2014年09月10日
「誰も守ってくれない」 2009年 監 君塚良一
見なきゃな〜と思いつつ月日が流れ・・・BSプレミアムで放送してくれたのでやっと見ることができました。怖い映画でした。でも、ラストに確かな希望が残りました。
映画WEB SITEはこちら
オープニング、学校の中でいつもの日常を笑顔で過ごす船村沙織(志田未来)の姿と、船村家に捜査令状を持った刑事達が踏込んでくる様子が交互に描かれる。
ある日、突然、18歳の兄直人(飯嶋耕大)が小学生の姉妹を刺殺した犯人となったのだ。
ただ呆然とするしかない母親・・・
警察から中学校に連絡がいったのか、沙織も家に帰される。
東豊島署の刑事・勝浦(佐藤浩市)と三島(松田龍平)は、上司の坂本(佐野史郎)から容疑者家族の保護を命じられ船村家へ。
「家族の保護って何スか、それ」勝浦
「何で容疑者の家族守らなきゃならないんですか?守るのは被害者の方でしょ」三島
でも、船村家に行き、すぐにその理由がわかった。
逮捕を嗅ぎつけたマスコミがあっと言う間に家の周りを取り囲み実況を開始。
やじ馬も集まり騒ぎ始めていた。
警察は家族への事情聴取のためにマスコミの執拗な追求に耐えられず自殺する加害者家族を守らねばならない。
罵声の飛ぶ中連行される直人の姿はビニールシートで隠されてはいたが隙間から映され晒された。
その後の船村家の様子がすさまじかった。
自分の息子が本当に殺したのかもわからないまま、刑事達に取り囲まれる父・礼二(佐藤恒治)と母・澄江(長野里美)。ご近所からの苦情の電話が鳴っている・・
「まさかうちの子が・・・!」澄江
「信じられません・・・」礼二
「何かの間違いです!直人が人を殺すなんて・・・」澄江
「お子さんが普段どういう生活を送っていたかご存じでしたか?」刑事
「私は・・・あの子をきちんとしつけていました・・」礼二
そこに家庭裁判所の職員が入って来る。
坂本から直人は未成年だけど実名で報道される恐れがあること、
そうなると苗字から家族もマスコミに追いかけられることになるので保護のために離婚するよう指示があった。
![誰も守ってくれない スタンダード・エディション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/511gLJBiDSL._SL160_.jpg)
映画WEB SITEはこちら
オープニング、学校の中でいつもの日常を笑顔で過ごす船村沙織(志田未来)の姿と、船村家に捜査令状を持った刑事達が踏込んでくる様子が交互に描かれる。
ある日、突然、18歳の兄直人(飯嶋耕大)が小学生の姉妹を刺殺した犯人となったのだ。
ただ呆然とするしかない母親・・・
警察から中学校に連絡がいったのか、沙織も家に帰される。
東豊島署の刑事・勝浦(佐藤浩市)と三島(松田龍平)は、上司の坂本(佐野史郎)から容疑者家族の保護を命じられ船村家へ。
「家族の保護って何スか、それ」勝浦
「何で容疑者の家族守らなきゃならないんですか?守るのは被害者の方でしょ」三島
でも、船村家に行き、すぐにその理由がわかった。
逮捕を嗅ぎつけたマスコミがあっと言う間に家の周りを取り囲み実況を開始。
やじ馬も集まり騒ぎ始めていた。
警察は家族への事情聴取のためにマスコミの執拗な追求に耐えられず自殺する加害者家族を守らねばならない。
罵声の飛ぶ中連行される直人の姿はビニールシートで隠されてはいたが隙間から映され晒された。
