「デカワンコ」 第9話 警察犬が喋った!?2011年 DVD鑑賞日記 その7

2011年03月20日

「TAROの塔」 第三回 戦友

 何て、すさまじいんだ!
見終わった後、何故か泣けてくる・・
「君は燃えたのか?!」
頭の中で、太郎の声が響いております。

 1939年、かの子の死後、第二次世界大戦勃発。
日本に帰国した太郎(濱田岳)は徴兵され、中国戦線に送られた。
理不尽なルールが君臨する軍人生活と捕虜生活を経て復員した太郎は、荒れ果てて何もなくなってしまった日本で、生きる喜びが湧き上がってくるのを感じました。

 2年後、太郎(松尾スズキ)は仲間たちと「夜の会」を立ち上げ、前衛芸術活動を繰り広げておりました。
そして、そんな太郎を熱心に見つめる平野敏子(常盤貴子)という女性がいた。
敏子は出版社に勤めて編集見習いをしており、いつか岡本かの子のような小説を書きたいと思っていました。

 で、お友達二人を誘って岡本太郎先生のアトリエに遊びに行くわけですョ。
フランス仕込みのキャフェ・オーレを作ってくれる芸術家岡本太郎に3人とも目が状態。
 んが・・・

「エロティシズムか。
う〜〜ん・・・服を脱いでごらん?」太郎
(゚ロ゚」)」(゚ロ゚」)」(゚ロ゚」)・・・・


 ギョッとしている娘さんたちに「エロティシズム」について語り、性愛を供犠に例える太郎ちゃん・・・

さあ!みんなで向こうで供犠を体験しよう!

 普通にエロ親父だよ・・・( *^皿^)
敏子以外は、もちろん拒絶。

「私は・・・興味があります。でも、怖いです・・」敏子
「うーーーーん。正直だ!!」太郎


 胡散臭げな微笑みを見せるけど、なんか魅力的な太郎ちゃん・・・

岡本太郎 爆発大全
今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社文庫)
岡本太郎新世紀 (別冊太陽 日本のこころ) 



 その後、敏子は、じっくりと太郎の絵を見た感想を伝えに行きましたぞ。

「燃えたか?」太郎
「え・・?」敏子
「君は燃えたのか?」太郎
「私はただ・・・先生が命を賭けてあの絵を描いていることを、
それがわかったような気がしたんです」敏子
そんなものわかられたって、嬉しくも何ともないよ。
それは君が僕に媚を売って好かれようとして出た言葉じゃないのか?
肝心なのは、絵を見て君が燃えたかどうかだ!
絵を見て、燃えて、君が何かを起こす、それが芸術なんだよ!
芸術とは見る人間の問題なんだ!
それ以外は単なるアカデミズムだ!
」太郎


 中々わかりずらいアレですが・・・
芸術とは戴くものではなく、むしろ踏み台のようなものってことスか?
踏んだ瞬間、その人間の中に何か強いエネルギーが生まれるかどうか・・

 その後に語られた「人生四番目主義」は、太郎らしくすっとんきょうでありながら、すさまじいものでした。
軍隊とは上官に殴られるのが仕事みたいなもんらしい。
理由なんて必要ない。
上官が殴りたくなれば下の者は整列して殴って戴くのがルール。

 私の感覚だと、殴り疲れた頃に申し出ようってなるんだけど、太郎は違うョ。
上官がノッてきたピーク時に「お願いします!」と名乗りでたさ。
どうせ戦うならでっかいヤツと戦い、その感覚を味わいつくす、
それが岡本太郎。

 そんな太郎の言葉をメモし始めた敏子に、自分の書いたものを原稿化するよう頼んだことから、敏子は秘書として一緒に暮らすことになりました。
常に太郎と共に行動し、創作を見つめながら、彼の言葉を書き留め、原稿に書き上げる日々・・・

 太郎の絵に入り込みすぎて、ぶつかって倒れた敏子に聞く太郎。

「燃えたか?」
「はい。燃えました」敏子
「うん。正直だ」


 敏子の上に覆いかぶさり、かつてかの子(寺島しのぶ)がしたように、敏子の顔に赤い絵の具を施す太郎・・
驚きながらも恍惚とした表情になる敏子・・

 エロティックで、かの子が死んだ時のように効果的に赤が使われている美しい場面でした。
太郎にとって、女性とは、かの子なんでしょうね。

 尊敬と愛情で「岡本太郎」に仕える敏子でしたが、徐々に人間岡本太郎の姿も知るようになる。
太郎イズムからくる傲慢ともとれる容赦ない態度は、時に非難されることもありましたが、太郎は常に自分自身と戦っていました。

