「時効警察」第七回紙ぶくろブーム

2006年02月28日

「白夜行」東野圭吾

 やっと読み終わった。おもしろかったわ〜。
こういう形式の小説って初めて読んだ気がする。
惜しむらくは、ドラマを見る前に読んでおけばよかったなあ・・・
どうしても、余白をドラマで見た部分で繋げて読んじゃうし、イメージを修正しながら読むのが大変だったわ。 
 それに、ドラマを見ていなかったら、この小説の形式への衝撃度ももっと大きかったし、違った読み方になったと思う。

 この小説では主人公である雪穂と亮司の内面というか心の中はいっさい書かれていない。
しかも、笹垣の視点で書かれているので、この二人の関ったと思われる事件の記述はあるのだが、
実際のところはわからないし、あくまで笹垣の推理ではこうなってますよ・・・という話になっている。
 
 証拠はラストまで出てこない。それも、しらばっくれようと思えば逃れられる。
なぜ、二人がこういう人生を歩むことになったのかも、他の人の断片的な台詞で推察することになっている。

 先ほど、イメージの修正が大変と書いたが、唯一ドラマに左右されることなく小説の中に厳然と存在していたのが主人公の雪穂だ。
 原作の雪穂はドラマの雪穂よりも強くて完成されていて、もっと魔性な感じ。
ドラマの中の雪穂は普通の女の子が悲惨な目にあったためにゆがんで苦しむ姿が描かれるけど、
原作の雪穂にはブレがないというか、自分の邪魔になる存在をどんどん排除していくことに迷いがないし、亮司はその手足になって実行していく。
白夜行


 原作の雪穂は残酷な悪魔のよう・・・
でも、本当の悪魔は天使にもなることができるというのがよくわかった。
裏と表の顔が混在一体となって、自分の中にとけこんでいる。
 人間として、女性として心をなくしてしまったものとして描かれている。
それだけに雪穂がどれだけ幼少時に悲惨な経験をしてきたかが恐ろしいように伝わってくる。
 
 二人の間にどんな約束があったのか、ふたりの関係はどんなものとなっていたのか一切書かれない。
それが、読み手の想像力をどんどんかきたてる。

 ドラマの脚本を書いた人は、二人の関係をどんなふうにするかななり悩んだんじゃなかろうか・・・
断定することによって、おもしろさも変わってくるからね。
 ドラマでけっこう好きだった渡部篤郎演じる松浦というキャラクターは原作ではちょっとしか出てこない。
だから、よくあんだけ個性的な人物として膨らませたな〜と思う。

 ところで、私は最近刊行された文庫版を読んだのだが、
これが千円!文庫で千円って初めて買ったぞ!
そして、これが重いんだ・・・計ったら436gもあったぞ!厚さは3.1cm。

 私はいつも寝る前に布団の中で読むのだが、腕が疲れる疲れる・・・
最後の方になったら、持つの大変だったぞ!
 これ上下に分けちゃだめなのかな〜?場所取るから一冊の方がいいの?

 でも、久しぶりに小説読んだわ〜
この人の別の本も読んでみようかな〜

 ドラマ「白夜行」の記事

 映画「白夜行」の記事

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この記事へのコメント

1. Posted by ヨーコ   2006年02月28日 15:27
原作も読んだのね〜!
まさか原作が笹垣の目線で書かれてるとは、意外!
東野圭吾は初期の作品は読んだ事があるんだけど、東野さんは理数系の人だから、初期の推理小説なんかは細かい緻密な時間の計算とかがふんだんに盛り込まれてて、計算が得意な人しか付いていけない感じだったのよ(笑。
白夜行、ドラマはどうやって終わるんだろうね〜?
2. Posted by きこり→ヨーコさん   2006年02月28日 15:42
東野圭吾ってそうなの〜?
小説の世界の中でまで計算したくないぞ〜
よくある、時刻表のトリック(何時何分の汽車に乗って
乗り換え時間が何分だからその隙に別の列車に乗り換えて
また元の汽車に戻るとか・・・)ですら
嫌なのに・・・
原作の笹垣はもっとすっきりした感じで精悍な
イメージだったな〜(笑
3. Posted by 半蔵   2006年02月28日 15:42
きこりさんはホント、本とかドラマとか好きなんですねぇ…
いつも上手にたくさん書いてあって、ほぇ〜〜〜すごいなぁ…なんて思っています(^^;
そういえば最近ドラマを全然見てない!白夜行ちょっと気になってたのに〜!見ればよかったです(>_<)
4. Posted by tsumire   2006年02月28日 16:22
う〜ん? 東野圭吾の作品はそんなに理系っぽくないよ。理屈だらけでもないし。情緒的じゃないってだけで、きちんと組み立ててある感じの小説だと思う。私は結構読みやすかったな(そんなに数読んでないけど)。まだ「白夜行」はドラマも小説も見てないけど、こんだけドラマ情報が蔓延していると、やっぱりドラマが始まる前に見ておけばよかったと思ったよ。

なお、あの文庫本の厚さは、多分ドラマ視聴者の飽きっぽさ(もしくはのめりこみっぷり)を考慮して1冊にまとめちゃったんじゃないかなぁ。私も文庫本になった時に買おうかと思ったんだけど、あの厚さがねぇ、電車の中で読むのにも腕疲れるよ、きっと。
5. Posted by きこり→半蔵さん   2006年02月28日 19:19
いや〜小説読んだの久しぶりですよ〜
最近はエッセイとか雑誌ばっかりですもん。
ドラマとどれぐらい違うんだろうっていう
興味から読み始めたんですが、後半は一気に読めましたよ。
ドラマを見る前に読んだほうがいいかも〜
6. Posted by きこり→tsumireさん   2006年02月28日 19:26
すんげ〜重かったよ!
ラスト近くなると持っててもページちぎれそうになったよ。
電車の中で読んでたら腱鞘炎になるぞ!
それに、ただでさえ重たいあなたの鞄が
さらに倍!になるぞ〜
7. Posted by 雪穂   2018年12月27日 19:19
雪穂の人生の続編にあたる「幻夜」も面白いですよ!
おんなじくらい分厚い文庫ですが(((^^;)
8. Posted by きこり→雪穂さん   2018年12月28日 18:54
コメントありがとうございます。
『幻夜』深きょん主演のドラマはみたんですが・・・
やはり分厚いのですね・・・( ̄▽ ̄;)でも白夜行も買った時、厚いよな・・って思ってもあっという間に読めたから大丈夫かな(笑

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