ドラマ10 「紙の月」 第三回 清らかな罪「医龍4 -Team Medical Dragon-」 第3話 神の手からこぼれた患者

2014年01月23日

「ある殺人に関するテーゼ」 2013年 アルゼンチン / スペイン   監・エルナン・ゴルドフリド

 こういう見ている者の想像力を引きだす映画好きだな〜
『瞳の奥の秘密』の雰囲気が好きで、同じリカルド・ダリン主演なので見てみました。
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ある殺人に関するテーゼ [DVD]

 アルゼンチンの、あるロースクールで教鞭を執る元弁護士のロベルト(リカルド・ダリン)はスペインにいる友人の息子ゴンサロ( アルベルト・アンマン)をゼミに迎えた。
ロベルトはかつてゴンサロの母親と不倫関係にあった。
ゴンサロは自分の子供では?という疑惑とともに、彼のどこか傲慢な性質がひっかかったロベルトは、大学の構内で起きたレイプ殺人事件の犯人がゴンサロではないかと思い始める。
被害者のヴァレリ・ディナターレは大学近くのカフェで働く女性で、ホルマリンを注射後、レイプされ、残虐に殺害されていた。

 その理由はゴンサロが殺人を蝶にたとえて、見つからなければ罰せられない的に殺人を肯定したこと。
被害者の女性が蝶のネックレスをしていたこと。
そのネックレスは殺害後に付けられたものでメッセージ性が感じられたこと。
そして犯人が残した「彼女に似た女は殺す」というメモ。
被害者の女性はどこか、ゴンサロの母親に似ていた。

 そういう訳でロベルトはコネを利用して捜査状況を聞きに行ったり、検死報告や遺品を確認したり、被害者の妹ラウラに会いに行ったり、ゴンサロを尾行したりして、独自に捜査を始める。
てか、彼の心の中ではすでにゴンサロが殺人犯って決定しているんだよね。
その考えを確認するために調べているにすぎない。

 ここからは、ラストの内容も書きますのでご注意を〜

 元奥さんで精神分析医のモニカ(マーラ・ベステッリ)にも、かなり早い段階で「ゴンサロは異常者だ」と相談に行っている。
「奴が犯人なのは確かだ。私に捕まえて欲しがっている。ヤツのゲームさ。
説明はできないがわかる。ヤツが殺った」

 ロベルトとモニカが別れたのは、そのゴンサロの母親との浮気が原因だったのか、それだけじゃない派手な女性関係にモニカが愛想をつかしてしまったのかはわからないけど、ロベルトは今でもモニカに固執している。
夜中の3時に電話かけたり(迷惑)、こうやって待ち伏せしたり、どこか依存している。
自宅の留守番電話も未だに「モニカとロベルトです」ってのを使っている。
モニカの方は再婚しているし(夫は事件の予審判事アルフレード)もう関係ないって感じなんだけどね。

 だから、無意識にモニカに相談する理由を作ろうとしているのかな〜とか思ったり・・・
彼女が「ゴンサロ犯人説」に賛同してくれれば、二人で捜査にあたれるかもしれないしね。
モニカは「勘違いかもしれないわ」って軽く流してたけどさ。

 さらにロベルトは自分の家に来ている家政婦をゴンサロに紹介し、彼女の鍵束からゴンサロの部屋のものを盗んで留守中に部屋に侵入。
薬局の67ペソ分のレシートを見つけたロベルトは、それで殺人に必要なものを買ったと推理して検証。
薬局へ足を運び、ゴム手袋、ホルマリン液、注射器を購入。
でも金額が足りない・・・で、ゴンサロがいつも口にしているフリスク的なものを足したら・・
ぴったり67ペソ!やっぱりヤツが犯人だ!と確信しちまったョ〜

 この辺の見せ方がうまい。
確かにロベルトの発想も唐突だけど、犯人である可能性もあることをちゃんと見せてくれる。

 ゴンサロを呼び出し密かに事情聴取したら、そのどこか不遜な態度を殺人犯らしいと思ってしまう。
ゴンサロの父親は彼が自分の子供か疑問視しており、15の時にDNA検査を受けさせられたそうな。結果は父親もゴンサロも聞かなかったらしい。
「僕の父は父さんだけだ」

