「あしたの、喜多善男」第六回「鹿男あをによし」第五回

2008年02月14日

「鹿男あをによし」 万城目学

 いや〜おもしろかった!
夜寝る前に読んでいたから中々進まなくて・・ドラマがどんどん先に行っちゃいそうで焦りましたが、後半は一気に読んじゃいました。
久々にさわやかな読後感を味合わせてもらいました。

 現代を舞台にファンタジー的な物語を成立させるのって難しいと思うのですが、
歴史を感じさせる神秘性の残る奈良という土地が舞台だったからでしょうか、
何の違和感もなくすいすいと読み進めることができました。

 それと、この万城目さんの著作は初めて読んだのですが、
文章がすごく「ほどが良い」・・っていうか・・
あっさりしてるんだけど味わいがあるっていうの?
文章を追うのが気持ちよかった。

 読み終わってみると、ドラマはきちんと伏線も出しながら
原作をうまいぐあいに膨らませて作っているなぁ・・と思いましたよ。
これから後半の山場に入る訳だけど、どんなふうに脚色してるくれるのか
楽しみですねぇ・・

 ここからはネタバレありなので、お気をつけ下さい・・
鹿男あをによし (幻冬舎文庫)

 私は堀田は神の使い(鹿サイドの)でドンくさい小川を見張る、あるいは指導的な役目のために使わされたのかと思ったんだけど、イトも同じような立場だったのね・・
やっとイトの態度と行動の謎が解けたよ〜

 そんな事情から、最初は小川に反感を抱いていたんだけど、大和杯で闘ううちに徐々に心が通じ合ってきて・・
後半、イトが小川に「使い番」だったと話してから、
最終的に小川を人間に戻す為に行動するまでの変化には、イトの人間として女性としての成長も感じられました。

 少女らしい気難しい面と一本気なところ、芯が強くて、でも実は柔軟なさらさらした美しい心を持っている・・・印象的な少女でしたね。

 しかし、デジタル画像だと鹿の姿が映りこんでしまうっていうのは何か納得のいく説明だというか・・
そしていくら神秘の力でもデジタル技術の進歩には追いつくことができなかったから鹿達も気づかなかったというのも逆にリアルに感じるわね〜
そのことに小川と堀田が気づいて唖然とするって場面には笑っちゃったなぁ・・
 
 「目」を取り戻すまでのはらはらドキドキする展開から、
鎮めの儀式の厳かで幻想的な場面・・・
そして鹿や狐、鼠らがこの国を守り続けた原動力は実はヒメへの愛だったというのも、
ラストになって急に色が変わった感じで新鮮でした。
 
 そうそう、堀田がマイ鹿に乗って現われて、リチャードが破壊しようとした「目」を救ったところはかっちょよかったですね〜堀田参上!って感じで・・
コレは絶対ドラマでもやって欲しい場面ですわ・・

 小説の発想ももちろんだけど、全体の構成がおもしろいな〜と思いましたョ・・
そして、運び番としての役目が終った途端に奈良を離れることになり、
唐突にみんなと別れることになるというのも、小川が新しい季節に向かってるっていうのを感じさせて良かったです。

 最近、小説ってあまり読む機会がなかったんだけど、
ドラマのおかげでこの本に出会えてラッキーだったわ・・・
ドラマの進行を推理する楽しみがなくなったのはアレだけどね・・
もしかしたら、原作とは違うラストになるかもしれないし・・

 しかし、鹿がポッキー大好きって場面出てこないけど・・
スポンサーの関係なのかなぁ・・
おもしろい場面だし別れの場面にも効いてくるからぜひとも見てみたいよなぁ・・
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matakita821 at 23:59│Comments(6)TrackBack(3) このエントリーをはてなブックマークに追加 読書(マンガ含む) 

