連続ドラマW 「MOZU Season2 〜幻の翼〜」 Episode #3「家族狩り」 第2話 殺しの香り、殺しの祈り

2014年07月08日

2014年6月に見た映画

 6月に見たのは5本。それぞれ、そこそこおもしろかったぞ。

6月2日(月) 「チャールズ・スワン三世の頭ン中」 2012年 米 監 ロマン・コッポラ

結構おもしろかった。70年テイストの色鮮やかな飛び出す絵本を見ているようでした。

1970年代のカリフォルニア、グラフィック・デザイナーとして成功をおさめているチャールズ・スワン三世(チャーリー・シーン)は豪邸に住みモテモテの日々を送っていた。
でも恋人のイヴァナに去られてから人生下り坂。車の事故で病院に運ばれ、会計士(ビル・マーレイ)からは会社の経営状態が危ないと言われ、仕事もスランプ。
そしてイヴァナ(キャサリン・ウィニック)のことがいつまでも忘れられない。
で、様々な妄想にふけるのでした。

何か「アニー・ホール」をちょっと思いだしたかな。
ウディ・アレンの映画にもよく、夢とか妄想場面は出てくるけど、屈折しているし精神分析っぽい内容だよね。こちらは、もっと欲望に忠実というか、単純でイメージがどんどん広がっていく感じが楽しい。
70年代ファッションがおしゃれだし、ノリのいい音楽も耳に心地よい。
チャーリー・シーンはちょいくたびれた中年といたずらっ子の少年のミックス具合が魅力的。付きあったらめんどくさそうだけどさ。
特になにも残らないけど、気分転換にはなる映画かも( ゞ( ̄∇ ̄;)オイオイ)

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6月4日(水) 「悪魔の陽の下に」 1987年 仏 監 モーリス・ピアラ

ジェラール・ドパルデュー主演だし、カンヌ国際映画祭でパルム・ドールをとったというので見てみました。
けど・・・よくわからなかった・・・σ(・´ω・`;)
感受性が鈍くなっているのでしょうか。これも老化か・・・
映画を見ても、ふーーん・・としか感じなくなってきました。恐ろしい事です・・・

北フランスのドニサン神父(ジェラール・ドパルデュー)は己の司祭としての力不足を深く悩み、自分の体が血だらけになるほど鞭打つ苦行を続けていた。
主任司祭・ムヌウ・スグレ神父(モーリス・ピアラ)の命でポーランクールに向かったドニサン神父(馬車を使わずに徒歩で行ったもんだから何日もかかり、結局間に合わず用事を果たせなかったという・・・)は道中、馬商人の姿をした悪魔(ジャン・クリストフ・ブーヴェ)と出会うが誘惑をしりぞけた。そのせいかわからんけど、その後、愛人を殺害してきた少女ムーシェット(サンドリーヌ・ボネール)の瞳を見ただけで罪を理解することができた。

ドニサン神父との出会いで自らの罪と向き合ったムーシェットは自殺。血まみれの彼女を神の元に返そうとドニサンは遺体を聖堂に運んだんだけど、そのセンセーショナルな行動のせいで田舎の修道院へ飛ばされてしまう。
んが、人々はドニサン神父を聖人と崇めたため、神父の苦悩はさらに深まっていく。
ある日、男が死にかけた息子のためにドニサン神父を呼びにくるが、着いた時にはもう亡くなっていた。
しかし、ドニサンがその息子の体を天に捧げるように持ち上げ祈ると、生き返った。
ホントの聖人になっちゃったんだけど、ドニサン神父の葛藤は終わらない。
その後、懺悔室の中で息を引き取るのでした。

おもしろくないこともないんだけど、よくわからない・・・
キリスト教のことをよくわかっている人が見たら、そうそう!って感じになるのかな〜?
神に仕える身で多くの人に救いを与えたドニサン神父だったけど、己が宗教に救われることはなかったってことか?(私自身も父親が宗教にハマっていたんで、宗教に関わって幸福になれると思えないんだが、そこんとこを知りたくてこの手の映画を見てしまう。でもいつも腑に落ちない)見てたら最初、この人、神父に向いてないんじゃ?とか思ったけど、ここまで自分を追い詰め苦しんだからこそ聖人になれたかもしれず・・・まぁ、なれてもますます苦しくなっただけだけどさ。すべては神のお導きでしょうか?

