「四十九日のレシピ」 第3回 別れ道「デカワンコ」 第8話 コレって最終回!?

2011年03月05日

「TAROの塔」 第二回 青春のパリ

 なんてベラボーなドラマなんだ!
見終わった後、私の心にも得体のしれない激しいエネルギーが湧いてきたぞ。
恐るべし、岡本太郎・・・

 今回は、大阪万博のシンボル「太陽の塔」設置が決まるまでを。
そして、パリで苦悩の末、芸術家「岡本太郎」が生まれるまでが描かれました。
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 1929年、一平(田辺誠一)は約束通り、かの子(寺島しのぶ)と太郎(濱田岳)をパリへと連れていきました。
この時、太郎は18歳。
そして憧れの地・パリイを踏んだ喜びで、かの子の目はいつも以上に輝いておりました。

『僕には生涯、母親を持った記憶がない。
ただひたすら、自らの芸術に身を捧げ、甘えたい時だけ僕に甘える。
彼女は僕にとって、無邪気で残酷な芸術そのものだ』


岡本太郎 爆発大全
今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社文庫)
岡本太郎新世紀 (別冊太陽 日本のこころ)



 仕事をしながらかの子と共にヨーロッパ各地を巡る一平達が旅立ち、太郎は一人画家修業のためパリに残りました。

 この時の太郎は、まだ『岡本太郎』ではなかった。
芸術家として画家として生きる使命を与えられたのに、自分の中に何も見つけられず、焦り、苦しむ一人の青年でした。

 そんな2年が過ぎ、帰国前の両親が太郎の元に寄りましたョ〜
フランス語を操り、パリでの生活の仕方を覚えた太郎は、かの子の目にはいっぱしのパリジャンに映りました。
 が、芸術家である自分自身を全く疑うことなく、小説という新しい世界へと向かっていくかの子の姿は、太郎にとって眩しく自らの心の影を意識させる存在でした。
弱々しく空虚な自分を吐き出した太郎に、かの子は言い放つのでした。

「太郎、お前の絵を最初に認めるのはお前しかないんだよ。
人の評価に自分を委ねてはダメ!
太郎、不遇を恐れてはいけないわ。
孤独を恐れては、本当に欲しい物は手に入らない。
あなたの迷っていることはよくわかる。
お前の苦しみが分かれば分かるほど、私だって苦しい。
だけど、あなたはやっぱり、絵描きになりなさい!
他の自分に絶望して、絵に専念なさい!
初めから当てのないことをしてるのだから、迷うことを恐れず、
ひたすら手を動かしながら、考えることよ。
今夜は私も、孤独に過ごすわ・・」


 部屋を出ていってしまいました・・・( ̄▽ ̄;)
母の言葉はいつも真実だった。
見事な母。
逃げることは許さない母。
でも、その母が『岡本太郎』を作ったんでしょうね。

 そして、太郎はピカソと出会った。
その衝撃は、太郎に芸術家としての芯を作りました。

『僕はピカソに感動した。絶望的に感動した。
いや、僕はピカソの絵に感動したんじゃない。
そこに己の運命を見たのだ。
絶望の中でピカソを乗り越える決意をする。
それは人間誕生の一瞬であった』


 太郎の中に別の苦しみが生まれました。
でも、芸術家としての道を歩き始めた太郎はその苦しみが糧となることを意識していました。両親が日本に旅立つ日、見送りに来た太郎は二人に伝えましたぞ。

「お母さん、お父さん、僕、わかったんです。
僕達は、別れて、始めて親子になれる。それを実感できると。
お父さん、お母さんが小説を書けるように、これからはお父さんが支えていってあげて下さい。
今まで、お父さんはお母さんを食べてきました。
だから今度は、お母さんがお父さんを食べる番です」
「わかった。お母さんのそばにはいつだって私がいる。安心しなさい」一平


 お互いがお互いを食い尽くすように生きる、そしてそんな中でこそお互いを感じ合える、そのようにしか生きられないことを太郎は悟ったのでしょうか。
列車が走りだしても、泣きじゃくるかの子の手を太郎は離すことができませんでした。