 それでも、父親からロベルトの話を聞いて育ったゴンサロは本当の父親がロベルトだと確信し、会いにきたのかもしれない。
今の父親に愛情を持っていたとしても、自分のルーツを知りたいと思うのは当然だ。
で、そういう複雑な感情を抱いている相手には、本心を隠すために挑発的になったり傲慢な態度を取ってしまう事はある。ただ、それだけのことだったのかもしれない。

 でもロベルトは、そう考えなかった。
自分に屈折した感情を抱いたゴンサロが母親に似た女性を殺し、父親である自分にアピールしたと思いこんだ。
ゴンサロからレポートの題材を数年前にポルトガルで起きた事件にしようと思ったけど、今回の「ディナターレ事件」にすると聞いたロベルトは、ネットで検索。
そこで「マリア・タルシバ事件」という「ディナターレ事件」と犯行方法が酷似した事件を見つける。
で、パスポートを盗み見して事件当時ゴンサロがポルトガルに居たことを知っているロベルトはどちらの事件もゴンサロが殺ったと思いこむのさ〜

 いや〜コレさ。
ゴンサロが自分の息子だと思い込むところから始まってるじゃない?
だから、「ディナターレ事件」をゴンサロの仕業だと確信しているってことは、「マリア・タルシバ事件」はロベルトがやったんじゃないの〜?とか思っちゃったよ〜
自分のやった殺人事件を息子であるゴンサロが模倣しているって思ったから今回の殺人を確信してるんじゃ?とかさ〜

 そんなことはなく、ロベルトは二つともゴンサロが殺ったと思いこみ、またしてもモニカに相談に行く。
迷惑な話だよね〜同意しないとキレるしさ〜
てか言っとくけど、ゴンサロはロベルトには「数年前にポルトガルで起きた事件」としか言ってないんだよね。
だからゴンサロが調べようとしていた事件は違うものかもしれない。
でもロベルトが結びつけてしまった。

 モニカはロベルトの性格を「キザで精神年齢が幼い」と言ってたし、ロベルトがゴンサロのことを「傲慢で自分が一番だと思っている」と批評したら「あなた似ね」と返していた。
さらに、過去の弁護士時代に思い込みで突っ走って失敗した経験があるみたいなんだよね〜
だから、モニカは今回の件もロベルトの思い込みとしか思えない。
冷静に司法に相談するよう意見しましたぞ。

「あなたは自分の想像に当てはまる情報だけ集めた。
彼を犯人と裏付けることでしか見ようとしてない。
あなたは自分が正しいと証明したいだけなの?」

 その通りなのさ〜
ロベルトはラウラを使ってゴンサロを引っかけようとする。
ラウラは姉が働いていたカフェで働き始めたんだけど、彼女にあの蝶のネックレス(遺品を勝手に持ってきた)渡し、それを付けている彼女とゴンサロをさりげなく引き合わせました。
その後、ゴンサロがラウラに接近しデートに誘ったのを確認したら、ゴンサロのMSの前のカフェで張り込み開始。

 ロベルトはラウラへ女性としての魅力を感じていたから、単なる嫉妬かな〜と思ったりもしたんだけど、私には自分の説を確認するためにラウラを使ったように見えたな〜
だって、朝殺されないでラウラが出てきたのを見て、がっかりしたふうだったも。
って、コレも私の思い込み〜?

 ロベルトのセミナーは終了し、ゴンサロは「ある殺人に関する考察(タイトルと同じ)」というレポートを提出し、「ここでの仕事は終った」と言って去っていく。
その言葉もロベルトには意味深に聞こえる。

 その後、ラウラを呼び出したロベルトはゴンサロがお姉さんを殺した犯人で、彼を逮捕するために協力して欲しいと頼むんだけど、逆にロベルトを犯人と思って怯えたラウラから手を切られてしまう。
(ゴンサロの父親からもらったペーパーナイフが本棚に飾ってあったのよ〜)
だって洗面所に行ったら、この前買ったゴム手やホルマリン液が置いてあるんだもん、ソラ、疑うさ。
私も、実はホントにロベルトがやったんじゃないの〜?って思ったりしたよ。
それを自分の脳内でうまいことアレして、ゴンサロがやったと思い込んでるんじゃないの〜?とかさ。

