「ドン★キホーテ」 第3話 非行少年とお散歩2011年 DVD鑑賞日記 その16

2011年07月27日

「胡桃の部屋」 第1話 父の失踪

 なんか全体的にざっくりしてる・・って印象だったなぁ・・・
これはやはり、「向田邦子ドラマ」と銘打ったことで、ハードルが上がってしまったというか・・・
どうしても向田邦子さんの脚本と比較してしまうんだよねぇ・・(  ̄〜 ̄;)

 どこかいぢわるとも言える深い人間洞察力からくる練りぬかれたセリフ、絶妙のキャスティング、繊細なツッコミに満ちた向田邦子さんの世界を期待して、つい失望してしまう。
 でも、このドラマはあくまで原作向田邦子ではあるけれど、いつもの、あの家族の話ではない。
ところどころに、向田脚本への敬意を感じさせる場面はあるけれど、多分、脚本家の篠絵里子さんの家族の物語なんだろうなぁ・・
 ま、これは見る側の私のアレなんで、次回からは、気分を切り替えて新しい「胡桃の部屋」を見ようと思いますわ〜

 さて、お話の舞台は1980年代の東京。
家庭では亭主関白な夫でワンマンな父であり、職場では真面目一筋、実直を絵に書いたような三田村家の父・忠(蟹江敬三)が突然失踪してしまう。
 会社に事情を聞くと、父はリストラに合い解雇されていた。
そのことを妻の綾乃(竹下景子)にも、子供達にも言えずに通ってるフリをしていたらしい。

 警察に捜索願を出すも、自らの意志で失踪しているらしいから事件性はなさそうだと動いてくれない。
で、次女の桃子(松下奈緒)が父の部下だった都築(原田泰造)に相談したら、彼は父の居場所を知っているらしい。
にゃんと父は下町でおでん屋を経営している女性(西田尚美)と一緒に暮らしているというのさ〜!
隣りの女 (文春文庫)父の詫び状 (文春文庫 む 1-1)



 何で都築がそこまで知ってんだろ?ってのが、ちと不思議だったけど、それほど忠に信頼されていたのか、それともこの女性、都築の身内なのかな〜?とか思ったり・・・( ´д`)?

 長女の咲良(井川遥)は結婚して名古屋にいるため、すべて桃子が対応しているんだけど、外見も性格も桃子の方が長女っぽい感じ。
エライ深刻な事態になってるのに咲良はどこか人事だし、とにかく桃子は自分がなんとかしなきゃならないって思いが強いんだよね。
 
 忠の失踪は、家族全員に衝撃を与えました。
もちろん、一番ショックを受けているのは妻の綾乃のはずなんだけど、平静を装い何事もなかったかのように過ごしているのが逆に怖い・・

 三女の陽子(臼田あさ美)も困惑はしているんだけど、それは「普通の家族」→「ワケあり家族」になってしまった自分への心配の方が大きいような気がする。
長男で大学生の研太郎(瀬戸康史)は、父を尊敬していたから、それだけに裏切られた思いも強く非難の言葉を口にするけど、こっそり一人でホームレスの人達のたまり場に父がいないか捜索したりしている。

 都筑は家族が騒いだら余計帰りづらくなるから静観した方がいいって言ってたんだけど、桃子は都築と共にその女性のアパートへと向かう。
そりゃそうだよね。私もそうすると思うわ。

 安普請のアパート、雑然として薄汚れた玄関・・・
女性の部屋の窓の外には、母が決して身につけないようなハデな下着が干してあった。
そして、その下着をしまおうとする手が出てくるんだけど、その手は紛れもなく父の手だった。
 この、手だけで父と確信するっていうのが、桃子と父との関係や思いをうまく現してましたよね。

「やっぱり人違いでした!
うちの父はものすごい潔癖症だし、手を拭くタオルも自分だけ別だし、靴も揃えて脱がなきゃものすごく怒られたし、家事なんて全然しないし、洗濯物も男の触るものじゃないって言ってたのに!なのに・・・なのにあんな・・・」
泣かずにはいられませんわ〜

 で、やはり、コレは家族に報告せねばなるまい・・ってことで、とりあえず電話して、嬉しいニュースがあるからうなぎを食べようと伝えました。
そして家族が揃ったところで明るく何気ない調子で、父が生きていたこと、他の女性と暮らしていることを発表。

「今までまっすぐ脇目も振らずに来たでしょう?
クビになってびっくりして、ぷいっと横丁に曲がっちゃったんじゃないのかな?
ほ〜んと人騒がせだけど、生きててよかったよね!だから・・・今日はそのお祝い。
お母さんも頭にくるだろうけど、お父さんに休暇やったと思ってさ、みんなで元気出して待とうよ!」桃子
「あたしヤダよ、そんなの!」陽子
「おふくろいいのかよ?!」研太郎
「よかったわよ・・・お父さん無事で・・」綾乃