「俺の中では、いつでも火が燃えてるんだ。
俺はそれを「神聖な火」と呼んでいる。
大事なのは、その「火」だ。
俺は・・絵なんか描かなくったって俺なんだ。
絵描きにならなくったって、岡本太郎でいたいんだ・・」


 その「火」を灯したのは、かの子。
そして芸術家としての十字架を課したのもかの子。
もはや太郎自身ともいえる「火」でしたが、その「火」は太郎を縛り付けるものでもありました。

 さて、敏子は太郎と共に疎開している一平(田辺誠一)を訪ねました。
かの子の死後、再婚した一平は子供を4人もうけていた。
やるね〜
 かの子のような小説家になりたかったと言う敏子に一平は話しましたぞ。

「火のような女だったからね・・
寄る者には暖かく、一緒にいる者には火傷を負わせるような女だった。
かの子は太郎が画家として一流になることしか許さなかった。
太郎はかの子の「聖火」を受継いだんだ。必死にね。
その火と付き合っていくには、覚悟が必要だ。
どんなに寄り添っても、向こうは孤独のままだからね。

それを解消する道はひとつしかない。
私は最終的に、私以上に作家の岡本かの子に賭けたんだ。
そして私が賭けた岡本かの子に、かの子自身も賭けた。
そうやって、ひとつのものに賭けるしかないんだよ。
生身の人間関係を捨てて、同じ作家として、
彼女のためなら死をも厭わない覚悟をしたんだ」

「生身の男と女では愛し合えないんですか?」敏子
「結局、人の愛し方というのは、
その人間の意志というより能力によって決まるんだ。
たとえどんなに努力をしようと、
その人間にしかできない愛し方をするよりしかたないんだ」


 1948年、一平も脳溢血でこの世を去った。
かの子という一人の女性に惹かれ、芸術家としての彼女を信じ、支え続けた人。
葛藤の末に見出したであろう彼の生き方は、敏子にも通じるものがありました。

『私に太郎さんの苦しみが背負えるのだろうか・・・』

 知名度も高く忙しい日々を送る太郎でしたが、画家としての評価はまだ低く、太郎は焦燥感を抱えていました。

『太郎さんは画家である自分自身に傷つきながら、
何より画家として一流になることを望んでいた』


 敏子は太郎の芸術論を書籍化して世間に発表することを提案。
芸術家岡本太郎の才能の全てを伝えたい、渾身の思いを込めて敏子が書いた本は『今日の芸術』というタイトルで出版され、ベストセラーになりました。
 波に乗った太郎は、時代の寵児として華やかな階段を上り始めるのでした。

 二科会に入会した太郎は、そこでの立場を強固なものにするため自分の息がかかった画家を入選させようと画策。
そのあからさまなやり方を東郷青児(中尾彬)に諭されてしまったわ〜。
全ては『一流』になるため。画家岡本太郎の地位を確立するためでした。

 その一方で敏子は、女性としての寂しさを感じ苦しんでいました。
アトリエで一人食事をしていた敏子は、飾られているかの子の写真に
パンを投げつけるのでした。

『私は、何をしてもあの人の秘書にすぎない・・・
そう言われたような気がした』


 太郎の中には、かの子しかいない。
その大きな存在感は敏子にも重くのしかかっていました。
太郎にとって自分の存在とは何なのか・・・
敏子は岡本太郎の秘書でいることに疲れを感じていました。

 その後、二科会で世界の前衛絵画展覧会の企画を提案した太郎は
東郷と計画を進めていたのですが、ワンマン主義の太郎に堪忍袋の尾が切れた東郷と決裂。ずっと二科会で太郎の行動をフォローしてくれていた彼と袂を分かつ事になってしまいました。

「君は本当に二科会のためを思ってやってるのか?
二科会のためと言いながら、
その二科会を見下してるのは君じゃないのかね?!
そういう人間がナニ言ったって、ついていく人間はいないよ。
君に一番足りないのは、仲間を尊重する気持ちだよ!」東郷
「僕は誰の自由でも尊重しますよ。
持ちつ持たれつで見返りを求め合うような関係なら、反対だが。
僕は、自分一人でもやりますよ」太郎