てか、ジェラール・ドパルデュー、巨大化しすぎだよ!
自分を鞭打って倒れる場面あったけど、オイオイ!アンタそれぐらいじゃびくともしないだろうよ・・ゞ( ̄∇ ̄;)とか思っちゃったわ〜
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6月9日(月) 「外事警察」 2012年 日本 監 堀切園健太郎

やはりこの男は悪魔だ。公安だからとか、警察だからとか、国を守りたいからとかじゃない。
この男はこの闇の中で狂っているのが好きなのだ。濃い闇の中でしか生きることができない男。
この世界が続いている限り、公安はこの男を必要とし、この男も公安を必要とするだろう。

いや〜おもしろかった。
興味が持てなかったら10分で見るのを止める私が128分あっと言う間だったよ。
あざとさギリギリのところですり抜ける脚本のうまさは相変らず。
住本(渡部篤郎)の部下の活躍があんまり見られなかったのは残念だったけど、
「外事警察」ファミリーのみなさんの生存が確認できて良かったわ〜

まぁ、篤郎の顔面演技はさらにヘビーになっていたけど、まぁいいさ。それが篤郎だからね。
そして田中泯様の圧倒的存在感。この人が最初から最後まで映画の流れを引っ張っていた。やっぱりすごい役者さんだわ・・・

それにしても松沢陽菜(尾野真千子)は公安に向いてないんじゃないかい?
したたかかと思ったら意外とおぼこいというか・・・
利用されたと思っていた果織(真木よう子)の方が住本のことをわかってるよ。
でもいつか化けるのかもしれん。それを見てみたいわ。そのための尾野さん起用と思われ・・・
そして、やはり住本という男からは目が離せない。また連ドラ作って欲しいのう・・・

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6月12日(木) 「メルシー!人生」 2001年 仏 監 フランシス・ヴェベール

結構面白かった。こういう軽いけどスパイシーなフランス映画が好きだ。

風采のあがらない中年男のフランソワ・ピニョン(ダニエル・オートゥイユ)は二年前に妻クリスティーヌ(アレクサンドラ・ヴァンダヌート)に愛想を尽かされ離婚。それでもクリスティーヌのことが忘れられない。17歳の息子フランク(スタニスラス・クルヴィレン)には軽蔑されており会いに来てもくれない。
そして真面目に働いてきたにも関わらず人事部長のサンティニ(ジェラール・ドパルデュー)に嫌われ、リストラにあいクビになってしまう。世をはかなんでベランダから飛び降りようとしたら、引っ越してきたお隣さん・ベローヌ(ミシェル・オーモン)に止められ、クビにならない方法があると知恵を授けられる。

その方法とはゲイであるとカム・アウトすること。もちろんピニョンはストーレートョ。
ピニョンが務めているのはコンドームがメイン商品のゴム製造会社。ゲイ差別で解雇したとなれば会社のイメージダウンは必須という訳。ベローヌが過去の自分の写真を合成して証拠写真を作り会社へ送付してくれました。

それでも、ビビったピニョンは「ゲイの演技なんてできない」とベローヌに訴えるんだけど、ナイスなアドバイスをくれました。
「演技しなければいい。今のまま気が弱い平凡な男でいればいい。他人の目が変わるんだ」
(面白い現象だけど皮肉っぽくもある。ベローヌの正直な思いなんだろうね)
その通り、写真のおかげでゲイの噂はあっと言う間に会社中に広まり、なぜかやっぱりねという雰囲気に。
クビも取り消しになり、平凡だったピニョンの日常が刺激的に変化していく。

そこに絡んでくるのが差別主義者のサンティニ。同僚は彼をからかいゲイ差別するとクビになるからピニョンと仲良くしていることをアピールしろと教えたもんだから、真面目な彼は一生懸命ピニョンに友好的な態度で接しプレゼントを送ったりするが、もともとゲイじゃないからピニョンの反応も鈍い。そんなことをしている間に浮気を疑った妻には逃げられ追い詰められたサンティニは精神を病んで入院してしまうのさ〜ラグビー部の指導もしているパワフル男かと思ったら意外ともろかった。

てか、ジェラール・ドパルデューって、もうちょっと痩せた方がいいと思うぞ。何度でも言うぞ。
いくら演技力があってもあまりにも熊熊しいもん。ロバート・デニーロを見習えとは言わないが、「悪魔の陽の下で」の神父といい、役に説得力がでなくなるんでないかい?

