゃったなぁ〜。
皆が皆、優しくて、誰一人欠けてちゃいけないお話。
見る側の想像力に任せて、具体的に見せない様なつくりの
ドラマや映画が凄く少なくなっている今だけど
このドラマは具体的に見せない脚本なのが嬉しかったな。
悲しい部分は映像で具体的に見せてくれなくても
こちらには伝わっているから充分だもんね〜。
良質な作品を見せて頂けて嬉しかったなぁ。
太郎ちゃんの気持ちの繊細で弱い部分は凄くわかる。
切なくて泣けちゃったなぁ〜。
皆が皆、優しくて、誰一人欠けてちゃいけないお話。
見る側の想像力に任せて、具体的に見せない様なつくりの
ドラマや映画が凄く少なくなっている今だけど
このドラマは具体的に見せない脚本なのが嬉しかったな。
悲しい部分は映像で具体的に見せてくれなくても
こちらには伝わっているから充分だもんね〜。
良質な作品を見せて頂けて嬉しかったなぁ。
2. Posted by emi 2015年12月25日 14:36
切ないような、あたたかいような、寂しいような、ジーンとくるような・・・
最後までたくさんの余韻が残るドラマでしたね。
>明子は大切な太郎の自立の邪魔をしたくないと思ったんじゃないかな。
私も、そうなのかな?と思いながら見ていました。
一見すると冷たい対応にも見えるけど、最後の笑顔と「ありがとう」は、いつまでも心に残りますね。
>太郎は明子からもらったものを、同じように春馬に手渡していくのだろう。
太郎が春馬を抱きしめたシーンも良かったですね。
まだ春馬には理解はできないかもしれないけど、春馬を叱る訳ではなく、いつか自分で気づくのを待つというのが「桜井家」なのでしょうね。
毎週木曜が穏やかになる事ができる、素敵なドラマでした。
きこりさんとも語り合う事ができて、とても嬉しかったです♪
ありがとうございました!
秋ドラマ、色んなジャンルのドラマがあって、私としてはとても楽しかったです。
朝ドラも毎朝楽しいですし・・・きこりさんの記事を毎日楽しみにしています(*^_^*)
最後までたくさんの余韻が残るドラマでしたね。
>明子は大切な太郎の自立の邪魔をしたくないと思ったんじゃないかな。
私も、そうなのかな?と思いながら見ていました。
一見すると冷たい対応にも見えるけど、最後の笑顔と「ありがとう」は、いつまでも心に残りますね。
>太郎は明子からもらったものを、同じように春馬に手渡していくのだろう。
太郎が春馬を抱きしめたシーンも良かったですね。
まだ春馬には理解はできないかもしれないけど、春馬を叱る訳ではなく、いつか自分で気づくのを待つというのが「桜井家」なのでしょうね。
毎週木曜が穏やかになる事ができる、素敵なドラマでした。
きこりさんとも語り合う事ができて、とても嬉しかったです♪
ありがとうございました!
秋ドラマ、色んなジャンルのドラマがあって、私としてはとても楽しかったです。
朝ドラも毎朝楽しいですし・・・きこりさんの記事を毎日楽しみにしています(*^_^*)
3. Posted by きこり→ヨーコさん 2015年12月25日 17:38
>太郎ちゃんの気持ちの繊細で弱い部分は凄くわかる。
そうなんだよね。ずっと気になってはいるんだけど会いに行けない。
そういう存在になってしまったことにも罪の意識感じたりして・・・
なんか太郎ちゃん、明子さんの一瞬一瞬の表情やまなざしに泣けて泣けて・・
人間ってバカだなぁ・・そして切ないな・・でもその悲しいところが人間らしいなぁって。
>このドラマは具体的に見せない脚本なのが嬉しかったな。
見ると、心の中に広がっていくっていうかね・・
だから見る人によって広がり方も深さも違うのかもしれない。
本当に好きだなあ・・って思ったよ。今年最後にいい作品に出会えてよかったよね。
そうなんだよね。ずっと気になってはいるんだけど会いに行けない。
そういう存在になってしまったことにも罪の意識感じたりして・・・
なんか太郎ちゃん、明子さんの一瞬一瞬の表情やまなざしに泣けて泣けて・・
人間ってバカだなぁ・・そして切ないな・・でもその悲しいところが人間らしいなぁって。
>このドラマは具体的に見せない脚本なのが嬉しかったな。
見ると、心の中に広がっていくっていうかね・・
だから見る人によって広がり方も深さも違うのかもしれない。
本当に好きだなあ・・って思ったよ。今年最後にいい作品に出会えてよかったよね。
4. Posted by きこり→emiさん 2015年12月25日 17:44
>最後までたくさんの余韻が残るドラマでしたね。
ホントですなぁ・・・
毎回見終わったあと、まだ余韻を楽しみたくて記事書きたくないな〜って思うんだけど
今回も書きたいって思いと同時に書きたくないって気持ちもあって。
>最後の笑顔と「ありがとう」は、いつまでも心に残りますね。
老人ホームに着いた時の明子の太郎への「ありがとう」、
明子はあの言葉を伝えることができて、自分の役目は終わったって思ったのかな。
離れることも愛情なんだなって思いました。
>春馬を叱る訳ではなく、いつか自分で気づくのを待つというのが「桜井家」なのでしょうね。
太郎らしかったですね。「いつか」っていい言葉だなぁって思いました。
emiさんと毎週、このドラマを語り合えて本当に楽しかったです。