 展覧会は大成功。
会場に飾られたいた太郎の作品も注目を集めました。
敏子の孤独感は募り、太郎のそばにいる意味もわからなくなっていました。

『私はいまや、あの人の絵に熱くなることもなかった』

 蘇る一平の言葉・・・

『結局、人の愛し方というのは、
その人間の意志というより能力によって決まるんだ。
たとえどんなに努力をしようと、
その人間にしかできない愛し方をするよりしかたないんだ』


 明け方、酔っ払って帰って来た太郎は敏子につぶやきました。

「若い連中はな、「アンフォルメル(あらゆる定形を否定し力動感を表現する非幾何学的な抽象絵画)」をな、新しいと喜んでるよ。
この俺は・・・岡本太郎は古いんだとさ。
日本人のバカらしさで、アンフォルメルに一斉に傾くのを批判したら、
その俺が新しさの敵に回されちゃったよ。
岡本太郎が、新しさの敵だぞ!!
俺が苦労して「アンフォルメル」を日本に持ってきたのに・・」

「芸術は新しいと言われれば、もう新しくないんでしょ。
そう言ってたじゃないですか。
流行に負けない力強い作品を作ればいいんですよ」敏子
わかったようなことを言うなっ!!
お前は何もわかっちゃいないくせに、
何もわかろうとしていないだろっ!
」太郎


「・・・・・」敏子
「結局、俺は何も変えられなかった。
孤立した俺にこれ以上どうしろって言うんだ」太郎
「私にどうしろって言うんですか?」去リっ・・・
何なんだ?!言いたい事があるなら言ってみろ!
お前の取柄は、正直なところだろぉ・・・」太郎


 プチッ・・・!!
ついに敏子がキレちゃいましたぞ。

「それなら言います。
太郎さん、太郎さんは以前、岡本かの子の作品ですら批判してましたよね?
彼女の作品は文壇的だって。
文壇に向けて書いてるから芸術としての弱さや古めかしさが出てしまうんだって。
それはそのまま、絵描きの太郎さんじゃないんですか?
私は太郎さんがどうして絵を描いているのかわからない。
誰のために、何のために戦っているのかがわからない」

「なぜわからないんだ〜」太郎
嫌いだからよ!絵描きの太郎さんが嫌いだからよ!
一流に思われることがそんなに大事?
私には作品の良し悪しなんてわからない。
でも、太郎さんの事が好きでなければ
太郎さんの作品も好きになんてなれないのよ。
岡本太郎の芸術は、岡本太郎そのものなんだから!


ごめんなさい。
あなたのことを好きとか嫌いで判断しちゃいけないのはわかってます。
だけど、あなたは女として一度も私を好きになってくれたことはないでしょう?
だから・・・私の気持ちはわからないと思う」敏子
「なんだ・・・結婚したいのか?形式主義か?」太郎
そんな事言ってるんじゃないの!!
私は絵描きの太郎さんが嫌いなだけ!
画壇に拘る太郎さんが嫌いなの!
一流に拘る太郎さんが嫌いなの!
かの子に拘る太郎さんが嫌なのっ!!

「殺せ・・・だったら、絵描きの俺を殺してくれよ」太郎

いいわ。私が殺してあげます!


 敏子は横たわった太郎の上に馬乗りになり、告げました。

「ここから新しい岡本太郎をつくるの。二人で」

 敏子は、泣きながらその顔に黒い絵の具を塗り続けました。

 太郎の中のかの子を殺し、縛られていた太郎自身も殺す。
岡本太郎を超えて、新しい岡本太郎を作りあげる。
この時、敏子は自分の中にあるかの子も食い殺したのです。
これが、敏子の見出した愛の形でした。

『まもなくして、太郎さんは二科会を退会し、
私は岡本太郎の養女となった。
私は人生から、結婚と生身の愛情を捨て去る覚悟をした。
岡本太郎を共に作る覚悟をしたのだ』


 起き上がった太郎は叫びました。

敏子、俺は絵描きはやめないぞ。
絵を描くことは、俺の『四番目』だ!
敏子、お前は岡本太郎のシャーマンなんだろう?
言ってみろ!塗りたい色を言ってみろ!!
」太郎
・・・赤!赤です!太郎さん!」敏子
よしっ!!」太郎


 新しい岡本太郎が生まれた瞬間でした。

 いや〜おもしろいワ・・・
セリフのひとつひつがグザグサ刺さってくる。
それを支える音楽も何とも小気味いい。

 かの子と敏子、この二人の女性がいなければ「岡本太郎」という芸術家は存在しなかったかもしれません。
かの子と敏子の顔が重なり、新しい顔が生まれた。
敏子と太郎が創り上げた「岡本太郎」が何をやってくれるのか。
楽しみだワ〜

 第一回 太陽の子
 第二回 青春のパリ
 最終回 芸術は爆発だ!