「お母さん!芸術が僕達を待ってます!
お母さんは僕の芸術です!僕の誇りです!」


 太郎と一平、二人の男性と深く魂で結ばれていたかの子は、幸せだったのでしょう。
一平という、かの子に運命を感じ支えてくれた男性がいたから、かの子は生きてこられた。
そして、かの子という母親がいたからこそ太郎が生まれた。
それぞれ自分一人を生きながら、紛れもなくこの3人は家族なんですよね。

 芸術家になる前の苦悩、そしてピカソとの出会いと衝撃、
偉大なる才能に対峙した恐怖・・・
それを支えに芸術家としての長い道のりを生きていく決意を感じさせた濱田岳さんが見事でした。
 のちの、イマジネーションの爆発と共に戦い続ける太郎へと向かう、若き日の太郎がそこにいました。

 でも、太郎はまだ、太郎自身を見つけることができずにもがいていました。
試行錯誤を重ねながら、自分と戦う日々・・・
そんな中、思想家のジョルジュ・バタイユとの出会いは、
太郎に刺激と革命をもたらしました。

 そして、万博を舞台にした、太郎と丹下の戦いが始まっておりましたョ〜
 大阪万博の基幹施設プロデューサー・建築家の丹下健三(小日向文世)から、万博会場の全体図を知らされた太郎(松尾スズキ)はシンボルゾーンに設置予定の大屋根のど真ん中に「太陽の塔」をたてることを思いつく。
しかし、その発想は丹下の創り上げた万博会場設置計画を根底から覆すものでした。

 太陽の塔を中心に作り変えられた大屋根の模型の中で嬉しそうにはしゃぐ太郎。

「どうだ、いいだろう?」
「・・・・・・大屋根を壊す気か?
我々が積みあげてきたプランはどうなるんだ?!
第一、ここは会場の入口だ。
メインゲートから続く広場だよ、太郎さん。
そこに、こんなバカでかいもの置いてどうするんだ?!」丹下


「壊すんじゃない。「調和」だよ。
君のモダニズムと僕のベラボーがぶつかり合うことで、お互いが生きてくるんだ。
引き裂かれる力が強ければ強いほど、逆にお互いが強く輝くんだよ」太郎
「・・・・・・」丹下


 太郎の世界が丹下の創り上げた世界を凌駕しようとしている。
丹下は太郎を自分の世界に取り込めると思ったのかもしれませんが、
太郎は簡単に飼いならすことなどできない男でした。
さぁ、どうする?

 丹下先生のご不快を感じた弟子たちは、太郎が置いていった太陽の塔の模型を別室に追いやっちゃいました。
岡本太郎と丹下健三、二人の芸術家としての世界観が激しくぶつかり合っていました。

 丹下の弟子のひとり、倉田清作(近藤公園)は太郎の塔に強く心惹かれるものを感じ、大屋根と合体させたイメージ画を描いていたんだけど、丹下に見せることなく捨てていた。
 しかし、それを見つけ倉田の正直な思いを聞いた丹下は、はっきりと言いましたぞ。

「最後まで完成させなさい。
私がゴミ箱を漁るのは、君たちが捨てたものの中に大いなる可能性が埋まっているかもしれないからだ。
それに気づけなくなるようであれば、私自身に可能性がないということだ」


 かっけ〜〜!!(p゚∀゚q)
そして、丹下は戦友・太郎に電話をかけましたぞ。

「太郎さん、私はこれまで、芸術というものは建築の中にしか存在しえないものと思ってきたんだよ。
正直に言えば、建築家が芸術家を食うもんだと思ってきた。
それが、食い破られると思わなかったよ」
「あんたが気に入らないのはわかってたよ。
わかっててやったんだ。謝らないけどね」太郎

「言っておくが太郎さん、あの大屋根にあんな大きな穴を空けるというのは、
構造上とても危険なことなんだよ」丹下
「だから、俺みたいな奴にしか思いつけなかったろう?」太郎
「うん。だから、太郎さんじゃなきゃだめだったんだ」丹下
「・・・・・・やっぱり、食われたのは俺だろう?」太郎