その後の船村家の様子がすさまじかった。
自分の息子が本当に殺したのかもわからないまま、刑事達に取り囲まれる父・礼二(佐藤恒治)と母・澄江(長野里美)。ご近所からの苦情の電話が鳴っている・・
「まさかうちの子が・・・!」澄江
「信じられません・・・」礼二
「何かの間違いです!直人が人を殺すなんて・・・」澄江
「お子さんが普段どういう生活を送っていたかご存じでしたか?」刑事
「私は・・・あの子をきちんとしつけていました・・」礼二
そこに家庭裁判所の職員が入って来る。
坂本から直人は未成年だけど実名で報道される恐れがあること、
そうなると苗字から家族もマスコミに追いかけられることになるので保護のために離婚するよう指示があった。
![誰も守ってくれない スタンダード・エディション [DVD]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/511gLJBiDSL._SL160_.jpg)
事件のショックで何も考えらえない状態で半強制的に離婚手続きをさせられるという・・・
スピーディに書類を広げ、署名捺印をさせる家庭裁判所の職員。
「息子さんのしたことを許さない人たちが追ってきます。
いいですか?一生追ってくるんですよ」刑事
罵声と共に窓ガラスが割られる・・・
離婚が成立すると、旧姓・大野に戻った母親の籍に夫が入る形で再婚。
言われるがまま従うしかない・・・
沙織は船村のままなので、大野家に入籍手続きをする。
「じゃあ、お兄ちゃんだけ別の苗字になるってことだよね?
そんなの嫌です。お兄ちゃんも家族だし」沙織
「しばらく学校へ行けなくなるので就学義務の免除手続きを取りましたからね」教育委員会の職員
「何で、私が学校へ行けなくなるの?」沙織
「・・・・・・・」父、母
誰も応えないし、何も教えてくれない。
「加害者家族」となった3人は管理される存在になったんだね。
3人はマスコミから逃れるためバラバラに保護されることになった。
家から車まで移動する間に容赦なく浴びせられるフラッシュ、狙うカメラ、
好奇心で向けられる携帯、「遺族に謝れ!」という怒声・・・
車で逃げても何台もの車がカメラを向けながら容赦なく追ってくる。
沙織がまだ中学生だろうと関係ない。
勝浦と三島が沙織の担当になった。
で、三島のハイレベルの運転テクニックでまくカーチェイス的な展開になるんだけど、まいてもまいても追ってくる。
確保しておいたホテルの部屋に逃げ込んでも、まだついてくる。
結局、勝浦の部屋(別居中で一人暮らし)にかくまうことになってしまった。
ホントに腹立たしいワ。
ただ他社よりも目につく記事を取りたい、少しでも読者を煽れるタイトルが欲しいだけ。
よく被害者やその家族たちのプライバシーを暴露するような記事が載るけど、彼らにとっては被害者も家族も人間ではないんだよね。ネタでしかない。
ましてや沙織たちは加害者家族・・・
一般の人達の代わりに悪人一家に鉄槌を下すつもりにでもなっているのか、カメラを向ける彼らの顔には冷静さはなく高揚感と喜悦がありました。
そんな新聞記者の一人、梅本孝治(佐々木蔵之介)は勝浦の友人のマンションにまで追ってくる。
「家族にも連帯責任がある。出てきて謝らせるべきだ。
あんたら警察は容疑者のことしか考えてない!
今度だってそうだ。税金使って容疑者の家族守ってるじゃないか!
被害者にだって家族はいるんだよ!
