プレミアムよるドラマ 「徒歩7分」 第8回(最終回) ここが崖だわ「怪奇恋愛作戦」 #8 悪魔ブイヨン 後編

2015年02月26日

「LIFE!」 2013年 米 監督ベン・スティラー

 おもしろかった!
人生の神髄に触れるのは難しい。
でも勇気を出して一歩踏みだせば、目の前の世界は広がり、輝いていく。
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 主人公のウォルター・ミティ(ベン・スティラー)が家計簿をつけるところから始まる。
彼は雑誌「LIFE」の写真管理部に勤めて16年の42歳。
17歳の時に父が亡くなって以来、経済的精神的に母・エドナ(シャーリー・マクレーン)と妹・オデッサ(キャスリン・ハーン)を支えてきた。
真面目で誠実な仕事ぶりは冒険家で有名写真家のショーン・オコンネル(ショーン・ペン)の信頼も厚い。

 でも不器用な性格故、現実世界にうまく適応できているとは言えず、つい想像力の翼を広げ夢見ることで満足しがち。
1ヶ月前に入社した経理部のシェリル・メルホフ(クリステン・ウィグ)のことが気になっているが声をかけることができず、彼女が入会しているパートナー探しのサイト「e ハーモニー」に登録し、コンタクトを取ろうとするが勇気がでない。

 彼女の理想の男性は「冒険心と勇気と想像力がある人」。
自分とはかけ離れている。それでも迷った末「友達になる」的な「ウインク」メッセージを送ろうとしたのに、なぜか弾かれてしまう。不具合を報告するため管理人のトッドに電話すると、ウォルターのプロフィールに空欄が多いことを指摘された。「体験談」のところもゼロ。

「別に体験談を書くほどどこにも行ってないので」ウォルター
「では、何かスゴイことはしませんでしたか?」トッド
「・・・・・・・・」

 何もないのだった。
想像の中ではスーパーヒーローになりシェリルの犬を救い、しゃれたセリフをポンポン言えるのに現実世界では家と会社の往復で毎日特筆すべきことは何も起こらない。


 さらに誕生日だというのに「LIFE」社買収が発表され、人員削減のためやってきた新しい上司テッド( アダム・スコット)に目を付けられてしまう。

 「LIFE」は休刊が決まり最終号の表紙はショーンから送られてきたネガの中から彼が「私の最高傑作。人生の神髄とはこれだ」とプッシュした25番に決まる。
しかし、ウォルターが受け取った時点で25番は無かった。
ここから25番を見せろと迫るテッドとウォルターの攻防戦が始まる。

 ウォルターは何とか秘密裏に25番を見つけようと居所不明なショーン捜索を開始。
シェリルに協力を求め、他のネガに映っているものをヒントに彼の居場所を探り出そうとする。
で、写っていた船の名前からショーンがグリーンランドにいた事がわかった。

 どうしよう・・・グリーンランドなんて遠すぎる。
でも、デスクの横に貼ってある写真の中のショーンが手まねきした。
こっちに来い。人生の神髄を知りたくないか?と言っているように。
ウォルターはジャケットとアタッシュケースを取ると走り出した。


 そんな彼を「LIFE」社の標語が後押しする。

『世界を見よう 
  危険でも立ち向かおう 
        壁の裏側をのぞこう 
              もっと近づこう 
                   お互いを知ろう
                      そして感じよう
                             それが人生の目的だから』


 その言葉はショーンから送られた誕生日プレゼントの財布にも刻まれていた。
ウォルターが主体的になり一歩踏み出した時から、彼の人生もこの標語のように動き出していく。

 いや〜グリーンランドに渡ってから偶然が偶然を呼び、出会った人がショーンの足痕へ導いてくれ、ショーン本人に辿り着くまでの展開がテンポ良くて躍動感に溢れていて画面から目が離せなかった。
旅の中でウォルターは常に選択を迫られ勇気を求められる。
迷いながらもウォルターは想像力と自分の胸の中にある思いに励まされながら決断し、その都度新しい世界へ向かってジャンプする。
その結果は必ず現れる。そして世界が広がる。

 オープニングでは規則的にゆっくりと歩いていたウォルターが走り出し、その走りは力強くなり、風を心地よく感じながら笑顔になっていく。
そのスピードは湧き上がるウォルターの人生への情熱なのでしょう。

 ちょいちょい「eハーモニー」のトッドから電話が入り、今まで経験したことがない大冒険をしているにもかかわらず「変わりないよ」と答えるウォルターに(* ̄m ̄)プッ
プロフィールの『体験談』も増えてくる。