 でも、しつこくゴンサロ犯人説を訴えたおかげでモニカの現夫アルフレードが動き、ゴンサロへの事情聴取が行われる。
なのに彼が犯人だと思われる要素は見つからない。
しかもロベルトを匂わせる犯人像を刑事に伝えるゴンサロを見て、ロベルトは彼が自分を陥れようとしていると思いこんでしまう。
自分と同じように家政婦の鍵束から盗んでロベルトの部屋に侵入したと思い、ペーパーナイフを盗み、メッセージを伝えるため自分の著作にしおりを挟んだと思いこむ。

 人はやはり自分の見たいものしか見ようとしないのだろうか〜
いや〜私も思い込み激しいからロベルトが自分の説を真実と思いこみ突っ走るのがよくわかる。
こうなっちゃったら、何もかもが自分の説を裏付けているようにしか思えない。
モニカが言っているようにそうなるような情報を自然と選んでいる訳だが・・
それを方向転換するのも、させるのもかなり難しいよねーーー

 その後解放されたゴンサロがラウラとショーを見に行ったと知ったロベルトはその会場へ向かう。
騒然とした会場に二人を見つけ、ゴンサロが自分の部屋から持ち出したペーパーナイフでラウラを刺そうとしているのを見たロベルトは彼に飛びかかりボコボコにして捕まってしまうのさ〜
ゴンサロの手にナイフはなかった。

 それでもゴンサロが犯人だと言い続けるロベルトにアルフレードは「マリア・タルシバ事件」の犯人が捕まっているというインターポールの記録を見せるんだけど信じようとしない。
薬局で使った67ペソのレシートの内わけも見つかり、ロベルトの予想とは全く違うものを買っていたのが証明されたのに、それも受け入れない。

 しおりはロベルトが自分で美術館でもらったものだし、家政婦もロベルトの部屋の鍵は盗まれていないと証言した。
ゴンサロはナイフを持っていなかったし、近くに見つからなかったと言っても「手に持ってた」と訴える。
でも、もうわからない・・・・真実と思っていたのはすべて自分の思い込みだったのか・・・

 頭を抱えるロベルトにアルフレードは言ったさ。
「君は賢い男だ。見方を変えて見ろ。ゴンサロは犯人じゃないとね。
殺人が起きた時、彼は君の講義に出ていた。
君から被害者の妹を紹介された。
尊敬する君の目を引く題材でレポートを書いた」
「君には見えないんだな・・・見ようとしていない」ロベルト
「ゴンサロは病院で療養中だ。
君を告訴する気はないそうだ。
私はこの件を降りる。理由はわかるだろ。
君が失ったものは大きいぞ」

 拘置所から自宅に戻ったロベルト。
それでも朦朧とした頭の中にはあの会場の近くの炎の中で焼かれているペーパーナイフが見える・・・

 いやはや・・・ここで終ってしまうから、もやもや〜んとはするんだけど、嫌いじゃないですよ〜こういう終わり方。
全てはロベルトの思い込みなのか・・・
それともゴンサロは巧妙に証拠を消し罪を逃れた異常者なのか・・・
どちらとも取れるように描かれている。おもしろいわ〜

 リカルド・ダリンはやはり魅力的。
そして、『瞳の奥の秘密』にも感じられたどこか冷めて、暗くて湿ったような独特の雰囲気、これってアルゼンチン独特のものなんだろうか。好きだわ〜
他の作品も見たくなったな〜

usagi

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matakita821 at 23:34│Comments(2)TrackBack(0)映画 

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この記事へのコメント

1. Posted by 行こか戻ろか   2014年06月29日 23:15
劇中登場するショーは現在日本で公演中の「フエルサ・ブルータ」でしたね!
2. Posted by きこり→行こか戻ろかさん   2014年07月01日 17:26
コメントありがとうございます。
やっぱりそうなんですね。
最近、ラジオで「フエルサ・ブルータ」の公演の様子を聞いて、
アレ?それってこの映画のラストで出てくる内容と似ているな〜と思っていました。
摩訶不思議な世界観が映画の雰囲気とぴったり合っていましたよね〜
実際に見てみたいですよ〜!

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