「高校入試」 第1話りすに会いに・・・

2012年10月08日

「僕達急行 A列車で行こう」 2012年 監督・森田芳光

 この映画はDVDの予告で見て、またオタクっぽい松ケンが見られるかしら・・ と思って借りてみました。
結構、好みが分かれるかもしれませんね。
ノリ切れない人には辛い映画かも。
HPはこちら

 私はわりかし好きでしたよ〜
見てて、なんかこの独特の妙な間と話し方、森田芳光監督の「キッチン」と似た雰囲気あるな〜と思って調べたら、森田芳光監督の作品でした・・・・(^▽^;) ハハハ・・・・
森田監督が、こういう感じの題材で映画作ると思わなかったよ〜
脚本は森田監督のオリジナルです。

 「キッチン」は主演の片方の方が残念なことになって、ちょっとイメージはアレなとこありますが、映画に罪はありませんし、あの映画の清潔で、闇と紙一重の明るさが大好きでした。
あの時の登場人物達の話し方や間って、キャストが新人さんだからなのかな〜と思ってたんだけど、監督の好みだったんだね。気づくの遅いワってね〜

 こちらの映画は、なんか「無責任シリーズ」の無自覚版というか、「社長漫遊記」というか、「釣りバカ日誌」というか、とにかく昭和のあの頃の雰囲気をベースに、森田監督流の上品な味付けで仕上げてあるっちゅーの・・・?
松ケンも瑛太もしっかりハマってるな〜と思いましたよ。
この、の〜んびりゆったり時間が流れる感じ・・・で、たまにクスッ・・・ってのが、すごく心地よい。
激しい恋愛も、サスペンスも、深く考えさせられるアレもないけど(オイオイ!)、こーゆーのいいかも♪
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 「のぞみ地所」の会社員小町圭(松山ケンイチ)とコダマ鉄工所の二代目・小玉健太(瑛太)はお互い電車好きってことで意気投合。
MSの立て直しが急きょ決まり住むところを探していた圭は、取りあえずコダマ鉄工所の社員寮に住ませてもらうことに。

 二人は電車好きって設定なんだけど、いわゆる「電車ヲタ」(ドラマの印象しかないが)ってのとは違う雰囲気なんだよな。
もっと穏やかでひっそりと好きでいるっていうか・・・主張しない感じ?
そして、小町と小玉の好みも微妙に違う。
もちろん、二人とも見るのも乗るのも大好きなんだけど、小町は電車に乗って車窓を眺めながら音楽を聞くのが好き。
一方、小玉の方は電車が走っている音に身をまかせるのが好きらしい。
音を聞いただけで部品がどこの会社製造のものかすぐにわかっちゃうんだと。

 相性ぴったりの同好の士を得た二人は、休みになると、ほのぼのと列車の小旅行を楽しみ、充実した時間が流れる。
んが、他の社員とは違ったセンスを小町に感じた社長(松坂慶子)が九州支社への辞令を出したため、小町は博多に転勤になってしまう。
普通なら「左遷・・・」と落ち込みそうな話だけど、九州の鉄道に乗れると思った小町は大喜びで新幹線で博多へと向かう。
そして、寂しさを感じながらも小玉も彼を見送るのでした。

 さて、外見がかわいいし優しいので、気づいてないけど小町は結構モテている。
小玉と初めて会った時にも彼女と一緒だったし(でも、自分の世界にのめりこみすぎてフラれてしまった)、その後知り合った眼鏡店勤務のOL・あずさ(貫地谷しほり)には積極的にアタックされるし、社長秘書のみどり(村川絵梨)にも好意をアピールされている。
 小玉の方も父親(笹野高史)の同級生ふらの(伊東ゆかり)の娘あやめ(松平千里)とお見合いし、いい感じでデートをしたりする。

 でも、二人とも電車が一番、仕事が2番、女の子は・・・・いれば嬉しいかも・・・って感じで、イマイチ吸引力が弱い。
見ていても、相手のこと好きなことは好きなんだろうけど、全く情熱が感じられない。
とにかくガツガツしていないのさ〜

  ま、この映画の登場人物は誰もが穏やか。激しい感情とは無縁の人々です。
自分なりの何かは持っているんだけど、わざわざ主張したりしないし、人の言葉もすべてすんなり受け入れる。
見ようによっては流れに身を任せてるだけに思える。
でも、不思議とひとりひとりの存在がくっきりはっきり心に残っているんだよね。

 さて、あやめに「いいひと」の印象しか残せなかった小玉はフラれ、「青春18きっぷ」(18歳までしか利用できないと思っていたことは内緒)を利用して福岡に失恋旅行。
暖かく迎えた小町とローカル電車の小旅行を楽しんでいたら、同じく電車好きのおっさん筑後(ピエール瀧)と知り合い、これまた意気投合。
彼の家にある巨大鉄道ジオラマの配線を小玉が直してあげたことから、一気に仲良くなる。

 さて、冒頭に書いた通り、古き良き楽しき昭和のサラリーマン映画テイストなんで、小町と小玉が出会った人物が、うまい具合に関わってきて、のぞみ地所にもコダマ製作所にも幸福をもたらすという展開になります。
でも最後まで見た方なら、そのハッピーエンドに微笑まずにはいられないはず。