いいドラマは一人で味わってもいいものですが、語り合うことでさらに幸せになれましたよ〜今年ラストのドラマがこれで終われて良かった。
emiさんの今年のドラマ総括記事も楽しみにしていますよ〜♪
私は・・・今年そんなにドラマ見てないからな〜どうしよっかな〜( ̄∇ ̄;)
ホントですなぁ・・・
毎回見終わったあと、まだ余韻を楽しみたくて記事書きたくないな〜って思うんだけど
今回も書きたいって思いと同時に書きたくないって気持ちもあって。
>最後の笑顔と「ありがとう」は、いつまでも心に残りますね。
老人ホームに着いた時の明子の太郎への「ありがとう」、
明子はあの言葉を伝えることができて、自分の役目は終わったって思ったのかな。
離れることも愛情なんだなって思いました。
>春馬を叱る訳ではなく、いつか自分で気づくのを待つというのが「桜井家」なのでしょうね。
太郎らしかったですね。「いつか」っていい言葉だなぁって思いました。
emiさんと毎週、このドラマを語り合えて本当に楽しかったです。
いいドラマは一人で味わってもいいものですが、語り合うことでさらに幸せになれましたよ〜今年ラストのドラマがこれで終われて良かった。
emiさんの今年のドラマ総括記事も楽しみにしていますよ〜♪
私は・・・今年そんなにドラマ見てないからな〜どうしよっかな〜( ̄∇ ̄;)
5. Posted by Largo 2015年12月31日 22:27
こんばんわ。
こういうラストになるとは。
>でも明子は大切な太郎の自立の邪魔をしたくないと思ったんじゃないかな。
忘れてしまうことの悲しさを、明子さんの優しさで包んでくれていました。
見終わった後に、じんと生きていくことの愛しさと切なさが伝わってきて・・・
小さいエピソードが徐々にラストに繋がっていく構成も世界観も見事で、良いドラマを観た、という満足感と、仄かに、しかし深い哀しさが余韻が残りました。
>太郎の開店祝いにシマさん(嶋田久作)と武蔵(藤原竜也)からのものがあって嬉しかったわ〜
うわあ、気がつきませんでした(涙
DVDが出たら、絶対見返します〜
こういうラストになるとは。
>でも明子は大切な太郎の自立の邪魔をしたくないと思ったんじゃないかな。
忘れてしまうことの悲しさを、明子さんの優しさで包んでくれていました。
見終わった後に、じんと生きていくことの愛しさと切なさが伝わってきて・・・
小さいエピソードが徐々にラストに繋がっていく構成も世界観も見事で、良いドラマを観た、という満足感と、仄かに、しかし深い哀しさが余韻が残りました。
>太郎の開店祝いにシマさん(嶋田久作)と武蔵(藤原竜也)からのものがあって嬉しかったわ〜
うわあ、気がつきませんでした(涙
DVDが出たら、絶対見返します〜
6. Posted by きこり→Largoさん 2016年01月01日 15:50
あけましておめでとうございます〜本年もどうぞよろしくお願い致します<(_ _*)>
>こういうラストになるとは。
そうなんですよね。明子が亡くなるのは想像がついたけど、そこに至るまでの太郎がそうなるとは・・・悲しいけど現実的であり、それでも明子という人間性がしっかり伝わっていたおかげで人間に対する慈しみが感じられるラストでした。
>見終わった後に、じんと生きていくことの愛しさと切なさが伝わってきて・・・
大事件があるわけでもなく(まぁ、普通の人間にとっていきなり訴えられるってとんでもないできごとだけど、意外とあっさり終わったし 笑)ヒーローが主人公でもなく、普通の人間の普通の生活を淡々と描くドラマだったけど、人間はこうやって生きていくんだなぁと切なさと共にゆるやかな希望を感じました。
見終わった後に心の中で大きく広がって行くというか、描かれなかった部分もこちらの心の中で自由に鮮やかに広がるのがわかる不思議な魅力のドラマでした。
オダジョーがますます好きになったし、淡々と個性を見せてくれた登場人物たちすべてが愛おしいです。
>うわあ、気がつきませんでした(涙
エンディングの清志郎の歌の時に映ったんですよ〜(涙
本編では見せなかったのに。相変わらず憎いわ〜(ノω・、) ウゥ・・・
>こういうラストになるとは。
そうなんですよね。明子が亡くなるのは想像がついたけど、そこに至るまでの太郎がそうなるとは・・・悲しいけど現実的であり、それでも明子という人間性がしっかり伝わっていたおかげで人間に対する慈しみが感じられるラストでした。
>見終わった後に、じんと生きていくことの愛しさと切なさが伝わってきて・・・
大事件があるわけでもなく(まぁ、普通の人間にとっていきなり訴えられるってとんでもないできごとだけど、意外とあっさり終わったし 笑)ヒーローが主人公でもなく、普通の人間の普通の生活を淡々と描くドラマだったけど、人間はこうやって生きていくんだなぁと切なさと共にゆるやかな希望を感じました。
見終わった後に心の中で大きく広がって行くというか、描かれなかった部分もこちらの心の中で自由に鮮やかに広がるのがわかる不思議な魅力のドラマでした。
オダジョーがますます好きになったし、淡々と個性を見せてくれた登場人物たちすべてが愛おしいです。
>うわあ、気がつきませんでした(涙
エンディングの清志郎の歌の時に映ったんですよ〜(涙
本編では見せなかったのに。相変わらず憎いわ〜(ノω・、) ウゥ・・・