「小早川伸木の恋」第一回雪とそーや

2006年01月14日

「けものみち」第一回

 「けものみち、それは人間の歩く道ではない。
これは、人倫の道を踏み外してそこに迷い込んだ女の物語である」

 米倉涼子さんの悪女シリーズでしょうか?
私、こういう野心家の女もの好きですからねぇ・・
実はとっても楽しみにしておりました。
大好きな佐藤浩市さんも仲村トオルさんも出ますしね。
 米倉涼子さん、同じような役が続いていますが
失礼ながらこの方、基本の顔が悪だくみ顔とでも申しますか・・・
ですからこういう役にぴったりなんですよね〜

 壊れかけた廃墟のような建物の中を女(米倉涼子)が歩いている。
ふと見上げた半分壊された建物の二階に大きな十字架がある。
男(佐藤浩市)がその十字架を倒すのが見える。
 女はその男と待ち合わせをしていたらしい。
「何だか田代さんって天国を滅ぼしに来た悪魔みたい・・」
田代と呼ばれた男は十字架の真ん中にはまっていた光る石をナイフで削り取って
女に渡す。
「ガラス球ですね・・」
外に放る男。
「いいんですか?私、田代さんをだましてるかもしれませんよ」
「どうでもいいんですよ。
偽者であれ本物であれ、あの石はそういう運命だった」

 この物語を表わす象徴的な場面でした。
十字架(神・あるいは人の正しい道の象徴)を倒した男、
そんな男かもしれないとは気づきながらも女はその男の示す道へと行ってしまう。
放り捨てられた石のように、女の運命も最初は男が全てを握っていた。
でも、それは男の錯覚で実は全てを握っていたのは女のほうだったのかも・・

 男は田代というのは偽名で小滝だと名乗り、この次に会う時までに
過去のしがらみを全て断ち切ってくるようにと伝える。

 女と男はたいして面識のないようでしたが、
なぜ女は呼び出しに応じたのか・・
謎に包まれた導入部・・・いんじゃないですか〜

 女は成沢民子、老舗料亭旅館で働いている。
指名されて白妙の間に行くと、小滝が待っていた。
「ひとつ、行き先のわからない乗り物に乗ってみませんか。
しばらくは自分がどこに行くのか見当もつかないでしょう。
 しかし、ある地点を過ぎるとあなたにも行き先がわかってくる。
すると今度はあなたがその乗り物を運転する番かもしれない。
自分の思う方向へとね。
もちろん金もできるし、おもしろいように人を裁くこともできる。
 一つだけ条件があります。
あなたの過去のしがらみは全て捨てて来て下さい」

 まさに悪魔のお誘い。
でも、確信をもって話すところを見ると、小滝もこの女ならと見込んだのでしょう。

 仕事が終わって、帰宅する民子。家の中は工房のようになっている。
若い娘、奈々美が入れ違いに帰る。
彼女の口調から、民子がジュエリーデザイナーを目指して
コンクールに応募するつもりであることがわかる。
 奥から、民子を呼ぶ男の声がするが無視して作業を続ける。
ここでやっと、民子には脳梗塞のため体が不自由で毎日のんだくれている夫がいること、その夫には2千万の借金があることがわかる。
奈々美は民子がいない間、夫の世話をしているのだ。
 『この男はほおっておいてもいずれ死ぬだろう。
じゃあ、それはいつのことなのだ・・?』

 まさに出口なしの毎日ですね。
小滝の誘いは渡りに船・・・って感じだったのでしょうか。

 ニューロイヤルホテルに訪ねていく民子。
総支配人室に通されると、小滝が座っていた。
会わせたい人がいるとラウンジへ連れて行かれると
秦野という弁護士(吹越満)が宝石商から、宝石を買おうとしていた。
アタッシュケースをあけると札束どっさり。
「めんどくさいからあなたが数えて払って下さい」秦野
言われた通りに札を数えてちゃっちゃと置く民子を三人がじっと見つめる。

 何やら妙な雰囲気なのに、これが自分への試験のようなものだと
瞬時に悟った民子は堂々と乗り切りました。
米倉さんは、こういう時のひらきなおった表情がすごくいいですね。

 小滝から過去の清算にについてダメ出しをされる民子。
言い訳を始める民子に
「(急に恐ろしい声で)だから言っただろ。
(またいつも通りに)あなたがどうしたいかおっしゃっていただければ手を貸すと。今のあなたに必要なのは、行き先よりも出口なのでは」

 佐藤浩市さんは、こういう底知れない怖さをもった男を演じさせると
天下一品です。まさにけものみちへと誘う悪魔。
 それでも、まだいちおう民子は迷います。
そこが、最初っから恐ろしい女だったのではなく徐々に変わって行ったというか、
悪の部分が膨れ上がっていくんだな〜と思えておもしろいと思います。

 さて、突然その日が来たようです。
夫のベッドの周りに灯油をまき、開けて置いた窓から火を放つ民子。
作りかけのティアラだけを持って走る。
その先は、勤め先の料亭の小滝のいる部屋。
「口紅をつけてください。すっかり取れてる」
手が震えてつけられない民子の代わりに小滝がつける。
その時、酒をもってきた他の仲居がやってくる。
 「これで、あなたはずっとこの部屋にいたことになる」
全て計算ずみなのです。

