「スロースタート」前編「亀は意外と速く泳ぐ」三木聡監督

2007年01月29日

「大阪ハムレット」 第2巻 森下裕美 著

 「大阪ハムレット」の二巻・・・待ってましたよ〜
今回はちょっとチクッと胸が痛むような、で、不覚にもほろりとするような・・
そんな6話が入ってますよ。

 その中でも気になったのが、前後編に分かれている「大阪踊り」。
八百屋の孫娘エリカ(多分幼稚園児、肥満気味)は近所にできたバレエ教室のハナコ先生に誘われて、見学に行ってからバレエに夢中になる。
 
 ハナコ先生はイギリスにも留学していたことがある美しい人。
34歳独身、私は踊ってさえいれば楽しいの・・
でも、心の中にコンプレックスを持っており、それを無神経に刺激する母の言葉に
いつも傷ついていた。

 そんな先生の心を知ってか知らずか自分も同じような悩みを持っていたエリカの母史子は何気に先生のことをいつも気にとめて、差し入れをしたりする。
 ハナコも気さくな史子には心を開いてるかに見えたが、
ある事件をきっかけに拒絶し、バレエ教室も閉ざしてしまう。

 この史子がいい。
人の優しさを敏感に感じ取って、他人の傷に気づきながらも相手に気づかせない距離で思いやる。ハナコの態度がおかしくなっても
「心配やな・・林檎もってってあげようか・・」
純粋に相手の事だけを考えて行動している。
文章で書くと、何かいやらしい感じになってしまうが
森下裕美は大阪のおばちゃんのそんなきれいな性質をさらっと描いてしまう。

 そして、バレエをやめてしまおうと思っていたハナコだったが
以外にもエリカとバレエ教室でいつも隅っこで膝をかかえていたのりこ
の姿によって、またバレエへの思いが蘇ってくる。
 子供の力ってホント不思議です。
深かった心の傷さえも一瞬のうちに変化させ再生する力を与えることがある。
この作品にはそんな瞬間が描かれています。

 他にも「十三の心」では、大人になって金持ちになって核シェルターを
買って一人で住むのが夢だという女の子が、いろんな人のいろんな思いを少しづつ受け入れてちょっとづつ大人になっていこうとする話。

 「オードリーの家」では、再婚相手と付き合っているお母ちゃんのことを
理解しようと思いながらも受け入れられない、でも今はそんな自分でええんちゃうか?という男の子の話を。

 何だか小さくってもちゃんと人生やってるじゃん!って感じですかね。
そして、周りの大人達はそんな子供たちに愛情をちゃんと伝えていってる。
こんなおばちゃん、おっさんいいなあ・・そんな気になる一冊です。

 「大阪ハムレット」第1巻
 「大阪ハムレット」第3巻
 映画「大阪ハムレット」

matakita821 at 16:15│Comments(2)TrackBack(1) このエントリーをはてなブックマークに追加 読書(マンガ含む) 

トラックバックURL

この記事へのトラックバック

1. バレエ 連続写真   [ こだわりショップ OIP ]   2007年04月30日 15:45
バレエ 動画 DVD から連続写真を作成いたします ...

この記事へのコメント

1. Posted by なほ   2007年01月30日 11:55
昨日はコメントありがとうございました。

私はこの本を読んだ事がないのですが、
>人の優しさを敏感に感じ取って、他人の傷に気づきながらも相手に気づかせない距離で思いやる。
・・・わたしの姑さんがこんな感じの人です。
いつも何の気ない感じでいて
さら〜っと人への配慮ができる人で・・・
理想の大人です。
2. Posted by きこり→なほさん   2007年01月30日 16:47
>わたしの姑さんがこんな感じの人です。
いつも何の気ない感じでいて
ステキなお姑さんですね。
この史子のお姑さんはとっても愛情深い感じで
史子はコンプレックスから救われるという場面があります。
自分の愛情や気持ちを表現するのって
すごく難しいですが、スポーンってそんな言葉を聞くと、やるじゃん!って思いますよね〜(笑

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
「スロースタート」前編「亀は意外と速く泳ぐ」三木聡監督