ご遺族は犯人の家族にも罪を償って欲しいと思っている。
死んで償えと思っている!」梅本
「お前さ、妹にも死ねって言ってるのか?」勝浦
「犯罪者の家族は迫害されて当然でしょ」
実は梅本の息子はいじめのせいで引きこもりになっており、いじめっ子をかばった学校と加害者家族を保護する警察とを重ねていた。
でも、梅本のように加害者家族も同罪という考えが大多数なのかもしれないね。
私がこうやって冷静に書いていられるのも何の関係もない第三者だから。
もし、私が被害者家族だったら、やはり梅本と同じように家族も糾弾していたと思う。
そして加害者家族だったら、自分の教育のせいだと責めて生きていられないかもしれない。
自宅に残って事情聴取を受けていた澄江は隙を見て、トイレで自殺してしまった。
関係者には関係者だけの葛藤と感情があると思う。
みんなそれぞれ家族を背負っている。
勝浦にも沙織と同じ年の娘がいて、離婚を望む妻との間に立って2人の中を繋ごうとしてくれていた。
だから船村家に入った時、まず沙織の存在が気になっていた。
ネット掲示板はお祭り状態となり殺人者である直人の実名と写真が出回り、
妹の沙織も晒されてしまった。
さらに加害者家族を守る勝浦や家族が住んでいる住所までネットに公表され、
やじ馬が妻子の住むMSに押し掛けてくる。
自分の家族を守りたいのに、離れて加害者家族を守らなければならない。
ネットの怖さがリアルに伝わってきました。
匿名性で躍動する悪意・・・
ネットに繋がることにより、別の意志が生まれ、ひきずられていってしまう。
勝浦が沙織を連れて逃げ込んだのは家族で行く予定だったペンション。
実はそこの夫婦・本庄圭介(柳葉敏郎)久美子(石田ゆり子)は3年前、勝浦が関わった事件の被害者家族だった。
捜査のためにヤク中の男を泳がせている時、その男に本庄夫婦の一人息子が刺殺されたのだった。
尾行中の勝浦が上司に早く逮捕させて欲しいと訴えていた矢先の事件だった。
事情を知った本庄夫婦は快く二人を受け入れてくれたけど、ネットで直人の事件の詳細を知り、自分の息子の事件と重ねた圭介は勝浦に怒りをぶつけてしまう。
「アンタ、彼女も被害者だって言った。
でもね、俺らにとっては犯人の妹なんだ。
警察は、うちの子を守ってくれなかったのに犯人の家族は守るんですか?
何やってんだ、いったい警察は。
あのね・・僕らね・・・鬼畜のような男のせいですべてを失くした!
犯人はいつか町に帰ってくるが、うちの子は帰ってこない!
なのに・・・!そうか・・・
アンタにとっちゃ被害者の家族も加害者の家族も一緒なんだな。
ホントはあんたの顔も見たくねぇんだ!出てけ!」圭介
この本庄夫婦の立場も心情もすごく複雑だよね。
息子さんを失ったばかりの頃は旦那さんは奥さんのこと責めていたらしいし、2人っきりになるとどうしても息子のことが思われてしまう。
そんな中で海辺にペンションを開き、なんとか心穏やかに生きていこうと思っていたのに加害者家族である沙織を受け入れることになってしまった。
被害者家族でありながら加害者家族を匿う手伝いをする。冷静でいられる訳がない。
その後、家族と繋がっている勝浦を困らせようと沙織がペンションの場所を掲示板に書き込んだため、居場所がバレてしまう。ネットに投稿しようとするヤカラが集まってくる中、沙織の心情に寄り添えた圭介はいつもの穏やかな顔に戻っていた。
「被害者も加害者も残された家族の思いは一緒かもしれない。
それまで一緒に暮らしていた者を失うってことでは」圭介
私はこの夫婦の姿が一番印象に残ったかな・・・
沙織と出会ったことで心が揺れ苦しみが蘇ってしまったけど、受け止めたことで救われる道を得たというか・・
ラスト、子供ができたことを報告し笑顔で勝浦を見送ってくれた姿からは悲しみを乗り越え強く生きていこうとする人間の力と希望が伝わってきた。
そして沙織も変化していく。
ホテルの部屋から沙織の姿をネット動画で中継した奴らが侵入した時、負傷しながらも勝浦が必死で守ってくれたことで心を許すことができ、今まで口にしなかった事件当時の兄の様子と彼が苦しんでいたこと、なのに自分は何もできなかったことを勝浦に伝えることができた。
「お兄さんを守ろうとしたんだな・・?