 丹下はシンボルゾーンの設計変更を受け入れ、大屋根に穴を空ける方向で着手すると決めました。

 お互いに芸術家としてガチの勝負に臨んだ二人。
丹下の完璧な世界に爆弾を投下し、融合した新しい世界を創り出す男は岡本太郎しかいなかった。
そして、そんな太郎だからこそ丹下も勝負をかけられたし、
太郎も丹下の創ったものだからこそ、思いっきり遊べた。
お互いに対する信頼と尊敬なんでしょうね。
まだまだ二人の戦いは続くのでしょうが、今はその戦いっぷりを認め合い、しばし休憩。

 1939年、かの子が脳溢血で死亡したという知らせが、パリにいる太郎の元に届きました。
真っ赤な薔薇の花びらで覆われたかの子の遺体・・・
その生き方のようにきらびやかで美しい終わりでした。

 かの子の声を聞きながら、街をさまよう太郎・・・
かの子の死は太郎に衝撃と共に開放感をもたらしたのではないでしょうか。
そしてかの子の意志を受け継ぎ、真の芸術家として生きていく覚悟を。
かの子の母としての教育は彼女の死で完成したのかもしれません。

 川に飛び込んだ後、ゆっくりと浮かび上がり、朝日の輝く川面に顔を出した太郎は新しい自分が生まれたのを感じていました。

 第一回 太陽の子
 第三回 戦友
 最終回 芸術は爆発だ!

ねこちゃん
何気に太郎ちゃんが着ているシャツがかわいい!(d゚ω゚d)
欲しくなっちゃった。
ドラマ見てたら、集中しすぎて頭がキューーー!
でも、美輪先生の歌声でクールダウンよ〜

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matakita821 at 18:59│Comments(6)「TAROの塔」 

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『青春のパリ』内容昭和42年。万博のプロデューサーに就任した岡本太郎(松尾スズキ)だがその記者会見で、太郎は敵意をむき出しにする。“人類の進歩と調和なんて、クソくらえだ...
2.  常盤貴子目当てで見るTAROの塔 第二話「太陽の子  [ V36スカイラインクーペが欲しい! ]   2011年03月05日 22:29
「松尾スズキが岡本太郎」 と考えるたびに笑ってしまう。この間はふと電車の中で笑ってしまい。周りから冷たい目で見られた。それにしてもこのNHKの挑戦というか無謀というか ...
3. 土曜ドラマ TAROの塔 第2回 「青春のパリ」  [ 青いblog ]   2011年03月05日 23:49
解説 岡本太郎(松尾スズキ)は、万博会場の大屋根を突き破る「ベラボーな
4. TAROの塔 ♯2  [ しなもにあ ]   2011年03月06日 10:20
うーん 芸術ですね素人には何が何だか・・・一平とかの子の関係かの子と太郎の関係愛があるのかないのかよくわかんない金の心配はするなそんなこと言われてみたいwwwピカソの絵...
5. TAROの塔 太陽の子 青春のパリ  [ のほほん便り ]   2011年03月07日 18:15
岡本太郎の生誕100周年記念ドラマ。リピート放送の1回目と2回目を見ました。 とにかく、キャスティングが、とても合ってた気がしました。 主役の壮年期の太郎を演じる松尾スズキ、仕草まで往年の太郎に、エキセントリックな表情や微妙な癖まで似てて驚嘆 そして、