 アイスランドまで来て部下に呼び戻されたウォルターはネガが見つからなかったせいでクビを言い渡される。
もう会社とは関係なくなったけど、今度は自分の意志でショーンを捜す旅に出発する。

 序盤に出てきたウォルターが昔、スケボー大会で優勝した記事、
妹からもらった誕生日プレゼントのゴム人形、
母のピアノ、
母の引っ越しでパパが亡くなって中止になったヨーロッパ旅行のバックパックが発掘されたこと、
そんなエピソードが全て彼の旅にちゃんと生かされる。

 バックパックの中には父がくれた旅日記が入っていた。

    『楽しめ 父より』

 アイスランドまで行ったのに見つからず、母・エドナからショーンの居場所のヒントをもらうことになる展開にニヤリ。
グリーンランドの船の中で食べた船員からもらったケーキはエドナがショーンにあげたものだったんだね。
そしてママのオレンジケーキのおかげで部族群長が笑顔になり、橋渡しをしてくれた。

 やっと会えたショーンは本当に素敵な人でした。
危険を乗り越え、待ちに待ったユキヒョウのシャッターチャンスが来たのに撮ろうとしない。

 
「時々ね・・・もしその瞬間が俺にとって好きな瞬間なら、カメラに邪魔されたくない。
その一瞬を大切に味わう」ショーン
「その一瞬・・・?」ウォルター
「あぁ、今だ。今を楽しむ」

 今という瞬間を大切に生き、人生を軽やかに楽しみ、人生を真髄を知っている本当の大人でした。


 いや〜ショーン・ペン、かっちょ良かったわ〜
わたしゃ、どうしてもショーン・ペンというと「Uターン」を思いだしてどんよりしてしまうんだけど( ゞ( ̄∇ ̄;)オイオイ!)
あれから時は流れ、
こんなに印象的で心に残る姿を見せてくれるなんて・・・嬉しいわぁ・・・

 帰国して拘留されたウォルターは自分を「ウォルター・ミティだと証明できる人間」として「eハーモニー」のトッド(パットン・オズワルト)を選ぶ。
ネットだけの繋がりで終らないで、最後にちゃんとウォルターの人生に関わるってのがシャレてる。
シェリルが退会したと知り、ウォルターも退会したんだけど、その直前彼のプロフィールは完成し300回ウインクされたそうな。


 問題の25番のネガはショーンが贈った財布の中に入れてあったことが判明したんだけど、ヤケになったウォルターは財布を捨てていたんだよね。
でも、ちゃんとエドナが拾っていてくれた。
息子にとって大切なものだとわかっていたから。

 25番のネガをテッドに届けたウォルターは彼に堂々と向き合いアドバイスできる男になっていた。
求人サイトに載せたプロフィールには、こう書かれていた。


「ライフ誌に16年勤務」
「身元保証人 ショーン・オコンネル」
「ヘリから海にジャンプ」
「火山まで17キロ走破」
「ノシャック山登頂」
「一日漁船員」


 ライフ最終号の表紙となった25番のネガの写真は、ウォルターがネガを見つめているものだった。
ウォルターはとっくに人生の神髄の中にいた。
旅で彼は変わったんじゃない。気付いたんだよね。

 でもそれは、大切な家族と過ごしてきた時間と愛情、真面目に仕事に向き合ってきた結果得た信頼があったからこそ。それがジャンピングボードのように彼を飛ばして見えなかった世界を感じさせてくれた。そしてほんの少しの勇気。
世界は可能性に満ちている。

 私も一歩踏み出そう!そう素直に思える映画でした。


usagi

さて、次はこの映画の元になった『虹を掴む男』を見るぞ〜
順番がアレになっちゃったけど、こちらも楽しみ♪

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matakita821 at 19:53│Comments(2)TrackBack(5)映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by くう   2015年02月27日 00:42
うーーーん、いい映画だったねぇ。
大好きなんだ!こういう広がりのある世界観。
想像の世界は楽しいし映像も素晴らしい。
けれども一番素敵なのは1枚のネガから出来上がった写真よね^^
今を大切に生きる。
素敵なメッセージだよね!
わしも思い出すためにもう一度見よう(^^)/
2. Posted by きこり→くうさん   2015年03月01日 10:50
ほんと、いい映画だった。こころから思える映画だったよ。
>大好きなんだ!こういう広がりのある世界観。
私も。自然とこちらのこころまで広がっていくような。
旅の場面はやっぱりスクリーンで見たかったなぁ・・
ウォルターが今まで生きてきた自分に誇りを持てたのも良かったよね。
過去があるから今がある。
そして今という時を大切に生きれば限りなく広がる未来が待っている。
気持ちのいい映画だったよ。
『虹をつかむ男』もどんなんか見てみるよ。

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