沙織いいか、これからも君が家族を守るんだ。
誰かを守るってことは、その人の痛みを感じるってことだ。
人の痛みを感じるのはとても辛い。苦しい事だ。
でもな、それが生きていくってことなんだ。わかるかい?
・・・生きるんだ」勝浦
「痛み」と共に生きていくこと。
もしかしたら、その「痛み」の前には被害者家族も加害者家族もないのかもしれない。
どちらも家族としての「痛み」を背負いながら生きている。
そして外側にいる人間がその「痛み」を感じることができたら、世界は変わってくるんじゃないだろうか。
いや〜志田未来さん、さすがの存在感でした。
重たい物語の中で沙織の少女らしいまっすぐな目が救いでした。
その目は兄が逮捕されてからの悲しみ、混乱、大人達への拒絶、怒りをそのまま映し出していました。
そして勝浦の思いを受け止めた後、その目には力が宿り、生きていくという意志と共に確かな成長が感じられました。
この映画は志田未来さんあってこそでしょうね。
そして3年前の事件のトラウマに苦しんできた勝浦も沙織を守りきったことで長いトンネルを抜けることができた。
重たいテーマでしたが、それぞれが背負う背景を描きながらもすっきりと見せてくれました。落としどころが難しかったと思いますが、いいラストだったと思います。

スピーディに書類を広げ、署名捺印をさせる家庭裁判所の職員。
「息子さんのしたことを許さない人たちが追ってきます。
いいですか?一生追ってくるんですよ」刑事
罵声と共に窓ガラスが割られる・・・
離婚が成立すると、旧姓・大野に戻った母親の籍に夫が入る形で再婚。
言われるがまま従うしかない・・・
沙織は船村のままなので、大野家に入籍手続きをする。
「じゃあ、お兄ちゃんだけ別の苗字になるってことだよね?
そんなの嫌です。お兄ちゃんも家族だし」沙織
「しばらく学校へ行けなくなるので就学義務の免除手続きを取りましたからね」教育委員会の職員
「何で、私が学校へ行けなくなるの?」沙織
「・・・・・・・」父、母
誰も応えないし、何も教えてくれない。
「加害者家族」となった3人は管理される存在になったんだね。
3人はマスコミから逃れるためバラバラに保護されることになった。
家から車まで移動する間に容赦なく浴びせられるフラッシュ、狙うカメラ、
好奇心で向けられる携帯、「遺族に謝れ!」という怒声・・・
車で逃げても何台もの車がカメラを向けながら容赦なく追ってくる。
沙織がまだ中学生だろうと関係ない。
勝浦と三島が沙織の担当になった。
で、三島のハイレベルの運転テクニックでまくカーチェイス的な展開になるんだけど、まいてもまいても追ってくる。
確保しておいたホテルの部屋に逃げ込んでも、まだついてくる。
結局、勝浦の部屋(別居中で一人暮らし)にかくまうことになってしまった。
ホントに腹立たしいワ。
ただ他社よりも目につく記事を取りたい、少しでも読者を煽れるタイトルが欲しいだけ。
よく被害者やその家族たちのプライバシーを暴露するような記事が載るけど、彼らにとっては被害者も家族も人間ではないんだよね。ネタでしかない。
ましてや沙織たちは加害者家族・・・
一般の人達の代わりに悪人一家に鉄槌を下すつもりにでもなっているのか、カメラを向ける彼らの顔には冷静さはなく高揚感と喜悦がありました。
そんな新聞記者の一人、梅本孝治(佐々木蔵之介)は勝浦の友人のマンションにまで追ってくる。
「家族にも連帯責任がある。出てきて謝らせるべきだ。
あんたら警察は容疑者のことしか考えてない!
今度だってそうだ。税金使って容疑者の家族守ってるじゃないか!
被害者にだって家族はいるんだよ!