この記事へのコメント

1. Posted by くう   2011年03月06日 01:34
>見終わった後、私の心にも得体のしれない激しいエネルギーが湧いてきたぞ。
恐るべし、岡本太郎・・・

本当にそういうドラマだよね(⌒▽⌒)
見ていてドキドキしてくるわ〜。
何かこう、突き上げるものがあるよね。

濱田くんの太郎も良かったな。
来週も楽しみだねぇ。

ところで、マイヤーにコメント入れたんだけど
入らなかったわ〜(ノ_-。)
承認制になったのかな(?_?)
2. Posted by きこり→くうさん   2011年03月06日 10:52
>何かこう、突き上げるものがあるよね
そうなんだよ。コレが岡本太郎効果なのか
ドラマのスタッフの熱意の反映なのか・・・
とにかく、すごいドラマを見てるな〜って思いながら画面に釘つけだよ。
>濱田くんの太郎も良かったな
良かったよね。
普通の青年の部分と、あの岡本太郎を感じさせる部分があって、しっかり松尾太郎と繋がってたと思う。
って、思い入れ強すぎかちら・・・(笑
>ところで、マイヤーにコメント入れたんだけど
入らなかったわ〜(ノ_-。)
ごめん、ごめん。
めんどくさいから承認制にはしてないよ(笑
なんかライブドアの不具合だと思う。
反映しなかったみたい。
3. Posted by 川本   2011年03月06日 23:44
今回はストレートな表現でしたが、
第一話を踏まえた演出に心が躍りました。
「僕達は別れて始めて親子になれる」「お母さんは僕の芸術です!僕の誇りです!」
最高の言葉だ。ここまでの構成が良いので重みもある。
親も年を取り、寄り添う姿に切なくも幸せがありました。
先制攻撃でやりたい放題の岡本さんと丹下さんのやり取り。
お面で先制攻撃の岡本さんと敏子さん。アレは反則だw
強く柔らかく甘え上手に演じた寺島さん、お見事でした!
4. Posted by きこり→川本さん   2011年03月07日 06:49
>第一話を踏まえた演出に心が躍りました。
おもしろかったですねぇ・・
まさに太郎の青春が感じられました。
目の覚めるような美しい赤い薔薇で覆われたかの子、
ピカソの絵を見て思わず逃げ出し、その衝撃からいつのまにか走りだす太郎・・
そして、かの子の死を知り、川に飛び込む太郎。
青春の時代の苦しみと葛藤があったからこそ、
次の時代へと進むことができた。
ラストのそんな自分と母の思い出を愛おしむように
見ている松尾さんの太郎にもグッときました。
>最高の言葉だ。ここまでの構成が良いので重みもある
私もこの言葉には衝撃を受けました。
ここだけでなく、こちらの心に刺さるようなセリフがありすぎですよ〜
このドラマは見ているこちらにまで革命を起こさせようとしているようです。
5. Posted by 凛太郎   2011年03月07日 17:30
≫太郎、お前の絵を最初に認めるのはお前しかないんだよ。人の評価に自分を委ねてはダメ!

この言葉は曲がりなりにも、物を創造する仕事に就いている者にとっては、胸に刺さる言葉でした。
車で30分程度の場所に岡本太郎記念館があるので、来週にでも行ってくるつもりです。
太陽の塔のフィギアを売っているようなので、是非買ってきたいと思います。
仕事柄、また少年期に大阪万博を体験している世代なので、丹下健三とのやり取りは実に興味深い内容でした。

このドラマ、岡本太郎の人生もさることながら、出演者の演技も見ものです。
万博時の壮年期を演じている役者さんは、はじめて見た顔ですが、思わず太郎さん本人かと思ってしまう力演です。青年期の役者さんは良く見かける人(濱田岳)ですが、彼がこんなに演技が上手いとは知りませんでした。
6. Posted by きこり→凛太郎さん   2011年03月08日 10:47
>この言葉は曲がりなりにも、物を創造する仕事に就いている者にとっては、胸に刺さる言葉でした。
すさまじい、そして真実の言葉でしたね。
そして、芸術家の太郎にとって礎となるような。
このドラマにはこんな胸に刺さる言葉がいっぱいあるんですよね。
>岡本太郎記念館があるので、来週にでも行ってくるつもりです
ドラマの中で太郎さんが住んでいた場所ですね?
いいなぁ・・・
私、太陽の塔も見たことないんですよ。
いつか絶対に見に行きたいです。
豪華なキャストのみなさんのすばらしい仕事に毎週ドキドキしながら息をつめるように見てますよ〜

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