 食事の後、綾乃は忠の衣類を鞄にまとめて、桃子に持っていくよう渡しました。
夫への恨み言を一切口にせず、一枚一枚きっちりアイロンをあてたワイシャツを、これまたきれいに畳んで下着とかと一緒に詰めた綾乃。
あえて日常的な行動をすることで、心を落ち着かせようとしているのか、妻としての意地なのか・・・
嫌味になるとわかっていても、そうせざるを得ないのが綾乃なんでしょうね。

 そんな母を「何か怖いよ」と話す陽子・・・
「そんなの、お父さんたまんないよ。
こんな時ぐらい、ワーワー泣いて、帰ってきてよって怒鳴り込めばいいのに。
お母さんは完璧すぎるんだよ。
私もあれこれ怒られて、息詰まる時あるもん。
お父さんのこと殿様みたいに、何かっていうと「お父さんを見なさい」って言うでしょ?
あれじゃ、クビになったなんて言えないよ。
毎日雑巾がけして、掃除機かけて、どこ開けてもきっちり整理整頓。
家計簿だって一円の狂いもないんだよ?」

 陽子ったら、わざわざ家計簿を出してきて見せてました。
で、桃子がその家計簿を見てみると、毎月9万円もの支払いの記述が・・・
不思議に思って聞いてみると、父が友人の保証人になったせいで借金を肩代わりすることになり、毎月返済してたんだって。
しかもまだ、547万も残ってるらしい。
 綾乃のことだから、忠に文句を言うでもなくがんばってやりくりして、子供達にも気づかせずにやってきたんでしょうね。そんな母のことを思うと、切ないったらありゃしない。

 多分、桃子は家族一人一人の思いが見えてしまうタイプなんでしょうね。
陽子が母に気詰まりなものを感じるのもわかるし、母が日々の生活を大切にし、主婦としてきっちりやっている姿も認めてあげたい、でも、そんな母だからお気楽になれない父がいたこともなんとなくわかる・・・
 それぞれの思いを背負って責任を感じて疲れてしまうタイプでもあるのかな・・・

 で、父がいなくなった今、さすがに今後の返済計画に不安を感じる桃子。
「帰ってきますよ」綾乃

 忠とおでん屋の女性との間には肉体関係はなさそうで、たまたま転がりこむことになったのか、他人行儀な感じですよね。
妻とは正反対で大ざっぱでラフに生きてる感じの女性です。
部屋の中が散らかってても気にならないタイプらしい。
忠は、その部屋で何をするでもなくぼんやりと過ごしている。
 会社という居場所を失った忠は、その延長線上にあった家庭という場所も見たくなくなったのでしょうか。
そして、何者でもなくなった自分を持て余している。

 兄弟3人集まって借金問題の相談をしたんだけど、バイト中の陽子は無計画ライフで来月分まで前借りしているし、研太郎は学生だしねぇ・・
家を売るしかないんじゃ・・って話になったけど、必死で働いて家を建てた父のことを考えるとそう簡単には売る決断ができない桃子。

 暴君のような父で、愛情表現もうまくなかったけど、桃子はそんな不器用な父が好きだった。
背が高いことを気にしていた自分に「堂々と前を向いていろ」と教えてくれた父。
父が毎年身長を測ってくれた時に付けた柱の印を見ているうちに、桃子は父がいるアパートへと走っていました。

 で、アパートの扉を叩いたけど、誰もでない・・
虚しい思いで商店街を歩いていると、買い物かごを下げた父とばったり会っちゃった・・・
しかも、足元は安っぽい女物のサンダル・・・

 その姿にカッとなった桃子は買い物かごを奪いながら「(家を)売っちゃうよ、あの家!家族みんなバラバラにだよ!いいの?!お父さん!」と訴えたんだけど、
「すまん・・・好きにしてくれ・・・」とだけ言って、逃げるように去っていきました。
後には片方だけのサンダルとかごから落ちたにんじんとじゃがいもが・・・

 で、それを届けに行った桃子(きっちりした母親の血を受け継いでるのね)は、少し離れた場所から母が父がいるアパートの窓を見つめているのを発見。
見てはいけないものを見てしまったわ〜
思わす隠れる桃子・・・
母が隠してきたはずの女としての顔を見てしまった・・・

『普通の家族なんてないのかもしれません。
一人一人が秘密の部屋を心に隠し、何食わぬ顔をして生きている。
何事もなかったように穏やかに笑う母を、私はただ、見守ることしかできませんでした』

 自分の中にもあるかもしれない『秘密の部屋』・・・
それに気づいた時、桃子も変わっていくんでしょうね。
実は松下奈緒さんって苦手だったんだけど、このドラマで払拭される・・か・・なぁ・・・(´д`;)