 手が震えている民子を見た小滝の『この女大丈夫か?』というような目。
私も意外に感じましたが、この時の民子はまだ人の心をかろうじて残していたのかもしれません。

 帰宅して、放火によって夫を亡くした妻を演じた後、
秦野の車でどこかへ連れられていく民子。
「私はこれから何かの道具になるんですね」

 切り替え早いわ〜、そういう所が悪女の素質なのかも・・・

 でかいお屋敷の前で降ろされると、年齢不詳の家政婦(若村麻由美)が出迎える。
何故かこの家政婦から敵意を感じるが、気にしない民子。
主人の意向とかで、昼間っからお風呂に入れられる。
その時、鏡がマジックミラーになっていることに気づいた民子は
自ら裸になってその前に立ち鏡を見据える。

 やっぱりこれぐらいやれなきゃだめですよね〜
これで、また試験突破でしょうか。

 着替えてこの家の主人、鬼頭洪太(平幹二朗)と初めて対面する民子。
かなりのご老体で、世間の汚れに染まった白髪鬼のような面容。
わざと鬼頭を怒らせるような発言をした上
「私があなたに身を捧げてもよいと思える確かなもの、証が欲しいんです」
と訴える。

 多分、会った瞬間にこの男はこんな女が好みなんだろうということを
感じ取ってそんな女になりきろうと決めたのでしょう。
乗って来たそんな女の心を知って、退屈な暮らしに飽きていた鬼頭もまた
ゲームに参加することにしたみたいです。

 新聞には民子がジュエリーコンクールでグランプリを取った記事が載る。
その祝賀会で小滝と会うが、そ知らぬ顔をして携帯で連絡をとる民子。
「過去は全て捨てて来て下さいと言ったはずですよ。
話が違うようですから・・信じてもいいんでしょうか?」小滝
「私、いいパートナーになれると思うわ」

 もうすでに天狗になってる?
でも、そんないい気になってる女もよく似合います、米倉さん。

 しかし、そんな民子をひやりとさせる発言が・・
鬼頭の屋敷で、洪太と布団にいる民子。
「私の前の人はどうしたんですか?」
「死んだ」
「病気か何かで?」
「私を裏切った」
一瞬怯えた表情を見せるが、すぐに鬼頭に抱きつく民子。

 怖いッスね〜調子に乗ると消されちゃうからね。
でも、けもの道を行く覚悟を決めた民子。
そんな民子を新しいおもちゃのようにかわいがる鬼頭のじいさん。
 平幹二朗さん、貫禄だわ〜バッチリです。

 大きなビルの一室で、自分の店の開店準備で忙しい民子。
窓から覗くと下にはにんまりしている奈々美の姿が・・・
『あの男に誘われて私は行き先のわからない乗り物に乗った。
でも男は言ったのだ。ある時を過ぎたら、今度はあなたがそれを運転する番だと。
もう誰にも邪魔はさせない』

 いや〜思う存分けもの道を歩いてもらいましょう。
私、前回のドラマ化の名取裕子さん版もリアルタイムで見てました。
それとはちょっとテイストが違う今回のドラマ化。
本当に楽しみです。
その先に悲惨な結末が待っていようとも、米倉さんなら憎々しいまでに
生き様を見せてくれるでしょう。

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matakita821 at 19:39│Comments(4)TrackBack(4)「けものみち」 

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SpeedBlogランキングってのに登録したらすっごいアクセス上がりまくりだよ!しかもマヂ爆笑できる面白いブログがいっぱぃあって、こんな面白いブログがいっぱぃあるんだぁってなんか不思議な感じだった!!

この記事へのコメント

1. Posted by ちーず   2006年01月14日 20:54
こんばんは〜!

けものみち、初回からインパクトの強いシーンが多く
驚きました!
十字架を倒すあのシーンに、小滝の生き様が描かれていたんですね。
木曜日、三本とも捨てられそうにありません。
それに加えてガチバカ!も始まりますね。(汗)
2. Posted by きこり→ちーずさん   2006年01月14日 21:32
いや〜濃いドラマですよね〜
それにしても、今後の木曜の録画どうしたら・・・
「夜王」もまだ見てないし・・・
新年そうそうけっこうおもしろいドラマ多くて
困っちゃいますね〜
3. Posted by ヨーコ   2006年01月15日 08:22
いやぁ〜、最初から最後まで緊張感があって、背筋をピーンとしたまま見てましたよぉ〜。疲れた〜。
平幹二朗さんの充血した目が恐すぎ(泣!
あれも演技プランで充血させたんだろうか?とか考えながら見ちゃいましたよ(笑。
昨日「白夜行」もみたんだけど、あっちも切なくて疲れた〜。
毎週木曜日はヘロヘロになりそうな予感・・・。
4. Posted by きこり→ヨーコさん   2006年01月15日 14:00
いや〜木曜日は忙しいよね〜
ところで「白夜行」後半見れなかったんだけど、
今日再放送があるのよ〜!
うれしい〜神様っているのね〜(大げさ)
やっぱり第一回は基本ですから、見逃した場面があると
な〜んか思い切って書けないんだよね〜
でも、ハードな内容だから辛いけど。

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