ご遺族は犯人の家族にも罪を償って欲しいと思っている。
死んで償えと思っている!」梅本
「お前さ、妹にも死ねって言ってるのか?」勝浦
「犯罪者の家族は迫害されて当然でしょ」
実は梅本の息子はいじめのせいで引きこもりになっており、いじめっ子をかばった学校と加害者家族を保護する警察とを重ねていた。
でも、梅本のように加害者家族も同罪という考えが大多数なのかもしれないね。
私がこうやって冷静に書いていられるのも何の関係もない第三者だから。
もし、私が被害者家族だったら、やはり梅本と同じように家族も糾弾していたと思う。
そして加害者家族だったら、自分の教育のせいだと責めて生きていられないかもしれない。
自宅に残って事情聴取を受けていた澄江は隙を見て、トイレで自殺してしまった。
関係者には関係者だけの葛藤と感情があると思う。
みんなそれぞれ家族を背負っている。
勝浦にも沙織と同じ年の娘がいて、離婚を望む妻との間に立って2人の中を繋ごうとしてくれていた。
だから船村家に入った時、まず沙織の存在が気になっていた。
ネット掲示板はお祭り状態となり殺人者である直人の実名と写真が出回り、
妹の沙織も晒されてしまった。
さらに加害者家族を守る勝浦や家族が住んでいる住所までネットに公表され、
やじ馬が妻子の住むMSに押し掛けてくる。
自分の家族を守りたいのに、離れて加害者家族を守らなければならない。
ネットの怖さがリアルに伝わってきました。
匿名性で躍動する悪意・・・
ネットに繋がることにより、別の意志が生まれ、ひきずられていってしまう。
勝浦が沙織を連れて逃げ込んだのは家族で行く予定だったペンション。
実はそこの夫婦・本庄圭介(柳葉敏郎)久美子(石田ゆり子)は3年前、勝浦が関わった事件の被害者家族だった。
捜査のためにヤク中の男を泳がせている時、その男に本庄夫婦の一人息子が刺殺されたのだった。
尾行中の勝浦が上司に早く逮捕させて欲しいと訴えていた矢先の事件だった。
事情を知った本庄夫婦は快く二人を受け入れてくれたけど、ネットで直人の事件の詳細を知り、自分の息子の事件と重ねた圭介は勝浦に怒りをぶつけてしまう。
「アンタ、彼女も被害者だって言った。
でもね、俺らにとっては犯人の妹なんだ。
警察は、うちの子を守ってくれなかったのに犯人の家族は守るんですか?
何やってんだ、いったい警察は。
あのね・・僕らね・・・鬼畜のような男のせいですべてを失くした!
犯人はいつか町に帰ってくるが、うちの子は帰ってこない!
なのに・・・!そうか・・・
アンタにとっちゃ被害者の家族も加害者の家族も一緒なんだな。
ホントはあんたの顔も見たくねぇんだ!出てけ!」圭介
この本庄夫婦の立場も心情もすごく複雑だよね。
息子さんを失ったばかりの頃は旦那さんは奥さんのこと責めていたらしいし、2人っきりになるとどうしても息子のことが思われてしまう。
そんな中で海辺にペンションを開き、なんとか心穏やかに生きていこうと思っていたのに加害者家族である沙織を受け入れることになってしまった。
被害者家族でありながら加害者家族を匿う手伝いをする。冷静でいられる訳がない。
その後、家族と繋がっている勝浦を困らせようと沙織がペンションの場所を掲示板に書き込んだため、居場所がバレてしまう。ネットに投稿しようとするヤカラが集まってくる中、沙織の心情に寄り添えた圭介はいつもの穏やかな顔に戻っていた。
「被害者も加害者も残された家族の思いは一緒かもしれない。
それまで一緒に暮らしていた者を失うってことでは」圭介
私はこの夫婦の姿が一番印象に残ったかな・・・
沙織と出会ったことで心が揺れ苦しみが蘇ってしまったけど、受け止めたことで救われる道を得たというか・・
ラスト、子供ができたことを報告し笑顔で勝浦を見送ってくれた姿からは悲しみを乗り越え強く生きていこうとする人間の力と希望が伝わってきた。
そして沙織も変化していく。
ホテルの部屋から沙織の姿をネット動画で中継した奴らが侵入した時、負傷しながらも勝浦が必死で守ってくれたことで心を許すことができ、今まで口にしなかった事件当時の兄の様子と彼が苦しんでいたこと、なのに自分は何もできなかったことを勝浦に伝えることができた。
「お兄さんを守ろうとしたんだな・・?