ねこちゃん
4月1日午後8時・3日午前10時、BSプレミアムで『太郎と敏子〜瀬戸内寂聴が語る究極の愛〜』という番組が入りますョ〜
興味のある方はどうぞ〜

このエントリーをはてなブックマークに追加
matakita821 at 14:42│Comments(6)「TAROの塔」 

この記事へのトラックバック

1. NHK土曜ドラマ『TAROの塔』 第3回...  [ レベル999のマニアな講義 ]   2011年03月20日 16:47
『戦友』内容母・かの子(寺島しのぶ)の死から半年後、第二次世界大戦が勃発。パリに滞在していた太郎(濱田岳)も、帰国を余儀なくされてしまう。帰国後、太郎は中国戦線へ送られ...
2. TAROの塔 ♯3  [ しなもにあ ]   2011年03月27日 15:57
よかったです!今までで一番面白かったなぁ!一平父ちゃん元気だなぁ・・・幾つであの子もうけたんだよ・・・w敏子と太郎の関係はいまいち不明ですが敏子の葛藤ややきもちはなんだ...
3. TAROの塔 戦友  [ のほほん便り ]   2011年03月29日 08:20
今回は、太郎(松尾スズキ)の、もうひとりのミューズ、平野敏子(常盤貴子)にスポットが当たってましたね。 文字通り、太郎をこの世に生みだし、芸術家としての指標を与えたのは、他ならぬ生母・かの子でしたが その成長と成熟、特に、この全てに過剰な大天才が世間

この記事へのコメント

1. Posted by 凛太郎   2011年03月21日 15:20
放映したんですか? 「太郎の塔」
土曜の夜は、震災関係の特別番組をやってたと思うんですけど・・・?
20日にやっちゃたんですね!
見逃しました。残念です。
2. Posted by くう   2011年03月21日 21:22
今回も素晴らしかったね(⌒▽⌒)
あたしゃ毎週何度となくウルウルしてます。
なんてゆーか。。。感情がむき出しになったドラマだわ。
かの子に縛られる太郎が開放されていくのを感じます。
次回も楽しみ^^
3. Posted by きこり→凛太郎さん   2011年03月21日 21:29
>放映したんですか? 「太郎の塔」
総合テレビの方は中止になったんですが、
金曜日のハイビジョンの方は入ったんですよ〜
ハイビジョンの方の最終回は31日木曜日放送です。
総合テレビの方は放送の予定はまだたってないそうです。
岡本太郎のどえらい生き方は見ている者にパワーを与えます。
たくさんの人に見て欲しいドラマですよ〜
追記:総合テレビ、第三回放送決まったようです。3月26日(土)よる10:20からだそうです。
4. Posted by きこり→くうさん   2011年03月22日 20:44
>あたしゃ毎週何度となくウルウルしてます。
そうなんだよ〜
なんか毎回すごくゆさぶられるんだよね。
岡本太郎とその周りの人々って素材がそもそも
おもしろいんだろうけど、作り手の気迫がすごく伝わってくるんだよね。
キャストのみなさんも入りきってるし・・
ドラマを見る前は『養女』ってどういう事なんだろ?ってずっと不思議だったんだけど、やっとわかったわ。
二人で創り上げた岡本太郎がどうなっていくのか
最終回が楽しみだよね〜
5. Posted by 凛太郎   2011年03月28日 11:55
東京では第三話の「戦友」を26日に放映しました。画面の上と左側に、地震関連の太い帯のテロップが、入っている時間が永かったので、なかなかドラマに集中できない状況でしたが、それでも岡本太郎と平野敏子の強烈な生きざまが伝わってきました。
僕のような凡人には、なかなか理解できる人ではありませんが、久々に見た、凄いドラマだと思います。
最終回が楽しみです。
6. Posted by きこり→凛太郎さん   2011年03月28日 21:11
>それでも岡本太郎と平野敏子の強烈な生きざまが伝わってきました
すさまじい生き方ですよね。
「私は岡本太郎と出会うために産まれたのだから」と敏子のナレーションで言ってましたが、
これほどの覚悟があったから共に生きていけたんでしょうね。
こんな気迫を感じたドラマは久しぶりです。
ハイビジョンでは木曜日が最終回なので、ドキドキしながら待ってます。

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
「デカワンコ」 第9話 警察犬が喋った!?2011年 DVD鑑賞日記 その7