自他共に認める「透明人間」だったピニョンがベローヌにのせられているうちに徐々に自信を得、魅力的になっていく姿が楽しい。人生何が起こるかわからない。偶然関わった人が人生を切り開く手伝いをしてくれることもある。生きることを楽しみ始めたピニョンの笑顔が良かったな〜
人生の苦さも甘さも味わった後、それでも人間を愛し人生を心から楽しんでいるベローヌの優しさが沁みたわ〜

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6月26日(木) 「イノセント・ガーデン」 2013年 米・英 監 パク・チャヌク 

パク・チャヌク監督のハリウッド進出一作目!ということで見てみました。
いつもよりあっさりめだったような気もするけど、やはりこの監督のテイスト好きだわ〜

広大な庭を持つストーカー家の娘・インディア(ミア・ワシコウスカ)は、毎年誕生日には父が庭のどこかに隠したプレゼントを捜すのを楽しみにしていた。中身は毎年同じ。箱に入ったサドルシューズ。でも18歳の誕生日、箱を開けてみると鍵が入っていた。何の鍵かは、その日父が亡くなったのでわからない。

父の葬儀の日、ずっと世界中を放浪していたという父の弟・-チャーリー(マシュー・グッド)が現れる。警戒心をあらわに拒絶するインディアと違い、若い頃の夫によく似たチャーリーを歓迎し熱視線を送るイヴリン( ニコール・キッドマン)。

いや〜このイヴリンとインディアの親子関係ですが、元々インディアはお父さん子で、休日にはいつも父親と二人でハンティングへ出かけ、イヴリンは置いてけぼりてな感じだったらしい。父親が亡くなったことで初めて二人は向き合うことになり、チャーリーを挟んで母と娘というよりも女対女の様相を呈していく。後半、目覚めたインディアがイヴリンの髪の毛をすく場面が怖かった〜

サスペンスなので詳しく書けないんだけど、ある意味非常におもしろい少女の成長物語です。
成長と言っていいのかどうかわからんけど、血に縛られた存在でありながら、覚醒した後は自らの手で鎖を破壊し自分の人生を選択している。その姿には清々しさすら感じました。そして背筋が寒くなる。

チャーリーとインディアがピアノの連弾をする場面は最高にエロティック。
意識的に細かい罠を巡らし、インディアの無意識下にも働きかけ、目覚めを誘うチャーリーとの駆け引きにもゾクゾク・・・
最初から最後まで、静かで毒を持ちながらも清らかな映像世界に引き込まれました。
オープニングで映った花の色の意味が分かった時、やっぱりこの監督、好きだなぁ〜と思っただよ。
パク・チャヌク監督の描く美しくて残酷な物語・・・あとを引きます。