沙織いいか、これからも君が家族を守るんだ。
誰かを守るってことは、その人の痛みを感じるってことだ。
人の痛みを感じるのはとても辛い。苦しい事だ。
でもな、それが生きていくってことなんだ。わかるかい?
・・・生きるんだ」勝浦
「痛み」と共に生きていくこと。
もしかしたら、その「痛み」の前には被害者家族も加害者家族もないのかもしれない。
どちらも家族としての「痛み」を背負いながら生きている。
そして外側にいる人間がその「痛み」を感じることができたら、世界は変わってくるんじゃないだろうか。
いや〜志田未来さん、さすがの存在感でした。
重たい物語の中で沙織の少女らしいまっすぐな目が救いでした。
その目は兄が逮捕されてからの悲しみ、混乱、大人達への拒絶、怒りをそのまま映し出していました。
そして勝浦の思いを受け止めた後、その目には力が宿り、生きていくという意志と共に確かな成長が感じられました。
この映画は志田未来さんあってこそでしょうね。
そして3年前の事件のトラウマに苦しんできた勝浦も沙織を守りきったことで長いトンネルを抜けることができた。
重たいテーマでしたが、それぞれが背負う背景を描きながらもすっきりと見せてくれました。落としどころが難しかったと思いますが、いいラストだったと思います。

トラックバックURL
この記事へのトラックバック
1. 誰も守ってくれない [ 単館系 ] 2014年09月10日 22:41
容疑者は18歳の少年だった。
マスコミから容疑者の家族を守るよう指示された勝浦刑事だったが。
冒頭から離婚届だのってあまりにも現実過ぎて怖いんですが。
家を出ようとしたらマスコミの嵐。
冒頭のカーチェイスシーンに気持ち悪くて酔いました・・・・
でも迫力あ
2. 誰も守ってくれない [ 象のロケット ] 2014年09月12日 03:53
ごく平凡な四人家族の長男が小学生姉妹殺人事件の容疑者として逮捕され、東豊島署の刑事・勝浦と三島は容疑者家族の保護を命じられる。 彼らの任務は容疑者家族をマスコミの目、そして世間の目から守ることだった。 殺人者の妹となった少女と、彼女と同い年の娘を持つ勝浦
3. 「誰も守ってくれない」加害者家族を守る刑事のみたマスコミとネット犯人たちの狂気 [ オールマイティにコメンテート ] 2014年09月12日 06:10
「誰も守ってくれない Nobody to watch over me」は殺人を犯した18歳の少年の加害者家族を守るために任命された警察官がマスコミ、一般市民の迫害から加害者家族を守っていくストーリ ...
4. 『誰も守ってくれない』 [ 京の昼寝〜♪ ] 2014年09月13日 20:20
□作品オフィシャルサイト 「誰も守ってくれない」□監督・脚本 君塚良一 □脚本 鈴木智 □キャスト 佐藤浩市、志田未来、松田龍平、木村佳乃、佐野史郎、佐々木蔵之介、柳葉敏郎、石田ゆり子■鑑賞日 1月24日(土)■劇場 チネチッタ■cyazの満足度 ★★★☆
この記事へのコメント
1. Posted by う〜みん 2014年09月12日 18:37

被害者側が加害者家族にも憎しみをぶつけたくなるのは自然だと思うけど関係無い人間が寄ってたかって責めるのは違うんじゃないかなっていつも思います。
視聴率や発行部数しか考えてないテレビや週刊誌もですが家まで押しかけたり電話で文句を言ったりネットで情報を拡散したりする人も何か履き違えてないかって..