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1. 鹿男あをによし (万城目 学 )  [ 花ごよみ ]   2008年02月15日 00:31
玉木宏主演のドラマがはじまる前に、 読んでしまおうと思っていたのですが 間に合いませんでした。 もう始まってしまいました。 奈良が舞台、 知っている場所が出てくるので 本を読む楽しみが倍増します。 猿石、鬼のせっちん、鬼のまな板、亀石。   石舞台、飛鳥大仏。...
2. 【小説感想】 「鹿男あをによし」 万城目学  [ 読書とジャンプ ]   2008年02月15日 06:09
狐や鼠の使い番は誰なのか、サンカクとは何なのか。その設定と世界観にぐいぐい引き込まれて、気持ちいいくらいに騙されて、ワクワクしなながら読み終えました。やっぱりこの手の小説は下手な予想なんかしたりせず、心を無にして、流されるまま読むに限ります。「さあ、神...
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この記事へのコメント

1. Posted by シャブリ   2008年02月15日 01:10
しまった!
読んでしまった〜〜。
どねしよう〜どねしよう〜。忘れなきゃ・・
2. Posted by きこり→シャブリさん   2008年02月15日 10:52
>読んでしまった〜〜。
どねしよう〜どねしよう〜。忘れなきゃ・・
あら〜だめじゃないですか〜( ´艸`)ムププ
さっ、忘れて忘れて!
あるいは、あきらめてシャブリさんも原作を
読みましょう♪
おもしろいですよ〜!!
これを読むとポッキー食べたくなりますし・・(笑
3. Posted by ごうちゃ   2008年03月25日 17:16
5 原作、ただいま読んでいます。
しかも、サウンドトラックの CDをかけながらです。

さすがに、最後のエンディング曲までに読み終わる事は無理でした。
だから、エンディング曲になったら休憩しています。
かってに
第一回 終わり

という事。
読み終わるまで、何回になるんだろう。

上のネタバレ部分はまだみていないので、
読破後にまた書き込むかもしれません。

そうそう、遅くなりましたがコメントありがとうございます。

書いたとおり、サントラ買いました。
原作本と一緒にTUTAYAで。

4. Posted by きこり→ごうちゃさん   2008年03月25日 20:37
>しかも、サウンドトラックの CDをかけながらです。
いいですね〜でも、あの曲がかかっちゃうと
つい耳をすませて、聞きいってしまうので私だったら集中できないかも・・
>書いたとおり、サントラ買いました。
原作本と一緒にTUTAYAで。
「鹿男」ブームはなかなか去らないですよね。
私も、録画してあるもの消してないんで、
くつろぎタイムにあの場面、この場面と見直してみたりしています。
5. Posted by ごうちゃ   2008年03月26日 00:34
読破しちゃいました。

ポッキーが出てこなかったのは、現地の事を考慮してだと思います。
ドラマ見て、安易にポッキーあげる人が出てきては困るからでしょう。

で、読書感想。
最後の別れで小さく振られる指先が切ないね。
そして最後の手紙のところで泣きました。

ドラマの後の読書だと、登場人物がドラマの役者とかぶってしまいますね。
剣道の試合なんか、完全に多部さんが戦っていたもの。
リチャードも重さんも、児玉さんと蔵之介さんになっていた。

藤原君だけ、当てはまらなかった。
だから、勝手に役者を仕立てて読んでしまった。
6. Posted by きこり→ごうちゃさん   2008年03月26日 08:32
>安易にポッキーあげる人が出てきては困るからでしょう。
そうですね。
鹿せんべいだけでも、こんなに盛り上がってるんですもの、ポッキーなんて出てきたらすごいことになっていたでしょう・・
ラスト、窓に映った小川の顔で終わるところが何だかこれからの未来をいろいろ想像させてよかったなぁ・・と思ったんですよね。
イトの手紙も胸にせまってきましたよね。
>ドラマの後の読書だと、登場人物がドラマの役者とかぶってしまいますね。
どうしてもそうなってしまいますよね。
だから、やっぱり自由に読むためにはドラマの前か、終わってほとぼりが冷めてからの方がいいのかなぁ・・・
でも、この話は原作もドラマもどちらも愛しく思えちゃいますよ・・・・

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