2007年07月10日
「モリのアサガオ」 第七巻 郷田マモラ 著
ついに「モリのアサガオ」が完結した。
死刑制度の是非という重いテーマを軸に、死刑囚と刑務官との友情を描いてきた
この物語の終結は納得のいくものだった。
被害者遺族のためにも死をもって罪を償うという死刑制度は必要だ、
復讐の連鎖を断ち切るためにも、死刑という極刑でピリオドを打つ必要があるのではないか?
いや、悔い改めた者まで死刑にする必要があるのだろうか?
そして、自分の父親が冤罪のまま死刑になってしまったのは死刑制度があるためじゃないのか?
いまだ救われず冤罪のまま死刑囚として生きている者達の存在は?
揺れ動き続けた直樹の心・・・
第六巻では冤罪というモリ(死刑囚舎房)の中にある底なし沼の存在に気づき、
その刑の執行をしなければならない刑務官という仕事と死刑制度に疑問を抱き始めた直樹の姿が描かれた。
そして、直樹の父が罪をかぶって助けたにも関わらず、また殺人を犯し、
その自分の罪をいっさい認めようとしない深堀啓造の処刑に立ち会ったことから、
死刑という極限の状況下ゆえに罪を認め改心することができる者もいる事にに気づいたのだった。
死刑制度の是非という重いテーマを軸に、死刑囚と刑務官との友情を描いてきた
この物語の終結は納得のいくものだった。
被害者遺族のためにも死をもって罪を償うという死刑制度は必要だ、
復讐の連鎖を断ち切るためにも、死刑という極刑でピリオドを打つ必要があるのではないか?
いや、悔い改めた者まで死刑にする必要があるのだろうか?
そして、自分の父親が冤罪のまま死刑になってしまったのは死刑制度があるためじゃないのか?
いまだ救われず冤罪のまま死刑囚として生きている者達の存在は?
揺れ動き続けた直樹の心・・・
第六巻では冤罪というモリ(死刑囚舎房)の中にある底なし沼の存在に気づき、
その刑の執行をしなければならない刑務官という仕事と死刑制度に疑問を抱き始めた直樹の姿が描かれた。
そして、直樹の父が罪をかぶって助けたにも関わらず、また殺人を犯し、
その自分の罪をいっさい認めようとしない深堀啓造の処刑に立ち会ったことから、
死刑という極限の状況下ゆえに罪を認め改心することができる者もいる事にに気づいたのだった。
七巻では、渡瀬満の妹が身近にいたことを知ったことから、彼女との対話で渡瀬の空白の一年の様子と、殺人を犯した事への苦悩と渡瀬が死の恐怖と戦ってきたことを始めて理解する直樹。
そして、渡瀬が直樹を教誨師として指名したことから、初めて二人は腹を割って話し、
お互いの理解を深めることとなる。
「死刑」によって自らの罪を償おうと決心しながらも、津波のように湧き上がる死への恐怖・・・
妹のためにも生きたいという気持ちと死ぬべきだという思いに苦しみ続ける渡瀬。
友情を深める中で、妹の命を狙っていた自分が殺した男の弟が死んだことを知った渡瀬は
「死にたくない!死刑になりたくない!」と叫ぶのだった。
そして、そんな渡瀬に直樹は「君の罪は死刑に値する」と宣告する。
復讐相手の娘まで偶然殺してしまったことに後悔はしながら、
復讐に関しては後悔していない渡瀬に罪を認めて悔い改めて欲しいとの思いからの言葉だった。
「冤罪なんてものがあるかぎり「死刑」はあってはいけないという意見も多いよね。
妹を助けるために「死」を受け入れたキミのことを可哀相やと思うよ。
しかし・・・それらの事情を天秤にかけてもぼくは「死刑」が必要やと思うんや。
ぼくはこれまでに 何人もの死刑確定囚が世古と同じように死と向き合い・・
心から反省する姿を見てきたから・・
「死刑」があるからこそ人間らしさを取り戻す様子を目の当たりにしてきたから・・
加害者を同じ目にあわせたいと願う被害者遺族の感情もあるけど・・
この死刑囚舎房で働き・・経験してきたぼくは ぼくなりに・・
やっぱり「死刑」はなければならないと思ったんや・・・
どんな状況下であれ2つの尊い命を奪ったキミは・・
「死」を 「死」をもって償うべきなんや 満!!
キミに心から復讐そのものを反省して欲しいんや」
刑務官として、そして友人として、死刑囚の息子としての直樹の言葉だった。
私もこの漫画を読みながら、ずっと考えていた。
最近の「光市母子殺害事件」の裁判の様子もTVで見て、いったいどうしたら被害者遺族は救われるのだろうか・・と。
もし、この事件が自分の家族に起こったことだったらどうだろう・・・
殺してやりたい、同じ目に合わせてやりたいと思うだろう。
もし、加害者がすぐに刑務所から出てきて、のうのうと生きていたら許せない!そう思うだろう。
でも、「死刑」になったからって満足できるだろうか?
憎い相手がこの世から消えてほっとする部分もあるかもしれないけど、
何も解決しない憤りが残るだけじゃないだろうか?