アメリカでは犯罪者の母親に同情の電話がかかって来るという話を聞いた事があります。何かそれもしっくりは来ないんですが法治国家である以上は加害者は裁判で裁かれるわけだし家族は関係ないんですよね。
日本人は村八分的考え方が染み付いてるんですかねぇ..
沙織ちゃんが強く生きていくというラストは救いがありますね(*^_^*)
2. Posted by きこり→う〜みんさん 2014年09月13日 14:11
>当時新聞か何かの映画紹介で見て気になってた映画でした(*^_^*)
私もずっと見たいと思っていたんですが、重い映画なんだろうな〜と思ってなかなかその気になれず・・・(笑
たまたまBSプレミアムで放送してくれて良かったですよ〜
>関係無い人間が寄ってたかって責めるのは違うんじゃないかなっていつも思います。
私も思います。わざわざ電話をかけてきたり、ガラス窓を割ったり・・・
自分の日常の鬱憤を晴らしているとしか思えませんよ。
ネットで盛り上がる人たちもどうかしているとしか思えないです。
映画の中でラスト近くに沙織のボーイフレンドがペンションに現れ、久しぶりに沙織が笑顔を見せるのですが、そのBFがネットの動画サイトの管理人に沙織を売り渡してしまうのです。
2人でどこかへ逃げようと誘ってホテルの一室に閉じ込め、犯人の妹の今を生中継をするために。
そこに勝浦が助けにいくんですよ。
で、ショックを受けている沙織に勝浦が「ネットの世界では情報を持っているものが王だ」みたいなことを言いうのです。ネットで目立つためにGFの写真や情報を売る・・・
ネット社会故のそんな欲望も存在したんですね。
>裁判で裁かれるわけだし家族は関係ないんですよね。
なんか連帯責任って考え方が昔からありますもんね。
これって日本だけなのかなぁ・・・アジア的なアレ??
小学校の時とか、何で班全員の責任になるんだろ?って思った覚えが・・・(笑
きれいごとでは終われない映画だと思いながら見ましたが、沙織が家族を守る覚悟を決め生きていく姿は清々しかったです。志田未来ちゃんはこういう芯の強い役が合ってますよね。
私もずっと見たいと思っていたんですが、重い映画なんだろうな〜と思ってなかなかその気になれず・・・(笑
たまたまBSプレミアムで放送してくれて良かったですよ〜
>関係無い人間が寄ってたかって責めるのは違うんじゃないかなっていつも思います。
私も思います。わざわざ電話をかけてきたり、ガラス窓を割ったり・・・
自分の日常の鬱憤を晴らしているとしか思えませんよ。
ネットで盛り上がる人たちもどうかしているとしか思えないです。
映画の中でラスト近くに沙織のボーイフレンドがペンションに現れ、久しぶりに沙織が笑顔を見せるのですが、そのBFがネットの動画サイトの管理人に沙織を売り渡してしまうのです。
2人でどこかへ逃げようと誘ってホテルの一室に閉じ込め、犯人の妹の今を生中継をするために。
そこに勝浦が助けにいくんですよ。
で、ショックを受けている沙織に勝浦が「ネットの世界では情報を持っているものが王だ」みたいなことを言いうのです。ネットで目立つためにGFの写真や情報を売る・・・
ネット社会故のそんな欲望も存在したんですね。
>裁判で裁かれるわけだし家族は関係ないんですよね。
なんか連帯責任って考え方が昔からありますもんね。
これって日本だけなのかなぁ・・・アジア的なアレ??
小学校の時とか、何で班全員の責任になるんだろ?って思った覚えが・・・(笑
きれいごとでは終われない映画だと思いながら見ましたが、沙織が家族を守る覚悟を決め生きていく姿は清々しかったです。志田未来ちゃんはこういう芯の強い役が合ってますよね。