 第4話 桃子の恋
 第5話 裏切り
 第6話(最終話) 家族の幸せ

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父の帰りを待って綾乃が磨き続けていた碁石が、ラストでは思いっきり散らばっていました。
ふっとタガが外れる瞬間の見せ方が向田邦子さんはうまかった。
静かだけれど、怖い・・・でも、誰もが持っている感情。
彼女の創りだしたキャラクターはみんな、普通の生活のさざ波の中で、ちゃんと生きていました。


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1. 胡桃の部屋 第1話  [ エリのささやき ]   2011年07月27日 16:11
タイトルは人の心のなかにある胡桃の部屋ということですね。地味のなかに光る滋味。
2. 胡桃の部屋 第1話  [ 昼寝の時間 ]   2011年07月27日 16:19
公式サイト 原作:向田邦子「隣の女」収録作品(文春文庫)脚本:篠絵里子/音楽:
3. 胡桃の部屋 ♯1  [ しなもにあ 2 ]   2011年07月27日 19:45
下流の宴は観ていなかったけど(林真理子さんも黒木瞳さんも苦手)この枠は結構好きな
4. NHKドラマ10『向田邦子ドラマ「胡桃の部屋」』第1回 父の失踪  [ レベル999のgoo部屋 ]   2011年07月27日 20:59
『父の失踪』 内容 三田村桃子(松下奈緒)はあわてていた。 姉・咲良(井川遥)と清水和夫(小林正寛)の結婚式の会場で、 父・忠(蟹江敬三)母・綾乃(竹下景子) そして妹・陽子(臼田あさ美)弟・研太郎(瀬戸康史)らも心配するが、 どこを探しても、預かっていた...
5. NHK「胡桃の部屋」第1回〜松下奈緒は昭和が似合う  [ 世事熟視〜コソダチP(気分は冥王星) ]   2011年07月28日 10:07
「胡桃の部屋」第1回 【送料無料】向田邦子ふたたび新装版価格:720円(税込、送料別) 昭和50年。リストラという言葉が一般的ではなかった時代に、『人員整理』で職を失ったことを家族には伏せていた父の忠(蟹江敬三)が、ある日突然、蒸発(失踪)してドラマは始まり
6. 「胡桃の部屋」 向田邦子ドラマ - NHKドラマ10 松下奈緒  [ ドラマQ ]   2011年07月29日 15:11
胡桃(くるみ)の部屋 火曜 22:00 NHK 放送予定:2011年7月26日〜8月30日 (全6回) 【キャスト】 松下奈緒 竹下景子 蟹江敬三 井川遥 臼田あさ美 瀬戸康史 原田泰造 西田尚美 江口のりこ 松尾諭 徳井優 小林正寛 黄川田将也 ほか 【スタッフ】 原作:

この記事へのコメント

1. Posted by えいこ   2011年08月01日 03:07
<で、それを届けに行った桃子(きっちりした母親の血を受け継いでるのね)は、少し離れた場所から母が父がいるアパートの窓を見つめているのを発見。
見てはいけないものを見てしまったわ〜

イヤァァァァーーーーー!!!Σ( ̄□ ̄;)
見たくなかったぁぁ!!子供としては、この姿は悲しすぎるぅ!

<実は松下奈緒さんって苦手だったんだけど、このドラマで払拭される・・か・・なぁ・・・(´д`;)

実は私も苦手です(笑)。
どんな役を演じていても『私は完璧な人間です!』みたいな感じがするのが
ちょっと・・・
そこが好きな人もいるんでしょうけど。。。

ところで、家族団欒の場でも臼田あさ美さんだけが
現代っ子丸出しみたいに見えちゃうのは私だけでしょうか・・・
他の家族は割と一昔前的な感じがするんだけど・・・
2. Posted by きこり→えいこさん   2011年08月01日 15:53
>見たくなかったぁぁ!!子供としては、この姿は悲しすぎるぅ!
だよね〜
「阿修羅のごとく」で同じような場面があって、母親は娘に見られたことに気づいて、心臓発作起こして倒れて、結局死んじゃうんだよね。
女として恐ろしい顔で愛人の(胡桃の部屋は愛人じゃないけど)部屋の窓を見つめているとこを子供に見られたら、夫に見つかるよりもショックだよね。
>どんな役を演じていても『私は完璧な人間です!』みたいな感じがするのがちょっと・・・
(^∇^)アハハハハ!
そうなんだよね〜優等生的なイメージが強いというか、決して乱れない雰囲気だもんね。で、すごく堅そう。
>他の家族は割と一昔前的な感じがするんだけど・・・
「3丁目の夕陽」とかでも小雪さんだけ昭和の人に見えなかったけど、臼田さんもそんな感じかな〜
あと、喋り方のニュアンスが昭和の人ではないような・・
って、言っても80年代なんだよね。
あんなにお父さんを立てる家あるのかな〜?って、少し思ったよ。70年代ならまだ納得なんだけど・・・

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