だから、多分・・私が遺族だとしたら、犯人に罪の重さをしっかりと認識して欲しい、
そしてその罪の重さをしっかりと受け止め、心から悔い改めて欲しい・・そう願うと思う。
その上で償って欲しいと思う。それでなければ「死刑」の意味はないと思う。
改悛したのに死刑になる必要があるのだろうか?
それにその状況によって情状酌量の余地はあるべきじゃないか?
その疑問は私の中でもまだすっきりはしていないのだけど・・・
人間を殺した罪は「死刑囚」という状況になって罪と向き合い、
償わなければならないほど重たいものなのだと思う。
「死刑囚」という特殊な状況下でなければ自分と向き合えない人間もいるし、
「死刑囚」になっても反省も後悔もない人間もいるかもしれない。
心を失った人間が、人間の心を取り戻して、罪の認識をするには途方もなく長い時間がかかるのかもしれない。
でも直樹が思ったように、私も人間に戻ってから天国へ行くべきだと思う・・
すごく難しいことだけれど・・
この難しいテーマを描ききった郷田マモラ先生に心から敬意を表したいと思います。
「モリのアサガオ」 第二巻
「モリのアサガオ」 第三巻
「モリのアサガオ」 第四巻
「モリのアサガオ」 第五巻
そして、渡瀬が直樹を教誨師として指名したことから、初めて二人は腹を割って話し、
お互いの理解を深めることとなる。
「死刑」によって自らの罪を償おうと決心しながらも、津波のように湧き上がる死への恐怖・・・
妹のためにも生きたいという気持ちと死ぬべきだという思いに苦しみ続ける渡瀬。
友情を深める中で、妹の命を狙っていた自分が殺した男の弟が死んだことを知った渡瀬は
「死にたくない!死刑になりたくない!」と叫ぶのだった。
そして、そんな渡瀬に直樹は「君の罪は死刑に値する」と宣告する。
復讐相手の娘まで偶然殺してしまったことに後悔はしながら、
復讐に関しては後悔していない渡瀬に罪を認めて悔い改めて欲しいとの思いからの言葉だった。
「冤罪なんてものがあるかぎり「死刑」はあってはいけないという意見も多いよね。
妹を助けるために「死」を受け入れたキミのことを可哀相やと思うよ。
しかし・・・それらの事情を天秤にかけてもぼくは「死刑」が必要やと思うんや。
ぼくはこれまでに 何人もの死刑確定囚が世古と同じように死と向き合い・・
心から反省する姿を見てきたから・・
「死刑」があるからこそ人間らしさを取り戻す様子を目の当たりにしてきたから・・
加害者を同じ目にあわせたいと願う被害者遺族の感情もあるけど・・
この死刑囚舎房で働き・・経験してきたぼくは ぼくなりに・・
やっぱり「死刑」はなければならないと思ったんや・・・
どんな状況下であれ2つの尊い命を奪ったキミは・・
「死」を 「死」をもって償うべきなんや 満!!
キミに心から復讐そのものを反省して欲しいんや」
刑務官として、そして友人として、死刑囚の息子としての直樹の言葉だった。
私もこの漫画を読みながら、ずっと考えていた。
最近の「光市母子殺害事件」の裁判の様子もTVで見て、いったいどうしたら被害者遺族は救われるのだろうか・・と。
もし、この事件が自分の家族に起こったことだったらどうだろう・・・
殺してやりたい、同じ目に合わせてやりたいと思うだろう。
もし、加害者がすぐに刑務所から出てきて、のうのうと生きていたら許せない!そう思うだろう。
でも、「死刑」になったからって満足できるだろうか?
憎い相手がこの世から消えてほっとする部分もあるかもしれないけど、
何も解決しない憤りが残るだけじゃないだろうか?
だから、多分・・私が遺族だとしたら、犯人に罪の重さをしっかりと認識して欲しい、
そしてその罪の重さをしっかりと受け止め、心から悔い改めて欲しい・・そう願うと思う。
その上で償って欲しいと思う。それでなければ「死刑」の意味はないと思う。
改悛したのに死刑になる必要があるのだろうか?
それにその状況によって情状酌量の余地はあるべきじゃないか?
その疑問は私の中でもまだすっきりはしていないのだけど・・・
人間を殺した罪は「死刑囚」という状況になって罪と向き合い、
償わなければならないほど重たいものなのだと思う。
「死刑囚」という特殊な状況下でなければ自分と向き合えない人間もいるし、
「死刑囚」になっても反省も後悔もない人間もいるかもしれない。
心を失った人間が、人間の心を取り戻して、罪の認識をするには途方もなく長い時間がかかるのかもしれない。
でも直樹が思ったように、私も人間に戻ってから天国へ行くべきだと思う・・
すごく難しいことだけれど・・
この難しいテーマを描ききった郷田マモラ先生に心から敬意を表したいと思います。
「モリのアサガオ」 第二巻
「モリのアサガオ」 第三巻
「モリのアサガオ」 第四巻
「モリのアサガオ」 第五巻