「左目探偵 EYE」 第8話 (最終回)「アグリー・ベティ 3」 第23回 ずっと忘れない

2010年03月16日

「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」 万城目 学 著

 おもしろかったわ〜
「鹿男あをによし」や「鴨川ホルモー」とは、また違った雰囲気の物語です。
視点を変えることによって景色を変える日常というか・・・
もしかしたら、自分が気付かないだけで、不思議の世界への扉っていつも日常と繋がっているのかもしれない・・って思わせてくれるような・・・

 マドレーヌ夫人とはアカトラのメスの猫さんのこと。
ゲリラ嵐の日、柴犬の玄三郎の小屋に避難して以来、かのこちゃんの家の猫になりました。
焼いたマドレーヌと同じような色をしているからってことで、「マドレーヌ」と名づけられたの・・

 かのこちゃんは小学一年生になったばかり。
指しゃぶりが止められずお母さんを心配させましたが、マドレーヌのおかげできっぱり卒業。
その日から、かの子ちゃんの目は外の世界に広がり、興味が尽きることはありません。

 さて、かのこちゃんにはもちろんお父さんもいます。
このお父さん、鹿と話ができるらしい。
『かのこ』という名前も鹿から授けられたんだってョ・・
 って、ここまで読んだら、あら、このお父さん『鹿男あをによし』のあの人なのかしら?って思うでしょうが、お父さんの詳しいプロフィールはいっさい明かされません。

 さらに自由業っぽい日常の過ごし方や、かのこの言動をおもしろがるそのスタンス、
不思議現象もあっさり受け入れてくれそうな柔らかな雰囲気から著者の万城目さんをも彷彿とさせます(何となく・・(´∀`;)エッセイ読んだ印象・・)
かのこちゃんとマドレーヌ夫人 (ちくまプリマー新書)ザ・万歩計ノラネコの研究 (たくさんのふしぎ傑作集)

 物語はマドレーヌから見た世界とかのこちゃんから見た世界が交互に綴られます。
実はマドレーヌはかのこちゃの家にいる老犬の玄三郎とは夫婦・・・
猫の世界では犬達の言葉を理解不能という意味で『外国語』と言っているんだけど、
出会ったその日から、なぜかマドレーヌは玄三郎の言葉を理解することができたし、玄三郎もマドレーヌの言葉だけはわかったのです。

 そもそもマドレーヌはひとつ所には落ちつけない性分で流れ者の猫さんだったらしい・・
それが玄三郎と夫婦になり、ご近所猫の和三盆(キジトラ)やミケランジェロ(三毛猫)と友好を深め、かのこちゃんの愛情を受けるうちに1年もその場所に留まるんだよね・・
 一方、かのこちゃんは学校に通うようになり、刎頚の友であるすずちゃんと出会う。
 
 読んでいて、かのこって1年生という設定の割には利発すぎるんじゃ・・?って思ったけど、
お父さんが言っていたように『知識が拓かれる』時期の子供って
大人以上にいろんなものがクリアーに見えるのかもしれない。
 あるがままの世界をまっすぐに見られる時期って短いように思うけど(私だけか?)
かのこちゃんからは、ゆっくりと育っていこうとしている健康な息吹を感じましたわ・・ 
 私もあの頃の方がずっと賢かったような気がする(その頃をピークにどんどん退化していったような・・(;^ω^))

 このかのこちゃんの世界とマドレーヌたち猫の世界がうまいぐあいに重なった時
不思議な世界の扉が開くのです。
詳しく書くと読む楽しみがなくなっちゃうからアレだけど、この物語には別れの切なさとすがすがしさが詰まっております。
猫と子供が主人公の話か〜〜なんて思わないで、手に取ってみてくださいな・・・
新しい万城目ワールドを堪能できる事間違いなしです。

 さて、一緒に紹介した『たくさんのふしぎ ノラネコの研究』は、ジャンルで言えば絵本ですが、
『かのこちゃんとマドレーヌ夫人』を読んだ人なら、読みたくなるかも・・って思って紹介してみました。
 私も久し振りに読んだら、探究心がわいてきたぞ・・p( ̄0 ̄)/

ねこちゃん


このところエッセイばっかり読んでたけど、やっぱり小説の世界に浸れるって幸せ・・
この波に乗ってもっといろいろ読みたいわ〜(* ̄m ̄)

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2. ピュアな万城目作品  [ 笑う学生の生活 ]   2011年03月20日 17:45
小説「かのこちゃんとマドレーヌ夫人」を読みました。 著書は 万城目 学 小学1年生のかのこちゃんと猫のマドレーヌのお話 読みやすく 優しい そんな印象 児童文学みたいだね いつもの万城目作品を期待すると 肩を落とすかも 大きな事件もなく ゆっくりと とはいえ ...

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