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matakita821 at 20:11│Comments(12)TrackBack(0)映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by ヨーコ   2014年07月09日 06:38
「チャールズ・スワン」面白そうだね!
いかにも面白そうなタイトル+チャーリー・シーン+ビル・マーレーであのポップなパッケージっていうだけで期待出来る♪私はレンタルしないから、CSで放送してくれる事を祈るわ〜。
2. Posted by きこり→ヨーコさん   2014年07月10日 06:17
おっはよ〜!
「チャールズ・スワン」楽しいよ〜音楽もすごくいいんだ。
チャーリー・シーンがぴったり。70年代テイストなんだけどもっと洗練された感じ。
コレ、WOWOWで放送したのを見たからまた入るかもよ〜
3. Posted by ヒロル   2014年07月12日 03:40
映画も沢山ご覧になっているんですね!。ご紹介頂いた作品、勉強不足で、どれも知らなくてお恥ずかしい限りです。
今日は、夜中眠れず、テレビをつけましたら偶然、映画を放映していまして、「ショーシャンクの空に」
たまたま見ているうち、強い衝撃を受け、引き込まれ最後まで見てしまいました
1994年の作品で 冤罪で投獄させられるティムロビンス主演のハードな内容でしたが、勇気づけられました。きこりさんに報告したくなりまして…
4. Posted by きこり→ヒロルさん   2014年07月12日 10:07
おはようございます〜
いやいや、私なんてぜんぜん少ないですよ。
見られる方は週2,3本見ているし映画館にも足を運んでらっしゃいますもん。
私はもっぱらDVDとかBSで放送したものの録画を見ています。
「ショーシャンクの空に」私も気になっていたのに録画し忘れてしまいました(^▽^;)
最近、マジで感じる心の衰えを実感しております。
でも、だからこそ感動できるものに出会えたら嬉しいですよね。
5. Posted by ヒロル   2014年07月12日 11:43
きこりさん、お返事ありがとうございます!。実は私は音楽関係の仕事をしていまして、先日俳優の有馬眞胤さんという方とライブでご一緒させて頂く機会に恵まれたんですが、
一流の方のステージには譲らない生きざまが
あって、自分も残る人生、少しでも頑張らなきゃと思った矢先、
ショーシャンクの空にを見て 朝まで眠れず…
本当に過酷な内容で、無実の罪で終身刑で刑務所に入る主人公、衝撃的な刑務所の実態、友情と希望を持ち続ける主人公の数十年。驚くべき生きざま、結末、
真夜中に勇気づけられた次第でした。
映画を見たのは、きこりさんとお話できる口実でもありましたが、お陰様でいい作品から感動をもらえました!。
6. Posted by くう   2014年07月13日 01:08
「イノセント・ガーデン」見たのにレビューしてない〜〜( 〃▽〃;)
面白かったね!
パク・チャヌク監督の綺麗な猟奇が出ていたわ。
精神的にグッと来るところもさすがだなって思った。
この撮影監督の絵作りはどことなく岩井俊二っぽく見えるんだ。
残酷だけど自然や花が美しいんだよね〜血も^^;

「外事警察」はね〜泯さま素敵だったんだけど、中二病老人かっって思った^^;
あの爆破シーンの一人演説が長すぎて、こんなに間があるなら逃げられるだろって突っ込んだ^^;
7. Posted by きこり→ヒロルさん   2014年07月13日 10:49
おはようございます〜
>自分も残る人生、少しでも頑張らなきゃと思った矢先、
そうですか〜素敵な出会いがあったのですね〜
残りの人生、どうしたら後悔せずに生きられるか・・まぁ、後悔しても全然いいんですが(笑
自分自身に恥ずかしくない生き方をしたいと最近強く思います。
迷ってばかりですが・・( ̄∇ ̄:)ゞてへへ・・
「ショーシャンクの空に」機会があれば、ぜひ見てみたいと思います。どうもありがとう〜
8. Posted by きこり→くうさん   2014年07月15日 15:07
「イノセント・ガーデン」おもしろかったわ〜
事前の情報仕入れなかったから、こういう話とは思わなかったよ〜
やっぱりこの監督のテイスト好きだわ〜
主演のあの女の子のあのふてくされたような顔がラストには晴れ晴れとしていたね。
>あの爆破シーンの一人演説が長すぎて、こんなに間があるなら逃げられるだろって突っ込んだ^^;
(*≧m≦)あはは!確かにね〜
よく住本たちも黙って聞いてたよ(笑
そもそも日本に運び込まれた段階で死にそうな体調だったのにーー
でも、やっぱり泯様はしゅてき!私の中ではテレンス・スタンプ様と並ぶ二大スターよ♡

9. Posted by 映画ログ   2014年07月31日 12:54
はじめまして。
私は「映画ログ」という観た映画の管理やレビューを書くサイトの運営をしています。

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10. Posted by きこり→映画ログさん   2014年08月01日 16:49
お誘いありがとうございます。
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のちほど会員登録させて頂いて、みなさんのレビューを
読ませて頂こうと思っています。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。
11. Posted by 映画ログ   2014年08月05日 08:18
ご返信ありがとうございます。
当サイトを見てくださったのですね!
また会員登録ありがとうございます。
嬉しいです!

ご都合のよろしい時にレビューやコメントなどなど参加して頂ければとても嬉しいです。
スタッフ一同、お待ちしております。
12. Posted by きこり→映画ログさん   2014年08月07日 14:27
会員登録させていただきました。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

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