 HPで知ったのですが、森田監督も電車が好きだったそうで、この映画の構想はかなり昔から温めてきたそうな。
はからずも、この映画が遺作となってしまいましたが、監督にとってはいつかは作りたい大切な作品だったんでしょうね。

 見れば、気持ちがきれいになったように思えて、そして、ほんのりと幸せになれる映画です。
ひとつのテイストに縛られない森田監督の世界を素直に楽しんでください。

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この映画の登場人物や会社名はすべて列車の愛称名なんだって(´m`)
北海道を走る「おおぞら」が入っていたのがうれしかったわ〜

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matakita821 at 19:51│Comments(4)TrackBack(7)映画 

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ココから 世界のどこだって行ける!! 恋と仕事と好きなコト――森田芳光監督からのラストエール 製作年度 2011年 上映時間 117分 脚本:監督 森田芳光 音楽 大島ミチル 出演 松山ケンイチ/瑛太/貫地谷しほり/ピエール瀧/村川絵梨/星野知子/伊東ゆかり/松平千里/伊武雅刀/西.
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まさかこんなにも早く森田芳光監督の遺作を目にすることになるなんて思いもしませんでした。森田芳光監督は大林宣彦監督と並んでまだ子供だった私に邦画の魅力を教えてくれた大き ...
3. 『僕達急行 A列車で行こう』  [ 京の昼寝〜♪ ]   2012年10月11日 17:16
□作品オフィシャルサイト 「僕達急行 A列車で行こう」□監督・脚本 森田芳光□キャスト 松山ケンイチ、瑛太、貫地谷しほり、村川絵梨、ピエール瀧、       星野知子、伊東ゆかり、笹野高史、伊武雅刀、西岡徳馬、松坂慶子■鑑賞日 3月24日(土)■劇場 
4. 僕達急行  [ 映画的・絵画的・音楽的 ]   2012年10月11日 18:00
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7. 僕達急行 A列車で行こう  [ のほほん便り ]   2013年04月16日 17:41
なんと、森田芳光監督の作品だったのですね。 今が旬の、 松山ケンイチ、瑛太が、鉄ちゃんに扮した軽いオハナシだと思ってたら、想像以上にイイ味出してる、ユーモア・サクセス・ストーリーだったので、お得気分になってしまったのでした。 鉄ちゃん青年ふたりが、恋に

この記事へのコメント

1. Posted by Largo   2012年10月13日 23:43
こんばんわっ

帰ってまいりました。

この作品、確かに好みがわかれるでしょうね。
私は好きです。

>ま、この映画の登場人物は誰もが穏やか。激しい感情とは無縁の人々です。
まったりとした間と美しい景色がじんわりと心にしみる映画でした。

>彼の家にある巨大鉄道ジオラマの配線を小玉が直してあげたことから
特にこのシーンの間が印象に残ってます。
特にはしゃぐわけではないのだけれども、三人の電車に対する愛情がじわっと伝わっくる、というか。
この作品が遺作なのは本当にもったいない気がしました。

今、留守中録画しておいた新ドラの視聴を大急ぎで進めてします。
感想をあげたらそちらの方にもお邪魔しますm(_ _)m
2. Posted by きこり→Largoさん   2012年10月14日 13:02
おかえりなさ〜い♪ 無事戻られましたね〜!
>まったりとした間と美しい景色がじんわりと心にしみる映画でした
そうなんだよね〜
景色とテンポがぴったり合ってましたよね〜
そこにいる人々ものんびりほっこり・・って感じで
穏やかな気持ちで見ていられた。
>三人の電車に対する愛情がじわっと伝わっくる、というか。
そうそう!確か3人で無言で(音楽もなしで)じ〜っと模型を見つめてるんだけど、3人の静かだけど確かな思いが伝わってきてさ。
なんか監督はこの映画をすごく大切にかわいがってたんじゃないのかな・・って思った。
>今、留守中録画しておいた新ドラの視聴を大急ぎで進めてします。
たまっちゃうと、ちょっとアレでめんどくさくなっちゃうけどね(´∀`;)
秋ドラマはおもしろいものが多いんでトントーンといけるかも。
3. Posted by 50男   2016年01月28日 14:22
先日、NHK−BSで放送してました。
僕は封切り時に池袋の映画館で視ました。
スクリーンだと汽車も風景も圧倒的に美しくて、心が洗われました。お客さんも結構入っていて、みんなクスクス笑いながら視てましたが、最後に「監督:森田芳光」と字幕が上がると死の直後だっただけに「ああ、亡くなったなんだ」と館内に悲しい静けさが一瞬、漂いました。映画館で視られて良かったです。NHK放送時にも最後に「本作が森田監督の遺作となりました」とテロップが流れました。。。
4. Posted by きこり→50男さん   2016年01月29日 18:34
>スクリーンだと汽車も風景も圧倒的に美しくて、心が洗われました。
あぁ、いいですなぁ・・
この映画のほほ〜んとした雰囲気が好きでした。
私、森田監督のものだって知らないで見たんですよ( ̄∇ ̄;)
>館内に悲しい静けさが一瞬、漂いました。
これは映画館でなければ感じることができなかったでしょうね。
遺作になってしまいました。
でも、なんだかのびのびと楽しい気持ちで作ったんだろうな〜と感じられる、気持ちのいい作品でした。

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